今回は白子の扱い方について学んでいきます。魚の精巣である白子を安全に食べるには、正しい下処理と保存方法が必要です。内臓系は細菌が多く寄生虫もいるため、身よりも食中毒を起こす危険が高い。この記事では白子の正しい下処理と保存方法を、現役料理人のテルトラと解説していきます。おすすめの食べ方も紹介しているから、参考にしてくれ。

ライター/テルトラ

調理歴15年の現役料理人。和食を中心にさまざまな業態で、数多くの魚介類にふれてきた。焼き物や天ぷらなど、白子を使った料理も得意。

簡単にできる白子の下処理

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もっとも扱う機会が多い鱈の白子の下処理について解説します。白子の下処理の工程は「洗う・切る・湯通し・冷やす」の4つです。アニサキスなどの寄生虫対策として、70℃以上で加熱します。下処理に必要なもの、必要な材料は次のとおり。

【下処理に必要なもの】
・ボウル
・深めの鍋
・穴あきお玉
・キッチンバサミ
・キッチンペーパー

【下処理に必要な材料】
・塩:15g
・水:500ml
・氷水:適量
・酒:30ml(大さじ2)

魚介類は常温ではすぐに傷むため、短時間に済ませることが重要です。あらかじめ必要なものは、すべて用意しておきましょう。

#1 塩水で洗う

ボウルに白子がどっぷり浸る量の塩水を作ります。塩を加えると、真水で洗うよりも白子の臭みが抜けるんですよ。塩の量は水に対して3%(500mlなら15g)で、海水と同等の塩分濃度です。塩を入れたらよく混ぜて塩水を作り、白子を浸けてください。

親指の腹でこするように優しく洗い、ぬめりや汚れを落とします。乱暴に扱うと白子が潰れたり、バラバラになったりするので注意してください。臭いが気になる場合は、そのまま30分ほど浸けておきましょう。この後お湯にくぐらせるので、塩味はほとんど残りません。

#2 一口大に切る

まず、白子をつないでいる硬い筋を切り落とします。包丁よりキッチンバサミのほうが簡単です。黒い膜や血管が付いている太い部分は、とくに念入りに行います。筋が残っていると食べたときに噛み切れず、口に残るからです。

筋を切り落としたら、白子を食べやすい大きさに切ります。湯通しの工程で少し縮むことも考慮して、一口大(50g目安)に切るのがコツです。小さく切りすぎると、白子がバラバラになってしまいます。切っても中身が飛び出すことはありませんが、潰さないよう優しく扱ってください。

#3 サッと湯通し

鍋にお湯を沸かします。沸騰したら「さし水」をして、あえて温度を70~80℃まで下げるのがコツです。お湯の勢いで白子が崩れるのを防ぎ、均一に熱を通せます。常に沸騰寸前の状態をキープし、必ず1〜2個ずつお湯の中に投入してください。一度にたくさん入れると、お湯の温度が70℃より下がってしまうからです。

白子1個につき30〜40秒ほどくぐらせたら、すぐに引き上げて冷やします。穴あきお玉や、天かすすくいを使うと簡単です。

\次のページで「氷水で冷やす」を解説!/

#4 氷水で冷やす

湯通しする前に、たっぷりの氷水を用意しておくのがコツです。すぐに冷やさないと、余熱で白子に火が入り過ぎてしまいます。下処理の段階で加熱し過ぎると、天ぷらや鍋の具材にしたときに美味しくありません。白子ポン酢にしても、せっかくのプリっとした食感がなくなります。すぐ氷水に落とせるよう、近くにセットしておきましょう。

完全に冷えたら氷水から引き上げ、キッチンペーパーで水気をよく拭き取り下処理は完了です。冷やし方があまいと余熱でどんどん火が通り、水分が残っていると傷みやすくなります。

白子のおすすめの食べ方3選

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いろいろある白子料理の中で、おすすめの3つをご紹介します。定番メニューですが、もっとも有名で作りやすい料理です。

1.白子ポン酢
2.白子の天ぷら
3.鱈ちり鍋

加熱調理の場合は生白子でも問題ありませんが、下処理をしたほうがより安全です。湯通しすることで表面が固まり、取り扱いやすくなります。

1.定番の白子ポン酢

下ごしらえをした白子にポン酢をかけて、お好みの薬味をのせるだけです。ご家庭で、定番の1品が手軽に楽しめます。おすすめの薬味はもみじおろしと万能ねぎ。白子の食感を損なわないよう、食べる直前にポン酢をかけるのがコツです。

サッと湯通ししただけの料理なので、白子の鮮度や品質によって味が大きく左右されます。新鮮なものであれば、鮭やふぐの白子でも作れる料理です。

2.ジュワッととろける天ぷら

通常の天ぷらの作り方と同じです。噛んだ瞬間に白子の旨味が、口の中でジュワッととろけます。

【上手に作る3つのコツ】
・隙間にも粉をまぶす
・高温で短時間に揚げる
・一度にたくさん揚げない

粉をまぶすときは、ヒダの隙間にもしっかりまぶしましょう。衣がしっかり付き、油の中で剝がれにくくなるからです。

高温でサッと熱を通すことで「外はカラっと・中はふわふわ」の食感に仕上がります。揚げ時間が長過ぎると白子の水分が飛んで、パサパサになるので注意してください。下処理した白子はそのままでも食べられるので、衣が固まればOKです。油の温度を180℃に保つため、一度に入れるのは2~3個までにしましょう。

3.冬の醍醐味・鱈ちり鍋

鍋の出汁が沸いてから、鱈の切り身→白子の順で入れるのがコツ。冷たい状態から加熱していくと、鱈や白子の臭みが出汁に移るからです。熱で表面を固め、旨味を閉じ込める目的もあります。鍋に入れる順番は、単純に火が通りやすい順です。白子は加熱し過ぎると、パサパサになって美味しくありません。

下処理していない生白子の場合は、沸いた状態で30〜40秒で食べられます。下処理済みの白子は加熱し過ぎないよう、温まったら食べ頃です。

白子の正しい保存方法は?

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白子は下処理をしてから保存したほうが、より安全です。魚の精巣である白子は腐敗しやすく、寄生虫がいることも多々あります。また、下処理をすることで臭いが抑えられ、冷凍保存にも対応できますよ。重要なのは「水気を残さない・空気に触れさせない」ことです。水分は腐敗の原因になり、空気に触れると酸化により劣化します。

塩水を使った冷蔵保存

保存用の液を作り、白子を浸すだけです。

【用意するもの】
・密閉性の高い清潔なタッパー(深さがあるもの)
・ボウル(材料を混ぜるときに必要)
・塩
・酒

【保存液の作り方】
・塩分濃度3%の塩水を作る(舐めて塩味がするくらい)
・酒30ml(大さじ2杯)ほど加える(だいたいでOK)
・よく混ぜたあと氷を入れて冷やす(水温1~2℃)

水に浸けることで乾燥を防ぎ、塩水に酒を加えることで保存性がアップします。ただし、塩を入れ過ぎると白子が塩辛くなるので注意しましょう。水が濁ってきたら取り替えてください。

\次のページで「冷凍保存と解凍のコツ」を解説!/

冷凍保存と解凍のコツ

下処理をした白子に限り、冷凍保存が可能です。重要なのは即日に冷凍すること。冷凍保存の目的は鮮度を保つことなので「余ったから冷凍」は正しくありません。冷凍保存した白子は、必ず加熱調理で食べてくださいね。

【用意するもの】
・ラップ
・冷凍用保存袋

【冷凍保存方法】
・白子の水気を取る
・1食分ずつラップで包む
・保存袋に入れて密封する

水分と空気の処理が不十分だと、冷凍焼けを起こします。水気をよく拭き取り、しっかりと空気を抜いて密封しましょう。解凍は冷蔵庫での自然解凍が基本です。8~12時間ほどで解凍できます。

それぞれの保存期限

それぞれの保存方法の賞味期限は次のとおり。

【冷蔵保存期限】
・2~3日(白子の鮮度による)

【冷凍保存期限】
・最大1ヶ月ほど

どちらの保存方法でも、早く食べ切るに越したことはありません。白子は新鮮なほど美味しいからです。極端に生臭かったり溶けてドロドロになっている場合は、腐敗している可能性が高いので食べずに破棄してください。

購入して未開封の白子は、記載されている賞味期限及び消費期限にしたがってください。市販の冷凍白子は未開封であれば、1年ほど保存可能な商品もあります。

正しく処理して美味しい白子を食べよう

白子の正しい下処理や保存方法がわかりましたね。魚の内臓である白子は腐敗しやすいため、取り扱いを間違えると食中毒の危険が高まります。きちんと下処理をして美味しい白子料理を食べましょう。本記事でご紹介した食べ方は定番ですが、白子本来の味が楽しめます。簡単に作れるのでご家庭で楽しむのにおすすめです。

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家庭科

白子の正しい下処理と保存方法は?おすすめの食べ方も現役料理人が詳しくわかりやすく解説

今回は白子の扱い方について学んでいきます。魚の精巣である白子を安全に食べるには、正しい下処理と保存方法が必要です。内臓系は細菌が多く寄生虫もいるため、身よりも食中毒を起こす危険が高い。この記事では白子の正しい下処理と保存方法を、現役料理人のテルトラと解説していきます。おすすめの食べ方も紹介しているから、参考にしてくれ。

ライター/テルトラ

調理歴15年の現役料理人。和食を中心にさまざまな業態で、数多くの魚介類にふれてきた。焼き物や天ぷらなど、白子を使った料理も得意。

簡単にできる白子の下処理

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もっとも扱う機会が多い鱈の白子の下処理について解説します。白子の下処理の工程は「洗う・切る・湯通し・冷やす」の4つです。アニサキスなどの寄生虫対策として、70℃以上で加熱します。下処理に必要なもの、必要な材料は次のとおり。

【下処理に必要なもの】
・ボウル
・深めの鍋
・穴あきお玉
・キッチンバサミ
・キッチンペーパー

【下処理に必要な材料】
・塩:15g
・水:500ml
・氷水:適量
・酒:30ml(大さじ2)

魚介類は常温ではすぐに傷むため、短時間に済ませることが重要です。あらかじめ必要なものは、すべて用意しておきましょう。

#1 塩水で洗う

ボウルに白子がどっぷり浸る量の塩水を作ります。塩を加えると、真水で洗うよりも白子の臭みが抜けるんですよ。塩の量は水に対して3%(500mlなら15g)で、海水と同等の塩分濃度です。塩を入れたらよく混ぜて塩水を作り、白子を浸けてください。

親指の腹でこするように優しく洗い、ぬめりや汚れを落とします。乱暴に扱うと白子が潰れたり、バラバラになったりするので注意してください。臭いが気になる場合は、そのまま30分ほど浸けておきましょう。この後お湯にくぐらせるので、塩味はほとんど残りません。

#2 一口大に切る

まず、白子をつないでいる硬い筋を切り落とします。包丁よりキッチンバサミのほうが簡単です。黒い膜や血管が付いている太い部分は、とくに念入りに行います。筋が残っていると食べたときに噛み切れず、口に残るからです。

筋を切り落としたら、白子を食べやすい大きさに切ります。湯通しの工程で少し縮むことも考慮して、一口大(50g目安)に切るのがコツです。小さく切りすぎると、白子がバラバラになってしまいます。切っても中身が飛び出すことはありませんが、潰さないよう優しく扱ってください。

#3 サッと湯通し

鍋にお湯を沸かします。沸騰したら「さし水」をして、あえて温度を70~80℃まで下げるのがコツです。お湯の勢いで白子が崩れるのを防ぎ、均一に熱を通せます。常に沸騰寸前の状態をキープし、必ず1〜2個ずつお湯の中に投入してください。一度にたくさん入れると、お湯の温度が70℃より下がってしまうからです。

白子1個につき30〜40秒ほどくぐらせたら、すぐに引き上げて冷やします。穴あきお玉や、天かすすくいを使うと簡単です。

\次のページで「氷水で冷やす」を解説!/

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