魚の内臓である白子にも旬や種類があるぞ。魚の種類や獲れる時期によって、味や食感が微妙に異なる。この記事では白子の旬や種類について、現役料理人のテルトラと解説していきます。新鮮な白子の選び方も紹介するので、参考にしてほしい。

ライター/テルトラ

経験15年の現役料理人。和食を中心にさまざまな業態で多くの魚介類にふれてきた。白子焼きや白子の天ぷらなどのメニューも得意。

白子の旬はいつ頃?

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白子とは魚の精巣のことで、持ち主である魚が美味しくなる秋から冬にかけて白子も旬を迎えます。寒くなり産卵が近づくと、精巣が発達し旨味が増すからです。魚の種類によって、多少旬の時期がずれます。

美味しくなる時期

流通する白子は主に鱈・鮭・ふぐのもので、それぞれの旬と同時期に白子も旬を迎えます。

・鱈‥12~2月
・鮭‥9~11月
・ふぐ‥11~2月

秋には秋鮭(白鮭)、冬には真鱈やスケトウダラの白子がスーパーなどに出まわります。とくに1~2月に獲れる真鱈は「寒鱈」と呼ばれ、1年でもっとも白子の味がよい状態です。11月の白子は未成熟で味がよくなく、3月に入ると入荷自体が安定しなくなります。ふぐの白子は高級品のため、スーパーなどの小売店に並ぶことはほぼありません。

夏の白子がよくない理由

冷凍品や輸入物の可能性が高いからです。本来秋〜冬以外は産卵期ではないため、白子が未発達で商品価値はありません。回転寿司で旬以外に見かける白子の軍艦巻きは、ほぼ輸入の冷凍品です。冷凍技術の向上により品質が良くなったとはいえ、旬の新鮮な生白子には遠く及びません。

むしろ夏場は身が美味しい時期です。産卵期ではないため、卵巣や精巣に栄養がかたよらないから。冬場に比べてニーズも少ないので、値段も下がります。

相場の値段は?

秋鮭→スケトウダラ→真鱈→とらふぐの順で市場価値が高くなります。

・秋鮭:100gあたり250~300円ほど
・スケトウダラ:100gあたり200~400円ほど
・真鱈:100gあたり350~500円ほど
・とらふぐ:100gあたり2,000~4,000円ほど

天然か養殖か、生か冷凍か、国産か輸入かによって値段も変動します。通販サイトでは1㎏単位で販売されることも多く、内容量が増えるほど割安です。

主な白子の種類

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食用の白子が取れる主な魚は、下記の3種類です。

1.鱈(真鱈・スケトウダラ)
2.鮭(主に秋鮭)
3.ふぐ(主にとらふぐ)

真冬に多く流通する真鱈が一般的ですが、秋口は鮭の白子もスーパーなどに出まわります。とらふぐの白子はネット通販で取り扱われることが多いです。

#1 定番の鱈の白子

表面にヒダがあるのが特徴。クリーミーで濃厚な味わいながらも、後味はさっぱりしてくどくありません。簡単な下ごしらえでさまざまな料理が作れるため、冬になると人気が出ます。白子のポン酢がけや天ぷら、鱈ちり鍋の具材などがメインです。加熱することでふわふわの食感が加わります。

ヒダが太くて大きいものは真鱈の白子で、小さく細かいものはスケトウダラの白子です。真鱈のほうが味がよいとされ、市場価値も高くなります。新鮮であるほど味がよく、旬の白子には臭みがありません。

#2 リーズナブルな鮭の白子

薄いピンク色の見た目で、あっさりとした味わいが特徴。3種類の中ではもっとも旬が早く、安価で出まわります。濃厚さがないぶん他の味を邪魔しないので、お酒との相性も抜群です。天ぷらや酒蒸しなどが定番メニューですが、新鮮であればポン酢あえなどの調理方法もできます。白子の中でも身崩れしにくいので、焼き物や煮物など加熱調理向きです。

昔はニーズがなくほとんどが廃棄されるか、肥料(フィッシュミール)の原料になっていました。現在は食用のほかに、うま味調味料や保存料などにも使われています。

#3 高級品のふぐの白子

もっとも高級な白子で、とくにとらふぐの白子は特別品です。養殖も盛んで旬を迎える冬の時期に、ネット通販を中心に多く出まわります。明太子のような形で、非常にやわらかいのが特徴。とろけるような口当たりと、上品な甘みが味わえます。

主な食べ方は白子焼きやてっちり鍋の具材など。素材の味を活かすならサッと湯引きして、ポン酢とお好みの薬味をかけるのがおすすめです。

とらふぐの場合、卵巣と違い精巣である白子には、ふぐの毒テトロドトキシンは含まれません。有毒部位が確実に除去された精巣であれば、ふぐ調理師の資格がなくても取り扱えます。とらふぐ以外のふぐには、白子に毒をもつ種類があるので注意しましょう。「ひがんふぐ・くさふぐ・こもんふぐ・さんさいふぐ」の4種類はとくに危険です。

\次のページで「新鮮な白子の選び方」を解説!/

新鮮な白子の選び方

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もっとも購入する機会が多い、鱈の白子の選び方を解説します。鮭の白子は流通量が少なく、ふぐの白子は小売店ではほとんど見かけません。新鮮な白子を選ぶ際に、見るべきポイントは3つです。

・ランク
・見た目
・加工方法

白子に限らず鮮魚を選ぶときは、照明の下からずれて見るのがコツ。光の加減や色調などで、色ツヤが正確に判断できないからです。

その1.ランクで選ぶ

流通する白子は品質ごとに、ランク付けやグレード分けされています。「特・特2・特3・特4」や「2特・3特・4特・特選(特上)」など、特の数が増えるほど高品質。呼び方が統一されない理由は、共通規格がないためメーカーごとに品質の良し悪しを決めているからです。同じランクの白子でも時期によって品質が異なり、同じランク内でも多少の誤差が生じます。

(例)
・10月の4特より12月の4特のほうが良い
・「2特寄りの3特」や「4特寄りの3特」

スーパーの白子にランクが表示されることはありませんが、通販サイトで選ぶときには、参考になります。4特か特選・特上ランクの白子を選びましょう。

その2.見た目で選ぶ

具体的には色と張りで選びます。

\次のページで「その3.加工方法で選ぶ」を解説!/

色‥真っ白くてツヤがある。
張り‥表面のヒダに張りがあり、こんもりと盛り上がっている。

よくない白子は、ピンクがかっていたり黄ばんだりしています。緑色に変色している場合も、低品質で味がよくありません。白子を取り出す際に胆嚢(たんのう)が潰れ、中の液体が付着しているからです。胆嚢は苦玉と呼ばれるほど、強い苦味を含んでいます。一度ついた胆嚢の汁は取れません。

また、鮮度が落ちて張りがなくなると、形が崩れ溶けたようだらっとしてきます。見た目で白子を選ぶときは「真っ白でヒダの形がはっきりしているもの」を選びましょう。

その3.加工方法で選ぶ

白子には輸入物や冷凍品があり、旬以外の時期にも流通します。以前の勤め先で冷凍の白子を使っていましたが、生と比べて色と張りがよくありませんでした。冷凍白子は本来の甘みが少なく、水っぽいため風味と旨味が薄いのです。冷凍白子のメリットは日持ちがいいことで、未開封なら1年ほど保存できます。

ただし、時期外れの生白子を選ぶくらいなら冷凍品がおすすめ。旬の時期に加工したものを冷凍しているからです。旬を外し味が落ちた生白子よりは、美味しく食べられます。

「冬は生の白子一択・冬以外は冷凍品」と分けて選ぶとよいでしょう。

冬しか食べられない新鮮な白子を食べよう

白子の旬や種類について解説しました。流通する白子は主に鮭・鱈・ふぐのもので、秋から冬にかけて旬を迎えます。スーパーで見かけるのは真鱈やスケトウダラが多く、高級品であるとらふぐの白子はネット通販が主流です。

鱈の白子は品質ごとにランク付けされており、特の数が多いほど高品質になります。見た目で選ぶ際は、真っ白くて溶けていないものを選びましょう。また、時期外れの生白子よりは、冷凍品のほうが高品質な場合があります。新鮮で美味しい白子は、旬の時期にしか味わえません。冬の味覚を存分に楽しんでください。

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家庭科

新鮮な白子の選び方は?美味しい旬の時期や主な種類も現役料理人が詳しくわかりやすく解説

魚の内臓である白子にも旬や種類があるぞ。魚の種類や獲れる時期によって、味や食感が微妙に異なる。この記事では白子の旬や種類について、現役料理人のテルトラと解説していきます。新鮮な白子の選び方も紹介するので、参考にしてほしい。

ライター/テルトラ

経験15年の現役料理人。和食を中心にさまざまな業態で多くの魚介類にふれてきた。白子焼きや白子の天ぷらなどのメニューも得意。

白子の旬はいつ頃?

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白子とは魚の精巣のことで、持ち主である魚が美味しくなる秋から冬にかけて白子も旬を迎えます。寒くなり産卵が近づくと、精巣が発達し旨味が増すからです。魚の種類によって、多少旬の時期がずれます。

美味しくなる時期

流通する白子は主に鱈・鮭・ふぐのもので、それぞれの旬と同時期に白子も旬を迎えます。

・鱈‥12~2月
・鮭‥9~11月
・ふぐ‥11~2月

秋には秋鮭(白鮭)、冬には真鱈やスケトウダラの白子がスーパーなどに出まわります。とくに1~2月に獲れる真鱈は「寒鱈」と呼ばれ、1年でもっとも白子の味がよい状態です。11月の白子は未成熟で味がよくなく、3月に入ると入荷自体が安定しなくなります。ふぐの白子は高級品のため、スーパーなどの小売店に並ぶことはほぼありません。

夏の白子がよくない理由

冷凍品や輸入物の可能性が高いからです。本来秋〜冬以外は産卵期ではないため、白子が未発達で商品価値はありません。回転寿司で旬以外に見かける白子の軍艦巻きは、ほぼ輸入の冷凍品です。冷凍技術の向上により品質が良くなったとはいえ、旬の新鮮な生白子には遠く及びません。

むしろ夏場は身が美味しい時期です。産卵期ではないため、卵巣や精巣に栄養がかたよらないから。冬場に比べてニーズも少ないので、値段も下がります。

相場の値段は?

秋鮭→スケトウダラ→真鱈→とらふぐの順で市場価値が高くなります。

・秋鮭:100gあたり250~300円ほど
・スケトウダラ:100gあたり200~400円ほど
・真鱈:100gあたり350~500円ほど
・とらふぐ:100gあたり2,000~4,000円ほど

天然か養殖か、生か冷凍か、国産か輸入かによって値段も変動します。通販サイトでは1㎏単位で販売されることも多く、内容量が増えるほど割安です。

主な白子の種類

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食用の白子が取れる主な魚は、下記の3種類です。

1.鱈(真鱈・スケトウダラ)
2.鮭(主に秋鮭)
3.ふぐ(主にとらふぐ)

真冬に多く流通する真鱈が一般的ですが、秋口は鮭の白子もスーパーなどに出まわります。とらふぐの白子はネット通販で取り扱われることが多いです。

#1 定番の鱈の白子

表面にヒダがあるのが特徴。クリーミーで濃厚な味わいながらも、後味はさっぱりしてくどくありません。簡単な下ごしらえでさまざまな料理が作れるため、冬になると人気が出ます。白子のポン酢がけや天ぷら、鱈ちり鍋の具材などがメインです。加熱することでふわふわの食感が加わります。

ヒダが太くて大きいものは真鱈の白子で、小さく細かいものはスケトウダラの白子です。真鱈のほうが味がよいとされ、市場価値も高くなります。新鮮であるほど味がよく、旬の白子には臭みがありません。

#2 リーズナブルな鮭の白子

薄いピンク色の見た目で、あっさりとした味わいが特徴。3種類の中ではもっとも旬が早く、安価で出まわります。濃厚さがないぶん他の味を邪魔しないので、お酒との相性も抜群です。天ぷらや酒蒸しなどが定番メニューですが、新鮮であればポン酢あえなどの調理方法もできます。白子の中でも身崩れしにくいので、焼き物や煮物など加熱調理向きです。

昔はニーズがなくほとんどが廃棄されるか、肥料(フィッシュミール)の原料になっていました。現在は食用のほかに、うま味調味料や保存料などにも使われています。

#3 高級品のふぐの白子

もっとも高級な白子で、とくにとらふぐの白子は特別品です。養殖も盛んで旬を迎える冬の時期に、ネット通販を中心に多く出まわります。明太子のような形で、非常にやわらかいのが特徴。とろけるような口当たりと、上品な甘みが味わえます。

主な食べ方は白子焼きやてっちり鍋の具材など。素材の味を活かすならサッと湯引きして、ポン酢とお好みの薬味をかけるのがおすすめです。

とらふぐの場合、卵巣と違い精巣である白子には、ふぐの毒テトロドトキシンは含まれません。有毒部位が確実に除去された精巣であれば、ふぐ調理師の資格がなくても取り扱えます。とらふぐ以外のふぐには、白子に毒をもつ種類があるので注意しましょう。「ひがんふぐ・くさふぐ・こもんふぐ・さんさいふぐ」の4種類はとくに危険です。

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