この記事では「指環」と「指輪」の違いについて学んでいきます。どちらも同じ「ゆびわ」ですが、「環」と「輪」の漢字の成り立ちや意味、イメージなどを調べてみると、違いがあるようです。ほかにも、結婚指輪に婚約指輪など、装飾以外にも用途のある指輪について、雑学好きライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学部出身の理系だが、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。今回は漢字検定準1級合格の実績を生かし、漢字の成り立ちや意味をひもとくことで詳しく解説していく。

指環と指輪の違いとは?

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指を飾るだけでなく、愛情や友情、結婚の証など、大切な意味が込められていることのある「指輪」。実は「指環」という漢字も使われることはご存知でしょうか。どちらも指にはめるアクセサリーという意味は同じですが、詳しく調べてみると、ニュアンスに違いがあることが分かります。

違いその1.意味

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「環」「輪」とも英訳するとringで、丸い輪の形を表します。が、漢字の成り立ちやおおもとの意味は同じではありません。

「環」は、翡翠などの宝石を意味する「玉」と、輪の形の意味と音を示す「睘(クワン)」から成り、「輪の形の宝石」を表します。「循環」「環境」など「めぐる」「とりかこむ」という意味もあり、土星などの天体の周りを取り囲む「わ」にも「環」の字が使われることが多いです。

「輪」は、車や車輪を表す「車」と、順序良く並ぶという意味と音を示す「侖(リン)」から成り、「スポークが放射状に並んでいる車輪」を表しています。「物のまわり」という意味もあり、「輪郭」「外輪」などの言葉に使われました。

違いその2.ニュアンス

意味の異なる「環」「輪」ですが、「環」の意味をさらに深く掘り下げた結果、「指環」「指輪」のニュアンスにも違いが生まれました。

ニッポン放送『スズキ・ハッピーモーニング』2017年1月23日放送分でも、その違いについて取り上げられています。

「環」「めぐる」という意味が「めぐりめぐって終わりのない、途切れのない」という解釈になり、愛情や友情、絆など人と人との強い結び付きを表すひとつの円=「環」とする見方があるのだそうです。そのため、結婚指輪や婚約指輪、友達や恋人とのペアリングなど、結び付きの証となるリングは「指環」、単なるファッションリングは「指輪」と使い分ける人もいるのだとか。

「指環」と「指輪」の読み方は?

「ゆびわ」について辞書で調べてみると、下のように掲載されています。

\次のページで「「指輪」表記が多い理由」を解説!/

ゆび‐わ【指輪/指環】

読み方:ゆびわ

指にはめる輪状の装身具。装飾のほかに、魔よけあるいは結婚などの契約を表す。多く貴金属で作り、宝石をはめ込んだものなど多種ある。指嵌(は)め。リング。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ゆびわ」

「指環」「指輪」とも、読み方は「ゆびわ」です。では、どうして「指輪」の方がはるかに多く使われているのでしょう。その理由は、一般に使用する漢字とその音訓を示す常用漢字表にありました。

「指輪」表記が多い理由

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常用漢字表(1985年までは当用漢字表)は、⼀般の社会⽣活と密接に関連する語の表記について、参考となるものです。

終戦後実施された国語施策により、全国の小中学校、新聞社や放送局などの報道機関は、原則としてこの表にならって漢字を使用しています。表に含まれない漢字、音訓を含む言葉は、固有名詞などを除いて、別の言葉に書き換えたり、表現を工夫したりすることが推奨されているのです。

「輪」は、音読み「リン」・訓読み「わ」とも常用漢字表にありますが、「環」は音読み「カン」だけが表にあり、訓読み「わ」はありません。そのため、ほとんどの場合「ゆびわ」「指輪」と表記されるのです。

装飾以外の指輪の用途とは

古代、指輪は魔除けのお守りや印章など、実用性が高いものでした。時代とともに金属や宝石の加工技術が発達し、装飾のイメージが強くなっていきましたが、現代でも結婚指輪を始め、装飾以外に用途のある指輪は数多くあります。その中でも特に有名な指輪について、4つご紹介しましょう。

1.結婚指輪

パートナー同士で交換し、結婚していることを示す指輪です。「マリッジ・リング」とも呼びますが、実は和製英語で、英語ではwedding ring

古代ギリシャでは「左手薬指には心臓につながる太い血管がある」と考えられていました。心臓は愛の象徴とされていたため、「永遠の愛を誓う」という意味を込めて、左手薬指に指輪をはめる習慣が生まれたそうです。また、人間の大半は右利きのため、あまり使わない左手の薬指ならば、24時間365日ずっと身に着ける結婚指輪の破損や紛失のリスクを抑えられるという、現実的な理由も。

国や宗教によっては右手薬指にはめることもあります。足の指にはめる国もあるそうです。

\次のページで「2.婚約指輪」を解説!/

2.婚約指輪

婚約時に男性から女性に贈る指輪です。「エンゲージ・リング」も和製英語で、正しくはengagement ring。起源は古代ローマ時代と言われ、婚約の証と同時に法的な契約の意味合いもありました。

ダイヤモンドの婚約指輪を贈るようになったのは15世紀ごろから。日本で話題になった「婚約指輪は給料の3か月分」は、ダイヤモンドブランドのデビアスが70年代に銘打った広告から来ています。

しかし「職場では石付きの指輪は一切禁止」「子供が生まれたら危なくてつけられない」など、ライフスタイルによっては常に身に着けるのが難しいという理由から、婚約指輪を省略するカップルも少なくありません。

3.ベビーリング

比較的新しい習慣で、赤ちゃんの幸せを願って贈られる指輪です。産院から贈られることもあります。由来はヨーロッパで古来より続く「銀のスプーン」の習慣です。

ヨーロッパには「銀のスプーンをくわえて生まれた赤ちゃんは幸せになれる」という言い伝えがあります。さらに、銀には毒に反応して変色する性質があることから、魔除けの意味も込めて、赤ちゃんが生まれると銀のスプーンを贈るという習慣が生まれました。この「銀のスプーン」から派生したのが、ベビーリングです。

赤ちゃんの誕生石をあしらったものや、母親がネックレスとして使えるようチェーンが付属しているものもあります。

4.シグネットリング

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日本ではあまりなじみがないかもしれません。印章(ハンコ)がついた指輪です。

中世ヨーロッパでは重要書類に蝋で封をした後、その人独自の紋章が刻まれたシグネットリングを押し付けて、「この書類は自分がしたため、自分が封をした」という証明としていました。

シグネットリングは時代とともに地位や身分を表すものに変化していき、学校を卒業した記念に作製されるカレッジリング、メジャースポーツの優勝記念品として贈られるチャンピオンリングなどの原型にもなっています。

ニュアンスに違いあり。可能な場合は使い分けても

「指環」と「指輪」の違いを、「環」と「輪」の漢字の意味を中心に説明しました。常用漢字表にならう場面では「指輪」表記のみ使うことを推奨されますが、小説などの創作や私用な文書、自由度の高いウェブサイトなど漢字使用のルールがないところでは、「指環」と「指輪」を使い分けることで、文章や内容に奥行きを持たせることができるでしょう。

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3分で分かる指環と指輪の違い!意味の違いや読み方について雑学好きライターが詳しくわかりやすく解説!

この記事では「指環」と「指輪」の違いについて学んでいきます。どちらも同じ「ゆびわ」ですが、「環」と「輪」の漢字の成り立ちや意味、イメージなどを調べてみると、違いがあるようです。ほかにも、結婚指輪に婚約指輪など、装飾以外にも用途のある指輪について、雑学好きライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学部出身の理系だが、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。今回は漢字検定準1級合格の実績を生かし、漢字の成り立ちや意味をひもとくことで詳しく解説していく。

指環と指輪の違いとは?

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指を飾るだけでなく、愛情や友情、結婚の証など、大切な意味が込められていることのある「指輪」。実は「指環」という漢字も使われることはご存知でしょうか。どちらも指にはめるアクセサリーという意味は同じですが、詳しく調べてみると、ニュアンスに違いがあることが分かります。

違いその1.意味

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「環」「輪」とも英訳するとringで、丸い輪の形を表します。が、漢字の成り立ちやおおもとの意味は同じではありません。

「環」は、翡翠などの宝石を意味する「玉」と、輪の形の意味と音を示す「睘(クワン)」から成り、「輪の形の宝石」を表します。「循環」「環境」など「めぐる」「とりかこむ」という意味もあり、土星などの天体の周りを取り囲む「わ」にも「環」の字が使われることが多いです。

「輪」は、車や車輪を表す「車」と、順序良く並ぶという意味と音を示す「侖(リン)」から成り、「スポークが放射状に並んでいる車輪」を表しています。「物のまわり」という意味もあり、「輪郭」「外輪」などの言葉に使われました。

違いその2.ニュアンス

意味の異なる「環」「輪」ですが、「環」の意味をさらに深く掘り下げた結果、「指環」「指輪」のニュアンスにも違いが生まれました。

ニッポン放送『スズキ・ハッピーモーニング』2017年1月23日放送分でも、その違いについて取り上げられています。

「環」「めぐる」という意味が「めぐりめぐって終わりのない、途切れのない」という解釈になり、愛情や友情、絆など人と人との強い結び付きを表すひとつの円=「環」とする見方があるのだそうです。そのため、結婚指輪や婚約指輪、友達や恋人とのペアリングなど、結び付きの証となるリングは「指環」、単なるファッションリングは「指輪」と使い分ける人もいるのだとか。

「指環」と「指輪」の読み方は?

「ゆびわ」について辞書で調べてみると、下のように掲載されています。

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