今回は月の満ち欠けがテーマです。

新月・満月はどんなものかはみんな知っているでしょう。じゃあ上弦の月や有明月がどんな月かわかるか?月の形は日々変化している。と言っても月の形そのものが変わるわけではない。地球からの見え方が変わっているのです。そしてその見え方には地球と月・太陽の位置が大きくかかわっている。

それでは月の満ち欠けについて、科学館職員のたかはしふみかが解説します。

ライター/たかはし ふみか

子供の頃、月の満ち欠けが理解できず苦労したリケジョ。おかげで月を見るたびにそれが上弦の月か下弦の月かを確認する癖がついている。科学大好き・仕事大好き・職場大好きな科学館職員。

そもそも月とは?

image by PIXTA / 49086063

今回のテーマは月。という事でまず月とはどんなものか、からおさらいしていきましょう。辞書で月と調べると、次のように書かれています。

地球にいちばん近い天体で、地球のただ一つの衛星。半径一七三八キロメートル、玄武岩質で組成され、大気はない。二七・三二日で自転しながら、約二九・五三日で地球を一周し、その間、新月・上弦・満月・下弦の順に満ち欠けする。太陽とともに人間に親しい天体で、その運行に基づいて暦が作られ、神話、伝説、詩歌などの素材ともされる。日本では「花鳥風月」「雪月花」などと、自然美の代表とされ、特に秋の月をさすことが多い。太陽に対して太陰ともいう。つく。つくよ。月輪。また、ある天体の衛星のこともいう。
[コトバンク 月]

最も地球に近い天体である月は、地球の衛星です。衛星とは恒星や惑星、準惑星、小惑星の周りを公転する天体のことを言います。地球の周りを公転する月の公転周期は約27.3日。1か月より少し短いくらいの時間で、地球の周りを1回公転しているのですね。

月の大きさは直径 3,474km、地球( 直径12,756km)の約1/4の大きさで、質量は地球の1%程度の 7.3 ×1022kgしかありません。

月の出る時間は毎日違う?

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月は地球の周りを1回公転するのにかかる期間は約27.3日です。ところが、月の満ち欠けの周期は約29.5日。微妙にずれていますね。このポイントは月だけでなく、地球も太陽の周りを公転しているということです。

もし地球が太陽の周りを公転していないとします。その場合、地球から見て月は、27.3日の周期で満ち欠けを繰り返すのです。しかし実際は地球も公転しています。そのため、月が1回公転して元の位置に戻ってきた頃には地球の位置も変わっているのです。

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月が地球の周りを西から東へ(北極側から見て半時計回り)1回公転するのにかかるのは27.3日。1日では約13度(360度÷27.3日)、地球の周りを移動しているのです。一方、地球は1日に約1度(360度÷365日)西から東へ公転しているます。というわけで地球から見て月は、1日約12度(13度-1度)東へずれるのです。

さらに地球は24時間で360度進む速度で自転しています。月が同じ位置に来る時間は24時間×12度/360度=0.8時間、つまり約48分遅くなるのです。

満月と新月って何?上弦と下弦とは?

月は地球の周りを公転し、その時々で見え方が異なります。それが満月新月上弦下弦と呼ばれる月です。なぜ見え方が異なるかは後で解説しますが、その前に月の見え方と名称について解説していきます。

新月(月齢0日頃)

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地球と太陽の間に月が入ると、月によって太陽の光が遮られます。月は太陽の光を反射して輝くため、太陽の光を浴びていない月を見る事ができません。この状態を新月と言い、月齢の起点となります。

三日月(月齢3日頃)・有明月(月齢26日頃 )

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月の形として、まず三日月を思い浮かべる人も多いでしょう。三日月とはその名の通り、月齢3日目頃に出る細い月のことを言うのです。三日月は日没後に西の空に見る事ができます。

では反対に満月から新月に向かってどんどん細くなっていくときの細い月をなんというのでしょうか。月齢26日頃の細い月を有明月(ありあけづき)と言います。有明月とは夜が明ける頃に空にある月のことを指し、月の出は午前3時頃、月の入りは午後3時頃となるのです。

\次のページで「上弦の月(月齢7日頃)・下弦の月(月齢23日頃)」を解説!/

上弦の月(月齢7日頃)・下弦の月(月齢23日頃)

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上弦の月下弦の月とは半分だけ明るい月、半月のことです。では上弦の月と下弦の月は何が違うのでしょうか。新月から満月に向かうとき、月は右側に見えます。この満月に向かう途中の右側にある半月を上弦の月、反対に満月から再び新月に向かう欠けていく途中の半月を下弦の月というのです。

十日夜の月(月齢10日頃)・更待月(月齢20日頃)

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三日月分ぐらい欠けている、満月前後のまん丸に近い月を十日夜の月(とおかんやのつき)更待月(ふけまちづき)と言います。更待月、ふけまちづきはあまり聞きなじみがありませんね。更待月とは夜が更けるまで登らない月、という意味です。

ちなみに満月の翌16日目はためらって(いざよって)いるようだから十六夜(いざよい)、17日目月が昇るのはまだかと立ったまま待っているという意味の立待月(たちまちづき)、18日目は立って待つのは疲れるから座って待つ居待月(いまちづき)、19日目は待ちくたびれて寝る寝待月(ねまちづき)と呼ばれています。月が昇る時間がどんどん遅くなっていくため、待ち疲れた様子から名付けられているのですね。

満月(月齢15日頃)

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満月、full moonは月齢13.8~15.8の頃のまん丸な月のことです。満月は日没の頃に東の空から登り、明け方に西の空へと沈んでいきます。

月と地球の距離は実は一定ではありません。月の公転軌道が楕円形のため、変化するのです。月と地球の距離が最も近づいた時に見える満月または新月のことをスーパームーンと言います。

月の満ち欠けのメカニズム

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出は月の満ち欠けのメカニズムを解説していきます。月の満ち欠けのポイントは月の公転です。地球の周りを回る月。月は自ら光っているわけではなく、太陽の光を反射しています。そのため、太陽の光の当たり方によって見え方が変わるのです。これが月の満ち欠けの正体なのですね。

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月齢0日は太陽と地球の間に月がある状態で、これを新月といいます。この月が向かって右側に徐々に三日月、半月’(上弦の月)と大きくなっていくのです。そして太陽と月の間に地球が来た時、太陽の光を正面から浴びた月を見る事ができるます。これが満月ですね。

あれ?太陽と月の間に地球があるなら、地球が太陽の光を遮っちゃうんじゃない?と思う人もいるかもしれません。これは月食という全く別の現象となるので、また後で詳しく解説します。そして満月を過ぎると今度は右側から徐々に欠けていき、下弦の月有明月、そして再び新月となるのです。

\次のページで「月が欠ける月食」を解説!/

月が欠ける月食

月が欠ける月食

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満月になるのは、月と太陽の間に地球が来たときです。この位置に地球があると、地球からは太陽の光を正面から浴びた月がまん丸に輝いて見えます。そして月に注がれる太陽の光が遮られ、欠けて見える月食が起きるのも月・地球・太陽と並んだ時です。では満月のたびに月食が起きているのかと言えばそうではありません。

地球の周りを公転する月の軌道は、地球の軌道面に比べて傾いています。そのため、同じ満月でも月が地球の影に入るときとはいらないときがあるのです。

月の満ち欠け

新月、三日月、満月だけでなく月はその見え方によって様々な呼び名が付けられています。月の満ち欠けのメカニズムには地球と月の公転が影響しているのです。

地球から見て月が欠けている現象として、月食もあります。しかしこれは月の満ち欠けとは全くメカニズムが違う現象です。月の満ち欠けに合わせて月食、そして日食も確認しておきましょう。

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地学理科

新月・満月の違いは?月の満ち欠けを科学館職員がわかりやすく解説

今回は月の満ち欠けがテーマです。

新月・満月はどんなものかはみんな知っているでしょう。じゃあ上弦の月や有明月がどんな月かわかるか?月の形は日々変化している。と言っても月の形そのものが変わるわけではない。地球からの見え方が変わっているのです。そしてその見え方には地球と月・太陽の位置が大きくかかわっている。

それでは月の満ち欠けについて、科学館職員のたかはしふみかが解説します。

ライター/たかはし ふみか

子供の頃、月の満ち欠けが理解できず苦労したリケジョ。おかげで月を見るたびにそれが上弦の月か下弦の月かを確認する癖がついている。科学大好き・仕事大好き・職場大好きな科学館職員。

そもそも月とは?

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今回のテーマは月。という事でまず月とはどんなものか、からおさらいしていきましょう。辞書で月と調べると、次のように書かれています。

地球にいちばん近い天体で、地球のただ一つの衛星。半径一七三八キロメートル、玄武岩質で組成され、大気はない。二七・三二日で自転しながら、約二九・五三日で地球を一周し、その間、新月・上弦・満月・下弦の順に満ち欠けする。太陽とともに人間に親しい天体で、その運行に基づいて暦が作られ、神話、伝説、詩歌などの素材ともされる。日本では「花鳥風月」「雪月花」などと、自然美の代表とされ、特に秋の月をさすことが多い。太陽に対して太陰ともいう。つく。つくよ。月輪。また、ある天体の衛星のこともいう。
[コトバンク 月]

最も地球に近い天体である月は、地球の衛星です。衛星とは恒星や惑星、準惑星、小惑星の周りを公転する天体のことを言います。地球の周りを公転する月の公転周期は約27.3日。1か月より少し短いくらいの時間で、地球の周りを1回公転しているのですね。

月の大きさは直径 3,474km、地球( 直径12,756km)の約1/4の大きさで、質量は地球の1%程度の 7.3 ×1022kgしかありません。

月の出る時間は毎日違う?

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月は地球の周りを1回公転するのにかかる期間は約27.3日です。ところが、月の満ち欠けの周期は約29.5日。微妙にずれていますね。このポイントは月だけでなく、地球も太陽の周りを公転しているということです。

もし地球が太陽の周りを公転していないとします。その場合、地球から見て月は、27.3日の周期で満ち欠けを繰り返すのです。しかし実際は地球も公転しています。そのため、月が1回公転して元の位置に戻ってきた頃には地球の位置も変わっているのです。

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月が地球の周りを西から東へ(北極側から見て半時計回り)1回公転するのにかかるのは27.3日。1日では約13度(360度÷27.3日)、地球の周りを移動しているのです。一方、地球は1日に約1度(360度÷365日)西から東へ公転しているます。というわけで地球から見て月は、1日約12度(13度-1度)東へずれるのです。

さらに地球は24時間で360度進む速度で自転しています。月が同じ位置に来る時間は24時間×12度/360度=0.8時間、つまり約48分遅くなるのです。

満月と新月って何?上弦と下弦とは?

月は地球の周りを公転し、その時々で見え方が異なります。それが満月新月上弦下弦と呼ばれる月です。なぜ見え方が異なるかは後で解説しますが、その前に月の見え方と名称について解説していきます。

新月(月齢0日頃)

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地球と太陽の間に月が入ると、月によって太陽の光が遮られます。月は太陽の光を反射して輝くため、太陽の光を浴びていない月を見る事ができません。この状態を新月と言い、月齢の起点となります。

三日月(月齢3日頃)・有明月(月齢26日頃 )

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月の形として、まず三日月を思い浮かべる人も多いでしょう。三日月とはその名の通り、月齢3日目頃に出る細い月のことを言うのです。三日月は日没後に西の空に見る事ができます。

では反対に満月から新月に向かってどんどん細くなっていくときの細い月をなんというのでしょうか。月齢26日頃の細い月を有明月(ありあけづき)と言います。有明月とは夜が明ける頃に空にある月のことを指し、月の出は午前3時頃、月の入りは午後3時頃となるのです。

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