この記事では日本の伝統的な和菓子に欠かせない存在「あんこ」の栄養などについてみていきます。あんこは和菓子に使われることが多いよな。和菓子って甘いしなんとなくカロリーが高そうですが、実はあんこはヘルシーなおやつだったんです。健康や美容に欠かせない栄養も多く含まれているぞ。
今回はそんなあんこについて、栄養や特徴・注意点を管理栄養士のミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

給食施設で働く現役管理栄養士。おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。和菓子が大好物で、特にあんこには目がない。自分であんこを炊くこともあり、あんこ=幸せだと思っている!おやつはケーキよりどら焼き派。

あんこってどんな食べ物?

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あんこは、どら焼きや羊かんなどの和菓子に使われたり、パフェのトッピングなどで見かけたりすることがありさまざまな和洋製菓でも使用されています。あんパンも子供から大人まで人気ですよね。何気なく目にすることの多いあんこですが、そもそもあんことはどのような食べ物なのでしょうか。

あんことは?

あんこの定義は以下の通りです。

あんことは、食材を煮詰めて練ったペースト状のものである。

砂糖を入れること、材料が豆であること、甘味であることは十分条件であり、必要条件ではない。

出典:日本あんこ協会

あいまいな定義で、余計に分からなくなりますね。要するに、あんことは食材を煮てペースト状にしたもののことですが、豆から作られて甘いものが一般的ですが、材料は豆以外でも甘くなくてもあんこと言えるようです。

豆以外のあんこと言えば芋あんや栗あんのレシピもありますね。煮込んで水分を飛ばしてペーストの状態にすれば何でもあんこということでしょう。

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あんこの歴史

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「餡(あん)」の原型はもともと600年ごろに中国から伝わったもので、当初は肉などで作られたものをいいました。小豆は日本では縄文時代や弥生時代頃から魔除けや無病息災を願う行事に使用されており、古くから日本で親しまれていたと考えられています。古代の日本では肉を食べることが良くないことと考えられていたこともあり、小豆で煮て塩で味付けをしたものが「あん」といわれるようになっていったようです。

現在のような甘い「あんこ」は、中国から砂糖が伝わった室町時代に作られるようになり、庶民に広がっていきました。あんこは700年以上も昔から親しまれていた存在だったんですね。

あんこと餡子って違うの?

あんこの定義があいまいだったように「あんこ」と「餡子」の違いもはっきりしておらず、どちらも同じものだと考えてよいでしょう。

中国から伝わった餡のように、餃子や肉まんの中身の肉でできたものも餡といいます。お肉で作ったものと小豆で作ったものは全然違うものに感じますが、どちらも「餡」です。ペースト状であればすべて「餡」で、あんこは漢字で書くと餡子と書く、くらいで良さそうですね。

日本の小豆の9割以上が北海道産

日本の小豆の国内シェア率は93.9%が北海道産です。さまざまな地域で栽培されたり輸入されたりしていますが、これだけシェア率が高いということは日本人に深く根付いている食材とも言えますね。

最近ではあんこを使ったお菓子がSNSで話題を呼んだりオンラインショップで注目されたりするようですが、あんこ好きとしては色々な商品やメニューにあんこを取り入れてほしいところです。国内産だとより安心して食べられますね。

あんこの3つの栄養と効能

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一般的なあんこは小豆と砂糖から作られています。小豆から作られているあんこの栄養とその効能を見ていきましょう。

\次のページで「1.生活習慣病予防とアンチエイジングのポリフェノール」を解説!/

1.生活習慣病予防とアンチエイジングのポリフェノール

あんこにはポリフェノールが多く含まれています。コーヒーや赤ワインに多いことで知られているポリフェノール。しかし、小豆にはコーヒーやワインより多くのポリフェノールが含まれると報告されています。

ポリフェノールの効果は、生活習慣病の予防改善やアンチエイジングです。血液をサラサラにして血糖値の上昇を抑える働きもします。また、ポリフェノールのもつ抗酸化作用が、活性酵素を抑える働きをしてシミやしわを作られにくくするようです。

さらに、野菜などに含まれるポリフェノールは加工過程で煮汁に溶けて減りますが、小豆の場合は多くが残ります。ポリフェノールは小豆の皮に多く含まれるため、ポリフェノールに着目すると粒あんがおすすめです。

2.日本人の健康に欠かせない鉄分

あんこには、ほうれん草の同量以上の鉄分が含まれています。鉄分は摂取するのが難しいことでも知られていて、日本人が不足しがちな栄養素の1つです。約3人に1人が鉄分不足と考えられています。

鉄分が不足すると貧血になって頭痛やめまいの原因になったり、身体に蓄えられている鉄分が減って体力低下を感じたり症状はさまざまです。女性は特に鉄分不足に陥りやすいですので、間食であんこの含まれているものを食べることで対策となります。つぶあんよりもこしあんに多く含まれているので、鉄分をとるならこしあんがおすすめです。

3.食物繊維で美肌効果

あんこに含まれる食物繊維は、便秘解消効果があります。便秘が原因で肌荒れにもつながるので、便秘解消による美肌効果も期待できるでしょう。肌荒れを防ぐビタミンB群も含まれています。

あんこを食べるときの注意点

健康や美容に良いあんこですが、注意点を見ていきましょう。

1.食べすぎると太る?

あんこには、炭水化物が多く含まれています。あんこの原料は豆ですが、黒あんの原料の小豆や白あんの原料のいんげんまめ豆には炭水化物が豊富です。炭水化物は人間の活動エネルギーになるので、食べすぎると身体に蓄えることになってしまいます

あんこをおはぎにしたり餅などと一緒に食べたりするときには、主食を減らすような工夫をして、炭水化物の取りすぎに注意しましょう。

とはいえ、洋菓子のケーキ屋クッキーに比べれば脂質が少ないこともあり、おやつにするなら洋菓子より和菓子がおすすめです。ダイエット中のご褒美の間食や朝食の主食の代わりにするなどして食べれば、むしろ健康的なのでぜひ取り入れてみてください。

\次のページで「2.赤ちゃんは食べられるの?」を解説!/

2.赤ちゃんは食べられるの?

あんこは、食べにくい皮を除き離乳食中期(7~8か月)頃から食べられます。しかし、市販のあんこは砂糖を多く含み、糖度の高いものが多いです。甘すぎるものを離乳食時期に与えると、虫歯の原因になったり将来の味覚形成に影響を及ぼしたりすることがあるので注意しましょう。

離乳食中期ころにあんこを与える場合は、少し甘みを感じる程度の砂糖の量がベストです。ざるやこしきで皮を取り除き一口から試しましょう。

1歳頃からは給食であんこが提供されることもあります。市販のあんこより砂糖を減らして作ることがほとんどです。手作りだと甘さも調節できるのでおすすめですよ。あんこの作り方は意外と簡単なので、挑戦してみてください。

あんこを食べて健康美人を目指そう

あんこにはさまざまな栄養が含まれていて、健康や美容にぴったりなことが分かりましたね。日本食はヘルシーとして世界からも注目されていますが、日本のお菓子に使われている「あんこ」もヘルシーなおやつなんです。健康・美容のためにも、あんこを使ったお菓子や料理などをぜひ食べてみてください。

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家庭科

あんこは健康・美容にぴったりのスイーツ!栄養や特徴・注意点を管理栄養士が詳しくわかりやすく解説

この記事では日本の伝統的な和菓子に欠かせない存在「あんこ」の栄養などについてみていきます。あんこは和菓子に使われることが多いよな。和菓子って甘いしなんとなくカロリーが高そうですが、実はあんこはヘルシーなおやつだったんです。健康や美容に欠かせない栄養も多く含まれているぞ。
今回はそんなあんこについて、栄養や特徴・注意点を管理栄養士のミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

給食施設で働く現役管理栄養士。おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。和菓子が大好物で、特にあんこには目がない。自分であんこを炊くこともあり、あんこ=幸せだと思っている!おやつはケーキよりどら焼き派。

あんこってどんな食べ物?

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あんこは、どら焼きや羊かんなどの和菓子に使われたり、パフェのトッピングなどで見かけたりすることがありさまざまな和洋製菓でも使用されています。あんパンも子供から大人まで人気ですよね。何気なく目にすることの多いあんこですが、そもそもあんことはどのような食べ物なのでしょうか。

あんことは?

あんこの定義は以下の通りです。

あんことは、食材を煮詰めて練ったペースト状のものである。

砂糖を入れること、材料が豆であること、甘味であることは十分条件であり、必要条件ではない。

出典:日本あんこ協会

あいまいな定義で、余計に分からなくなりますね。要するに、あんことは食材を煮てペースト状にしたもののことですが、豆から作られて甘いものが一般的ですが、材料は豆以外でも甘くなくてもあんこと言えるようです。

豆以外のあんこと言えば芋あんや栗あんのレシピもありますね。煮込んで水分を飛ばしてペーストの状態にすれば何でもあんこということでしょう。

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