おからという食材を知っているでしょうか?和食の副菜として調理されるのが有名な食べ方ですが、おからの栄養素や特徴が注目されていて最近ではダイエットや菓子を作るのにも活かされているようです。どのような栄養や健康効果があるのか、大豆に含まれる機能性成分についても、10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。おからを使ったヘルシーなお菓子を作って満腹に食べてしまうタイプ。長らく食育に携わった経験を踏まえて食に関する知識をわかりやすく発信していく。

おからってどんな食べ物?

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名前だけではどのような食材かわかりづらいおから。まずは原材料や特徴を確認していきましょう。

おからは大豆のしぼりかす

豆腐の原材料は大豆ですね。豆腐は煮た大豆をしぼって出る豆乳をもとにして作られるのですが、豆乳をしぼったあとに残る大豆の残りかすの方がおからと呼ばれます。おからと呼ばれる由来は、お茶を淹れた後に残った葉を茶殻(ちゃがら)というのと同じ残りかすを意味する「殻」に、丁寧に「お」をつけた女房詞だといわれますが、諸説あるようです。

おからときな粉の違いは?

きな粉は、大豆を炒ってから挽いて粉にした食品。大豆の独特の香りが抜けて香ばしく、大豆まるごとの成分が含まれています。材料が大豆である点は同じですが、おからはあくまで豆乳をしぼったあとの残りかすであるということがポイントですよ。

おからと卯の花の違いは?

おからのことを卯の花とも呼ぶことがあります。卯の花はウツギという木の花のことで、春に白い小さな花を一度にたくさん咲かせるのが特徴。その見た目がおからの白くてふわっとした見た目に例えられたのでしょう。おからを出汁やしょうゆなどで煮た料理を特に卯の花と呼ぶ向きもありますが、正確に決まっているわけではないようです。

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おからの「から」が、空っぽというマイナスなイメージに繋がるのを嫌い、卯の花という呼び方が始まったともいわれています。また、漢字で「雪花菜」と書くこともあり、こちらも感じはおからのふんわりと白い見た目からあてられているのですが、なんと読み方は「きらず」。おからは調理に包丁がいらないため、切らない=切らずという通称がついているようです。

日本にはこのように、衣食住に関する遠回しな言い方や隠語が数多くありますよ。

おからの栄養はどんなものがある?

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残りかすに栄養があるの?と疑問がわくのではないでしょうか。実はおからには大豆のうれしい成分がちゃんと残っているんですよ。詳しく見てみましょう!

1.特有の成分・大豆イソフラボン

大豆に含まれる大豆イソフラボンは、大豆の芽になる部分・胚芽に多く含まれている大豆特有の天然成分。私たちの体内にあるエストロゲンという女性ホルモンに似たはたらきをすることが知られていて、植物性エストロゲンとも呼ばれます。大豆を原料とする食品のほとんどに含まれているので、もちろんおからにも含まれていますよ。

2.機能性成分・レシチンとサポニン

レシチンとは、細胞膜を構成するリン脂質と呼ばれる脂質の一種。レシチンは卵黄や酵母にも含まれていますが、大豆のレシチンは血液中の滞在時間が長いのが特徴です。サポニンは脂肪の吸収を抑える作用があり、ごぼうの皮にも多く含まれている成分で漢方薬として古くから治療に用いられてきた歴史があります。どちらも私たちの健康に良い効果を及ぼす成分は機能性成分と呼ばれて注目されていますよ。

3.豊富なタンパク質とビタミン・ミネラル類

大豆のタンパク質は精肉に匹敵するほど豊富で消化吸収率がよく、食事でしかとることができない必須アミノ酸をバランスよく含んでいるほど良質なため、大豆は通称「畑の肉」とも呼ばれます。しかも肉に比べて脂質が少なく低カロリーでもあるので、年齢や体質を問わず摂りやすいタンパク源ですよ。

ビタミンではB1・B2・B6といったB群・E・Kなどが含まれていますが、ビタミンA・Cは含まれていないので野菜などと一緒に食べてバランスをとるとよいでしょう。他にもカリウム・カルシウム・鉄・亜鉛など、身体の維持・調節に必要なミネラルの一通りをバランスよく含んでいます

\次のページで「4.食物繊維がたっぷり」を解説!/

4.食物繊維がたっぷり

おからには食物繊維が大変豊富に含まれています。食物繊維の量のイメージを表すのに良く登場する葉物野菜のレタス、根菜類ではゴボウと比べてみましょう。

品目:水溶性食物繊維量/不溶性食物繊維量/食物繊維総量 (100gあたり)

おから(生):0.4g/11.1g/11.5g
おから(乾燥):1.5g/42.1g/43.6g
レタス:0.1g/1.0g/1.1g
ゴボウ:2.3g/3.4g/5.7g

参照:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

食物繊維の総量で言うとおからはだんとつの含有量ですね。乾燥おからは生おからに比べて水分が抜けてグラムあたりの栄養が凝縮されているため、数値が跳ね上がっていますよ。

食物繊維の多さをうたう加工食品にはよく「レタス○個分の食物繊維」と表記がありますが実際レタスはひとつ300gを超えるため、同じ量の食物繊維をレタスだけ食べて摂取するのは現実的ではありませんね。しかし乾燥おからであれば、例えばレタス1個分3.3gの食物繊維を大さじ1(約6g)に山盛りする程度で補えてしまうのです。

食物繊維の1日の接種目標量は、18~64歳で男性21g以上、女性18g以上となっています。上記のように野菜だけで摂ろうとすると大変な量を食べなくてはなりませんが、おからを活用すれば目標達成のための底上げができそうですね。

大豆の健康効果!ダイエット・美容効果はある?

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大豆には5大栄養素の他にも、機能性成分が多く含まれていることが目立ちますね。それらにどのような効果が期待できるのか確認していきましょう。

\次のページで「その1.美白・美肌効果」を解説!/

その1.美白・美肌効果

イソフラボンは女性ホルモンに似たはたらきをすることが知られています。女性ホルモンは女性の体調や健康維持に関わっている他、肌の新陳代謝を促進・髪にツヤをもたせるといった美容効果がありますよ。

また、大豆イソフラボンに含まれる成分が日焼けやシミのもとであるメラニンを作る成分の一部を抑制することがわかっていて、美白効果への期待が。大豆イソフラボンを利用した化粧水なども市販されていますよ。

その2.体内を整えてダイエット効果も

おからの非常に豊富な不溶性食物繊維は腸の中で水分を吸ってふくらみ、腸を刺激したり便のかさを増やしたりすることで排便を促し便秘を防いでくれます。便秘はダイエットの食事制限中になりがちで、肌荒れや栄養の吸収を妨げる原因ともなってしまうので解消しておきたいですね。

また、大豆サポニンには余分な脂質が身体に溜まるのを防ぐ作用や、脂肪を燃焼しやすくなるインスリンの活性化作用があるので、身体の内側からの体質改善が期待できます。

その3.生活習慣病・身体の老化を防ぐ

大豆レシチンは悪玉コレステロールを抑えるはたらきがあります。血管に作用する時間も長いため、動脈硬化や高血圧の改善や脂肪肝を防ぐ効果が期待できますよ。抗酸化作用の強い大豆サポニンも生活習慣病やがんの予防効果、細胞の老化を防ぐはたらきを持っています

その4.骨粗しょう症の予防

大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモン「エストロゲン」に似たはたらきをするのですが、このエストロゲンが実は骨粗しょう症に関係してきます。エストロゲンは骨からカルシウムが溶けだすのを抑えるはたらきをもっているため、特に加齢によってエストロゲンが減少する女性は骨粗しょう症になりやすいとも言われていますね。

大豆イソフラボンを摂取することでエストロゲンの不足を補い、骨の健康を守ることができます

栄養たっぷりのおからを食事に取り入れて健康に!

おからは豆腐を豆腐屋さんで買っていたような時代には手に入りやすくなじみのある食材でしたが、買い物はスーパーが主流の今ではあまり食卓に上る食材ではないかもしれません。しかし、最近の健康ブームも手伝ってスーパーの豆腐売り場に置いてあるなど、見かけることは多くなっています。今までおからを食べたことがない方も、健康効果に期待しておから料理にチャレンジしてみてくださいね。

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家庭科

おからってどんな食べ物?栄養や効能・話題の機能性成分についても元保育士がわかりやすく解説

おからという食材を知っているでしょうか?和食の副菜として調理されるのが有名な食べ方ですが、おからの栄養素や特徴が注目されていて最近ではダイエットや菓子を作るのにも活かされているようです。どのような栄養や健康効果があるのか、大豆に含まれる機能性成分についても、10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。おからを使ったヘルシーなお菓子を作って満腹に食べてしまうタイプ。長らく食育に携わった経験を踏まえて食に関する知識をわかりやすく発信していく。

おからってどんな食べ物?

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名前だけではどのような食材かわかりづらいおから。まずは原材料や特徴を確認していきましょう。

おからは大豆のしぼりかす

豆腐の原材料は大豆ですね。豆腐は煮た大豆をしぼって出る豆乳をもとにして作られるのですが、豆乳をしぼったあとに残る大豆の残りかすの方がおからと呼ばれます。おからと呼ばれる由来は、お茶を淹れた後に残った葉を茶殻(ちゃがら)というのと同じ残りかすを意味する「殻」に、丁寧に「お」をつけた女房詞だといわれますが、諸説あるようです。

おからときな粉の違いは?

きな粉は、大豆を炒ってから挽いて粉にした食品。大豆の独特の香りが抜けて香ばしく、大豆まるごとの成分が含まれています。材料が大豆である点は同じですが、おからはあくまで豆乳をしぼったあとの残りかすであるということがポイントですよ。

おからと卯の花の違いは?

おからのことを卯の花とも呼ぶことがあります。卯の花はウツギという木の花のことで、春に白い小さな花を一度にたくさん咲かせるのが特徴。その見た目がおからの白くてふわっとした見た目に例えられたのでしょう。おからを出汁やしょうゆなどで煮た料理を特に卯の花と呼ぶ向きもありますが、正確に決まっているわけではないようです。

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