秋ごろに自然が豊かな場所に行くと、トゲだらけの球体が落ちているのを見かけたりしたことはあるか?あのトゲだらけのイガイがしたものがなにか知っているでしょうか?実はあれこそが栗なんです。俺たちがおいしく食べている栗は、あのイガイガの中に潜んでいるのさ!そんな栗の旬や種類、おいしい栗の選び方を主婦歴26年の元管理栄養士mimikaと一緒に解説していきます。

ライター/mimika

主婦歴26年の元管理栄養士。趣味は家庭菜園。新鮮野菜やハーブの素材を生かした調理が好き。「食べるもので体は作られる」という思いから、家族の健康を思い食材の持つエネルギーを生かした料理をモットーにしている。これらの経験を生かして、食にまつわる様々な知識や疑問を,わかりやすく紹介・解説していく。

栗が出回るとはじめに作るのは栗ご飯。白米の3割程度をもち米に置き換えるのが筆者流で、お気に入りの秋の味覚の一つ。

栗に旬はあるの?

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秋の味覚の代表は?と聞かれて栗と思い浮かぶ人も多いのではないかと思いますが、その栗の旬はいつなのか知っていますか?一般に作物は、初物がおいしいと言われることがありますが、栗においてはたくさんの品種があり、それぞれの旬が少しずつ異なるので、シーズンを通しておいしく食べることができるのです。

茹でても焼いても美味しく食べられて、スイーツとしてもたくさん出回る栗。栗好きならぜひ知っておきたい、主な産地と種類そして収穫時期、さらに日本で多く収穫されている品種などについて解説します。

日本の栗3品種の特徴と旬は?

栗の種類は大きく分けて4系統。アメリカ栗・ヨーロッパ栗・中国栗・日本栗(和栗)。その中でもアメリカ栗は、かつて発生した植物の病気「クリ胴枯病」により壊滅状態まで激減したため、最近食用としての栽培はほとんどなく、また、ヨーロッパ栗や中国栗も病気や害虫などの被害を受けやすいので、日本で栽培されていません。

日本国内で流通している日本栗は大きく3つに分類され、それぞれ栽培期間(旬)が異なります。さて、なじみのある日本栗にはどのような種類があるのでしょうか?

1.早生:他より早く育つ品種

早生栗(わせ、そうせい)穫時期は、8月下旬~9月下旬頃。品種は「丹沢」「出雲」「ぽろたん」などがあります。

日本栗は野生の芝栗を改良して生まれた品種で、甘味が控えめで風味が良い。比較的果実が大きく、渋皮がしっかりくっついていて、果肉は黄色なのが特徴。京都の丹波地方で採れる「丹波栗」はブランド栗としても有名ですが、収穫量は全体のの1%程度。

2.中生:早生よりも遅く晩生よりも早く育つ品種

中生栗(なかて)収穫時期は、9月下旬~10月中旬頃。品種は「筑波」「銀寄」「利平」などがあります。

日本で収穫量の多い栗の品種は「筑波」で、全体の約3割を占め、産地が多いので収穫量が安定しやすく、栗らしい形をした一粒が約28グラム程度と大きめのサイズ。果肉は薄い黄色で、強い甘味と香りがあるのが特徴。貯蔵性が良いので加工用原料としても使われています。また、丹沢・銀寄(ぎんよせ)・利平なども収穫量が多い品種。

国内では、熊本県・茨城県・愛媛県での生産が多く、この3つの県で全体の三分の一程度の収穫量を占めます。

3.晩生:遅く育つ品種

晩生栗(おくて、ばんせい)収穫時期は、10月上旬~11月上旬頃。品種は「石鎚」「岸根」などがあります。石鎚(いしづち)は「岸根」と「笠原早生」の交配種で、一粒25g前後とやや大きく赤褐色で光沢のある美しい果皮が特徴です。肉質は粉質で甘味も香りもあり、日持ちが良く煮くずれも少ないので加工用原料としても適しています。

\次のページで「おいしい生栗を選ぶときのチェックポイントは?」を解説!/

おいしい生栗を選ぶときのチェックポイントは?

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自分で栗の〇〇を作ろう!作りたい!と、一生懸命作っても、おいしくないとガッカリしてしまいますよね。そうならないためにも、まずはおいしい生栗の見分け方を知っておきましょう。ポイントは下記の3つです。

その1.鬼皮にツヤがある

外側の鬼皮の表面にハリとツヤがあり硬くふっくらとした丸みがある形をしているものがよく、軽く触れても鬼皮がへこまないものを選びましょう。

その2.ずっしりとした重みがある

日本の栗は水分が多く、身がしっかり詰まっているものがおいしい目安となり、手に持ったときに、ずっしりと重みがあるものを選ぶとよいでしょう。軽いものには、収穫後時間が経ち水分が抜けて乾燥したため、実が痩せてしまっていたり、十分に栄養が回らず実がふくらんでいない場合もあるからです。

その3.小さな穴があいていない

鬼皮に小さな穴が開いたていたり黒ずんでいるものは、虫が入っている可能性が高いので避けましょう。また、傷があったり底の部分(座)が黒っぽいものも避けたほうが良いでしょう。

\次のページで「使用する目的に合わせた栗選び」を解説!/

使用する目的に合わせた栗選び

栗は日本だけでなく海外でも人気のある食材で、それぞれの国ごとにさまざまな食べ方がされていて、栗を使ったスイーツだけでも、栗きんとんや栗ようかん、モンブランにマロングラッセなど、すぐに思いつくだけでも和洋問わずたくさんの種類がありますが、あなたは何がお好みですか?

いざ作ろうと思ったときに、レシピを検索したり動画を見ても、日本栗、中国栗、ヨーロッパ栗とたくさんの種類の中からどれを選べばよいのか悩んでしまいそうです。それぞれの栗にはそれぞれの特徴があるので、使用する目的に合わせた栗選びができると味のバランスがよく、よりおいしい料理やお菓子になりますよ。ここでは代表的な栗の調理例をご紹介します。

日本栗はやはり日本料理

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日本の栗は甘めのものが多く、水分が豊富でゆっくり加熱することによりその良さが引き立つため、素材を生かした料理に向いています。栗ご飯や茶碗蒸しなどの、日本で昔から親しまれている料理には日本栗がおすすめです。そして、栗きんとんや栗ようかんのように、加工したあともみずみずしさがある和菓子に向いています。

早生・中生・晩生それぞれの代表的な栗はどう使う?

続いては、早生・中生・晩生それぞれの代表的な品種とおすすめの調理法です。

<早生>8月下旬~9月下旬の栗
・丹沢(たんざわ):大きめで甘い栗。粘り気が少く栗ごはんなどの炊き込みご飯に最適で、さらに甘露煮やお菓子などの加工品にもピッタリ。
・国見(くにみ):粘質で甘みと香りは少ないが、煮崩れしにくいので甘露煮などの加工向き

<中生>9月下旬~10月中旬の栗
・筑波(つくば):大粒で香りが良く、粉質で甘みがあり扱いやすいのでどんな食べ方でもおいしくいただけます。栗ご飯はもちろん、茹でぐりや渋皮煮にも最適です。
・利平(りへい):大粒で日本栗の中でも甘みが強い。煮崩れしやすいので加工には不向きですが、蒸したり茹でたりするだけでもおいしいので、栗きんとんには使いやすい。

<晩生>10月上旬~下旬の栗
・石鎚(いしづち):やや大粒で粉質。甘みがあり香りも良く煮崩れがしにくいので、栗ご飯や甘露煮に適しています。また、茶碗蒸しに入れても秋を感じさせる食材となるでしょう。
・岸根(がんね):びっくりするほど大粒で甘みが強く、貯蔵性も高い高品質な品種。粉質でホクホクしていて栗ご飯や甘露煮などの加工に向いています。

焼き栗にはどの栗?

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焼き栗にするなら、中国栗やヨーロッパ栗が向いていています。

中国栗の果肉は固く比較的小さいけれど、熱を通すと甘味は強くなり、渋皮が剥きやすいのが特徴で、甘栗(天津甘栗)によく使われる品種です。また、西洋栗はフランスやイタリアなどヨーロッパ諸国の広範囲で自生していて、一般的に果実は「マロン」と呼ばれています。果肉は固くて小粒なものが多いですが、焼くと鬼皮ごとむけやすく甘さ控えめなので、焼き栗はもちろん、マロングラッセやモンブランなどのお菓子に向いていますよ。

\次のページで「栗は種類もいろいろ!用途もいろいろ!」を解説!/

栗は種類もいろいろ!用途もいろいろ!

栗はとても季節を感じさせてくれる食材ですから、シーズンに一度は栗を使った料理を楽しみたいものです。おいしい栗を選ぶときのポイントをつかんだら、目的にあった種類の栗で何を作りますか?手間はかかりますがコツさえつかめば簡単な作業工程でできるものもあります。時には食卓に栗料理の一品をそえて、秋の味覚を目でも味わってみたいですね。

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家庭科

おいしい「生栗」の選び方は?旬や種類も管理栄養士がわかりやすく解説


秋ごろに自然が豊かな場所に行くと、トゲだらけの球体が落ちているのを見かけたりしたことはあるか?あのトゲだらけのイガイがしたものがなにか知っているでしょうか?実はあれこそが栗なんです。俺たちがおいしく食べている栗は、あのイガイガの中に潜んでいるのさ!そんな栗の旬や種類、おいしい栗の選び方を主婦歴26年の元管理栄養士mimikaと一緒に解説していきます。

ライター/mimika

主婦歴26年の元管理栄養士。趣味は家庭菜園。新鮮野菜やハーブの素材を生かした調理が好き。「食べるもので体は作られる」という思いから、家族の健康を思い食材の持つエネルギーを生かした料理をモットーにしている。これらの経験を生かして、食にまつわる様々な知識や疑問を,わかりやすく紹介・解説していく。

栗が出回るとはじめに作るのは栗ご飯。白米の3割程度をもち米に置き換えるのが筆者流で、お気に入りの秋の味覚の一つ。

栗に旬はあるの?

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秋の味覚の代表は?と聞かれて栗と思い浮かぶ人も多いのではないかと思いますが、その栗の旬はいつなのか知っていますか?一般に作物は、初物がおいしいと言われることがありますが、栗においてはたくさんの品種があり、それぞれの旬が少しずつ異なるので、シーズンを通しておいしく食べることができるのです。

茹でても焼いても美味しく食べられて、スイーツとしてもたくさん出回る栗。栗好きならぜひ知っておきたい、主な産地と種類そして収穫時期、さらに日本で多く収穫されている品種などについて解説します。

日本の栗3品種の特徴と旬は?

栗の種類は大きく分けて4系統。アメリカ栗・ヨーロッパ栗・中国栗・日本栗(和栗)。その中でもアメリカ栗は、かつて発生した植物の病気「クリ胴枯病」により壊滅状態まで激減したため、最近食用としての栽培はほとんどなく、また、ヨーロッパ栗や中国栗も病気や害虫などの被害を受けやすいので、日本で栽培されていません。

日本国内で流通している日本栗は大きく3つに分類され、それぞれ栽培期間(旬)が異なります。さて、なじみのある日本栗にはどのような種類があるのでしょうか?

1.早生:他より早く育つ品種

早生栗(わせ、そうせい)穫時期は、8月下旬~9月下旬頃。品種は「丹沢」「出雲」「ぽろたん」などがあります。

日本栗は野生の芝栗を改良して生まれた品種で、甘味が控えめで風味が良い。比較的果実が大きく、渋皮がしっかりくっついていて、果肉は黄色なのが特徴。京都の丹波地方で採れる「丹波栗」はブランド栗としても有名ですが、収穫量は全体のの1%程度。

2.中生:早生よりも遅く晩生よりも早く育つ品種

中生栗(なかて)収穫時期は、9月下旬~10月中旬頃。品種は「筑波」「銀寄」「利平」などがあります。

日本で収穫量の多い栗の品種は「筑波」で、全体の約3割を占め、産地が多いので収穫量が安定しやすく、栗らしい形をした一粒が約28グラム程度と大きめのサイズ。果肉は薄い黄色で、強い甘味と香りがあるのが特徴。貯蔵性が良いので加工用原料としても使われています。また、丹沢・銀寄(ぎんよせ)・利平なども収穫量が多い品種。

国内では、熊本県・茨城県・愛媛県での生産が多く、この3つの県で全体の三分の一程度の収穫量を占めます。

3.晩生:遅く育つ品種

晩生栗(おくて、ばんせい)収穫時期は、10月上旬~11月上旬頃。品種は「石鎚」「岸根」などがあります。石鎚(いしづち)は「岸根」と「笠原早生」の交配種で、一粒25g前後とやや大きく赤褐色で光沢のある美しい果皮が特徴です。肉質は粉質で甘味も香りもあり、日持ちが良く煮くずれも少ないので加工用原料としても適しています。

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