この記事ではおいしい舞茸の選び方について見ていきます。きのこの中では比較的新顔の舞茸(まいたけ)だから、おいしい季節は?どんな種類がある?おいしい舞茸はどう選べばいい?など調べてみると他のきのこと同じこと、違うことがあるようです。今回はそんな他のきのこの違いを管理栄養士のママパンダと一緒に解説していきます。

ライター/ママパンダ

主婦歴30年の管理栄養士。料理好き、おいしいもの好きが高じて40歳代半ばにして大学に再入学、管理栄養士の資格を取得した経歴を持つ。現在は調理師養成施設で食品の栄養や調理理論を教えている。

舞茸の旬と産地

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店では、舞茸は1年を通じて販売されていますよね。舞茸には旬がないのでしょうか。そしてどこで生産されているのでしょうか。知っているようで知らない舞茸の旬や産地について見ていきましょう。

まぼろしの天然ものの旬は秋

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見つけた人が「舞い踊って」喜ぶ舞茸。というのも秋田森づくりサポートセンターによれば、ブナの森の王様と貴ばれる価値があるものの、ミズナラ100本に1本の割合でしか生育せず、旬が9月から10月のわずか1ヶ月という短さだから。

そもそもきのこに旬があるのは、菌糸からきのこ(子実体)に至るスイッチが温度や湿度、雨量などによるからで、春や夏が旬のきのこもあるとか。舞茸は、秋にきのこから発した胞子が土や倒木の中で菌糸として成長し、やがて秋になると菌糸からきのこが出て旬を迎えます。子実体は、種子植物における「花」に相当し、「種」に相当する胞子をばらまくためのもの、私たちは「花」をいただいているのですね。

栽培ものでも秋が旬の理由は?

10月に旬を迎える天然ものと違い、温度や湿度、水分量を管理する栽培きのこに旬はないはず。しかし、東京都中央卸売市場日報、市場統計情報(月報)によれば舞茸の取扱高が最も多いのは10だとのこと。確かに秋になると、舞茸などきのこ類は、店の中央に目立つように並べられていますよね。

日本特用林産振興会は、きのこのアピールをしようと1015日を「きのこの日」と定めているとか。舞茸は、秋の献立に欠かせない食材のひとつですね。

舞茸の産地ベスト3

舞茸の産地第3位は福岡県、第2位は静岡県、そして第1位は新潟県。とはいっても第1位の新潟県の2020年のシェアは67.1%。第2位の静岡県の9.8%を大きく引き離しています。

そもそも舞茸が一般に広く購入できるようになったのは人工栽培方法が確立した1980年代後半から。椎茸やえのき茸などに比べて舞茸は成長過程で管理するのが大変難しく、市場で売れるほどの生産量にすることは不可能、と長く考えられてきたからだそう。こうした市場の常識をくつがえして人工栽培を軌道に乗せたのが新潟県に本社を持つ企業で、今や国内シェアの約半分を占めるまでに成長しました。だから新潟県の生産量がダントツ、なんですね。

産地による味の違いはあるの?

天然ものの舞茸が土壌の性質や栄養分、雨量、気温などによって味に違いが出るのは当然のこと。では、人工栽培の場合、産地によって味に違いはあるのでしょうか。栽培ものの場合、産地が新潟県に集中していることや、栽培方法の多くが「菌床栽培」で温度や湿度などを徹底的に管理して栽培されているので、各社の栽培ノウハウの違いこそあれ、産地による味の違いはほぼないと考えてよいでしょう。

\次のページで「舞茸に白いものと黒いものがあるけれどその違いは?」を解説!/

舞茸に白いものと黒いものがあるけれどその違いは?

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椎茸や松茸、といったきのこはだいたい同じような色合いをしていますよね。では舞茸は?皆さんがイメージするのはかさが茶褐色で柄の部分が白っぽいものですよね。実は天然ものの舞茸は、黒系、茶系、白系があるとか。舞茸の色の違いやおいしさに違いがあるのか、見ていきましょう。

違いその1.品種

天然ものの舞茸は、大きくかさの色で分けて黒系、茶系、白系があり、黒系は最もおいしいとされ高級品です。ただ育った環境によって色合いは異なります。

 

白系:ワセマイタケとも呼ばれ、9月が旬。大株が多数発生するのが特徴。大きさの割に軽くて歯切れが悪く、他系統の舞茸よりも食味が劣ります
茶系:アメイロマイタケ、ナカデなどと呼ばれ、9月中旬から1ヶ月が旬。白系より肉質が厚く、舌触りが滑らかで歯切れが良く、食味は上々
黒系:ビロードマイタケとも呼ばれます。9月中旬から1ヶ月が旬。霜が降る頃なのでシモフリマイタケとも。葉や茎は短小で容積の割にみっしりと重く、食感は最高

違いその2.栽培方法

舞茸の栽培方法は「菌床栽培」と「原木栽培」の2種類。菌床栽培は、栄養分を加えたおがくずの「菌床」で栽培する方法。徹底的に温度湿度を管理した生産工場でつくられます。私たちが普段、店で見かける舞茸は菌床栽培によるもの。菌床栽培は短期間に効率よく、1年を通じて安定的に生産できるのがメリット。ただ栽培技術向上により風味の良い舞茸ができるようになったものの、まだまだ天然ものには遠く及ばないとか。

一方、原木栽培とは適度な長さに伐ったホダ木に舞茸の菌を打ち込み、土に埋めるなど自然に近い状態で栽培する方法。手間がかかり、天然もの同様に年に1回、1ヶ月ほどしか収穫できません。ただし香りや味は天然ものに近く、黒い色も高級感があるため、贈答品用として何倍もの価格で取引されます。

\次のページで「おいしい舞茸の見分け方とは?」を解説!/

おいしい舞茸の見分け方とは?

人工栽培によってすっかり身近になった舞茸。店で山となって売られているのを目にしますよね。同じように見える舞茸ですが、おいしい舞茸の見分け方はあるのでしょうか。そして食べてはいけない状態の見極め方とは。ここではおいしく安全に舞茸を食べるための見分け方を見ていきましょう。

1.見た目で見分ける

おいしい舞茸の見分け方でまず知っておきたいのがその売られ方。店で一番よく見るのは平らなトレーにのった100gパックのもの。これは400g前後の株をカットしているとのこと。近頃、たまに見かけるようになったのが掌にのるくらいの小さな株のタイプや旬に物産展やデパ地下でみかける大株のもの。人の手や空気にふれる部分が少ないからカットしていない舞茸は新鮮さを保つことができますよね。

舞茸は、かさの部分が肉厚でぎゅっと密集しているもの、さわるとパリッと折れるくらい組織がしっかりしているものが良いものとされています。また、黒系、茶系の場合、かさの上の部分は色濃く、茎の部分は白いものが良質。逆に茎の部分が湿っぽかったり、水分がなくなってしなびてしまっているものは鮮度が落ちている証拠。パック詰めのものであれば舞茸や中に水滴がついているようなものは絶対にやめましょう

2.香りでかぎ分ける

舞茸は香り高いきのこ。新鮮なものほど舞茸特有の香りがします。きのこはパック詰めで空気が遮断され、高温のところに置かれているとアルコールを発することがあるとのこと。こうなるとおがくずの匂いと合わさり、異臭を感じるようになります。

ただしこれはパックから出してしばらくすると異臭は消えるので問題ありません。しかし、鮮度が落ちてくると湿ったようなツンと酸っぱいようなにおいに変化します。こうなると食べないほうがいい、というサインですよ。

こんな舞茸は食べないで!

舞茸は、見た目に変化しにくく、ついつい冷蔵庫に何日も入れっぱなしになりがちですが、下記のような状態になったら食べないようにしましょう。きのこによる食中毒は特にツライようなので気を付けたいですね。

・見た目が湿っぽい
・触るとベタベタする
・押すとめり込むような柔らかさがある
・触るとすぐボロッと崩れる
酸っぱいにおいがする
白っぽいカビや黒っぽいカビがついている(ただし白い綿のようなものは菌糸が伸びているもので食べても大丈夫。)

 

人工栽培によって身近になった舞茸を食べよう

希少な秋の味覚、天然舞茸はなかなか味わう機会がありませんが、人工栽培技術が確立され、舞茸は店で手軽に買えるきのことなりました。舞茸はその香りや味など存在感バツグンですよね。しかし、舞茸にいろいろな種類があるのをご存じなかった方も多いのではないでしょうか。この記事では、舞茸の品種や栽培方法などをご紹介しました。おいしい舞茸、食べてはいけない舞茸の見分け方はぜひ購入時や保存の参考にしてくださいね。

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家庭科

舞茸の旬は?種類による違いやおいしい舞茸の見分け方・購入する際のポイントも管理栄養士がわかりやすく解説

この記事ではおいしい舞茸の選び方について見ていきます。きのこの中では比較的新顔の舞茸(まいたけ)だから、おいしい季節は?どんな種類がある?おいしい舞茸はどう選べばいい?など調べてみると他のきのこと同じこと、違うことがあるようです。今回はそんな他のきのこの違いを管理栄養士のママパンダと一緒に解説していきます。

ライター/ママパンダ

主婦歴30年の管理栄養士。料理好き、おいしいもの好きが高じて40歳代半ばにして大学に再入学、管理栄養士の資格を取得した経歴を持つ。現在は調理師養成施設で食品の栄養や調理理論を教えている。

舞茸の旬と産地

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店では、舞茸は1年を通じて販売されていますよね。舞茸には旬がないのでしょうか。そしてどこで生産されているのでしょうか。知っているようで知らない舞茸の旬や産地について見ていきましょう。

まぼろしの天然ものの旬は秋

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見つけた人が「舞い踊って」喜ぶ舞茸。というのも秋田森づくりサポートセンターによれば、ブナの森の王様と貴ばれる価値があるものの、ミズナラ100本に1本の割合でしか生育せず、旬が9月から10月のわずか1ヶ月という短さだから。

そもそもきのこに旬があるのは、菌糸からきのこ(子実体)に至るスイッチが温度や湿度、雨量などによるからで、春や夏が旬のきのこもあるとか。舞茸は、秋にきのこから発した胞子が土や倒木の中で菌糸として成長し、やがて秋になると菌糸からきのこが出て旬を迎えます。子実体は、種子植物における「花」に相当し、「種」に相当する胞子をばらまくためのもの、私たちは「花」をいただいているのですね。

栽培ものでも秋が旬の理由は?

10月に旬を迎える天然ものと違い、温度や湿度、水分量を管理する栽培きのこに旬はないはず。しかし、東京都中央卸売市場日報、市場統計情報(月報)によれば舞茸の取扱高が最も多いのは10だとのこと。確かに秋になると、舞茸などきのこ類は、店の中央に目立つように並べられていますよね。

日本特用林産振興会は、きのこのアピールをしようと1015日を「きのこの日」と定めているとか。舞茸は、秋の献立に欠かせない食材のひとつですね。

舞茸の産地ベスト3

舞茸の産地第3位は福岡県、第2位は静岡県、そして第1位は新潟県。とはいっても第1位の新潟県の2020年のシェアは67.1%。第2位の静岡県の9.8%を大きく引き離しています。

そもそも舞茸が一般に広く購入できるようになったのは人工栽培方法が確立した1980年代後半から。椎茸やえのき茸などに比べて舞茸は成長過程で管理するのが大変難しく、市場で売れるほどの生産量にすることは不可能、と長く考えられてきたからだそう。こうした市場の常識をくつがえして人工栽培を軌道に乗せたのが新潟県に本社を持つ企業で、今や国内シェアの約半分を占めるまでに成長しました。だから新潟県の生産量がダントツ、なんですね。

産地による味の違いはあるの?

天然ものの舞茸が土壌の性質や栄養分、雨量、気温などによって味に違いが出るのは当然のこと。では、人工栽培の場合、産地によって味に違いはあるのでしょうか。栽培ものの場合、産地が新潟県に集中していることや、栽培方法の多くが「菌床栽培」で温度や湿度などを徹底的に管理して栽培されているので、各社の栽培ノウハウの違いこそあれ、産地による味の違いはほぼないと考えてよいでしょう。

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