この記事では冬に良く飲まれている甘酒についてみていきます。現代では冬に温かい甘酒を飲んで温まるイメージがありますが、驚くことに昔は夏の飲み物だったみたいです。それに、甘酒は大きく分けて2種類あるって知っていたか?作られ方も全然違うから、選ぶ時の参考にしてみるといい。
今回はそんな栄養満点ドリンク甘酒の、種類や選び方について管理栄養士のミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

給食施設で働く現役管理栄養士。おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。子供のころから甘酒が大好きで、特に寒い時期になると良く飲んでいる。

甘酒は夏の飲み物だった

image by iStockphoto

冬になると温かい甘酒を飲んだり、お正月に神社でふるまわれていたりする甘酒ですが、昔は夏の飲み物だったようです。夏に飲まれていたわけをみていきましょう。

甘酒は夏の季語

現在は冬のイメージの甘酒ですが、甘酒の季語は今でも「夏」です。俳句や連歌の歴史は長いので、昔の印象で決められたものがそのまま現在も続いているためと考えられています。

夏バテにホット甘酒がおすすめな理由は?

夏バテで食欲が落ちたときに、手軽に栄養補給できるドリンクとして甘酒は広がりました。甘酒は奈良時代から存在していて、日本で1000年以上も親しまれてきました。甘酒が一般庶民にも良く飲まれるようになったのは江戸時代の初めころです。甘酒売りがされるようになりましたが、その時代の甘酒と言えば「夏に飲む滋養強壮栄養ドリンク」でした。

現代でも夏に冷たい甘酒を飲む人が増えてきた印象ですが、昔は夏でも温かい甘酒を飲んでいました。夏に冷たいものを食べたり飲んだりするのは、体調不良を招くと考えられていたからです。

甘酒は大きく分けて2種類

甘酒は大きく分けて2種類です。見た目は似ていますが、作られ方が全く違います。どちらも発酵食品で栄養はたっぷりです。

1.米麹から作る一般的な甘酒

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米麹甘酒は、米麹菌が米を発酵させることでできる発酵食品です。米麹と米と水だけで作られます。麹菌は味噌・醤油を発酵させるためにも使う、日本の食生活には欠かせない材料の1つです。

米を発酵させるとでんぷんがブドウ糖に変わるため、米麹甘酒は自然な甘みが特徴となっています。発酵する時間が必要なため、作るのに時間が必要です。

甘酒を飲むときに下に沈んでいる米の粒のようなものが、発酵した米や米麹。私はこれが好きで、子供のころからスプーンなどですくって取って食べていました。栄養たっぷりなので、沈んでいる粒もぜひ食べてください。

2.酒粕から作る簡単甘酒

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酒粕甘酒は、お酒を作る際に余った酒粕を使った甘酒です。お酒は、米と米麹と酵母からできています。米麹と米と水を混ぜて発酵させて、それを酵母によってアルコール発酵させてろ過して作られますが、この時に残るのが酒粕です。酒粕をお湯で割るだけで簡単に甘酒が作れます。お酒っぽい香りが強く甘味が少ないため、砂糖が添加されていることが多いです。

酒粕甘酒と米麹甘酒はほとんど同じ原料ですが、酒粕甘酒は2種類の発酵をしているので栄養価がとても高いと言われています。

甘酒購入時の選び方

甘酒を買うときにどのように選ぶのが良いかわからない方もいると思います。迷ったら参考にしてみてください。

1.体調や目的別で飲み分けよう

2種類どちらの甘酒も栄養が多く含まれていて健康に良い飲み物です。原材料はほどんど同じですが、作る工程が違うので栄養の差があります。

米麹甘酒は、ブドウ糖が多く自然な甘みが感じられるのが特徴です。ブドウ糖によるエネルギー補給をしたい方、アルコールを飲めない妊娠・授乳中などの方、香りが少なく自然な甘みの甘酒が好みの方に米麹甘酒がおすすめとなっています。

酒粕甘酒は発酵を2回しているため、米麴甘酒よりも酵素が多いです。しかし、酵素は50~70度で働かなくなってしまうので、アツアツの甘酒だと酵素の効果が得られません。さまざまな酵素の効果を得たい人にはぬるめか冷たい酒粕甘酒がおすすめです。

\次のページで「2.甘酒でアレンジしたいなら濃縮タイプ」を解説!/

2.甘酒でアレンジしたいなら濃縮タイプ

甘酒をアレンジして使いたいなら、水やお湯で割って飲む濃縮タイプがおすすめです。甘酒を料理に使うことやフルーツを入れておしゃれに飲むことが流行っていますが、これらは濃縮タイプのほうが使いやすいでしょう。

また、濃縮タイプの多くが米麹甘酒です。みりんや砂糖の代わりに使用して自然の甘味を利用します。そのまま飲む甘酒をアレンジすることもできますが、少し物足りない仕上がりになる可能性が高いです。調味料として使うには甘味が少なくなってしまったり、アレンジドリンクにするには甘酒っぽさが少なくなったりすることがあります。購入するときにも、濃縮タイプなら水分が少ない分重くないのも良いですよね。

3.賞味期限の長いフリーズドライ

甘酒は好きだけれど、アレンジはしないでそのまま飲みたい!たまに甘酒が飲みたくなる!という方にはフリーズドライタイプがおすすめ。1杯分に包装されていることが多く、飲みたいときにお湯で割って飲めば簡単に作れます。

消費期限が数年あるので、冬にしか飲まない方でも次の冬まで取っておいても大丈夫です。非常用に保管しておくのも良いでしょう。

私もフリーズドライタイプを良く買いますが、扱いも簡単なので気に入っています。最近は粉末タイプも見かけるようになりましたが、米の粒が入っていなくて飲みやすい甘酒でした。つぶつぶが好みではない方には粉末がおすすめですが、私は甘酒のつぶつぶが好きなのでフリーズドライ派です。

4.甘酒を離乳食に使用したい!

栄養たっぷりだから子供にも飲ませたい!という方は、米麹甘酒を選びましょう。酒粕から作る甘酒はアルコールが含まれるので、与えられません。添加物を含む甘酒もあるので、無添加を選ぶと赤ちゃんにも安心ですね。

甘酒の原料は米なので離乳食にも使用できますが、甘味が強いので離乳食後期(9か月)頃から使用すると良いでしょう。薄めに作った甘酒をスプーンで少量飲むのも良いですし、砂糖の代わりに使用するのもおすすめです。お母さんと一緒に飲んでも、親子共に健康になれそうですね。

甘酒は一年中おすすめ!自分に合ったタイプを選ぼう

甘酒の季節や種類・選び方について分かりました。甘酒の季語が夏であることや、昔は夏の飲み物だったことにも驚きですね。大きく分けて2種類ある甘酒ですが、どちらの甘酒も栄養満点ですので迷ったら好みで選ぶのもよさそうです。自分に合ったタイプの甘酒を選んで、おいしく飲んだりアレンジしたりしてみてください。

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家庭科

甘酒は夏の飲み物だった!種類や選び方について管理栄養士が分かりやすくわかりやすく解説

この記事では冬に良く飲まれている甘酒についてみていきます。現代では冬に温かい甘酒を飲んで温まるイメージがありますが、驚くことに昔は夏の飲み物だったみたいです。それに、甘酒は大きく分けて2種類あるって知っていたか?作られ方も全然違うから、選ぶ時の参考にしてみるといい。
今回はそんな栄養満点ドリンク甘酒の、種類や選び方について管理栄養士のミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

給食施設で働く現役管理栄養士。おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。子供のころから甘酒が大好きで、特に寒い時期になると良く飲んでいる。

甘酒は夏の飲み物だった

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冬になると温かい甘酒を飲んだり、お正月に神社でふるまわれていたりする甘酒ですが、昔は夏の飲み物だったようです。夏に飲まれていたわけをみていきましょう。

甘酒は夏の季語

現在は冬のイメージの甘酒ですが、甘酒の季語は今でも「夏」です。俳句や連歌の歴史は長いので、昔の印象で決められたものがそのまま現在も続いているためと考えられています。

夏バテにホット甘酒がおすすめな理由は?

夏バテで食欲が落ちたときに、手軽に栄養補給できるドリンクとして甘酒は広がりました。甘酒は奈良時代から存在していて、日本で1000年以上も親しまれてきました。甘酒が一般庶民にも良く飲まれるようになったのは江戸時代の初めころです。甘酒売りがされるようになりましたが、その時代の甘酒と言えば「夏に飲む滋養強壮栄養ドリンク」でした。

現代でも夏に冷たい甘酒を飲む人が増えてきた印象ですが、昔は夏でも温かい甘酒を飲んでいました。夏に冷たいものを食べたり飲んだりするのは、体調不良を招くと考えられていたからです。

甘酒は大きく分けて2種類

甘酒は大きく分けて2種類です。見た目は似ていますが、作られ方が全く違います。どちらも発酵食品で栄養はたっぷりです。

1.米麹から作る一般的な甘酒

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米麹甘酒は、米麹菌が米を発酵させることでできる発酵食品です。米麹と米と水だけで作られます。麹菌は味噌・醤油を発酵させるためにも使う、日本の食生活には欠かせない材料の1つです。

米を発酵させるとでんぷんがブドウ糖に変わるため、米麹甘酒は自然な甘みが特徴となっています。発酵する時間が必要なため、作るのに時間が必要です。

甘酒を飲むときに下に沈んでいる米の粒のようなものが、発酵した米や米麹。私はこれが好きで、子供のころからスプーンなどですくって取って食べていました。栄養たっぷりなので、沈んでいる粒もぜひ食べてください。

2.酒粕から作る簡単甘酒

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酒粕甘酒は、お酒を作る際に余った酒粕を使った甘酒です。お酒は、米と米麹と酵母からできています。米麹と米と水を混ぜて発酵させて、それを酵母によってアルコール発酵させてろ過して作られますが、この時に残るのが酒粕です。酒粕をお湯で割るだけで簡単に甘酒が作れます。お酒っぽい香りが強く甘味が少ないため、砂糖が添加されていることが多いです。

酒粕甘酒と米麹甘酒はほとんど同じ原料ですが、酒粕甘酒は2種類の発酵をしているので栄養価がとても高いと言われています。

甘酒購入時の選び方

甘酒を買うときにどのように選ぶのが良いかわからない方もいると思います。迷ったら参考にしてみてください。

1.体調や目的別で飲み分けよう

2種類どちらの甘酒も栄養が多く含まれていて健康に良い飲み物です。原材料はほどんど同じですが、作る工程が違うので栄養の差があります。

米麹甘酒は、ブドウ糖が多く自然な甘みが感じられるのが特徴です。ブドウ糖によるエネルギー補給をしたい方、アルコールを飲めない妊娠・授乳中などの方、香りが少なく自然な甘みの甘酒が好みの方に米麹甘酒がおすすめとなっています。

酒粕甘酒は発酵を2回しているため、米麴甘酒よりも酵素が多いです。しかし、酵素は50~70度で働かなくなってしまうので、アツアツの甘酒だと酵素の効果が得られません。さまざまな酵素の効果を得たい人にはぬるめか冷たい酒粕甘酒がおすすめです。

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