この記事ではしらすの特徴や栄養、効果などを解説していきます。
しらすは魚の中でもくせもなく、食べやすい魚として人気ですね。白い小さな魚がたくさん入っているしらすですが、どんな魚なのかを知っているか?実は海には「しらす」という種類の魚はいない。しらすは普段なじみのある、あの魚の子どもなんです。
今回はしらすという魚の特徴、さらに栄養や健康効果について、現役管理栄養士のみまつと一緒に学んでいこう。

ライター/みまつ

現役管理栄養士。給食調理会社で責任者経験を積み、現在は福祉施設で栄養管理に関わっている。食べ物エッセイや雑学が大好きで、新しい食材はすぐに試したくなる。特に魚が好きで旅行では漁港に寄りたがる、食べ盛りの子ども5人を育てるママライター。

しらすってどんな魚?

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そのまま食べても、アレンジしても美味しいしらす。なにげなく食べているしらすが一体なんの魚なのか、ご存じですか?ここではしらすの特徴や産地を解説します。

しらすはイワシなどの稚魚

しらすは、イワシ類(マイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシなど)の稚魚です。

「しらす」とは特定の魚ではなく、元来はニシン、うなぎ、鮎、イカナゴ、イワシなどの稚魚を総称する言葉。これらの魚の稚魚は色素を持たないため、半透明で熱を加えると白くなるため、「白子(しらす)」と呼ばれるようになりました。

現在では「しらす」という言葉は主にイワシ類、その中でも特に流通の多いカタクチイワシの稚魚のことです。小さな魚なので、一緒に捕れたイワシ類以外の稚魚や、タコ、イカなどの幼生、動物プランクトンなども含んでいることがあります。

しらす・ちりめんじゃこ・釜揚げしらすの違いとは

スーパーに行くと、魚コーナーにはしらすの他にちりめんじゃこや釜揚げしらすという商品も並んでいます。しらすとちりめんじゃこ、釜揚げしらすの違いは、乾燥の度合い。

\次のページで「主な産地はどこ?」を解説!/

生しらす…水揚げされた状態のもの。鮮度が命なのでスーパーなどでは手に入りにくい。とろけるような食感が楽しめる。
釜揚げしらす…生しらすを、塩を加えて茹であげたもの。加熱することで旨味が増し、ふわっとした口当たりが人気。
しらす…釜揚げしたしらすを、水分量65%程度まで乾燥させたもの。微乾燥しらす、しらす干し、太白とも呼ばれている。食材として「しらす」という時は、だいたいこの状態のものを指す。適度な塩気があり、お酒のおつまみからメインまでアレンジ自在。
ちりめんじゃこ…しらす干しを水分量が5割以下になるまで乾燥させたもの。半乾燥しらす、じゃことも。料理のアクセントに。

しらす干しやちりめんじゃこはお馴染みですが、最近では冷凍技術や流通の発達により、産地に行かないと食べられないと言われていた釜揚げしらすや生しらすも気軽に手に入るようになりましたね。

主な産地はどこ?

しらすの親であるイワシは回遊魚で、広い範囲に生息しています。イワシの種類によって産卵期が違うため、年間を通じてしらす漁が行われており、いつでも新鮮なしらすを食べる事ができるのです。

しらすの水揚げは、北は宮城県から、南は鹿児島県まで国内各地で行われています。

主な産地は、愛知、静岡、兵庫、大阪、鹿児島などです。中でも兵庫県はしらすの漁獲量日本一を誇り、全国シェアの23.6%を占めています。(農林水産省 海面漁業生産統計調査より2020年度の結果)

ほかにも神奈川県など、漁獲量は多くありませんが生しらすを売りにしていたり、品質の高さでしらすをブランド化して高い評価を得ている産地も多いです。

しらすに含まれる栄養は?

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大根おろしと和えたり、ごはんにたっぷり乗せてしらす丼にしたり、しらすは毎日の食事にササッとプラスできます。イワシの風味が苦手でも、しらすなら食べられるという方も多いのではないでしょうか。しらすにはどのような栄養が含まれているか見ていきましょう。しらすは生の時が一番水分が多く、加工が進むごとに水分が抜けて栄養素も凝縮していきます。

1.骨や歯を丈夫にするカルシウム

しらすの栄養と言えば、まず思いつくのがカルシウム。カルシウムは主に小腸で吸収され、骨や歯に貯蔵されて骨密度を高めます。

また、血液などに存在する「機能カルシウム」は細胞の分裂・文化、神経興奮の抑制、筋肉の収縮、血液凝固作用の促進などに役立っており、機能カルシウムが不足すると、骨にある貯蔵カルシウムが放出される仕組みです。そのため、カルシウムが不足すると骨が弱くなったり、イライラしやすくなったりします。

しらすは魚を骨ごと食べるため、カルシウムを取り入れやすい食材です。生しらすには100gあたり210mg、しらす干しには100gあたり280mgのカルシウムが含まれています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020」によると、30~49歳の女性のカルシウムの推奨摂取量は1日あたり650mg。

不足しがちなカルシウムを補うために、しらすを取り入れてみましょう。

\次のページで「2.カルシウムの吸収を助けるビタミンD」を解説!/

2.カルシウムの吸収を助けるビタミンD

しらす干しには、100gあたり12μgのビタミンDが含まれています。ビタミンDは、カルシウムの吸収をサポートするビタミンです。

また、免疫細胞を活性化させる働きがあり、抗菌力を高めたり炎症を抑えたりと、免疫調整作用もビタミンDの重要な役目もあります。

不足すると骨が柔らかくなる「骨軟化症」を引き起こす恐れがありますので、毎日少しずつ摂りたい栄養素です。逆に、過剰摂取でも身体の不調の原因となるため、バランスよく摂りましょう。

ビタミンDが含まれる食品を摂るほか、日光に当たることで体内でも合成されます。しらす干しをさらに乾燥させたちりめんじゃこには、より多くのビタミンDが含まれているため、骨を強くする目的ならしらすよりもちりめんじゃこを選ぶと良いでしょう。

3.貧血予防や神経機能を保つビタミンB12

ビタミンB12は、神経や血液の細胞を正常に保つ働きがあります。

造血作用に関わっており、不足すると巨赤芽球性貧血を引き起こす恐れも。主に動物性の食品に多く含まれるビタミンのため、菜食主義者の食事では不足しがちです。

もともとしらすにはビタミンB12が多く含まれますが、水溶性のビタミンのため、釜揚げしらすに加工される際にお湯の中に流れ出てしまいます。とは言え、100gあたりのしらす干しに含まれるビタミンB12は3.2μg。1日の摂取基準の2.4μgを上回っています。

100gのしらすを一度に取ることはないでしょうが、和え物やサラダにしらすを少量トッピングするだけでも、少しずつビタミンB12を取り入れることができますよ。

4.血圧を下げ、肥満を予防するマグネシウム

マグネシウムは、カルシウムと同じくミネラルの1種です。50~60%が骨や歯に存在し、その他は筋肉や脳、神経などの細胞に存在しています。骨を強くする働きのほか、血管を拡張させて血圧をさげたり、血小板の凝集を抑えて血液をサラサラにするといった役目も。

マグネシウムは酵素を活性化させ代謝を上げるため、肥満予防にも効果的です。

現代日本人の食生活ではマグネシウムは不足しがち。さらに、精神的にストレスを感じると体内のマグネシウムの量が減るといった報告もあることから、毎日少しずつ取り入れることが大切です。

しらす干しには100gあたり80mgのマグネシウムが含まれています。海藻類や豆類など、ほかの食材と合わせ、意識して取り入れたい栄養素です。和食を心がけるとマグネシウムが補いやすいですよ。

しらすの健康効果は?

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小魚は健康に良いというイメージがありますね。しらすも、魚の栄養をまるごと摂取できる優秀な食材です。しらすを食べると、どのような効果があるか解説します。

1.骨や歯を丈夫にする

カルシウムやビタミンD、マグネシウムの働きで、骨密度を高め骨や歯が丈夫になります。カルシウムやマグネシウムは現代の日本人に不足しがちな栄養素なので、しらすなどの小魚で手軽に取り入れられるのは嬉しいですね。

しらすの親であるイワシにもカルシウムは含まれていますが、骨ごと食べられるしらすのほうがカルシウムの含有率が多いためおすすめです。

\次のページで「2.カロリーや脂質が低く、ダイエット向き」を解説!/

2.カロリーや脂質が低く、ダイエット向き

しらす100gあたりの栄養価は113kcal、たんぱく質24.5g、脂質2.1g。カロリーが低く、高たんぱく、低脂質でダイエットにも適しています。調理いらずで調味料や油を足さずに食べらえる点でも優秀な食材です。

たんぱく質やマグネシウムなどが不足すると甘いものが欲しくなるといったデータもあるため、ダイエット中にはお菓子よりも、しっかり栄養を摂れるしらすなどが適しています。

ただし、しらすは塩ゆでしてあり塩分はやや高めですので、食べ過ぎないように注意してください。1食分の適量は5~30g程度です

3.ビタミン、ミネラルが豊富で老化防止にも

しらすには、ビタミンDやビタミンB12のほかにもビタミンやミネラルが豊富です。活性酸素から身体を守る働きがあるセレン、肌にハリを与えるエラスチン、脳を健康に保つDHAやEPAなど、アンチエイジングにも役立つ食材。

シンプルな調理法で食べられるといった点や、健康的な和食に合うといった点でも、無駄な調味料などを使うことが減って安心ですね。

4.精神安定や動脈硬化の予防

「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンや集中力を高めるチロシンの働きで、精神を安定させる効果があります。

また、血管拡張作用のあるビタミンB12やコレステロールをさげるEPA、DHAなどが多く含まれるため、動脈硬化を予防し血管を健康に保つなどの嬉しい効果も。

人工的な旨味調味料の過剰摂取が心配される現代ですが、しらすはそのままでも旨味が強いうえに簡単に摂れる食材です。加工食品を減らし、しらすなどの昔ながらの食材を取り入れるのもおすすめですよ。

毎日の食卓にしらすを取り入れて健康な生活を送ろう

しらすは健康を保つために必要な栄養素が豊富なうえに、手軽に取り入れられる便利な魚です。できるだけ魚を摂りたいと思っていても、毎日魚を食べることは難しいもの。しらすなら調理いらずで魚の持つメリットを得られます。やわらかくて骨も気にならないため、乳幼児から高齢者まで食べられるしらす。いつまでも健康で過ごすためにも、毎日スプーン1杯のしらすを食卓に取り入れてみませんか。

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家庭科

しらすの栄養や効能は?アンチエイジングやダイエットにも効果あり?現役管理栄養士がわかりやすく解説

この記事ではしらすの特徴や栄養、効果などを解説していきます。
しらすは魚の中でもくせもなく、食べやすい魚として人気ですね。白い小さな魚がたくさん入っているしらすですが、どんな魚なのかを知っているか?実は海には「しらす」という種類の魚はいない。しらすは普段なじみのある、あの魚の子どもなんです。
今回はしらすという魚の特徴、さらに栄養や健康効果について、現役管理栄養士のみまつと一緒に学んでいこう。

ライター/みまつ

現役管理栄養士。給食調理会社で責任者経験を積み、現在は福祉施設で栄養管理に関わっている。食べ物エッセイや雑学が大好きで、新しい食材はすぐに試したくなる。特に魚が好きで旅行では漁港に寄りたがる、食べ盛りの子ども5人を育てるママライター。

しらすってどんな魚?

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そのまま食べても、アレンジしても美味しいしらす。なにげなく食べているしらすが一体なんの魚なのか、ご存じですか?ここではしらすの特徴や産地を解説します。

しらすはイワシなどの稚魚

しらすは、イワシ類(マイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシなど)の稚魚です。

「しらす」とは特定の魚ではなく、元来はニシン、うなぎ、鮎、イカナゴ、イワシなどの稚魚を総称する言葉。これらの魚の稚魚は色素を持たないため、半透明で熱を加えると白くなるため、「白子(しらす)」と呼ばれるようになりました。

現在では「しらす」という言葉は主にイワシ類、その中でも特に流通の多いカタクチイワシの稚魚のことです。小さな魚なので、一緒に捕れたイワシ類以外の稚魚や、タコ、イカなどの幼生、動物プランクトンなども含んでいることがあります。

しらす・ちりめんじゃこ・釜揚げしらすの違いとは

スーパーに行くと、魚コーナーにはしらすの他にちりめんじゃこや釜揚げしらすという商品も並んでいます。しらすとちりめんじゃこ、釜揚げしらすの違いは、乾燥の度合い。

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