スーパーの小麦粉は薄力粉や強力粉がよく売られていますね。中でも薄力粉は種類が多いから何を選べばいいのか迷ったことはないか?用途や求める品質によって選ぶ品が変わってくるから詳しく学んでいきます。今回は小麦粉の種類や選び方・価格の仕組みについて管理栄養士のツキアオイと一緒に解説していきます。

ライター/ツキアオイ

1児の母として育児に奮闘中の管理栄養士ライター。ホームベーカリーにハマり色々な種類の食パンを研究中。1番のお気に入りは野菜食パン。病院や介護施設での経験を活かし、食に関して分かりやすく解説する。

小麦粉は種類によって用途が変わる!

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ご家庭でよく使われる小麦粉は薄力粉かもしれませんが、他にも中力粉や強力粉といった種類に分けられています。これはたんぱく質含有量によって分類されているのですよ。ここからそれぞれの特徴や主な用途について見ていきましょう。

1.弾力性に優れた強力粉

たんぱく質含有量が最も多く12%以上のものが強力粉です。小麦粉に水を加えてこねると「グルテン」という成分ができます。強力粉はこのグルテンが強く、弾力が出るのでパンやピザといった料理に向いていますよ。粒子が粗く手触りがサラサラしているので打ち粉としても使いやすいです。

ちなみに強力粉はフランスパンのような固いパンには向いていません。フランスパンには準強力粉というたんぱく質含有量が強力粉と中力粉の中間のものを使います。

2.適度な弾力でコシがある中力粉

中力粉のたんぱく質含有量は9%前後です。中力粉を使用することで適度な弾力とふんわりとした食感が生まれますよ。主な用途はうどんやそうめんといった麺類です。用途が限られていることから店頭では置かれていない事もしばしば。「うどん粉」という名称で売られている場合もあるので探してみてくださいね。

3.軽い食感を生み出す薄力粉

たんぱく質含有量が最も低く、8.5%以下のものが薄力粉です。キメが細かく軽い食感を出すのが特徴。ケーキやクッキーといった菓子類や天ぷらのような料理まで幅広く使われていますよ。

また小麦粉は混ぜすぎるとグルテンの弾力が出てしまいます。薄力粉の良さを生かすためにもさっくりと混ぜるようにしましょう。ダマになりやすい性質もあるので、ふるいにかけてから混ぜたり少しずつ混ぜるとダマになりにくいですよ。

それぞれの種類の代用はできる?

仕上がりに変化はありますが、それぞれの小麦粉を代用することはできます。例えばパンを薄力粉で作った場合は食感が軽くふんわりとした仕上がりに。反対に薄力粉のレシピを強力粉や中力粉で代用する場合は弾力が出過ぎてしまいます。ムニエルやホワイトソースといった少量使うレシピの代用に留めておきましょう。

中力粉の代用として薄力粉と強力粉を1:1で混ぜて使用することもできますよ。

\次のページで「選び方のポイント3選」を解説!/

選び方のポイント3選

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用途によって小麦粉の種類が分けられていることはわかりましたが、同じ薄力粉でも色々な種類のものが売られていますよね。特にパンやお菓子においては種類によって仕上がりが変わってきますよ。選ぶ時のポイントについてさらに詳しく解説していきます。

その1.たんぱく質含有量で選ぼう

同じ小麦粉の種類であってもたんぱく質含有量には差があります。どのような仕上がりにしたいかによって商品を変えてみると料理がワンランクアップしますよ。

例えば薄力粉のたんぱく質含有量が少ないものは、よりふんわりとした仕上がりになります。シフォンケーキやカステラに向いていますね。逆にたんぱく質含有量が多い薄力粉はサクサクとした食感を生み出すのが得意ですよ。こちらはクッキーやパイを作るのにおすすめです。

強力粉ではたんぱく質含有量が少ないものはハード系のパンに。たんぱく質含有量が多ものはもっちりとした食感になるので食パンや菓子パンを作るのにおすすめです。

その2.灰分量によって色味が変わる

灰分(かいぶん)とはカリウムやマグネシウムといったミネラルのことです。小麦の表皮や胚芽部分に多く含まれていますよ。灰分量が少ない小麦粉は小麦の風味が弱く色は白っぽくなります。逆に灰分量が多い小麦粉は小麦の風味が強く色はくすんでいるのが特徴です。好みによって使い分けてくださいね。

ちなみにフランスではこの灰分量の違いで小麦粉を種類分けしているのですよ。フランスパンには小麦本来の風味や色味を生かすために灰分量の多い物が使われています。

その3.国産と外国産の違い

国産の商品は安全性や品質が高いイメージがありますよね。ただし小麦粉に関しては国産か外国産かで性質が異なります。この性質がより表れやすいのがパン作りです。

国産の小麦粉で作るパンはもっちりとした重めの食感で小麦の風味豊か。一方で外国産の小麦粉は膨らみやすく扱いやすい性質を持っています。このことから初心者のパン作りに向いていますよ。ホームベーカリーの説明書にも、外国産の小麦粉を使用するよう注意書きがされている場合があるくらいです。

\次のページで「小麦粉の価格はどうやって決まっている?」を解説!/

小麦粉の価格はどうやって決まっている?

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近ごろ小麦粉の価格高騰が続いていますよね。そもそもどのようにして価格が決められているのかというと、まず政府が輸入小麦を買い付けて国内の製粉会社へ売り渡しています。そして製粉会社が小麦粉へ加工し、食品メーカーへと卸しているのですよ。日本の小麦粉は約9割が外国産なので世界情勢が表れやすい食材ですね。

政府が製粉会社へ売り渡す価格を改定するのは年2回。4月と10月に行っています。製粉会社は小麦を備蓄しているので価格が市場に反映されるのは約2ヶ月後です。価格高騰の要因はいくつかありますが、円高や原産国の不作などが挙げられますよ。

用途に合わせて小麦粉を使い分けよう!

この記事では小麦粉の種類や選び方、価格の仕組みについて解説しました。小麦粉の種類にはそれぞれ異なる特徴があります。代用もできますが、特徴を生かした料理を作るためにも用途に合わせて小麦粉は使い分けてくださいね。さらに同じ種類の小麦粉でも製品によって出来上がりが変わってきます。出来上がりをイメージした上でご自分の好みによって選んでみましょう。使い分けで料理の失敗が減り、フードロス削減にも繋がりますよ。昨今の価格高騰にも大切に使う事で家計へのダメージを減らしてくださいね。

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家庭科

小麦粉ってどう選ぶの?種類や価格のしくみも管理栄養士が詳しくわかりやすく解説

スーパーの小麦粉は薄力粉や強力粉がよく売られていますね。中でも薄力粉は種類が多いから何を選べばいいのか迷ったことはないか?用途や求める品質によって選ぶ品が変わってくるから詳しく学んでいきます。今回は小麦粉の種類や選び方・価格の仕組みについて管理栄養士のツキアオイと一緒に解説していきます。

ライター/ツキアオイ

1児の母として育児に奮闘中の管理栄養士ライター。ホームベーカリーにハマり色々な種類の食パンを研究中。1番のお気に入りは野菜食パン。病院や介護施設での経験を活かし、食に関して分かりやすく解説する。

小麦粉は種類によって用途が変わる!

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ご家庭でよく使われる小麦粉は薄力粉かもしれませんが、他にも中力粉や強力粉といった種類に分けられています。これはたんぱく質含有量によって分類されているのですよ。ここからそれぞれの特徴や主な用途について見ていきましょう。

1.弾力性に優れた強力粉

たんぱく質含有量が最も多く12%以上のものが強力粉です。小麦粉に水を加えてこねると「グルテン」という成分ができます。強力粉はこのグルテンが強く、弾力が出るのでパンやピザといった料理に向いていますよ。粒子が粗く手触りがサラサラしているので打ち粉としても使いやすいです。

ちなみに強力粉はフランスパンのような固いパンには向いていません。フランスパンには準強力粉というたんぱく質含有量が強力粉と中力粉の中間のものを使います。

2.適度な弾力でコシがある中力粉

中力粉のたんぱく質含有量は9%前後です。中力粉を使用することで適度な弾力とふんわりとした食感が生まれますよ。主な用途はうどんやそうめんといった麺類です。用途が限られていることから店頭では置かれていない事もしばしば。「うどん粉」という名称で売られている場合もあるので探してみてくださいね。

3.軽い食感を生み出す薄力粉

たんぱく質含有量が最も低く、8.5%以下のものが薄力粉です。キメが細かく軽い食感を出すのが特徴。ケーキやクッキーといった菓子類や天ぷらのような料理まで幅広く使われていますよ。

また小麦粉は混ぜすぎるとグルテンの弾力が出てしまいます。薄力粉の良さを生かすためにもさっくりと混ぜるようにしましょう。ダマになりやすい性質もあるので、ふるいにかけてから混ぜたり少しずつ混ぜるとダマになりにくいですよ。

それぞれの種類の代用はできる?

仕上がりに変化はありますが、それぞれの小麦粉を代用することはできます。例えばパンを薄力粉で作った場合は食感が軽くふんわりとした仕上がりに。反対に薄力粉のレシピを強力粉や中力粉で代用する場合は弾力が出過ぎてしまいます。ムニエルやホワイトソースといった少量使うレシピの代用に留めておきましょう。

中力粉の代用として薄力粉と強力粉を1:1で混ぜて使用することもできますよ。

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