ニュースを見ていると子会社とか関連会社とかいう言葉が出てくるよな。グループ会社というものもある。これらはどういう関係で、何が違うか理解しているか。会社員になろうがなるまいが、一般常識としてこれらの違いを知っているに越したことはないぞ。法律的な定義から一般的な話までグループ会社に30年近く勤めたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

子会社?関連会社?会社の関係はどうなってる?

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ニュースを見ていると、子会社や関連会社、グループ会社という言葉を聞いたことがあるかと思います。これらはどう違うのか考えたことがありますか?実は一般的な認識と法律的な定義は違う部分もあります

ざっくりした話をすると、法律的には子会社と関連会社の違いは保有株数の違いです。ちょっとイメージが違うかもしれませんね。30年近くグループ会社に勤務していた立場から、会社間の関係や実際にグループ会社はどうなのかというところまで解説していきます。

子会社と関連会社は保有株数が違う

一般的に子会社と言えば、ある会社が何かの目的でつくった別の会社という認識かと思います。そのような会社の集まりがグループ会社とお考えかもしれませんね。

会社は法律で色々なことが決まっています。その中で、子会社や関係会社というものがどういうものかも決まっているのです。株式会社は株式を発行します。その持っている株数によって会社の決定に賛成、反対を投票するのです。そのため、株数が多ければそれだけ会社をコントロールできますよね。ある会社が別の会社の株式を5割を超えて持つ場合を「子会社」2割を超えて5割以下の場合を「関連会社」と呼ぶのです。

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子会社+関連会社=関係会社

子会社と関連会社については理解できたと思います。この2つを合わせたものが関係会社です。関連会社と関係会社は漢字一文字違いでわかりにくいですよね。ですが、違うものなのでしっかりと覚えてください。株で連なっているのが関連会社何らかの係りがあるのが関係会社と覚えると良いかもしれませんね。

法律用語ではないグループ会社

それではグループ会社とは何でしょう。実は法律用語としては「グループ会社」という言葉はないのです。位置付けとしては関係会社とほぼ同じと考えることができます。法律上の関連会社と関係会社が紛らわしいので、法律と関係ない部分では区別しやすいグループ会社という言葉を使うようになったのかもしれませんね。ただ、法律が関わるような部分ではグループ会社という言葉は使いません

また、法律的な関係性はないけれど広くグループとして扱われることもあります。例えば、三菱グループや三井グループ、住友グループなどの戦前は財閥と呼ばれていた企業グループです。これらのグループの会社は株式を保有するといった親会社・子会社の関係性がない場合があります。株式での関係を持つグループ会社と区別する意味で「企業グループ」と呼ぶことも多いです。似ていますが分けて考えるようにしましょう。

法律の上での子会社とは?一般認識との違い

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ざっくりと子会社と関連会社について見てきました。一口に子会社と言っても様々な種類があります。法律上の違いを踏まえながら、子会社の種類を見ていきます。

ただ、20%と50%という基準はざっくりしたものです。実際にはもう少し幅広く考えますが、話が難しくなるのでここでは細かい法律の説明は割愛します。詳しいことは各自で調べてみてください。

子会社も様々、完全子会社と孫会社

子会社と関連会社の違いは親会社が持っている株の比率と説明しました。50%を超えると子会社ですが、その中でも100%すべての株を持っている場合が完全子会社です。株式会社は通常株主総会を開きます。一般の大企業は大きな会場で開き、ニュースに出てきたりしますよね。完全子会社の場合株主は親会社だけなので、例えばそれぞれの代表1名づつの2名ですべて決めることも可能です。

一方、子会社がさらに子会社を作ることもあります。孫会社と呼ぶ場合もありますが、法律上は孫会社という言葉はないので、子会社か関連会社のどちらかです。法的には子会社もその子会社も、等しく子会社になります。子会社は子供だけでなく子孫全体と考えてください。

連結法?持分法?連結子会社と非連結子会社

ニュースで連結決算や連結子会社という言葉を聞いたことがあるでしょうか。会社の経営がよいか悪いか判断する際に、その会社単体ではなく、その会社の関係会社も含めて判断することがあります。会社が1年に1回から4回程度、会社の状況を報告するのが決算です。この決算のうち、関係会社も含めたものが連結決算になります。

この連結決算の対象となる子会社が連結子会社それ以外が非連結子会社です。子会社は原則として連結対象ですが、規模の小さい会社や一時的な親子関係などの事情がある場合は連結対象外になります。つまり連結子会社は親会社とより密接で互いに影響がある会社、非連結子会社は関係が薄いか規模が小さくてあまり影響がない会社です。また子会社ではなくても特定の条件で関連会社が連結対象会社となることも。非連結子会社のことを持分法適用会社とも呼びます。

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最近よく見るホールディングスって何?

最近、会社名が「〇〇ホールディングス」という会社を見かけませんか。「HD」と略すこともあります。このホールディングとは何でしょうか。ホールディングスを日本語で置き換えると持株会社です。

子会社の株を保有する親会社のことを別の言葉で持株会社と呼びます。株を持っている会社ということですね。この持株会社にも2種類あります。持株会社自体が自分自身の事業を持っている事業持株会社と、自身は会社経営に専念して事業は全て子会社に任せる純粋持株会社です。このほかやや特殊な金融持株会社もあります。これは銀行や証券、保険などの金融系の会社のグループです。1つの会社で銀行と証券の2つの事業を兼業できないため別々の会社として、それらをまとめるのが金融持株会社となります。

グループ会社は実際どうなの?

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子会社と関連会社、関係会社の法的な位置付けを見てきました。法律の話は色々難しいですよね。ここでは法律を離れて、実際に子会社をなぜつくるのかグループ会社で働くのはどういうことかを見ていきます。

なぜつくる?グループ会社のメリット、デメリット

そもそもなぜグループ会社を作るのでしょうか。1つの会社で様々な分野に携わっている企業もあります。わざわざ会社を分ける理由は何でしょう。

その答えは様々です。例えば、会社を分けることで個別の分野での経営判断を早くするという考え方もあります。また、事業を売却するために会社を分けるという考え方も。逆に他のよい会社を子会社にするということもあります。逆に1つの会社を分けることで本来は共通でできるものも別にしなければならない場合も。メリットもデメリットもあるので、それを天秤にかけながら子会社にするかどうか考えるわけです。

気楽?大変?グループ会社に勤めるメリット、デメリット

それではグループ会社で働くことは、一般的な企業とどう違うのでしょう。グループ会社の勤務制度や福利厚生は親会社に準じることが多いです。まったく同じではないケースもありますが、働き方の制度や福利厚生の多くは共通。同程度の規模の一般の会社では難しい時短勤務や男性の育児休業も、大きなグループのグループ会社では整備されていることも。

逆に一般の企業同士では下請法という法律があり、大きな会社が小さな会社に依頼するときに無理を言えないようになっています。しかし、グループ会社は下請法の対象外ですので、法的な保護がありません。どちらも一長一短です。

きしめん屋から鉄道会社へ?不思議な子会社の流用

最後に少し面白い話を紹介します。相鉄は神奈川県の横浜から海老名を結ぶ鉄道会社です。JRなどに乗り入れるようになったので神奈川県外でも見かけることも。その相鉄は2009年にホールディングス制に移行します。今まで鉄道会社であった相模鉄道株式会社は相鉄ホールディングス株式会社という純粋持株会社に。では鉄道事業はどうしたのでしょう。

この時新しい会社は作りませんでした。実は横浜駅地下街できしめん屋を営業していた会社が相模鉄道株式会社として、相鉄ホールディングスの鉄道事業の子会社になったのです。きしめん屋は他の会社に事業譲渡して休眠していた会社ですが、鉄道会社として復活したことになります。もちろん帳簿の上での話できしめんをゆでていた人が運転士になったわけではありません。でも、ちょっと面白いと思いませんか。会社を新しくつくるのは大変なのでこのような有効活用の事例はいくつかあります。

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子会社と関連会社の違いは関係の強さ、必ずしも親子関係にはない

子会社、関連会社は法律の上では親会社との関係の強さで決まります。より密接な関係があるのが子会社で、少し薄いのが関連会社です。この関係の強さを測る基準が株の保有率50%を超えると会社の判断をすべてコントロールできるので子会社と呼びます。子会社のさらに子会社もありますが、法律ではすべて含めて子会社です。

その子会社と関連会社を合わせたものが関係会社。法律上は関係会社と呼びますが、関連会社と似ているせいか一般的にはグループ会社と呼ぶことも多いですね。ただ、グループ会社という法律用語はありません親子と言っても株を通じた影響力を指します。実際に親会社がつくった場合もあれば、まったく別の会社を買収することも。ですので人間のような親子関係とは違う考え方になります。

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ビジネス雑学

子会社と関連会社、グループ会社の違いとは?法律の定義から実情までグループ会社にいたプログラマーがわかりやすく解説

ニュースを見ていると子会社とか関連会社とかいう言葉が出てくるよな。グループ会社というものもある。これらはどういう関係で、何が違うか理解しているか。会社員になろうがなるまいが、一般常識としてこれらの違いを知っているに越したことはないぞ。法律的な定義から一般的な話までグループ会社に30年近く勤めたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

子会社?関連会社?会社の関係はどうなってる?

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ニュースを見ていると、子会社や関連会社、グループ会社という言葉を聞いたことがあるかと思います。これらはどう違うのか考えたことがありますか?実は一般的な認識と法律的な定義は違う部分もあります

ざっくりした話をすると、法律的には子会社と関連会社の違いは保有株数の違いです。ちょっとイメージが違うかもしれませんね。30年近くグループ会社に勤務していた立場から、会社間の関係や実際にグループ会社はどうなのかというところまで解説していきます。

子会社と関連会社は保有株数が違う

一般的に子会社と言えば、ある会社が何かの目的でつくった別の会社という認識かと思います。そのような会社の集まりがグループ会社とお考えかもしれませんね。

会社は法律で色々なことが決まっています。その中で、子会社や関係会社というものがどういうものかも決まっているのです。株式会社は株式を発行します。その持っている株数によって会社の決定に賛成、反対を投票するのです。そのため、株数が多ければそれだけ会社をコントロールできますよね。ある会社が別の会社の株式を5割を超えて持つ場合を「子会社」2割を超えて5割以下の場合を「関連会社」と呼ぶのです。

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