ソビエト連邦ロシアロマノフ朝世界史

ソ連の政治警察「秘密警察チェーカー」とは?創設の経緯とその後の展開について元大学教員が5分でわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。ロシア革命後にレーニンが創設したのがチェーカー。反革命を弾圧する政治警察のことだ。ロシアのブルジョワ層を弾圧・粛清したチェーカーは、ソ連の国家運営組織のなかで大きな影響力を誇るようになる。

そんなチェーカーがどうして創設されたのか、活動の内容はその後の展開について、世界史に詳しいライターひこすけと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ひこすけ

アメリカの歴史や文化を専門とする元大学教員。アメリカと並ぶ大国であったロシアやソ連にも興味がある。今回はレーニンの時代に創設された政治警察であるチェーカーについて調べてみた。

ソビエト・ロシア初期に暗躍した政治警察チェーカー

1917年に十月革命が起こったあと、革命に反対するロシア帝国関係者によるストライキが全国に広がります。そこでレーニンが率いるボリシェヴィキは、反革命分子を抑え込む必要が生じました。そこで結成されたのが政治警察チェーカーです。

レーニンがチェーカーの組織化を命じる

ソビエト連邦の初代指導者であるウラジーミル・レーニンは、反革命の動きを封じるためフェリックス・ジェルジンスキーに対策を講じるように命令。このときレーニンが依頼したのは「サボタージュと反革命と闘うための例外的な手段を取る」ことです。

ジェルジンスキーは「反革命・サボタージュ取締全ロシア非常委員会」を設立。人民委員会議にその草案を提出し、認められました。その員会のミッションは、反革命運動の監視と撲滅、反革命分子に対する裁判の実行、三部の委員会による予備審査です。

フランス革命をモデルに創設された

レーニンがフェリックス・ジェルジンスキーに求めたのはフランス革命時の革命裁判所検事のような立ち振る舞い。アントワーヌ・フーキエ=タンヴィルを意識させました。そこで彼を「断固たるプロレタリア的ジャコバン」と命名、員会の組織化を命じました。

ジャコバンとはフランス革命期の政治結社のこと。ロベスピエールが中心になって活動し、フランス革命を主導したことでも知られています。フランス革命のプロレタリアート版が、レーニンにとってのロシア革命だったのかもしれません。

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チェーカーの権限はとても広い。ストライキを抑え込む、危険とされる印刷物を押収する、必要に応じて食糧の配給を停止する、強制立ち退きなどもできた。ソ連は社会主義国家のため、国の支援を受けられないと実質生きていくことができないからな。

ロシア内戦により権限が広がるチェーカー

Lenin, Trotsky and Voroshilov with Delegates of the 10th Congress of the Russian Communist Party (Bolsheviks).jpg
By Лев Яковлевич Леонидов (1889 – 1952) [4]РГАКФД, Шифр: Д-67 ч/б [2]; Музей политической истории России F.III-38054 [3], Public Domain, Link

十月革命のあと、西側諸国が反ボリシェヴィキを支援してロシア内戦が勃発します。それをきっかけにレーニンはチェーカーの権限を拡大。裁判所の決定を待つことなく危険とされる人物を逮捕したり投獄したりできるようにします。

\次のページで「レーニンは死刑を復活」を解説!/

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