今回の記事では、メロンの種類や食べごろに焦点を当てて見ていきます。高級メロンと言えば「マスクメロン」という種類を思い浮かべるかもしれない。しかし、実はマスクメロンという品種はないんです。では、いったいどんなメロンの事なんでしょう?また、かたい果皮からは読み取りづらい果肉の状態についても考えてみよう。中はどんな色なのか、完熟しているのか、傷んでいるのか…そんな見分け方と共に、メロンの品種、旬や産地といった基礎知識を果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。特にメロンは、シャーベット作りのために1日70玉以上味見した経験あり。

メロンの旬の季節は?

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メロンの旬は初夏の頃です。ただし、露地栽培は気候によって収穫時期がずれていきますので、熊本県など暖かい地方だと4月頃から収穫され始め、北海道など寒い地方だと9月頃から市場に出回り始めます。最も多く収穫され美味しい時期は5月から7月です。ちなみに、温室栽培のメロンは通年栽培されているので、旬という決まった時期はありません。一年中美味しく食べられます。

メロンの特産地は?

メロンは全国各地で栽培されています。その中でも、特に物産展等でメロンを見かける北海道、高級メロンの静岡県などに、名産地のイメージがあるかもしれません。では、実際の生産高ではどの地域が日本一なのでしょうか?生産量ランキングを下記にまとめました。

順位:都道府県/生産高 
1位:茨城県/4万200トン
2位:熊本県/2万2,100トン
3位:北海道/2万1,700トン
4位:山形県/1万1,000トン
5位:青森県/9,710トン

国内では茨城県がトップで、全体の25%ほどのシェアを誇っています。次いで、メロンの旬の訪れを告げる熊本県、そして夕張メロンに代表される北海道の順ですね。

また、メロンは輸入もされており、外国産のメロンはどちらかというと安価な、ノーネット型でボールのような品種を見ることが多いです。輸入先は、1位がメキシコで全体の60%以上、次いでアメリカ・オーストラリアとなっています。そして、それほど多くはないですが、国産のメロンも香港を中心にアジアの国々に輸出されていますよ。

果肉の色は「青肉・赤肉・白肉」の3種類

メロンの味わいの特徴は、果肉の色により「青肉メロン」「赤肉メロン」「白肉メロン」と大きく3種類に分けられます。ただし、「白肉メロン」は種類が少ないため、市場では「青肉」と「赤肉」の2種類に分けられることが多いようです。では、どのような味の違いがあるのでしょうか?それぞれの特徴をまとめてみました。

\次のページで「メロンの代表品種5選」を解説!/

メロンの種類:果肉の色/特徴
・青肉メロン:黄色や緑色/爽やかな甘みと香り
・赤肉メロン:オレンジ色/強い甘みと芳醇な香り、果肉は柔らかめ
・白肉メロン:白色/果汁が少なめでサクッとした食感、さっぱりとした甘さ

色の違いは、βカロテンの含有量によるものです。βカロテンとは、緑黄色野菜などに多く含まれている、果肉の色のもとになっている成分ですね。青肉メロンも赤肉メロンも、栄養素や糖度はあまり変わりませんが、唯一、βカロテンは赤肉メロンの方が明らかに多く含まれています。

βカロテンは様々な効能があるので、健康面だけを考えると赤肉メロンがおすすめでしょう。どちらが美味しく感じるか、は好みの分かれるところですね。

メロンの代表品種5選

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メロンの品種は、果肉の色によって「青肉メロン」「赤肉メロン」「白肉メロン」、網目模様の有無によって「ネット型」「ノーネット型」と分けられます。メロンと言えば、「緑色の網目模様」を想像するかもしれませんが、そうとは限りませんよ。メロンは栽培地域によっても独自の改良が加えられ、多種多様な品種が存在します。今回はその中でも知名度の高い5品種をピックアップしてご紹介しましょう。

1.最高級メロンの代名詞:アールスメロン(青肉/ネット型)

高級メロンの仲間「マスクメロン」という名前は有名ですね。「マスク」とはフランス語で「Musk(ムスク)」、日本語で「麝香(じゃこう)※香料の一種」のことを意味します。実は「マスクメロン」というのは品種ではなく、麝香の香りを持つメロンの総称なのです。その中で最高級といわれているのが「アールスメロン」。正確には「アールス・フェボリット」という品種です。

果皮のネットは太くくっきりと入り、マスクメロンの名の通り、熟すと芳醇な香りを放ちます。ジューシーでコクのある甘み、なめらかな食感は上品でバランスの取れた味わいです。

アールスメロンが高級な理由には栽培方法が関係しています。通常、アールスメロンは1つの株から1玉のみを収穫するので、生産量が少ないのです。また、ガラス温室・隔離床での栽培、ネットの管理など、大変手間とコストが掛かります。それゆえに、芸術的な味と見た目と共に付加価値が付くのです。

2.お手頃なネット型:アンデスメロン(青肉/ネット型)

1977年に発表された比較的新しいメロンです。アンデスメロンはネット型メロンでありながら、コストのかかる温室を使わず栽培可能で、比較的手ごろな価格で出回ったことから一躍人気となりました。果皮のネットが緻密で、大きさはやや小ぶり。果肉は黄緑色で、とても甘くジューシーです。マスクメロンのような風味と香りを持っています。

「アンデス」という名前は、南米のアンデス山脈を思い浮かべがちですが、由来には関係ありません。もともとは「生産者・流通・消費者の安心」という意味を込めた「安心ですメロン」を略して「アンデスメロン」としたそうです。

3.人気者の立役者:プリンスメロン(青肉/ノーネット型)

表面が白っぽくツルっとしたメロンです。果肉は中心部がオレンジ色で、外側にいくにしたがって黄緑色になります。500g~700gのやや小ぶりサイズながら、強い甘み芳醇な香りなめらかな舌触りが特徴です。

登場は1962年。西洋系メロンが高級で一般的でなかった当時、安定した美味しさと手の届く価格で爆発的な人気となりました。メロンが一般的なフルーツとして定着したのは、プリンスメロンの登場あってこそです。気になる「プリンス」の名前は、皇太子様の御成婚にちなんで付けられたとか。現在は人気品種の増加により生産量は減少していますが、根強い人気を誇る品種です。

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4.北海道のメロン:夕張キング(赤肉/ネット型)

夕張メロンとしておなじみの、北海道夕張市の特産品ですね。「夕張メロン」という名称は品種名ではなくブランド名になります。「夕張メロン」は夕張市農業協同組合の登録商標であり、夕張市以外では使用することが出来ません。また、「夕張メロン」として出荷されるものには独自の厳しい規格基準が設けられ、ブランドの品質を守っています。

果肉はオレンジ色で、ジューシーな強い甘みと芳醇な香りが特徴です。日持ちはあまりよくありませんので、贈答用にはご注意を。

5.輸入メロンの代表格:ハネデューメロン(白肉/ノーネット型)

輸入メロンのほとんどを占め、主にメキシコとアメリカから輸入される品種です。果肉は薄い黄緑色と薄いオレンジ色のものがあります。さっぱりとした甘みでジューシー、香りは少なめのやや硬めのさくさくした食感です。

別名「ハニーデュー(Honeydew)メロン」と呼ばれ、名前の由来は「はちみつが滴る甘さ」という意味で、英語の「はちみつ(Honey)」と「しずく(Dew)」から。

メロンの見分け方

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せっかくなら美味しいメロンを完熟の状態で傷む前に食べ切りたいですよね。ではどんなメロンが美味しくて、どんなメロンが食べられない状態なのでしょうか?美味しいメロンと良くないメロンについて、見分け方を解説していきましょう。

美味しいメロンの特徴って?

メロンを選ぶ時は、値段やブランド・品種など、美味しさが信頼できるいくつかの指標があります。高級メロンなら、どのメロンを選んでもほぼ間違いなく美味しいでしょう。しかし、手軽に購入できる品種だと、自分で美味しいメロンかどうか判断することが必要です。また、同じ条件の中でも個体差はあるものですね。一番美味しいメロンを見分けるコツを以下にまとめました。

美味しいメロンの特徴
・ずっしりとした重みを感じる
・果皮の色が均一
・品種に適した大きさで、左右対称の形
・お尻のへそ部分が小さく、飛び出していないもの
・良い香りがする
・(ネット型)・網目模様が細かく全体にまんべんなく整っており、盛り上がっている
       ・軸の近くに、軸を中心にした円状のネットがくっきり出ているもの
・(ノーネット型)表面に傷や黒い斑点のない、きれいなもの
・(ツルのあるもの)左右のツルの太さが違うもの。しなびていたら熟した証拠

底の部分を触って少し弾力を感じられれば完熟のサインです。お店の人に確認して可能であれば触ってみましょう。また、香りが強くなる、果皮が緑色のものは黄色っぽくなる、なども完熟を見分けるポイントです。買ってすぐに食べたい場合は、これらを参考に選びましょう。

\次のページで「こんな状態に気を付けよう」を解説!/

こんな状態に気を付けよう

メロンに限らず果物は、完熟を通り越すと腐敗が始まってしまいます。美味しいと思っていたメロンも、食べずに放置しておくと傷んでしまうので気を付けましょう。またメロンは果皮が厚いので、傷んだ状態が外側からは分かりづらいと言われています。触った感触や匂いで分からなかったら、カットして果肉の状態を見てみましょう。

傷んだメロンの特徴
・果皮に黒い斑点があったり、ぶよぶよに柔らかい
・異臭がする
・果肉がドロドロになっている
・種が茶色や黒に変色している
・味が苦い、または酸っぱい

特に苦味には要注意です。メロンなどウリ科の植物には、ククルビタシン類という苦味成分が含まれています。果肉が未熟な場合にも存在しますが、少量なら問題はありません。問題はメロンが傷むとククルビタシンが大量に発生すること。傷んだメロンからククルビタシンを大量に摂取すると、腹痛や嘔吐など激しい中毒症状を起こす場合があります。

メロンが腐って強い苦味を感じた場合は食べないようにしましょう。

品種によって、見た目も味わいも様々!食べ頃メロンを色んなシーンで楽しもう!

食べ頃を迎えたメロンは、それだけでいつもの空間をときめくものに変えてくれますね!たくさんのバリエーションを持ったメロンは、選ぶ時間もワクワクします。ぜひ自分好みを見つけて、ご褒美のひと時に、日常の食卓に、大切な人への贈り物に、メロンを楽しんでください。

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家庭科

美味しいメロンの見分け方って?メロンの旬や産地、人気品種5種も果物大好きパティシエが詳しくわかりやすく解説

こんな状態に気を付けよう

メロンに限らず果物は、完熟を通り越すと腐敗が始まってしまいます。美味しいと思っていたメロンも、食べずに放置しておくと傷んでしまうので気を付けましょう。またメロンは果皮が厚いので、傷んだ状態が外側からは分かりづらいと言われています。触った感触や匂いで分からなかったら、カットして果肉の状態を見てみましょう。

傷んだメロンの特徴
・果皮に黒い斑点があったり、ぶよぶよに柔らかい
・異臭がする
・果肉がドロドロになっている
・種が茶色や黒に変色している
・味が苦い、または酸っぱい

特に苦味には要注意です。メロンなどウリ科の植物には、ククルビタシン類という苦味成分が含まれています。果肉が未熟な場合にも存在しますが、少量なら問題はありません。問題はメロンが傷むとククルビタシンが大量に発生すること。傷んだメロンからククルビタシンを大量に摂取すると、腹痛や嘔吐など激しい中毒症状を起こす場合があります。

メロンが腐って強い苦味を感じた場合は食べないようにしましょう。

品種によって、見た目も味わいも様々!食べ頃メロンを色んなシーンで楽しもう!

食べ頃を迎えたメロンは、それだけでいつもの空間をときめくものに変えてくれますね!たくさんのバリエーションを持ったメロンは、選ぶ時間もワクワクします。ぜひ自分好みを見つけて、ご褒美のひと時に、日常の食卓に、大切な人への贈り物に、メロンを楽しんでください。

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