イエス・キリストの教え「なんじ殺すなかれ」
イエス・キリストの教えのひとつが「なんじ殺すなかれ」。この教えに従って戦争に反対するキリスト教関係者も少なくありません。ウクライナ系のロシア正教会は、キリル総主教のウクライナ進攻の支持は「なんじ殺すなかれ」の教えに背くものだと判断。ウクライナとロシアの両方に交渉による問題解決を進めるべきと伝えました。
ウクライナ進攻により、ロシア正教会系の信者も国外に退去を強いられるなど悲惨な目にあっています。信心深い人々がそのような目にあっているのに、プーチン大統領の政策を支持することができないとも言いました。プーチン大統領は、自分の政策に反対する教会が出てきていることに激高。しかしながらロシア正教会の分裂は進んでるのが現実です。
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ウクライナ正教会が離脱するとどうなる?
正教徒は世界中にいますが、その大半はロシアとウクライナ。両国の信徒を合わせると、そのほかの国の正教徒の合計数よりも多くなります。ロシアの傘下にある正教会の信徒の4分の1はウクライナ人。教会区の3分の1もウクライナに置かれています。そのためウクライナ正教会が離れると、ロシア正教会の影響力は一気に落ち込んでしまうでしょう。
一定の信者数を包するウクライナ正教会の離脱は、ロシア正教会にとって危機的な状況。ロシア正教会はプーチン大統領を支持していますが、それは教会の影響力を守るためでもあります。そのため、信仰心を政治的に利用していると批判する声も少なくありません。
ロシア正教会の変化の可能性は?
ロシア正教会は、そのルーツがウクライナにあるなど、領土的にも複雑な背景があります。ソ連時代の冷遇の影響もあり、政治的な権力者と行動を共にせざるを得ない事情もありました。しかしながら、キリル1世総主教は、ウクライナの教会の苦しみを理解するという発言をするなど、プーチン大統領と距離を取り出しているという報道も。政治に翻弄されてきたロシア正教会は、これからどのような判断をするのでしょうか。ニュースなどで動向を注視することで歴史の大きな変化を目の当たりにすることができるかもしれませんね。