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「ロシア正教会」とは?ロシアやウクライナとの関係は?歴史や背景を元大学教員が5分でわかりやすく解説

アメリカの要請によりロシア正教会を再建

再び合法化されたロシア正教会ですが、これには事情がありました。ナチス・ドイツ軍はロシア正教会の信者を惹きつけるために占領地に正教会を建設。それを危惧したアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領はソビエト市民に信仰の自由を与えることを要請、それを実現したら経済的・軍事的な支援を継続すると言いました。

ソ連は社会主義のプロパガンダを浸透させることを優先、宗教を禁じてきました。しかしながら無宗教を貫くと、戦争では国民の一体化を阻んでしまう一面もあります。そこでスターリンはロシア正教会に対する態度を180度変えたのです。

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ロシア正教会の復権はドイツ・ナチス軍との戦いが大きく関わっているんだな。今のロシアにとっても、ドイツ・ナチス軍に対する勝利は国家の歴史的な出来事。その背景には、勝利のために国家の無神論政策を覆したスターリンの苦渋の決断があったのが分かる。

ウクライナ進攻により混乱するロシア正教会

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プーチン大統領によるウクライナ進攻について、ロシア正教会は支持する立場をとっています。さらに総主教は「祝福」を与えました。戦争が起こるとたくさんの人が亡くなります。それはロシア正教会にとっては悲しむべきこと。それにも関わらずどうして「祝福」を与えたのでしょうか。

キリル総主教はプーチン大統領の盟友

ウクライナ進攻時の総主教であるキリルは反西欧の立場をとる人物。西側諸国が受け入れている同性愛を嫌悪していることも理由。同じく反西欧のプーチンとは盟友という間柄です。ふたりは領土拡張についても同じ思想を共有。旧ソ連領の一部だった地域を進攻により拡張し、精神的なつながりを強固にする「ルースキー・ミール」を支持しています。

さらにロシア正教会にとってもウクライナは重要な場所。ウラジミール1世が異教を改宗させ、ロシアやその周辺地域をキリスト教化するきっかけとなった地だからです。ロシア正教会にとってウクライナは「聖域」のような場所。そのためウクライナが、思想的に相いれない西欧諸国の影響下に置かれることは許せないのです。

他のキリスト教会からも断絶を表明される

ウクライナ進攻を支持し、その軍事行動に「祝福」を与えたことで、他の国のキリスト教会はロシアとの距離を取りはじめています。オランダ・アムステルダムの聖ニコラス正教会は、キリル総主教を祝福する言葉を入れることを中止。世界教会協議会はウクライナ進攻を中止させるために「仲介」の役割を果たすように進言しました。

1917年のロシア革命のあとロシア正教会は静粛されましたが、ソ連が解体したあとは精神的支柱として復活しました。現在プーチン大統領は、ウクライナ進攻をめぐり世論が揺らぐなか、ロシア正教会を通じて国民を結び付けようとしています。ロシア正教会は、信仰心と政治の両方に関わっていると言えるでしょう。

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キリスト教の頂点にいるのがバチカンだ。しかしながらキリル総主教がプーチンを支持したことで、バチカンとの関係も悪化しているそうだ。ロシア正教会は、キリスト教世界からも孤立することにもなりかねない。そんな状況にあるんだ。

ロシア正教会の総主教と絶縁する宗派も

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キリル総主教はプーチン大統領のウクライナ進攻を支持していますが、すべての関係者が同じ考えというわけではありません。ウクライナにもロシア正教会系の教会がありますが、その一部は総主教との絶縁を表明しています。

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