Webに欠かせないものにHTMLがある。これには色々バージョンがあるらしいのです。新しいのがHTML5らしいが、XHTMLというものもあるらしいのです。名前が似ているが関係あるのかよくわからないよな。HTMLの歴史から最新状況までWebに30年関わってきたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

Webに欠かせないHTMLの歴史はとても複雑?

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今やインターネットやWebは生活に欠かせないものです。そのWebの仕組みは様々ありますが、最終的にはブラウザでHTMLというものを表示するのが一般的。

ざっくり説明するとHTML5やXHTMLはHTMLのバージョンの一つになります。HTMLも登場から何度も改良されてバージョンアップしているのです。単に技術的に進化したという以外にも考え方が変わったり関係者の思惑が絡んでいます。この2つの違いだけではなく、そのような背景も含めて見ていきましょう。

HTML5:新しいWebの規格

WebとHTMLが登場したのは1989年。当初は研究者が研究成果を共有するためのものでした。今は研究分野だけでなく、娯楽やビジネスにも幅広く使われています。

HTMLが正式に標準規格として公開されたのが1993年です。そこから2年おきに改訂されて、1999年に公開されたのがHTML 4.0になります。その後、長らく標準規格の改訂はありませんでした。その沈黙を破って2014年に登場したのがHTML5です。HTML4をベースに新しい機能を様々盛り込んだものになります。

XHTML:XMLで再構築したHTML

Webは研究分野だけでない幅広い活用がされ、HTMLも広く普及しました。しかし、1998年にXMLが登場します。これがコンピュータ業界で急速に広がったのです。そうなるとHTMLもXMLを元に作り直した方がよいのではないか、という意見が出てきます。そうした背景で2000年に登場したのがXHTMLです。

XHTMLはHTML 4.0を元にして、XMLを使って作り直したものになります。HTMLもXMLも「<h1>タイトル</h1>」のように書くところは同じです。そのためどちらも同じように見えます。ただ、細かい部分では色々と違いがあります。それもあってXHTMLはあまり普及せず代わりに生まれたのがHTML5です。一時的に分家が勢力を持ったものの、最終的には本家が復権したことになります。

HTMLの歴史はWebの歴史、HTMLの変遷とは

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ほとんどの方がWebを使わない日々はないのではありませんか?そのWebはブラウザで表示します。できた頃のWebはHTMLというルールで書いたファイルを単純にブラウザで表示するものでした。その後、技術の進歩でもっと複雑なものになりましたが、今でもブラウザでHTMLで書かれた内容を表示するのは変わりません。

そのHTMLの変遷と、それにともなう関係者の思惑とすれ違いについて解説していきます。

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順調に進んだHTML4まで

最初にざっくり説明しましたが、HTMLにもバージョンがあります1993年の1.0に始まり、その後2年おきに1999年のHTML 4.0までバージョンアップが続きました。その標準規格を策定、管理していたのが「World Wide Web Consortium」、略してW3Cという団体です。W3CはHTMLだけではなく、Webに関係する様々な標準規格をつくり、管理している団体になります。

W3CはWeb関係の標準規格を作るための非営利団体です。ルールをつくり、それを周知するのが仕事。W3Cは企業や団体、教育機関、政府機関を会員としており、その会費で運営されています。この辺りは国連に似ていますね。500近い団体がW3Cの会員になっています。

XMLの登場とXHTML

HTMLの4.0が登場した頃、コンピュータ業界ではXMLというものが登場します。XMLは瞬く間に広がったのです。HTMLとXMLはよく似ています。それもそのはずで、どちらもベースにしているのがSGMLです。言わば親戚みたいなものですね。

XMLの登場で様々な分野でXMLが使われるようになります。また、XMLを扱うためのツールやライブラリというものが広く世の中に登場したのです。そうすると、HTMLもXMLを元にした方が扱いやすいという意見が出てきます。元々似ているのだから、多少の変更で動くではないかということで登場したのがXHTMLです。

混迷の始まり、理論と実践の狭間

そのような経緯で華々しく登場したXHTML。今後はこれでいくものと思われました。ただ、現実の世界は甘くなかったのです。元々HTMLは厳密さよりも書きやすさを優先しています。そのためルールの解釈はよく言えば融通がきいていますが、悪く言えば曖昧です。厳密さを求めるXMLと相容れない部分になります。

また、当時の会社で広く使われていたInernet Explorer6(IE6)はXHTML非対応です。会社などでは新しいものへ乗り換えるのも簡単ではありません。そのため、ブラウザをつくっているメーカーなどが集まってWHATWGという業界団体をつくります。現場レベルの要望をHTMLのルール決めにもっと反映できるように力を合わせたわけです。

HTML5の登場も、解決にはいたらず

1999年のHTML4から2014年のHTML5の間、HTMLのバージョンは上がりませんでした。その間、何があったのでしょう。実はブラウザ戦争が起きていたのです。

Webが一般化するにつれ、各ブラウザはそれぞれ独自の機能を用意して、ユーザを囲い込もうとしました。それがブラウザ戦争です。独自機能なのでA社のブラウザで使えるがB社のブラウザでは使えない、ということもあります。でも、巻き込まれたユーザ、特にWebを使ったサービスをつくっているところは大迷惑ですよね。その反発もあって、各メーカーは一転して協力するようになります。それがWHATWGです。WHATWGはW3Cとも協力して新しいHTMLを作ります。それがHTML5です。HTML5の登場で全ては解決すると思われました。

HTML5以降はどうなった?HTMLの過去と今

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HTML5とXHTMLはざっくり言えばHTMLの本家と分家。では、その後はどうなったのでしょう。HTML5登場以後のブラウザやHTML業界の動きを解説していきます。

\次のページで「廃止されたXHTML」を解説!/

廃止されたXHTML

元々XHTMLに不満があったブラウザメーカーの団体WHATWGがW3Cと協力してつくったのがHTML5です。その点では、HTML5の登場時点でXHTMLは役目を終えたことになります。ただ、実際に廃止されたのは2018年です。

本来ならば似たような2つの標準規格が併存するのは混乱の元。ただ、それ以前も新しいHTMLバージョンが出たことで古いバージョンが無効になりませんでした。過去のすべてのHTMLを書き直すのは現実的ではないので、新しいものが出ても古いものもそのまま残されたのかと思います。どちらにしてもこれから新しく作るHTMLにXHTMLを使わないようにしましょう。

実はHTML5も廃止された?

今まで新しいバージョンが出ても廃止されなかったXHTMLはなぜ廃止されたのでしょう。実は同日にHTML 5も廃止されています。HTML 5のマイナーバージョンアップ版のHTML 5.1や5.2も2021年1月で廃止。この時点でW3CのすべてのHTML標準規格が廃止されています。一体、何が起きたのでしょう。

実はWHATWGが独自に規格を決め、それに沿って各社がブラウザを開発していたのです。「事実上の標準(デファクト・スタンダード)」ですね。標準化団体であるW3Cは頻繁な規格変更は行いたくない。一方、業界団体のWHATWGはユーザに魅力あるものを提供するためにも頻繁にアップデートしたい。そのため、WHATWGが独自に新機能をまとめ、それをW3Cが取り入れるというダブルスタンダード状態が続いていました。それが2021年1月のW3CのHTML廃止によって、WHATWGの規格に統一されたのです。

新しいHTMLの標準とは?

WHATWGによる新しい規格が「HTML Living Standard」です。ここでひとつW3Cの規格との違いに気づきますか。W3CのHTMLにはバージョン番号がありましたよね。WHATWGのものにはバージョン番号がありません。実はWHATWGのHTML標準にはバージョン番号はないのです。

W3Cは節目節目で標準規格としてきちんとしたものを公開するという考え方になります。一方、業界団体であるWHATWGは新しいものはすぐにユーザに提供したいという考え方です。そのため、バージョン番号をつけて管理するのではなく、日々バージョンアップして「何年何月何日版」と日付で管理しています。

HTML5もXHTMLも過去のもの、今はHTML Living Standard

1989年にWebが登場して以来、Webの普及に伴いHTMLはバージョンアップしてきました。その一つがHTML 5であり、XHTMLになります。HTMLは時間をかけて内容を吟味し、様々な配慮を行った上で節目としてバージョンアップしてきました。その集大成がHTML5になります。

しかし、時代の変化で標準規格の考え方も変わりました。時間をかけて吟味するのではなく、タイムリーに新しい機能を提供することに主眼が変わったわけです。HTML4、XHTML、HTML5の背景と経緯には様々な裏事情と混乱がありました。しかし、HTML Living Standardとして一本化されたので、これからはだいぶシンプルになりますね。

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IT・プログラミング雑学

HTML5とXHTMLの違いとは?HTMLの歴史やXMLとの関係までプログラマーがわかりやすく解説

Webに欠かせないものにHTMLがある。これには色々バージョンがあるらしいのです。新しいのがHTML5らしいが、XHTMLというものもあるらしいのです。名前が似ているが関係あるのかよくわからないよな。HTMLの歴史から最新状況までWebに30年関わってきたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

Webに欠かせないHTMLの歴史はとても複雑?

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今やインターネットやWebは生活に欠かせないものです。そのWebの仕組みは様々ありますが、最終的にはブラウザでHTMLというものを表示するのが一般的。

ざっくり説明するとHTML5やXHTMLはHTMLのバージョンの一つになります。HTMLも登場から何度も改良されてバージョンアップしているのです。単に技術的に進化したという以外にも考え方が変わったり関係者の思惑が絡んでいます。この2つの違いだけではなく、そのような背景も含めて見ていきましょう。

HTML5:新しいWebの規格

WebとHTMLが登場したのは1989年。当初は研究者が研究成果を共有するためのものでした。今は研究分野だけでなく、娯楽やビジネスにも幅広く使われています。

HTMLが正式に標準規格として公開されたのが1993年です。そこから2年おきに改訂されて、1999年に公開されたのがHTML 4.0になります。その後、長らく標準規格の改訂はありませんでした。その沈黙を破って2014年に登場したのがHTML5です。HTML4をベースに新しい機能を様々盛り込んだものになります。

XHTML:XMLで再構築したHTML

Webは研究分野だけでない幅広い活用がされ、HTMLも広く普及しました。しかし、1998年にXMLが登場します。これがコンピュータ業界で急速に広がったのです。そうなるとHTMLもXMLを元に作り直した方がよいのではないか、という意見が出てきます。そうした背景で2000年に登場したのがXHTMLです。

XHTMLはHTML 4.0を元にして、XMLを使って作り直したものになります。HTMLもXMLも「<h1>タイトル</h1>」のように書くところは同じです。そのためどちらも同じように見えます。ただ、細かい部分では色々と違いがあります。それもあってXHTMLはあまり普及せず代わりに生まれたのがHTML5です。一時的に分家が勢力を持ったものの、最終的には本家が復権したことになります。

HTMLの歴史はWebの歴史、HTMLの変遷とは

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ほとんどの方がWebを使わない日々はないのではありませんか?そのWebはブラウザで表示します。できた頃のWebはHTMLというルールで書いたファイルを単純にブラウザで表示するものでした。その後、技術の進歩でもっと複雑なものになりましたが、今でもブラウザでHTMLで書かれた内容を表示するのは変わりません。

そのHTMLの変遷と、それにともなう関係者の思惑とすれ違いについて解説していきます。

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