ブラウザでWebにアクセスするときにWebアドレスを使うよな。あれをURLと呼ぶそうですが、URIというものもあるらしいのです。そもそも何が違うのでしょうか。WebのアドレスなのだからWebアドレスでよいのに、なぜURLという呼び方があるのか疑問に思わないか?URIやURLは何のためにあり、実際は何であるかを、その由来から豆知識までWebに30年関わってきたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

URLは住所?URIは識別子?その意味と違いとは

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みなさんがWebにアクセスするとき、どのようにして目的のホームページを呼び出しますか?今はブラウザのアドレスバーに会社名や商品名を入力して検索することも多いですね。

しかし、パンフレットや名刺、雑誌や新聞にもまだまだWebアドレスが掲載されています。また、Webページにメールアドレスが書いてあり、クリックするとメールアプリが起動したりしますよね。このWebアドレスやメールアドレスのことをURLと呼びます。

このURLとは別にURIというものがあることをご存知の方もいるでしょう。名前もとても似ていますし、何が違うのでしょう。ざっくり言うとURLはURIというものの仲間の一つです。まずはURLとURIが何であるかを見ていきます。

URL:バラバラの住所表記を統一したもの

URLの代表的なものがWebアドレスです。ここであれば「https://study-z.net/」というものになります。ただ、Webアドレス=URLではありませんWebアドレスはURLというものの種類の一つになります。

URLとは「Uniform Resource Locator」の頭文字をとったものです。日本語にすると「統一資源位置指定子」という難しい呼び方をします。もう少しわかりやすく書くと「何かの情報やものの場所を統一的に表現したもの」です。この「統一的に」がキモになります。

例えば、日本の住所は都道府県があり、市区町村名があり、町名があって、番地となってますよね。行ったことがない土地でも住所を頼りになんとなくたどり着けます。統一ルールがあるからWebで迷子にならないわけです。

URI:URLなどをまとめた総称

URLは場所を指す統一ルールですが、実は名前を指す統一ルールもあります。それがURN(Uniform Resource Name)です。ただ、このURNは普通に生活している中ではあまり出会いません

例えば、本や雑誌にISBNコードというものがあることをご存知の方もいるでしょう。これを「urn:ISBN:XXXXXXXXXX」と表現します。これは「ISBN:XXXXXXXXXX」を持つ本のことであるというのがルールで決まっているのです。

このURNとURLをまとめたものがURI。「Uniform Resource Indicator」の頭文字です。お笑い芸人のコンビ名がURI、そのメンバーがURLとURIと思うとわかりやすいでしょうか。お笑い芸人でもソロ活動が多く、相方の存在やコンビ名が忘れられてしまっている人もいるように、URLは有名ですがURNやURIはあまり知られていないのです。

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URIとは名前や住所の書き方を決めたルール

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ざっくりとURIやURL、URNについて説明しましたが、その内容についてもう少し詳しく説明します。最初に覚えてほしいのはURLやURNとはルールだということです。そのルールに従って書かれた「https://study-z.net/...」というものもURLですが、URLのルールで書かれているということ、ルールがあるということが一番大切なことになります。

住所を示すURLと名前を示すURN

URLのLはLocatorのこと。つまり住所です。この後にホスト名やポート番号、パスというものが続き、Webの世界にある特定のページを参照できるようになっています。それぞれの中身についてはそのWebサイトのオーナーの自由ですが、ルールが決まっていることでブラウザが世界中のどのWebページでもアクセスできるわけです。

URNのNはNameのこと。「ISBN:XXXXXXXXXX」と書いてあれば、これは本のISBNコードだろうと人間は分かりますが、コンピュータにはわかりません。そのため「urn:ISBN:XXXXXXXXXX」と書くことで、コンピュータにもこれは本のISBNコードだと分かるわけです。

表に出てこないURN、知名度抜群のURL

URLは人間がブラウザでWebにアクセスする際にも使うのでなじみ深いと思います。しかし、URNはもともとコンピュータ用のものなので、人間向けにはあまり使いません。それもあって、URNというものがあることを知らないという方も多いです。その両者を合わせたものがURIであるということも知らないのも当然ですよね。

Webの仕事をしていない限り一般的にURNに触れる機会は少ないです。そのため、URNやURIという言葉や意味を知らなくても困らないし、URL=URIという認識でも問題はありません。厳密な定義や違いを知ることも大事ですが、一般的には困らないことも多いです。

ですのでなんとなくURLとは違うURNやURIというものがあることを覚えているだけで十分。雑学自慢には便利ですけどね。以後、この記事ではURLやURNをまとめてURIと書きます。

なぜURIが必要?統一的な名前や住所の必要性

WebのアクセスにURLが必要なのはよいとして、それだけならWebアドレスのルールだけあればよいですよね。では何のためにURIが必要なのでしょう。実は最初にWebアドレスとしてのURLが生まれて、そこからURLで他のものの場所も示すようになります。さらにURNという名前のルールが生まれました。

例えば、パソコン内のファイルの場所を示す「file://XXX」というURLがあります。パソコンのファイルはWindowsなら「c:¥users¥Gonbe¥Documents¥nanika.txt」です。しかし、MacやLinuxでは「/users/Gonbe/Documents/nanika.txt」になります。過去の経緯があるとは言え、違いがあると面倒ですよね。そのため、ファイルの場所を示す統一ルールの「file//...」があります。統一ルールがあるといろいろ便利なことが多いのです。

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どこまで知ってる?URIの豆知識

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URIがどういうものかについては大体説明したので、知っていると自慢できるかもしれない豆知識をご紹介します。いくつご存知でしょうか。

Webだけじゃない、さまざまな場所で使うURI

URLで圧倒的に使われているのがWebアドレスですが、他にもいろいろなものがあります。その種類を示すがのが先頭にある「https://」という部分、これが「スキーム」です。

「http://」や「https://」ならばWebアドレスになります。他に先ほど説明したファイルを示すのが「file://」です。この他に見かけるのは「mailto:」でしょう。問い合わせ先のメールアドレスを掲載するのに使います。

このスキームで、IANA(インターネット番号割当機関、アイアナ)で管理しているものが公式スキーム広く使われているが管理されていないものが非公式スキームです。例えば、Webページで使う「javascript:」というスキームがありますが、これは非公式。スキームの後の書き方はスキームごとに決まっています。

正しく理解している?URLに関する誤った知識

他のWebサイトでもURIやURLを解説した記事があります。そこでよく出てくる間違い「https://XXX/YYY」がURIで、スキームを除いた「XXX/YYY」がURLである、というものです。最近のブラウザではいちいち「https://」を打たなくてもURLを認識してくれますし、そもそも表示されなくなってきています。そう言うことから誤解が広がったのかもしれませんね。

ただ、これは明確な誤りです。スキームも含めてURLになります。もし、上のような解説を見かけて誰かがそれを見ていたら、「それはちがう」と教えてあげてください。参考までにURLの定義を引用します。URLがスキームとスキームごとのパートからできていることが明白です。

2.1. The main parts of URLs

A full BNF description of the URL syntax is given in Section 5.
In general, URLs are written as follows:
<scheme>:<scheme-specific-part>

RFC1738より抜粋

URIに使ってよい文字、悪い文字

URIには使ってよい文字と悪い文字があります。例えば「:」や「/」はURLの区切りに使うものですので使えません英数字は使えますが、そのままでは漢字などは使えません。ブラウザによってはアドレス欄に日本語を表示しますが、ユーザの利便性のためにそのように表示してくれているだけです。そのような文字はどうするかと言えば「%XX」という表現に置き換えます。例えば「https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E6%A1%9C」です。

また、当初長さについては決まっていませんでしたが、今は最大255文字と決まっています。これは上のような「%XX」というものを含めたものです。上のURLならば75文字とカウントします。

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一般的に使うのはURL、URNやURIは存在だけ記憶の片隅に

URLはWebアドレスなど、場所を示すための統一ルールであり、そのルールで書かれた実際の場所のことです。また、同様に名前を示す統一ルールがURNになります。その2つを合わせたものの総称がURIです。

ただ、URNを見る機会は少ないでしょう。30年Webやプログラミングに関わっていても、URNを扱ったことはありません。URNを見かけない以上、URLとURNの総称であるURIのなじみが薄いのも当然。専門職の方でもなければ使う機会もないので、そういうものだという雑学知識だけあれば十分です。

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IT・プログラミング雑学

URLとURIの違いとは?アドレス?識別子?定義から意味までプログラマーがわかりやすく解説

ブラウザでWebにアクセスするときにWebアドレスを使うよな。あれをURLと呼ぶそうですが、URIというものもあるらしいのです。そもそも何が違うのでしょうか。WebのアドレスなのだからWebアドレスでよいのに、なぜURLという呼び方があるのか疑問に思わないか?URIやURLは何のためにあり、実際は何であるかを、その由来から豆知識までWebに30年関わってきたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

URLは住所?URIは識別子?その意味と違いとは

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みなさんがWebにアクセスするとき、どのようにして目的のホームページを呼び出しますか?今はブラウザのアドレスバーに会社名や商品名を入力して検索することも多いですね。

しかし、パンフレットや名刺、雑誌や新聞にもまだまだWebアドレスが掲載されています。また、Webページにメールアドレスが書いてあり、クリックするとメールアプリが起動したりしますよね。このWebアドレスやメールアドレスのことをURLと呼びます。

このURLとは別にURIというものがあることをご存知の方もいるでしょう。名前もとても似ていますし、何が違うのでしょう。ざっくり言うとURLはURIというものの仲間の一つです。まずはURLとURIが何であるかを見ていきます。

URL:バラバラの住所表記を統一したもの

URLの代表的なものがWebアドレスです。ここであれば「https://study-z.net/」というものになります。ただ、Webアドレス=URLではありませんWebアドレスはURLというものの種類の一つになります。

URLとは「Uniform Resource Locator」の頭文字をとったものです。日本語にすると「統一資源位置指定子」という難しい呼び方をします。もう少しわかりやすく書くと「何かの情報やものの場所を統一的に表現したもの」です。この「統一的に」がキモになります。

例えば、日本の住所は都道府県があり、市区町村名があり、町名があって、番地となってますよね。行ったことがない土地でも住所を頼りになんとなくたどり着けます。統一ルールがあるからWebで迷子にならないわけです。

URI:URLなどをまとめた総称

URLは場所を指す統一ルールですが、実は名前を指す統一ルールもあります。それがURN(Uniform Resource Name)です。ただ、このURNは普通に生活している中ではあまり出会いません

例えば、本や雑誌にISBNコードというものがあることをご存知の方もいるでしょう。これを「urn:ISBN:XXXXXXXXXX」と表現します。これは「ISBN:XXXXXXXXXX」を持つ本のことであるというのがルールで決まっているのです。

このURNとURLをまとめたものがURI。「Uniform Resource Indicator」の頭文字です。お笑い芸人のコンビ名がURI、そのメンバーがURLとURIと思うとわかりやすいでしょうか。お笑い芸人でもソロ活動が多く、相方の存在やコンビ名が忘れられてしまっている人もいるように、URLは有名ですがURNやURIはあまり知られていないのです。

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