今回は赤魚について学んでいきます。よくスーパーで粕漬けになって売られている魚です。赤魚というのは正式名称ではなく、流通上の総称にすぎない。では本当は何という魚なのか?赤魚の特徴や栄養と効能について、現役料理人ライターのテルトラと一緒に解説していきます。

ライター/テルトラ

経験15年の現役料理人。和食を中心にさまざまな業態で多くの食材にふれてきた。得意分野は魚料理。

赤魚ってどんな魚?

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赤魚(あかうお)とは正式名称や学名ではなく、皮が赤い魚の総称です。おもな種類はメバルの近縁種であるアコウダイ(赤魚鯛)、アラスカメヌケ、チヒロアカウオ、モトアカウオなど。赤魚には深海魚が多く、水圧の急激な変化で目が抜け出るためメヌケとも呼ばれます。

赤魚の特徴

現在スーパーで見かける赤魚は、下記の2種類がメインです。

・アラスカメヌケ‥アメリカ産・ロシア産など
・モトアカウオ‥グリーンランド産・スペイン産・カナダ産・アイスランド産など

ほぼ輸入で値段も安く、冷凍物の切り身・粕漬けや干物などの加工品が多くを占めます。国産赤魚の代表格といえば、日本近海で獲れるアコウダイです。古くから大衆魚として知られ、アコウダイの煮付けは食卓の人気メニューでした。近年は漁獲量の減少にともない値段が高騰し、料亭などで高級魚として扱われています。

赤魚がダイエットや筋トレにおすすめなのはなぜ?

赤魚がダイエットや筋トレにおすすめなのは高タンパク質で低カロリーな上、低糖質だからです。赤魚は筋肉の材料となるタンパク質が豊富で、脂質や糖質が少ない食材なんですよ。特に糖質の低さは驚異的で、ダイエットや筋トレに適しています。

アラスカメヌケ100gあたり
・エネルギー:105kcal
・タンパク質:17.2g
・脂質:3.4g
・糖質:0.1g

サラダチキン100gあたり
・エネルギー:113kcal
・タンパク質:21.48g
・脂質:1.47g
・糖質:2.11g

ムニエルや煮付けなど、調理法によってはカロリーと糖質の摂取量が増えます。ダイエット目的で赤魚を調理する場合は、シンプルな焼き物がおすすめです。

赤魚の塩焼き
・エネルギー:101kcal
・糖質:0.1g
赤魚の粕漬け
・エネルギー:100kcal
・糖質:1.8g
赤魚の煮付け
・エネルギー:104kcal
・糖質:7.7g

赤魚はどんな味?

赤魚は皮が赤いだけで、味や食感は白身魚に近いです。淡泊でクセがなく、加熱しても硬くならないのでふっくらと仕上がります。身離れがよく食べやすいため、給食や病院食にも使われる食材です。魚の種類によって身質が多少違います。

・アラスカメヌケ‥皮がしっかりしていて加熱すると身が締まる
・モトアカウオ‥皮も身もやわらかく加熱すると崩れやすい

赤魚の栄養素と効能は?

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赤魚はタンパク質以外にも、優れた栄養素が豊富です。その中から下記4つの成分について、詳しく解説します。

・DNA・EPA
・レチノール
・ビタミンD
・ビタミンB12

食べ物から摂取するしかない成分や、野菜にはほとんど含まれない成分もあります。

\次のページで「1.免疫反応を調整するDHA・EPA」を解説!/

1.免疫反応を調整するDHA・EPA

DHA・EPAは体内では作れない必須脂肪酸のひとつで、食品からの摂取が必要不可欠です。体の免疫反応を調整してアレルギー疾患や高血圧などを予防・改善する働きがあります。

DHA(ドコサヘキサエン酸)の効能は脳の情報伝達をスムーズにして、記憶力や認知機能にいい影響を与えることです。EPA(エイコサペンタエン酸)は生活習慣病の改善に役立つ成分として、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品に含まれています。

2.目や肌を健康に保つレチノール

レチノールのおもな効能は、目の機能維持と皮膚や粘膜を正常に保つことです。暗闇で視力を確保したり、感染症に対する防御や病原体への抵抗力を高めたりします。欧米ではスキンケア商品にも使われ、最近は日本でも美肌効果が注目されている成分です。

レチノールを含むビタミンAは、通常の食生活ならほぼ不足しません。肉や魚から摂取できるだけでなく、緑黄色野菜に含まれるベータカロテンが体内でビタミンAに変換されるからです。とくに人参はベータカロテンを豊富に含んでいます。

3.骨を丈夫にするビタミンD

ビタミンDの効能は、カルシウムの吸収を助け骨の成長を促進させることです。血中カルシウム濃度を調整して、健康で丈夫な骨や歯を作ります。もう一つの効能は、免疫機能の向上です。細菌やウイルスに対して、必要な免疫機能の働きを助けます。風邪やインフルエンザなどの感染症予防に効果的な栄養素です。

4.貧血予防に役立つビタミンB12

ビタミンB12の効能は、赤血球の生成やDNAの合成です。神経機能を正常に維持・回復するので、睡眠を促す効果があります。微生物の働きによって合成されるため、植物性食品にはほぼ含まれません。赤血球が不足すると、貧血を起こしやすくなります。

赤魚を食べるときの注意点は?

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魚介類である赤魚を食べるときは、次の3つに注意しましょう。

・食中毒
アレルギー
・妊娠中・離乳食

アレルギー体質は個人差があるため、疑わしい場合は食べないことをおすすめします。食中毒や妊娠中の摂取・離乳食に関しては、正しく対処すれば問題ありません。

\次のページで「赤魚の食中毒」を解説!/

赤魚の食中毒

赤魚の食中毒で考えられる原因は2つです。

・ヒスタミン食中毒‥舌がピリピリする・口や耳たぶの赤み・じんましん・頭痛・嘔吐・下痢
アニサキス症‥みぞおちの激しい痛み・嘔吐・下腹部痛

ヒスタミンは1時間以内、アニサキスは数時間から数日後に症状が出ます。ヒスタミン中毒の予防対策は、低温で保存し早めに食べることです。ヒスタミンは一度生成されると加熱調理でも分解できません。すぐに食べる予定がない場合は、冷凍品を購入しましょう。解凍時も冷蔵庫か流水に当てて、低温をキープします。

アニサキス予防は、60℃で1分以上加熱するか-20℃で24時間以上冷凍するのが効果的です。料理人がしめ鯖を作るときも、よほど新鮮でない限り業務用冷凍庫(-20℃〜-30℃)で丸一日寝かせます。

アレルギー症状が出ることも

魚介類のアレルギー症状は、口腔内(口から喉までの空洞部分)の違和感やじんましんなどです。魚介アレルギーは改善しにくく、アレルギーの原因物質(アレルゲン)はほぼすべての魚に含まれています。アラスカメヌケでアレルギー症状が出れば、モトアカウオでも出る可能性が高いです。赤魚には確実な検査方法がないため、アレルギー症状が連続する場合は食べるのを止めましょう。

妊婦さんや赤ちゃんは食べても大丈夫?

妊娠中は食べる量に気を付けましょう。赤魚に限らず、海水魚は水銀を含んでいるからです。自然界にもともと存在するもので、食物連鎖によって体内に取り込まれます。水銀の過剰摂取は、胎児に悪影響です。目安は1週間に約160g(およそ2切れ)まで。赤魚は水銀の含有量が少ないので、大量に食べなければ気にしすぎる必要はありません。

赤魚は離乳食に適した食材で、初期段階から使えます。低脂質なうえに、身離れがよくて食べやすいからです。硬い皮や骨は丁寧に取り除き、しっかり加熱しましょう。身がパサついてもおかゆやとろみ付けなどで、滑らかにすれば食べやすくなります。

栄養豊富で体にいい赤魚を食べよう

赤魚の特徴や栄養と効能について、いろいろわかりました。赤魚は栄養価が高く、ダイエットや筋トレに効果的な食材です。アカウオとは正式名称ではなく皮が赤い魚の総称で、アラスカメヌケやモトアカウオがおもに流通しています。

クセのない味で身離れがよく、妊娠中の食事や離乳食にもおすすめです。値段も手頃なうえに、冷凍品なら長期保存できます。美味しくて栄養満点の赤魚を、食事のレパートリーに加えてみましょう。

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家庭科

赤魚はダイエットや筋トレにおすすめ?栄養や効果効能も現役料理人がわかりやすく解説

今回は赤魚について学んでいきます。よくスーパーで粕漬けになって売られている魚です。赤魚というのは正式名称ではなく、流通上の総称にすぎない。では本当は何という魚なのか?赤魚の特徴や栄養と効能について、現役料理人ライターのテルトラと一緒に解説していきます。

ライター/テルトラ

経験15年の現役料理人。和食を中心にさまざまな業態で多くの食材にふれてきた。得意分野は魚料理。

赤魚ってどんな魚?

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赤魚(あかうお)とは正式名称や学名ではなく、皮が赤い魚の総称です。おもな種類はメバルの近縁種であるアコウダイ(赤魚鯛)、アラスカメヌケ、チヒロアカウオ、モトアカウオなど。赤魚には深海魚が多く、水圧の急激な変化で目が抜け出るためメヌケとも呼ばれます。

赤魚の特徴

現在スーパーで見かける赤魚は、下記の2種類がメインです。

・アラスカメヌケ‥アメリカ産・ロシア産など
・モトアカウオ‥グリーンランド産・スペイン産・カナダ産・アイスランド産など

ほぼ輸入で値段も安く、冷凍物の切り身・粕漬けや干物などの加工品が多くを占めます。国産赤魚の代表格といえば、日本近海で獲れるアコウダイです。古くから大衆魚として知られ、アコウダイの煮付けは食卓の人気メニューでした。近年は漁獲量の減少にともない値段が高騰し、料亭などで高級魚として扱われています。

赤魚がダイエットや筋トレにおすすめなのはなぜ?

赤魚がダイエットや筋トレにおすすめなのは高タンパク質で低カロリーな上、低糖質だからです。赤魚は筋肉の材料となるタンパク質が豊富で、脂質や糖質が少ない食材なんですよ。特に糖質の低さは驚異的で、ダイエットや筋トレに適しています。

アラスカメヌケ100gあたり
・エネルギー:105kcal
・タンパク質:17.2g
・脂質:3.4g
・糖質:0.1g

サラダチキン100gあたり
・エネルギー:113kcal
・タンパク質:21.48g
・脂質:1.47g
・糖質:2.11g

ムニエルや煮付けなど、調理法によってはカロリーと糖質の摂取量が増えます。ダイエット目的で赤魚を調理する場合は、シンプルな焼き物がおすすめです。

赤魚の塩焼き
・エネルギー:101kcal
・糖質:0.1g
赤魚の粕漬け
・エネルギー:100kcal
・糖質:1.8g
赤魚の煮付け
・エネルギー:104kcal
・糖質:7.7g

赤魚はどんな味?

赤魚は皮が赤いだけで、味や食感は白身魚に近いです。淡泊でクセがなく、加熱しても硬くならないのでふっくらと仕上がります。身離れがよく食べやすいため、給食や病院食にも使われる食材です。魚の種類によって身質が多少違います。

・アラスカメヌケ‥皮がしっかりしていて加熱すると身が締まる
・モトアカウオ‥皮も身もやわらかく加熱すると崩れやすい

赤魚の栄養素と効能は?

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赤魚はタンパク質以外にも、優れた栄養素が豊富です。その中から下記4つの成分について、詳しく解説します。

・DNA・EPA
・レチノール
・ビタミンD
・ビタミンB12

食べ物から摂取するしかない成分や、野菜にはほとんど含まれない成分もあります。

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