今回はくるみの食べ方に注目していきます。そのまま食べることも多いくるみですが、昔から料理や菓子の材料として使われてきて、今でも郷土料理として食べられていることも多いようです。品質をなるべく落とさず保存する方法や食べる時の注意点や下処理の過程も合わせて、10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。くるみの保存に失敗して酸化させてしまい味の劣化を経験したことがあるため、保存方法は調査済み。過去の失敗と長らく食育に携わった経験を踏まえて、食に関する知識をわかりやすく発信していく。

くるみの下処理方法は?

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くるみがどのように木になっているか知っていますか?市販のくるみは中身が取りだされているので、想像しづらいかもしれませんね。どのような処理を経て私たちのよく知るナッツとして販売されているのか、収穫時の状態から追ってみましょう。

実の中に実が入っている!?

くるみといえばコロンとした硬い殻を思い浮かべるかもしれませんが、この殻の状態で木になっているわけではありません。私たちがくるみの殻と呼ぶ部分は内果皮といい、さらに外果皮という皮で二重に包まれています。若いくるみは硬く緑色の外果皮に包まれて木になっているのを見ることができますよ。

熟すと黒くなって地面に落ち、外果皮がむきやすくなって、中から私たちのイメージするくるみの殻=内果皮に包まれたくるみを取りだすことができます。実の中に実が入っているイメージですね。また、殻の中に入っているくるみの可食部分は「仁(じん)」と呼ばれます

殻の処理をして仁を出す

くるみは非常にアクが強いため、外果皮を外して内果皮を取り出す作業は手袋をしないと手がベタベタになってしまいます。取り出した殻付きくるみは洗って天日干しをし、よく乾かしてから中身(仁)を取り出す作業が行われますよ。硬い殻は、殻ごと乾煎りしたり水につけたりすることで割りやすくなります。

くるみ割り器やハンマー・ペンチなどで内果皮を割って、仁を目打ちなどのとがった道具でほじくりだせば、ようやく私たちのよく知るくるみのお目見えです。

生で食べてもローストしてもOK

取り出したくるみはそのまま食べることも、フライパンでお好みの具合に炒ったりオーブンで焼いたりしてローストして食べることもできます。炒ったくるみは香ばしさや食感が増すので、自分好みの加減にできるのは自分で下処理をする醍醐味とも言えるでしょう。生のくるみは本来の甘みを味わうことができ、食感はしっとりとしていて柔らかいと言われます。

くるみはどんな風に食べられる?

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ローストしてそのまま食べられることが多いくるみですが、カリカリとした食感のアクセントを加えたりまったりとしたコクや独特の風味を加えるために料理に使われることもあります。くるみ料理の一部をみてみましょう。

1.くるみ雑煮

根菜類や焼き豆腐をしょうゆベースの出汁で煮て、焼いた角もちを入れてお雑煮を作る…とここまではよくあるお雑煮なのですが、くるみをすって砂糖と塩を混ぜたくるみだれを別皿に用意し、たれに付けながらいただくのがくるみ雑煮の大きな特徴。お正月や結婚式などのハレの日に食べられる特別な料理とされています。

2.くるみだれ・くるみ味噌

すりつぶしたくるみに砂糖と醤油や味噌を混ぜたコクのあるタレです。お餅に絡めたり、野菜と和えたり、しゃぶしゃぶの付けだれにも使われます。

\次のページで「3.まめぶ汁」を解説!/

3.まめぶ汁

まめぶ汁は野菜や焼き豆腐、キノコなどが入った具だくさんの醤油味の汁物。しょっぱい汁の中に小麦粉とくるみと黒砂糖で作った甘い団子がコロコロと入っています

個性的な岩手県の郷土料理で、とあるテレビドラマに登場したことで一躍有名にもなりました。くるみで作られた団子がまめぶと呼ばれる食べ物で、丸いまり麩に似ているからという説や「まめに健康に暮らせるように」という言われを由来とする説があります。

4.くるみゆべし

ゆべし(柚餅子)はもともとは柚子を使ったお菓子の一種のことですが、くるみゆべしには柚子は使われず、たっぷりのくるみともち米・味付けにしょうゆを用いる甘じょっぱい餅菓子です。柚子が手に入らなかった東北地方で代わりにくるみを使って作りはじめたことがはじまりと言われています。

くるみの保存の仕方は?

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市販のローストくるみは大容量で買う方がお買い得な場合が多いのですが、加熱したくるみはより酸化しやすく、品質が落ちやすいので正しく保存することが必要です。保存のポイントは高温多湿を避けることと、空気にできるだけ触れさせないこと。数回で食べられる分、できれば1食分に小分けしてジッパー付きの袋に入れて空気を抜いて口をしめます。

この状態で冷蔵保存では半年ほど、冷凍では1年ほど持つとされていますが、冷蔵庫の開け閉めによる庫内の温度変化などに少なからず影響を受けてしまうので、できるだけ早く食べきるのがよいでしょう。

くるみを食べる時の注意点

最後に、くるみの品質劣化やアレルギーなどにも注目して食べる時の注意点を確認していきましょう。

その1.カロリー過多になりやすい

くるみは100gで716kcalにもなってしまう高カロリーな食品です。くるみ1食分は15~20gとも、粒にするとたった7粒程度とも言われます。実際に食べてみるとあっという間に食べ終わってしまう量で、かみしめるほどに味わいもあるのでもうひとつ、とつい手を伸ばしていると100gはぺろりと食べてしまえる量ですよ。

食べる時はきちんと量を計って小皿などに出し、くれぐれも食べ過ぎないよう気を付けてください。

\次のページで「その2.品質の劣化を見逃さない」を解説!/

その2.品質の劣化を見逃さない

くるみは非常に脂質が多く、脂肪分は酸化しやすいという性質があります。酸化した油は油くさくなったりペンキのようなにおいに例えられたりもしますよ。味も落ちてしまいますし健康に害を与えるため、酸化してしまったくるみは処分しましょう。虫食いがあるもの、全体的に変色していてカビたり腐っている可能性があるものも食べるのはNGです。

その3.くるみアレルギーに注意

これまでは卵や牛乳・小麦などがアレルギー発症の原因の上位でしたが、最近になってくるみアレルギー患者が増えてきていて、10年前に比べると10倍以上に急増しているとも言われます。

健康志向による注目度の高まりによってくるみを食べる人が増加したためとも考えられていて、他のアレルギー症状と同じくかゆみやじんましんなどの皮膚症状・咳・吐気や腹痛・目のかゆみ、重症化すると意識低下や血圧低下などの重篤な症状(アナフィラキシーショック)になるケースもあります

くるみを食生活に取り入れて健康に役立てよう

健康効果に注目が集まったおかげで、今ではくるみはスーパーやドラッグストアでも手に入るようになりました。大容量のものはネット通販で買うのもおすすめですよ。うまく保存すれば比較的長持ちするので、おやつに食べたりいつものヨーグルトにトッピングしたりして食生活に取り入れてみてください。

" /> くるみの下処理やおいしいまま保存できる方法は?おすすめの食べ方や注意点も元保育士がわかりやすく解説 – Study-Z
家庭科

くるみの下処理やおいしいまま保存できる方法は?おすすめの食べ方や注意点も元保育士がわかりやすく解説

今回はくるみの食べ方に注目していきます。そのまま食べることも多いくるみですが、昔から料理や菓子の材料として使われてきて、今でも郷土料理として食べられていることも多いようです。品質をなるべく落とさず保存する方法や食べる時の注意点や下処理の過程も合わせて、10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。くるみの保存に失敗して酸化させてしまい味の劣化を経験したことがあるため、保存方法は調査済み。過去の失敗と長らく食育に携わった経験を踏まえて、食に関する知識をわかりやすく発信していく。

くるみの下処理方法は?

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くるみがどのように木になっているか知っていますか?市販のくるみは中身が取りだされているので、想像しづらいかもしれませんね。どのような処理を経て私たちのよく知るナッツとして販売されているのか、収穫時の状態から追ってみましょう。

実の中に実が入っている!?

くるみといえばコロンとした硬い殻を思い浮かべるかもしれませんが、この殻の状態で木になっているわけではありません。私たちがくるみの殻と呼ぶ部分は内果皮といい、さらに外果皮という皮で二重に包まれています。若いくるみは硬く緑色の外果皮に包まれて木になっているのを見ることができますよ。

熟すと黒くなって地面に落ち、外果皮がむきやすくなって、中から私たちのイメージするくるみの殻=内果皮に包まれたくるみを取りだすことができます。実の中に実が入っているイメージですね。また、殻の中に入っているくるみの可食部分は「仁(じん)」と呼ばれます

殻の処理をして仁を出す

くるみは非常にアクが強いため、外果皮を外して内果皮を取り出す作業は手袋をしないと手がベタベタになってしまいます。取り出した殻付きくるみは洗って天日干しをし、よく乾かしてから中身(仁)を取り出す作業が行われますよ。硬い殻は、殻ごと乾煎りしたり水につけたりすることで割りやすくなります。

くるみ割り器やハンマー・ペンチなどで内果皮を割って、仁を目打ちなどのとがった道具でほじくりだせば、ようやく私たちのよく知るくるみのお目見えです。

生で食べてもローストしてもOK

取り出したくるみはそのまま食べることも、フライパンでお好みの具合に炒ったりオーブンで焼いたりしてローストして食べることもできます。炒ったくるみは香ばしさや食感が増すので、自分好みの加減にできるのは自分で下処理をする醍醐味とも言えるでしょう。生のくるみは本来の甘みを味わうことができ、食感はしっとりとしていて柔らかいと言われます。

くるみはどんな風に食べられる?

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ローストしてそのまま食べられることが多いくるみですが、カリカリとした食感のアクセントを加えたりまったりとしたコクや独特の風味を加えるために料理に使われることもあります。くるみ料理の一部をみてみましょう。

1.くるみ雑煮

根菜類や焼き豆腐をしょうゆベースの出汁で煮て、焼いた角もちを入れてお雑煮を作る…とここまではよくあるお雑煮なのですが、くるみをすって砂糖と塩を混ぜたくるみだれを別皿に用意し、たれに付けながらいただくのがくるみ雑煮の大きな特徴。お正月や結婚式などのハレの日に食べられる特別な料理とされています。

2.くるみだれ・くるみ味噌

すりつぶしたくるみに砂糖と醤油や味噌を混ぜたコクのあるタレです。お餅に絡めたり、野菜と和えたり、しゃぶしゃぶの付けだれにも使われます。

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