今回は牛乳の旬や種類について見ていきます。ひとくくりに牛乳と言ってもスーパーへ行けばその種類の多さに何を選べば良いのか迷うよな。牛乳は成分や殺菌方法で種類が分けられているみたいです。この種類が味や風味に関わってくるからしっかり学んで選ぶ時の参考にしよう。管理栄養士のツキアオイと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/ツキアオイ

1児の母として育児に奮闘中の管理栄養士ライター。ジェラートは必ずミルク味を選ぶほどの牛乳好き。病院や介護施設での経験を活かし、食に関して分かりやすく解説する。

牛乳は季節によって味が違う?

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一年中飲まれている牛乳ですが、季節によって味が変わることは知っていましたか?その味の変化には乳脂肪量が関係しています。夏の牛乳は乳牛が水分をたくさん摂るのでさっぱりした味わい。一方で冬の牛乳は乳牛が脂肪を蓄えようとするので濃厚な味わいなのですよ。

好みにもよりますが、春秋の牛乳は脂肪分のバランスが良いので旬だとする酪農家さんもいます。季節によって変わる牛乳の味わいを楽しんでみてくださいね。

牛乳は6種類に分けられる!

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店頭に多くの種類が並ぶ牛乳ですが、成分によって6種類に分類されています。パッケージをよく見ると異なる表記がされているので、購入する際はよく確認するようにしてくださいね。ここから詳しく見ていきましょう。

1.生乳のみでできている牛乳

正確に言うと「牛乳」と表記できるのは牛の生乳のみでできているものです。水などを加えることは禁じられており、生乳を加熱殺菌してパック詰めします。乳脂肪分や無脂乳固形分の%表示に「以上」と書かれているのは季節によって成分が変動するためですよ。

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2.脂肪分を抑えた低脂肪牛乳

低脂肪牛乳は生乳から乳脂肪分の一部を取り除いて乳脂肪分0.5%以上1.5%以下に調整したものです。

店頭には「低脂肪牛乳」だけでなく「低脂肪乳」と表記されているものもあります。とてもややこしいですよね。この二種類の違いは、「低脂肪牛乳」は原材料が生乳だけなのに対して「低脂肪乳」は生乳に生乳以外の乳製品が加えられています。

3.ほぼ全ての脂肪を取り除いた無脂肪牛乳

生乳から乳脂肪分のほとんどを取り除いて乳脂肪分0.5%未満にしたものを無脂肪牛乳といいます。とてもさっぱりとしていますが牛乳の風味は残っていますよ。牛乳が苦手という人には無脂肪牛乳の方が飲みやすいかもしれませんね。

無脂肪牛乳は危険なのでは?といった疑問もあるようですが、生乳から乳脂肪分を取り除くのは遠心分離法という方法です。遠心力によって比重の重い乳脂肪分を取り除いているのですよ。薬品を使用しているわけではないので安心してくださいね。

4.比較的安価な成分調整牛乳

生乳から水分や乳脂肪分、ミネラルなどの一部を取り除いて成分を調整したものが成分調整牛乳です。低脂肪牛乳と無脂肪牛乳も乳脂肪分を取り除いていますが、この2種類の基準に該当しないものを成分調整牛乳としています。乳脂肪分に限らず、取り除く成分はメーカーによって異なりますよ。

比較的安価で売られている場合が多いのは、取り除いた成分を他の製品に使用することができるから。例えば乳脂肪分を取り除いてバターやチーズといった乳製品に使用されているのですよ。

5.生乳に乳製品を加えた加工乳

加工乳は主原料である生乳に乳製品(バター、クリーム、脱脂粉乳など)を加えたものです。乳製品と水以外に加えることは認められていません。脱脂粉乳を加えてエネルギーを低くしたものやバターを加えて濃厚にしたものなどその製品は多岐にわたりますよ。

6.乳製品以外の材料を加えた乳飲料

乳飲料は主原料の乳製品に牛乳由来以外の成分が加えられています。種類が豊富な乳飲料ですが3つのタイプに分けられていますよ。一つ目はビタミンやミネラルを加えた「栄養強化タイプ」、二つ目はコーヒーや果汁を加えた「嗜好タイプ」、三つ目は乳糖不耐症の方のために乳糖の一部を分解した「乳糖分解タイプ」です。

よりご自分の好みにあったものを見つけやすくなっていますね。

牛乳の主な殺菌方法

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牛乳は加熱して細菌を死滅させることで安全に飲めるよう基準が定められています。日本で行われているのは全て加熱殺菌です。これによってほとんどの細菌を死滅させることができますよ。ここからは3種類の主な殺菌方法について見ていきましょう。

\次のページで「その1.9割を占める超高温瞬間殺菌」を解説!/

その1.9割を占める超高温瞬間殺菌

生乳を120~130度で2~3秒加熱殺菌する方法が超高温瞬間殺菌です。市販の牛乳の9割以上がこの殺菌方法ですよ。低温殺菌に比べて1万倍もの殺菌力があります。このため比較的日持ちしやすいのが特徴です。加熱殺菌することで栄養価に変化はありません。むしろたんぱく質の構造が変化するので消化吸収率が良くなるのですよ。

その2.生乳本来の甘さが味わえる低温殺菌

生乳を63~65度で30分間加熱する方法が低温殺菌です。低温で時間をかけて殺菌することで生乳本来の美味しさを味わうことができますよ。自然の甘味が生かされスッキリとした味わいが特徴です。ただし消費期限は5日程度と短め。コストもかかるため大手メーカーではほとんど使用されていない殺菌方法です。

その3.良いとこ取りの高温短時間殺菌

高温短時間殺菌は生乳を72度以上で15秒以上加熱する殺菌方法です。超高温瞬間殺菌に比べて消費期限は短くなりますが生乳本来の風味が残されていますよ。3種類の殺菌方法の中でたんぱく質の熱変性が一番少ないのが特徴です。このことから欧米では最も優れた殺菌方法として主流になっているのですよ。

日本で飼育されている乳牛の種類

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日本で乳牛として有名なのはホルスタイン種ですよね。乳牛によって生乳の味わいが大きく変わりますよ。世界で乳牛として飼育されている牛は主に6種類です。ここからは日本で主に飼育されている3種類の乳牛について詳しく見ていきましょう。

1.最も多いホルスタイン種

日本の乳牛の99%がホルスタイン種です。世界でも最も多く飼育されていますよ。体が大きく乳量が多いのが特徴です。1頭の牛から1日で約20~30リットルの生乳を作り出します。年間では約6,000~8,000㎏もの生乳が作られるのですよ。性格は優しく、寒さに強く暑さに弱い体質を持っています。乳脂肪率は約3.8%です。

\次のページで「2.乳脂肪分が高いジャージー種」を解説!/

2.乳脂肪分が高いジャージー種

イギリスのジャージー島が原産のジャージー種は淡い褐色をしています。日本ではホルスタイン種の次に飼育量が多い種類です。乳量は年間約4,000㎏とホルスタイン種より少なめですが乳脂肪率が5%と高くコクがあるのが特徴ですよ。暑さには比較的強い体質です。

3.加工乳製品に向いているブラウンスイス種

ブラウンスイス種はその名の通りスイスが原産国です。灰色がかったブラウン色をしていますよ。日本では約1,000頭飼育されています。乳量は年間約4,800㎏で乳脂肪分が4%程度。たんぱく質の含有量が多いのでバターやチーズに向いています。穏やかな性格をしているアルプスの名牛ですよ。

牛乳の種類を知って自分好みのものを選ぼう!

日ごろ何気なく購入していた商品もパッケージをよく見ると「牛乳」ではないかもしれません。最近では消費者の幅広いニーズに合わせて加工乳や成分が調整された牛乳が多く出回っています。ご自分の求めている商品を見つけるためにも、購入する際は原材料や商品名を確認してみてくださいね。希少とされている種類の乳牛や殺菌方法の牛乳を選んでみるのも新しい発見があるかもしれませんよ。

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家庭科

牛乳にも旬があった?成分や殺菌方法の種類も管理栄養士が分かりやすくわかりやすく解説!

その1.9割を占める超高温瞬間殺菌

生乳を120~130度で2~3秒加熱殺菌する方法が超高温瞬間殺菌です。市販の牛乳の9割以上がこの殺菌方法ですよ。低温殺菌に比べて1万倍もの殺菌力があります。このため比較的日持ちしやすいのが特徴です。加熱殺菌することで栄養価に変化はありません。むしろたんぱく質の構造が変化するので消化吸収率が良くなるのですよ。

その2.生乳本来の甘さが味わえる低温殺菌

生乳を63~65度で30分間加熱する方法が低温殺菌です。低温で時間をかけて殺菌することで生乳本来の美味しさを味わうことができますよ。自然の甘味が生かされスッキリとした味わいが特徴です。ただし消費期限は5日程度と短め。コストもかかるため大手メーカーではほとんど使用されていない殺菌方法です。

その3.良いとこ取りの高温短時間殺菌

高温短時間殺菌は生乳を72度以上で15秒以上加熱する殺菌方法です。超高温瞬間殺菌に比べて消費期限は短くなりますが生乳本来の風味が残されていますよ。3種類の殺菌方法の中でたんぱく質の熱変性が一番少ないのが特徴です。このことから欧米では最も優れた殺菌方法として主流になっているのですよ。

日本で飼育されている乳牛の種類

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日本で乳牛として有名なのはホルスタイン種ですよね。乳牛によって生乳の味わいが大きく変わりますよ。世界で乳牛として飼育されている牛は主に6種類です。ここからは日本で主に飼育されている3種類の乳牛について詳しく見ていきましょう。

1.最も多いホルスタイン種

日本の乳牛の99%がホルスタイン種です。世界でも最も多く飼育されていますよ。体が大きく乳量が多いのが特徴です。1頭の牛から1日で約20~30リットルの生乳を作り出します。年間では約6,000~8,000㎏もの生乳が作られるのですよ。性格は優しく、寒さに強く暑さに弱い体質を持っています。乳脂肪率は約3.8%です。

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