この記事では「物の上手」について解説する。

端的に言えば「物の上手」の意味は「芸事の名人」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「物の上手」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「物の上手」の意味をわかりやすく伝える。

「物の上手」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「物の上手」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「物の上手」の意味は?

「物の上手」には、次のような意味があります。

芸能の名人。芸道の達人。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「物の上手

「物の上手」は「もののじょうず」と読み、何かの芸能の物事に優れている人に対して使用する慣用句です。似た慣用句に「好きこそ物の上手なれ」がありますが、こちらは「好きな事にはおのずと熱中できるから、上達が早いものだ。」と必ずしも芸能に限定しているわけではないので、しっかり違いを把握しておきましょう。

「物の上手」の語源は?

次に「物の上手」の語源を確認しておきましょう。「物の上手」の語源は明確ではありませんが、2つの言葉がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認してみます。

まず「物」はここでは「何かの事柄・物事」のことでしょう。次に「上手」は「物事のやり方が巧みで、手際のよいこと。また、そのさまやその人。」という意味ですね。

そのため「物の上手」を丁寧に言いまわすと「何かの事柄・物事のやり方が巧みで手際のよい人」となり、この意味が転じて「芸能の名人」となったと考えられます。

「物の上手」の使い方・例文

「物の上手」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 彼は古語を現代風に解釈して伝えることができる物の上手ですから、収録では何でもご要望の単語を発していただいて構いません。
2. 病人がいて、講演会のこの時間に空きが出てしまったよ。これではサービスとしては不十分だから、誰か物の上手はいないものかね。
3. 芸能ランキングのトップに君臨するのが彼女で、稀代の物の上手と言われているよ。複数のマネジメント会社からもオファーが届いているようだ。

このように「物の上手」は「芸能の名人」に対して使用されていることがわかりますね。基本的には「芸能」や「芸道」を対象に用いることが多い慣用句ですから、他の分野に使う時は注意が必要です。

「物の上手」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「物の上手」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

「達者」:学問や技芸などの道に熟達している人

今回まず最初にご紹介する類義語が「達者」(たっしゃ)です。口語でもよく使用される慣用句ですが、念のため国語辞典で意味を確認しておきましょう。

\次のページで「「潰しが効く」:他の仕事ができる能力がある」を解説!/

1. 学問・技芸などの道に熟達している人。達人。
2. 物事に慣れていて、巧みなさま。
3. からだが丈夫で健康なさま。
4. うまく立ちまわって抜け目のないさま。したたかであるさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「達者

「物の上手」の類義語としては1の意味ですね。ほとんど同じ意味を有していることがわかりますが、違いは「達者」は「学問」や「技芸」(美術・工芸、歌舞・音曲など)に限定していることと言えます。

なお「物の上手」が指す「芸能」は「映画・演劇・落語・歌謡・音楽・舞踊など、主に大衆演芸向けの娯楽の総称。」でもありますし、「学問・芸術・技能などについてのすぐれた能力。」も含んでいますから、非常に幅広いジャンルをカバーしていると覚えておきましょう。

「潰しが効く」:他の仕事ができる能力がある

次にご紹介する類義語が「潰しが効く」(つぶしがきく)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

それまでの仕事をやめても、他の仕事ができる能力がある。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「潰しが効く

「潰しが効く」は優れた能力があるという点では「物の上手」と類似していますが、比較すると「潰しが効く」は「仕事に関連する能力」にジャンルを限定していると共に、「仕事ができる能力」であり必ずしも「名人」や「達人」レベルではないことが違いと言えるでしょう。

なお「潰しが効く」の語源は、「金属製品は溶かして別の物にすることができるところから」と言われています。

「御手の物」:得意とするもの

今回最後にご紹介する類義語が「御手の物」(おてのもの)です。ちゃんと「おてのもの」と読めたでしょうか、こちらも意味を確認しておきましょう。

慣れていてたやすくできる事柄。得意とするもの。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「御手の物

「御手の物」も何かの物事に優れているという点では「物の上手」と類似していますが、「潰しが効く」と同じように必ずしも「名人」や「達人」レベルではないという点が「物の上手」との違いと言えます。

\次のページで「「物の上手」の対義語は?」を解説!/

「物の上手」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

「下手」:中途半端であること

「物の上手」の対義語としては「下手」(へた)が挙げられるでしょう。「中途半端なこと。満足できるような程度でないこと。また、そのさま。」という意味がありますから対義関係にあることがわかりますね。他にもいろいろな意味がありますから、余裕のある方は確認しておくと良いでしょう。

「物の上手」の英訳は?

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最後に、「物の上手」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「master」:名人

「物の上手」を英語で言いまわす場合は「master」が挙げられるでしょう。「名人」「先生」などの意味で使用可能です。以下に例文を見てみましょう。

・He is a master in this field, so you can ask him anything. I think he is also a good teacher, so if you listen carefully and work on it, you will improve.
彼はこの分野の物の上手だから、何でも聞くと良いよ。教え上手でもあると思うから、しっかり聞いて取り組めば上達するよ。

・Don't you think that no matter how masterful he is, he wouldn't talk that way? I can't believe it. I'm going to tell his wife.
いくら物の上手だからといって、あの言い方はないと思わない?信じられない、奥さんに告げ口してしまおうっと。

・To become a master in any field of art, it is important to continue a little bit every day, because if you take a day off, it takes three days to get back on track.
どの分野においても、芸事で物の上手になるには毎日少しずつ続けることが重要なんだ。1日休んだら、元に戻すのは3日かかるからね。

「物の上手」を使いこなそう

この記事では「物の上手」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「物の上手」は何かの芸能の物事に優れている人に対して使用する慣用句でした。ビジネスシーンでも日常生活でも、何かの物事で「物の上手」になろうと思ったら、努力を日々続けていくことが大事ですよ。

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国語言葉の意味

【慣用句】「物の上手」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「物の上手」について解説する。

端的に言えば「物の上手」の意味は「芸事の名人」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「物の上手」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「物の上手」の意味をわかりやすく伝える。

「物の上手」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「物の上手」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「物の上手」の意味は?

「物の上手」には、次のような意味があります。

芸能の名人。芸道の達人。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「物の上手

「物の上手」は「もののじょうず」と読み、何かの芸能の物事に優れている人に対して使用する慣用句です。似た慣用句に「好きこそ物の上手なれ」がありますが、こちらは「好きな事にはおのずと熱中できるから、上達が早いものだ。」と必ずしも芸能に限定しているわけではないので、しっかり違いを把握しておきましょう。

「物の上手」の語源は?

次に「物の上手」の語源を確認しておきましょう。「物の上手」の語源は明確ではありませんが、2つの言葉がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認してみます。

まず「物」はここでは「何かの事柄・物事」のことでしょう。次に「上手」は「物事のやり方が巧みで、手際のよいこと。また、そのさまやその人。」という意味ですね。

そのため「物の上手」を丁寧に言いまわすと「何かの事柄・物事のやり方が巧みで手際のよい人」となり、この意味が転じて「芸能の名人」となったと考えられます。

「物の上手」の使い方・例文

「物の上手」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 彼は古語を現代風に解釈して伝えることができる物の上手ですから、収録では何でもご要望の単語を発していただいて構いません。
2. 病人がいて、講演会のこの時間に空きが出てしまったよ。これではサービスとしては不十分だから、誰か物の上手はいないものかね。
3. 芸能ランキングのトップに君臨するのが彼女で、稀代の物の上手と言われているよ。複数のマネジメント会社からもオファーが届いているようだ。

このように「物の上手」は「芸能の名人」に対して使用されていることがわかりますね。基本的には「芸能」や「芸道」を対象に用いることが多い慣用句ですから、他の分野に使う時は注意が必要です。

「物の上手」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「物の上手」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

「達者」:学問や技芸などの道に熟達している人

今回まず最初にご紹介する類義語が「達者」(たっしゃ)です。口語でもよく使用される慣用句ですが、念のため国語辞典で意味を確認しておきましょう。

\次のページで「「潰しが効く」:他の仕事ができる能力がある」を解説!/

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