
端的に言えば「反りを合わせる」の意味は「誰かと感覚などが合うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「反りを合わせる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち
雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。
「反りを合わせる」の意味は?
「反りを合わせる」には、次のような意味があります。
(刀身と鞘との関係から、「そりが合う」「そりを合わせる」などの形で用いる)人の性向や、世の風潮。また、それとの相性。「上役と反りが合わない」
「世間の―に合わぬことも多い」〈福沢・福翁自伝〉
出典:デジタル大辞泉(小学館)「「反り」4より」
この言葉は、「誰かの考え方や、やり方に沿うようにする」という意味の慣用表現です。「反りが合う」という慣用句があり、それが「合わせる」と変化し「あえてその動作をする」という意味合いになっています。
「反る」は、物が主に後ろ向きに曲がること。背中を後ろに倒すことも「背を反らす」といいますね。その曲がった形と他のものの形がフィットするという意味で、「相性が合っている」というニュアンスになっているのです。
なおまれにある勘違いですが、乗り物の「ソリ」のことではありません。「並んで走る、で相性を意味している?」なんて言われると、ちょっと納得してしまうかも。引っ掛け問題などにも注意してくださいね。
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「反りを合わせる」の語源は?
次に「反りを合わせる」のもとになった「反りが合う」の語源を確認しておきましょう。「反り」は物が後ろに曲がっていることと述べましたが、この場合は特に「刀と鞘(さや)」が語源になっていると言われています。
刀はゲームなどでもお馴染みかもしれませんが、想像がつかない人は画像検索などもしてみましょう。刃の部分が直線ではなく、わずかなカーブをしている、つまり反っているのがわかるはずです。
そして鞘は、その刀を納めるケースのようなもの。当たり前ですが、鞘も刀に合ったカーブをしていなければしっかりとしまうことができませんね。この、形にしっかりフィットしているというニュアンスから、生まれたのがこの言葉なのです。
手作りの刀であればなおさら、その一本に合わせた鞘が必要だったはず。「反りを合わせて」、ぴったり合う感じを想像しながら使ってみてください。
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