この記事では「割を入れる」について解説する。

端的に言えば「割を入れる」の意味は「仲裁者を入れる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「割を入れる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「割を入れる」の意味をわかりやすく伝える。

「割を入れる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「割を入れる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「割を入れる」の意味は?

「割を入れる」には、次のような意味があります。

1. 仲裁者を入れる。
2. 衣服や帯などで、別の布を間に入れて縫い、幅を広げる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「割を入れる

「割を入れる」は「わりをいれる」と読み、何かの物事において揉めたり問題が生じたりした際に仲裁者を入れることを指す慣用句です。上述した2のように、別の布を縫って広げるという意味もありますが、今回は1の意味について解説していきます。

「割を入れる」の語源は?

次に「割を入れる」の語源を確認しておきましょう。「割を入れる」の語源は明確ではありませんが、2つの言葉がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認してみます。

まず「割」はここでは「仲裁」のことですね。「割」そのものに「仲裁」の意味があることをしっかりと覚えておきましょう。次に「入れる」は「間にはさむ」のことです。そのため「割を入れる」を丁寧に言いまわすと「仲裁を間にはさむ」となることがわかりましたね。

「割を入れる」の使い方・例文

「割を入れる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. こんな場所でそんな激しい喧嘩を始められても困ってしまうよ。ちょっと割を入れるから待ってくれるかい。
2. 演奏者と指揮者の解釈が異なったから、演奏会休止のお知らせの準備をしてって聞いたけれど、まず割を入れた方が良いんじゃないだろうか。
3. 日本への輸入制限がずっと続いているのは、諸外国との微妙な関係に起因している。どこか中立な国の割を入れて、関係改善を図る必要がある。

どの例文においても何らかの問題や課題が生じていて、その仲裁を必要としている場面で「割を入れる」が使用されていることがわかりますね。

「割を入れる」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「割を入れる」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

\次のページで「「取り持つ」:両者の間に立ってうまくいくように世話をする」を解説!/

「取り持つ」:両者の間に立ってうまくいくように世話をする

今回最初にご紹介する類義語が「取り持つ」(とりもつ)です。口語でもよく使用される慣用句ですが、念のため国語辞書で意味を確認しておきましょう。

1. 両者の間に立って事がうまくいくように世話をする。仲立ちをする。
2. 相手の気持ちを損ねたり、座がしらけたりしないようにもてなす。
3. 取りしきって事を行う。
4. 手に取って持つ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「取り持つ

「割を入れる」の類義語としては1の意味ですね。ほとんど同じような意味を有していることがわかりますが、比較すると「割を入れる」は「仲裁者を介入させる」というやや客観的な立ち位置の慣用句であるのに対し、「取り持つ」は自らが仲裁するというような主体的なニュアンスであることが違いと言えます。

「渡りを付ける」:話し合いをつける

次にご紹介する類義語が「渡りを付ける」(わたりをつける)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

話し合いをつける。交渉をする。関係をつける。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「渡りを付ける

「渡りを付ける」も「割を入れる」とほとんど同じ意味を有していますが、比較すると「渡りを付ける」もやや主体的なニュアンスであると共に、「話し合い」や「交渉」といった仲裁の仕方についてまで言及している点が違いと言えるでしょう。

「肝煎り」:双方の間を取り持って世話を焼くこと

今回最後にご紹介する類義語が「肝煎り」(きもいり)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

1. 双方の間を取りもって心を砕き世話を焼くこと。また、その人。
2. 江戸幕府の職名。同職中の支配役・世話役。高家肝煎・寄合肝煎など。
3. 江戸時代、村役人をいう。庄屋(しょうや)・名主(なぬし)など。
4. 奉公人・遊女などを周旋すること。また、それを業とする人。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「肝煎り

「割を入れる」の類義語としては1の意味ですね。「肝煎り」も他の類義語と同じで、主体性が強いところが「割を入れる」との違いと言えます。「煎り」はなかなか難しい漢字ですから、しっかり読み書きできるようにしておきましょう。

「割を入れる」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

「そっちのけ」:かまわずにほうっておくこと

「割を入れる」の対義語としては「そっちのけ」が挙げられるでしょう。「かまわずにほうっておくこと。また、そのさま。」という意味ですから、対義関係にあることがわかりますね。

「割を入れる」の英訳は?

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最後に、「割を入れる」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「mediator」:仲裁者

「割を入れる」を英語で言いまわす場合は「mediator」が挙げられるでしょう。「仲裁者」という意味ですから、「have」などと組み合わせて使うと「仲裁者を入れる」とすることができますよ。以下に例文を見てみましょう。

・I wondered why the atmosphere is so cold, it seems the members are fighting over the different direction of the music. It would be better for the future to have an mediator.
なんでこんなに冷たい雰囲気なのかと思ったら、楽曲の方向性の違いでメンバーが喧嘩しているみたいだ。割を入れた方が今後のためにも良いね。

・I thought I had improved the relationship by bringing in an mediator, but now I can hear the piano playing loudly again from the neighbor's house. What was that discussion all about?
割を入れて関係改善したと思ったのだけれど、また隣家からピアノの音ががんがん聞こえてくる。あの話し合いは何だったんだ。

・I wondered what that boss was wrangling about until he brought in an mediator, and he said it was just the use of symbols. I wouldn't want him to spend his time on something stupid.
あの上司が割を入れてまで何を揉めているのかと思ったら、記号の使い方だけだってさ。くだらないことで時間を使ってほしくないよね。

「割を入れる」を使いこなそう

この記事では「割を入れる」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「割を入れる」は何かの物事において揉めたり問題が生じたりした際に仲裁者を入れることを指す慣用句でした。ビジネスシーンでも日常生活でも、何かの物事で揉めた際には当人同士だけでは解決できないこともありますから、そんな時に頼れる中立的な第三者とは普段から付き合っておくと良いでしょうね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「割を入れる」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「割を入れる」について解説する。

端的に言えば「割を入れる」の意味は「仲裁者を入れる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「割を入れる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「割を入れる」の意味をわかりやすく伝える。

「割を入れる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「割を入れる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「割を入れる」の意味は?

「割を入れる」には、次のような意味があります。

1. 仲裁者を入れる。
2. 衣服や帯などで、別の布を間に入れて縫い、幅を広げる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「割を入れる

「割を入れる」は「わりをいれる」と読み、何かの物事において揉めたり問題が生じたりした際に仲裁者を入れることを指す慣用句です。上述した2のように、別の布を縫って広げるという意味もありますが、今回は1の意味について解説していきます。

「割を入れる」の語源は?

次に「割を入れる」の語源を確認しておきましょう。「割を入れる」の語源は明確ではありませんが、2つの言葉がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認してみます。

まず「割」はここでは「仲裁」のことですね。「割」そのものに「仲裁」の意味があることをしっかりと覚えておきましょう。次に「入れる」は「間にはさむ」のことです。そのため「割を入れる」を丁寧に言いまわすと「仲裁を間にはさむ」となることがわかりましたね。

「割を入れる」の使い方・例文

「割を入れる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. こんな場所でそんな激しい喧嘩を始められても困ってしまうよ。ちょっと割を入れるから待ってくれるかい。
2. 演奏者と指揮者の解釈が異なったから、演奏会休止のお知らせの準備をしてって聞いたけれど、まず割を入れた方が良いんじゃないだろうか。
3. 日本への輸入制限がずっと続いているのは、諸外国との微妙な関係に起因している。どこか中立な国の割を入れて、関係改善を図る必要がある。

どの例文においても何らかの問題や課題が生じていて、その仲裁を必要としている場面で「割を入れる」が使用されていることがわかりますね。

「割を入れる」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「割を入れる」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

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