チーズは細かく分類すると1000種類を超えると言われる食品ですが、実際どんなものがあるのかわからないよな。今回は比較的手に入りやすいものに絞って、10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。ブルーチーズやウォッシュチーズをこっそり買っては1人で食べているチーズ好き。長らく食育に携わった経験を踏まえて食に関する知識をわかりやすく発信していく。

チーズの種類は大きく分けて2つ

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チーズの分類の基本はナチュラルチーズとプロセスチーズのたった2種類です。まずはこれさえおさえておけば、お店でチーズを見分けられますよ。さっそく解説していきましょう。

ナチュラルチーズってなに?

ナチュラルには「天然・自然のまま」という意味があり、牛やヤギからしぼったままの状態の乳=生乳(せいにゅう)で作ったチーズのことをナチュラルチーズと言います。原材料は生乳と食塩のみ。乳酸菌や酵素の力で凝固させ、発酵・熟成させて作られていますよ。乳酸菌や酵素・カビなどの微生物が生きているので置いておくと熟成し、時間経過と共に風味が変わっていきます

ナチュラルチーズはさらに7種類に分類されてそれぞれに違う特徴があり、プロセスチーズに比べるとクセの強いチーズ感を楽しめるものも多いのが特徴です。

プロセスチーズとは?

プロセスチーズは、ナチュラルチーズを材料としたチーズです。ナチュラルチーズを溶かして、乳化剤で再び固めるというプロセス(加工)を経ているもので、スライスチーズやキャンディチーズなど日本で販売されている一般的なチーズはプロセスチーズになります。

ナチュラルチーズを溶かしたり殺菌する工程で熱が加えられることで乳酸菌などは死滅しているため、それ以上熟成することはありません。それゆえに品質が安定していて日持ちのするチーズです。

ナチュラルチーズ7種それぞれの特徴は?

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ナチュラルチーズは大きく7種類に分けられています。カタカナが多くて少し尻込みしてしまうかもしれませんが大丈夫。それぞれの特徴が名前になっていますし、具体的な名前を聞けば知っているものもあるかもしれませんよ。好みのチーズを見つける第一歩です。さっそくみていきましょう。

\次のページで「1.クセのないフレッシュチーズ」を解説!/

1.クセのないフレッシュチーズ

フレッシュ=新鮮という意味の通り、熟成させていないチーズです。乳白色で独特の匂いがなく柔らかいのが特徴。温めた生乳に乳酸菌や凝乳酵素を加えて固め、布でこしたり型に入れたりして水分を抜いて作ります。この過程で出てくる水分をホエー(乳清)、ホエーが抜けたチーズの元である豆腐状の固まりをカード(凝乳)と呼びますよ。

お菓子作りでよく使われるマスカルポーネ・クリームチーズ・フロマージュ・ブランや、サラダなどに使われるモッツァレッラ・カッテージ・リコッタなどがあります。

2.クリーミーな白カビチーズ

白カビチーズは、チーズの表面に白カビを噴き付けて繁殖させてあります。チーズの外側から内側に向かって熟成が進み、タンパク質を分解してアミノ酸にすることによって旨味が作られるのです。熟成が進むにつれて中身はとろりと柔らかくなり、チーズ独特のにおいも増していきますよ。白カビタイプには国産メーカーの市販品も多いカマンベールや、チーズの王様とも呼ばれるフランスのブリーなどがあります。

また、缶や容器に詰められて加熱殺菌された白カビチーズもあります。ロングライフタイプと呼ばれ、熟成が止まっているため日持ちがして、食べごろが長く続きますよ。

3.通好みのウォッシュチーズ

ウォッシュチーズは外皮がオレンジ色や赤茶色をしているチーズです。チーズの表面にリネンス菌という納豆菌と同じ種類の菌をつけて繁殖させ、塩水やワインなどその土地のお酒を含んだ布などで定期的に表面を洗いながら(拭うイメージ)菌の量を調整して熟成させます

外皮は熟成によって強い匂いを発するため避けて食べることもありますが、中身はまろやかで風味豊かな味わいが楽しめますよ。ウォッシュチーズの代表格エポワス、塩水で洗った比較的食べやすいマンステールタレッジョという種類があります。

4.個性派シェーブルチーズ

シェーブルとはフランス語でヤギのこと。つまりヤギの生乳で作られていますヤギのミルクは特有の風味をもつため作られたチーズも個性的な味で、もろくて崩れやすいため小さなピラミッド型や円筒形に成形されるのが特徴。白カビで熟成させるものや、酸味を和らげるために木炭粉をまぶしたものがありますよ。

人気の高いクロタン・ド・シャヴィニョル、最高傑作のひとつとも名高いセル・シュール・シェール、ピラミッドのてっぺんを削ったような形のヴァランセなどがあります。

5.刺激の強いブルーチーズ

ブルーチーズの材料は牛やヒツジの生乳。そして名前のブルーの由来ともなる青カビです。チーズを作る工程の中で青カビを入れて成型し、チーズの内部で青カビを繁殖させることでタンパク質を分解させてうまみ味を作りだします

見た目はよく「大理石のよう」「マーブル模様」ときれいな表現をされますが、驚くほど青カビが生えているチーズなので気持ち悪いと思ってしまう方もいるかもしれません。味も塩気が強くピリッとした刺激を感じるため好き嫌いが分かれますが、好みの人にはたまらない逸品です。

世界三大ブルーチーズと呼ばれるゴルゴンゾーラ・ロックフォール・スティルトンなどがありますよ。

6.初心者におすすめのセミハードチーズ

セミハードチーズはチーズを作る過程で圧力をかけて全体の水分量を38〜46%に調整したやや硬めのチーズで、半硬質チーズとも呼ばれます。食感はしっとり・むっちりという表現に近く、乳酸菌の力で短いものでも3〜6ヶ月、中には1年以上の長い時間をかけて熟成される種類もありますよ。

熟成がゆっくり進むため食べ頃で保存できる期間が長い・味にクセがなく食べやすい・加熱すると溶けるので料理にも使える等の特徴があるため、市販のプロセスチーズと大差なく食べることができるでしょう。ゴーダチーズがセミハードタイプの代表格です。

\次のページで「7.実は身近?ハードチーズ」を解説!/

7.実は身近?ハードチーズ

ハードチーズはセミハードタイプよりさらに水分量を少なく、38%以下にまで抜いて作ったチーズ。硬質チーズとも呼ばれ、セミハードタイプとの違いは水分量なのですが、チーズの材料を加熱して水分を絞りやすくするという工程の違いがポイントです。熟成期間が長いので濃厚なうま味があり、非常に硬いため薄くスライスしたりおろし金ですりおろして料理に使ったりして食べます

チェダーチーズや、日本ではパルメザンチーズでおなじみのパルミジャーノレッジャーノラクレットが代表的。また、絵本やアニメでネズミが好む様子が描かれる穴の空いた黄色いチーズは、エメンタールというハードチーズです。

カビを食べて大丈夫なの?と思われるかもしれませんがご安心を。カビには有毒性と無毒性のものがあって、チーズに使われるカビは無毒性です。タンパク質や脂肪を分解してチーズの食感や香りを変化させ、うま味を作るのに一役かっていますよ。しかし、白カビチーズ・青カビチーズ以外に白や青・黒・ピンク色のカビが生えていたら絶対に食べないようにしてくださいね!

おいしく食べられるチーズの選び方・買い方

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ここでは、特にナチュラルチーズを購入してみようと考えている方向けの選び方と買い方を紹介します。

自分の好みのタイプから食べてみて

市販のプロセスチーズを食べ慣れている人がウォッシュや青カビのチーズを食べると、においやクセの強さで抵抗感を持ってしまうかも。初めは食べやすいフレッシュタイプやセミハード、白カビタイプに挑戦してみるとよいでしょう。ウォッシュや青カビタイプにはクリーミーでまろやかな味わいのものもあるので、初めて挑戦する方にはそちらもおすすめです。

チーズはどこで買えるの?

国産のプロセスチーズやロングライフタイプのカマンベールチーズなどはスーパーなどでも手に入りやすいのですが、ナチュラルチーズはオンラインショップを利用したり、デパートの中などにあるチーズの専門店を探したりする必要があるでしょう。実店舗では実物を見ることができるうえお店の方が相談にのってくれますよ。機会があれば覗いてみるだけでも珍しいチーズにお目にかかれるかもしれません。

\次のページで「チーズの世界は奥深い!」を解説!/

チーズの世界は奥深い!

特にナチュラルチーズには各国や土地ごとの特徴をもった様々なチーズがあります。チーズ大国とも呼ばれるフランスでは、なんと1つの村に特有のチーズが1つあると言われていますよ。名前はたくさんありますが分類は今回紹介した通り7種類なので、参考にしてくださいね。

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家庭科

チーズにはどんな種類がある?初心者はどう選べばよい?購入場所も元保育士がわかりやすく解説

チーズは細かく分類すると1000種類を超えると言われる食品ですが、実際どんなものがあるのかわからないよな。今回は比較的手に入りやすいものに絞って、10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。ブルーチーズやウォッシュチーズをこっそり買っては1人で食べているチーズ好き。長らく食育に携わった経験を踏まえて食に関する知識をわかりやすく発信していく。

チーズの種類は大きく分けて2つ

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チーズの分類の基本はナチュラルチーズとプロセスチーズのたった2種類です。まずはこれさえおさえておけば、お店でチーズを見分けられますよ。さっそく解説していきましょう。

ナチュラルチーズってなに?

ナチュラルには「天然・自然のまま」という意味があり、牛やヤギからしぼったままの状態の乳=生乳(せいにゅう)で作ったチーズのことをナチュラルチーズと言います。原材料は生乳と食塩のみ。乳酸菌や酵素の力で凝固させ、発酵・熟成させて作られていますよ。乳酸菌や酵素・カビなどの微生物が生きているので置いておくと熟成し、時間経過と共に風味が変わっていきます

ナチュラルチーズはさらに7種類に分類されてそれぞれに違う特徴があり、プロセスチーズに比べるとクセの強いチーズ感を楽しめるものも多いのが特徴です。

プロセスチーズとは?

プロセスチーズは、ナチュラルチーズを材料としたチーズです。ナチュラルチーズを溶かして、乳化剤で再び固めるというプロセス(加工)を経ているもので、スライスチーズやキャンディチーズなど日本で販売されている一般的なチーズはプロセスチーズになります。

ナチュラルチーズを溶かしたり殺菌する工程で熱が加えられることで乳酸菌などは死滅しているため、それ以上熟成することはありません。それゆえに品質が安定していて日持ちのするチーズです。

ナチュラルチーズ7種それぞれの特徴は?

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ナチュラルチーズは大きく7種類に分けられています。カタカナが多くて少し尻込みしてしまうかもしれませんが大丈夫。それぞれの特徴が名前になっていますし、具体的な名前を聞けば知っているものもあるかもしれませんよ。好みのチーズを見つける第一歩です。さっそくみていきましょう。

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