今回は俺たちの食生活になじみ深い加工食品、チーズの特徴や栄養についてみていこう。調べてみると意外にもチーズの歴史は古く、昔から栄養豊富な食材として重宝されていたようです。チーズを食べることによって得られる健康効果やダイエットなどへの影響も含めて、10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。子どもの頃から種類を問わずチーズが大好き。自分へのごほうびにナチュラルチーズを買うのが楽しみ。長らく食育に携わった経験を踏まえて食に関する知識をわかりやすく発信していく。

チーズの特徴と歴史

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チーズが乳製品であることは広く知られているかもしれませんね。では、チーズの原材料は何でしょうか?牛乳と答えられればほぼ正解ですが、ここではチーズの材料や特徴・歴史についてもっと掘り下げていきますよ。

チーズは生乳の加工品

生乳(せいにゅう)は、動物から搾乳(さくにゅう=乳をしぼること)されたままの状態の乳のことを言います。チーズは生乳から作られる乳製品です。わざわざ生乳の加工品と言うのは、チーズの材料が牛の乳だけではないことを示しています。乳牛の他にも水牛・ヤギ・ヒツジなどの生乳がチーズの材料として使われますよ。

チーズの歴史は?日本に伝わったのはいつ?

チーズの起源は紀元前3500年頃のチグリス・ユーフラテス川付近のメソポタミア地域(現在のイラク・シリアの辺り)という説が有力で、チーズは世界最古の加工食品とも言われています。生乳が自然界の酵素のはたらきでチーズ状になったものが発見されたことをはじまりとし、主に西のヨーロッパに広まっていきました。

日本に最初にチーズが伝えられたのは飛鳥時代。それは「蘇(そ)」と呼ばれ、詳しい文献が残っていないものの牛の乳をじっくりと煮詰めたおいしい食品として天皇や貴族などの身分の高い人のごちそうでした。また、蘇を熟成させた「醍醐(だいご)」という食べ物もあったようです。

\次のページで「1000種類以上もあるチーズの名前」を解説!/

チーズの発見は、仔牛や仔羊の胃袋を水筒にして乳を持ち運んでいるうちに乳の水分が分離し、中に黄色っぽい固まりが残っていたのを偶然見つけたことによるとされています。なぜ分離したのかというと、哺乳類の胃には乳のタンパク質を固める成分が含まれているためです。この成分は凝乳酵素(レンネット)といい、今でもチーズ作りに使われている成分ですよ。

1000種類以上もあるチーズの名前

メソポタミア地域から西へ、そしてアジアへも広がっていったチーズは各地域で手に入る材料や風土に合った加工法が取り入れられて、その土地独特のチーズが次々に生み出されました。チーズの名前には作られた村や地域などの産地由来のもの、形や色などの見た目由来のもの、作り方の特徴由来のものがあり様々ですが、細かく分類すると実に1000種類以上にもなると言われていますよ。

チーズの栄養素にはどんなものがある?

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チーズの材料は牛やヤギなどの生乳でしたね。本来、動物の乳は赤ちゃんを育てるための大事なもの。哺乳類の赤ちゃんはしばらくは乳だけで大きくなるだけあって、栄養がたっぷり含まれているはずです。さっそく見ていきましょう。

その1.高タンパク質な食品

チーズは牛乳と同じく、アミノ酸バランスが良い良質なタンパク質を含んでいます。タンパク質は筋肉や皮膚や髪など私たちの身体を構成する組織の他にも、ホルモンや免疫物質の材料にもなるので積極的に摂りたい栄養ですよ。また、チーズのタンパク質は酵素や乳酸菌の働きで牛乳よりも消化吸収がよいとされています。

その2.カルシウムが豊富

チーズにはカルシウムがとても豊富。一日のカルシウム必要量は成人で約650~800㎎(年齢・性別による)とされていますが、市販のプロセスチーズ1個(約18g)を食べれば約104㎎もとれてしまいます。タンパク質と一緒に存在するため、小魚のカルシウムに比べて吸収率が高いのもポイントです。

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その3.バランスのよいビタミンとミネラル

チーズはビタミンA・B2など、ビタミンC以外のビタミンと、カルシウムをはじめとしてリン・鉄・ナトリウム・カリウムなどのミネラルをバランスよく含んでいます。チーズ100gには生乳1リットル分の栄養が凝縮されているので、少量食べるだけでも健康効果が期待できますよ。

気になる塩分やカロリーは?

プロセスチーズ100gあたりでは313kcal、脂質は26g。また、一日の塩分必要量6.5~7.5g未満であるのに対してチーズ100gの塩分は2.8㎎です。一般的にはカロリーや脂質・塩分は高めな食材だと言えるでしょう。しかし優秀なタンパク質・カルシウム源でもあるため食べないことにしてしまうにはもったいない食品ですよ。

チーズの健康効果は?ダイエット中に食べてもいい?

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前の章で見てきた栄養素は私たちの健康にどのようなよい効果をもたらすのでしょうか。また、気になるダイエットやトレーニング中の方への影響も確認していきましょう。

良質なカルシウム補給源

チーズはそのまま食べることができて手軽にたっぷりのカルシウムが摂れる食品です。カルシウムは体内で最も量が多いミネラルで骨や歯の成長に欠かせない栄養素ですが、食生活の中で不足しがちとされています。成長期の子どもに十分とってもらいたい栄養ですし、大人でも不足すると骨粗しょう症のリスクが高まるでしょう。特に女性は加齢によって骨密度が低下しやすいため、カルシウムを積極的に補給することが大切です。

カルシウムはビタミンDを含む食品と一緒に摂取すると吸収率がよくなるほか、運動をすると骨への沈着率がよくなると言われています。

チーズは太る?筋トレ中に食べるのはOK?

カロリーや脂質は高めなチーズですが、糖質はほとんど含みません血糖値が上昇しにくい低GI食品で栄養豊富・脂質によって満足感も得られるため、ダイエット中のおやつなどに上手に取り入れたい食品です。

また、タンパク質が豊富なので筋肉を鍛えている人にもおすすめ。チーズのタンパク質はゆっくりと分解されるため、体内のアミノ酸バランスを保って筋肉を作りやすい状態を整えてくれます。手に入れやすく食べやすいのもよいですね。

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牛乳でお腹を壊しやすい方にも

牛乳を飲むとお腹の具合が悪くなる人がいるのは、牛乳に含まれている乳糖を分解するラクターゼという酵素をどれだけ持っているかが人それぞれ違うからです。チーズの原材料は一般的に牛乳ですが、チーズを作る工程の中でおなかをゴロゴロさせる原因である乳糖が1/4~1/5まで減るため、お腹を壊しにくいと言われていますよ。

チーズは手軽に食べられるカルシウム源

チーズは不足しがちなカルシウムが多く含まれていて、吸収率も高いという特徴があります。他の食品に比べて効率よくカルシウムが摂れる食品なので、大人だけでなく成長期のお子さんのおやつにもおすすめですよ。市販のチーズには1ピースごとに個包装されているものや1口サイズのキャンディチーズもあるので、食べやすいものを探してみて下さい。

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家庭科

チーズにはどんな栄養がある?ダイエット効果や塩分量は?特徴・効能も元保育士がわかりやすく解説

今回は俺たちの食生活になじみ深い加工食品、チーズの特徴や栄養についてみていこう。調べてみると意外にもチーズの歴史は古く、昔から栄養豊富な食材として重宝されていたようです。チーズを食べることによって得られる健康効果やダイエットなどへの影響も含めて、10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。子どもの頃から種類を問わずチーズが大好き。自分へのごほうびにナチュラルチーズを買うのが楽しみ。長らく食育に携わった経験を踏まえて食に関する知識をわかりやすく発信していく。

チーズの特徴と歴史

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チーズが乳製品であることは広く知られているかもしれませんね。では、チーズの原材料は何でしょうか?牛乳と答えられればほぼ正解ですが、ここではチーズの材料や特徴・歴史についてもっと掘り下げていきますよ。

チーズは生乳の加工品

生乳(せいにゅう)は、動物から搾乳(さくにゅう=乳をしぼること)されたままの状態の乳のことを言います。チーズは生乳から作られる乳製品です。わざわざ生乳の加工品と言うのは、チーズの材料が牛の乳だけではないことを示しています。乳牛の他にも水牛・ヤギ・ヒツジなどの生乳がチーズの材料として使われますよ。

チーズの歴史は?日本に伝わったのはいつ?

チーズの起源は紀元前3500年頃のチグリス・ユーフラテス川付近のメソポタミア地域(現在のイラク・シリアの辺り)という説が有力で、チーズは世界最古の加工食品とも言われています。生乳が自然界の酵素のはたらきでチーズ状になったものが発見されたことをはじまりとし、主に西のヨーロッパに広まっていきました。

日本に最初にチーズが伝えられたのは飛鳥時代。それは「蘇(そ)」と呼ばれ、詳しい文献が残っていないものの牛の乳をじっくりと煮詰めたおいしい食品として天皇や貴族などの身分の高い人のごちそうでした。また、蘇を熟成させた「醍醐(だいご)」という食べ物もあったようです。

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