
「虚勢を張る」:外見だけは威勢のあるふりをする
今回まず最初にご紹介する類義語が「虚勢を張る」(きょせいをはる)です。口語でもよく使用される慣用句ですが、念のため国語辞書で意味を確認しておきましょう。
自分の弱い所を隠して、外見だけは威勢のあるふりをする。からいばりをする。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「虚勢を張る」
「虚勢を張る」は「見栄を張る」という意味で「世間を張る」と類似していることがわかりますが、比較すると「世間を張る」の「外観を繕う」というニュアンスに対して、「虚勢を張る」は「威勢」や「からいばり」といった強気なニュアンスが含まれていることが違いと言えるでしょう。
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「気を持たせる」:相手に期待を抱かせる
次にご紹介する類義語が「気を持たせる」(きをもたせる)です。こちらも意味を確認しておきましょう。
意味ありげな言動をして、相手に期待などを抱かせる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「気を持たせる」
「気を持たせる」は何かうわべを飾るという意味では「世間を張る」と類似していますが、比較すると「気を持たせる」はどちらかというと「言動」に重きが置かれていると共に、「相手の期待」という点まで言及しているところが「世間を張る」との違いと言えます。
「勿体振る」:重々しく振舞う
今回最後にご紹介する類義語が「勿体振る」(もったいぶる)です。こちらも意味を確認しておきます。
いかにも重々しく振舞う。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「勿体振る」
「勿体振る」もうわべを飾るという意味では「世間を張る」と類似していますが、「言動」や「振る舞い」に重点を置いていると共に、「重々しい」という振る舞いのあり方を限定しているところが「世間を張る」との違いと言えます。「勿体振る」となかなか漢字で見かけることもないでしょうから、しっかりと覚えておきましょう。
「世間を張る」の対義語は?
さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。
「ありのまま」:実際にある通り
「世間を張る」の対義語としては「ありのまま」が挙げられるでしょう。「実際にあるとおり。偽りのない姿。ありてい。」という意味ですから、対義関係にあることがわかりますね。
「put up a good front」:見栄を張る
「世間を張る」を英語で言いまわす場合は「put up a good front」が挙げられるでしょう。「見栄を張る」という意味で使用することが可能です。以下に例文を見てみます。
・It’s easy to put up a good front, but if you do that all the time, you’ll never get any better at what you do. When you are a newcomer, you have to work hard and make an effort.
世間を張ることは簡単だけれど、そんなことばかりしていても、一向に実力はつかないよ。新人の時には泥臭く努力しないと。
・That fortune teller is very good at spotting people who put up a front, and he tends to be very harsh with them. You might want to be careful.
あの占い師は世間を張っている人を見抜くのが非常にうまく、またそういう人には厳しいことを言いがちなんだ。あなたは気をつけた方が良いかもしれないわね。
・This house put up a good front on the outside, have you ever been inside? It was very cheap and disappointing.
この家は外観だけ世間を張って豪邸のように見せかけているけれど、中に入ったことはあるかい?とても安っぽくて、期待外れだったよ。

「世間を張る」について、類義語、対義語、そして英訳についてここまで見てきた。類義語は「虚勢を張る」や「気を持たせる」、「勿体振る」だったな。取り繕う対象が振る舞いなのかどうかで使う言葉が変わるから気をつけろよ。英訳は「put up a good front」だ。覚えやすい言葉だから例文と合わせて確認しておくといいだろう。
「世間を張る」を使いこなそう
この記事では「世間を張る」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。
「世間を張る」は他者と広く付き合うことや、世間を気にして見栄を張る際に使用する慣用句でした。交友関係を広げるという意味で「世間を張る」のはビジネスシーンでも日常生活でも大切なことですが、あまりやり過ぎると「見栄を張る」ことになりかねませんから、その辺りのバランスには注意しておきましょうね。