この記事では「口は禍の門」について解説する。

端的に言えば「口は禍の門」の意味は「言葉を慎むべき」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「口は禍の門」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「口は禍の門」の意味をわかりやすく伝える。

「口は禍の門」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「口は禍の門」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「口は禍の門」の意味は?

「口は禍の門」には、次のような意味があります。

不用意な言葉から災難を招くことがあるので、言葉は慎むべきものであるという戒め。口はわざわいの門。口はわざわいの元。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「口は禍の門

「口は禍の門」は「くちはわざわいのかど」と読み、何かの物事において不必要な言葉を発してしまい災いを招いてしまうことに対して戒める際に使用する慣用句です。「わざわい」は口語ではなかなか見かけませんから、しっかり読み書きできるようにしておきましょう。なお「災い」と書いても間違いではありません。

「口は禍の門」の語源は?

次に「口は禍の門」の語源を確認しておきましょう。「口は禍の門」の語源は明確ではありませんが、3つの単語がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を見てみます。

まず「口」はここでは身体器官というよりも「口に出して言うこと。ものの言い方」のことでしょう。次に「禍」は「人に不幸をもたらす物事。また、その結果である不幸な出来事。災厄。災難。」ですね。最後に「門」は「事物が必ず通る所。ある事のために通らなければならない過程。」の意味と言えます。

そのため「口は禍の門」を丁寧に言いまわすと「(不用意に)口に出して言うことは不幸をもたらす物事を招く過程である」となることがわかりますね。

「口は禍の門」の使い方・例文

「口は禍の門」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「口は禍の門」の類義語は?違いは?」を解説!/

1. 君は何かといろいろな物事に対して意見を言っているみたいだけれど、口は禍の門になるから、控えめにしておいた方が良いよ。
2. 口は禍の門と言うから、隣りの部屋の物音は非常に気になるけれど、もう少し我慢してみよう。
3. あの先生は発言に対する配慮が足りないな。口は禍の門という慣用句を国語の先生なのに知らないみたいだから、今度説教がてら教えてあげよう。

このように「口は禍の門」はどの例文においても「行き過ぎた発言」をしている、またはこれからしようとしている際に使用されていることがわかりますね。

「口は禍の門」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「口は禍の門」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

「沈黙は金 雄弁は銀」:沈黙を守る方が優れた弁舌よりも良いこと

今回まず最初にご紹介する類義語が「沈黙は金 雄弁は銀」(ちんもくはきん ゆうべんはぎん)です。口語でもよく使用される慣用句ですが、念のため国語辞書で意味を確認しておきましょう。

沈黙を守るほうがすぐれた弁舌よりもまさるというたとえ。西洋のことわざ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「沈黙は金 雄弁は銀

「沈黙は金 雄弁は銀」は「口は禍の門」とほぼ同じ意味を有していますが、「わざわい」を招くかどうかは示唆していない点が「口は禍の門」との違いと言えるでしょう。口語では「沈黙は金」と略して使われることが多いですが、しっかり「雄弁は銀」まで覚えておくことをおすすめします。なお元々の由来は西洋のことわざですから、余裕がある方はそちらも確認しておきましょう。

「蛙は口ゆえ蛇に呑まるる」:つまらぬことを言って身を滅ぼすことのたとえ

次にご紹介する類義語が「蛙は口ゆえ蛇に呑まるる」(かえるはくちゆえへびにのまるる)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

《蛙は鳴くために蛇に見つけられ、のまれる意から》黙っていればよいのに、つまらぬことを言ったために身を滅ぼすことのたとえ。蛙は口から蛇に呑(の)まるる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「蛙は口ゆえ蛇に呑まるる

「蛙は口ゆえ蛇に呑まるる」は「口は禍の門」と同じような意味を有していることがわかりますが、「身を滅ぼす」というところまで言及していることが違いと言えます。

「言わぬが花」:口に出して言わない方が味わいがある

今回最後にご紹介する類義語が「言わぬが花」(いわぬがはな)です。こちらも意味を確認しておきます。

口に出して言わないほうが味わいもあり、差し障りもなくてよい。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「言わぬが花

「言わぬが花」も「口は禍の門」と類似していることがわかりますが、「口は禍の門」は「不幸」や「わざわい」を招くことを恐れた慣用句であるのに対し、「言わぬが花」は「味わい」や「差し障り」といった比較的マイルドなニュアンスであることが違いと言えるでしょう。

\次のページで「「口は禍の門」の対義語は?」を解説!/

「口は禍の門」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

「具申」:詳しく申し述べること

不用意に発言してしまうことを戒める「口は禍の門」の対義語としては「具申」(ぐしん)が挙げられるでしょう。「詳しく申し述べること。特に、上役や上位の機関に対して意見や事情を詳しく述べること。」という意味ですから、対義関係にあることがわかりますね。

「口は禍の門」の英訳は?

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最後に、「口は禍の門」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「out of the mouth comes evil」:口はわざわいの元

「口は禍の門」を英語で言いまわす場合は「out of the mouth comes evil」が挙げられます。「口はわざわいの元」という意味で使うことができますよ。悪いことが口から出てくるという単語の並びですから、覚えやすそうですね。以下に例文を見てみましょう。

・I told you last time that the out of the mouth comes evil. I taught you last time. Why are you so eager to mess with other students?
口は禍の門だとこの前教えたじゃないか。何でそんなに他の生徒にちょっかいを出してしまうんだい?

・That old man is the kind of person who has taken care of others and lived off of them in return, but this time he has indeed said too much. I think out of the mouth comes evil.
あのおじいちゃんは他人の世話をして、その見返りで生きてきたような人なのだけれど、今回はさすがに言い過ぎだ。口は禍の門だと思うよ。

・My boss is one of those people who speaks out more and more and makes lots of enemies. I think I should gently tell him that out of the mouth comes evil.
僕の上司はどんどん発言して、敵をいっぱい作ってしまう人なんだ。口は禍の門ですよって、そっと伝えてあげようかと思うよ。

「口は禍の門」を使いこなそう

この記事では「口は禍の門」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「口は禍の門」は何かの物事において不必要な言葉を発してしまい災いを招いてしまうことに対して戒める際に使用する慣用句でした。ビジネスシーンでも日常生活でも、不用意な発言はあまり好ましくないものですから、そのような発言をしがちな方は「口は禍の門」の慣用句を常に頭の片隅に置いておくと良いでしょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「口は禍の門」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「口は禍の門」について解説する。

端的に言えば「口は禍の門」の意味は「言葉を慎むべき」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「口は禍の門」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「口は禍の門」の意味をわかりやすく伝える。

「口は禍の門」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「口は禍の門」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「口は禍の門」の意味は?

「口は禍の門」には、次のような意味があります。

不用意な言葉から災難を招くことがあるので、言葉は慎むべきものであるという戒め。口はわざわいの門。口はわざわいの元。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「口は禍の門

「口は禍の門」は「くちはわざわいのかど」と読み、何かの物事において不必要な言葉を発してしまい災いを招いてしまうことに対して戒める際に使用する慣用句です。「わざわい」は口語ではなかなか見かけませんから、しっかり読み書きできるようにしておきましょう。なお「災い」と書いても間違いではありません。

「口は禍の門」の語源は?

次に「口は禍の門」の語源を確認しておきましょう。「口は禍の門」の語源は明確ではありませんが、3つの単語がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を見てみます。

まず「口」はここでは身体器官というよりも「口に出して言うこと。ものの言い方」のことでしょう。次に「禍」は「人に不幸をもたらす物事。また、その結果である不幸な出来事。災厄。災難。」ですね。最後に「門」は「事物が必ず通る所。ある事のために通らなければならない過程。」の意味と言えます。

そのため「口は禍の門」を丁寧に言いまわすと「(不用意に)口に出して言うことは不幸をもたらす物事を招く過程である」となることがわかりますね。

「口は禍の門」の使い方・例文

「口は禍の門」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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