柿をむいたことはあるか?ヘタは硬く、果肉は滑って、案外むきづらいよな。また、置いておくと、気が付いた時にはかなり成熟が進んでる、なんてこともある。そこが魅力でもあるんですが、取り扱いによって食べ頃をある程度コントロールすることもできるんです。この記事では柿の保存や加工、成熟した柿の食べ方・長く楽しむためのコツなどを果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。生まれ育った実家には大きな柿の木があり、柿は小さい頃から慣れ親しんできた果物。

柿のむき方・切り方

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柿はもちろん生食で歯触りやジューシーさを味わうのも美味しいですが、干し柿にしたり、料理に使ったり、様々な加工での食べ方も柿の魅力の一つ。柿を食べる前に、まずむき方と切り方を知っておきましょう。

準備するもの:柿・包丁・まな板
1.柿のヘタを下にしてまな板に置き、柿の4本のへこみ線に沿って、ヘタ部分まで包丁で切り込みを入れます。
2.ヘタは固いので切り分けないで大丈夫。手で4つに割ります。
3.柿のヘタを包丁で落とします。
4.ヘタ側から、果肉と皮の間に包丁を入れ、果肉の丸みに沿って皮をむきます。
5.好きな大きさに切り分けましょう。

ヘタは固いので、柿のお尻側から包丁を入れます。そうすることで、安定して、実もつぶれにくく、カットしやすくなりますよ。また、先に皮をむいてしまうと柿は滑りやすくなるため、ある程度カットが終わってから皮をむきましょう。

柿の保存方法

柿は追熟する果物なので、常温で置いておくとどんどん柔らかくなっていきます。果肉が硬めの品種がカリッとした食感を味わえるのは、常温だと買ってから4~5日程度。逆に、まだ少し成熟に時間がかかる実は常温で追熟させましょう。柿を保存する場合は、柿の熟し加減を見て保存場所を選ぶと良いですね。

追熟するなら常温で

柿が「まだ硬い」と感じたら、常温で追熟させましょう。柔らかく食べたい場合もおすすめです。保存方法が悪いと成熟前に傷んでしまう場合もあるので、新鮮さを長持ちさせておきたいですね。洗ったり、皮をむかずに保存しましょう。

1.柿のヘタを下にしてビニール袋に入れ、袋の口を閉じる。
2.室温20℃前後の直射日光を避けた、風通しの良い場所で保存する。

柿はヘタで水分量を調整しているので、ヘタを下にすることで水分の蒸発を減らし、乾燥を防げますよ。ビニール袋に入れるのも、乾燥を防ぐためです。暑すぎる室温には注意しましょう。

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長持ちする冷蔵

柿は温度の低い場所で保存すると追熟を遅らせることができるので、食べごろの柿を保存するなら冷蔵庫が良いでしょう

1.小さく折りたたんだキッチンペーパーやティッシュを軽く水で湿らせ、柿のヘタにかぶせます。
※ヘタ以外の部分には水分が当たらないようにしましょう。
2.ビニール袋に入れ口を閉じ、ヘタを下にして置きます。
3.冷蔵庫の野菜室で保存します。

柿の保存のポイントは「ヘタを湿らせること」。ヘタが乾燥すると、柿はどんどん柔らかくなってしまうのです。逆にヘタを守ることで、シャキッとした食感をしっかり保てます。

また、柿を洗ったり、皮をむくのは食べる直前に。保存する場合は、乾燥防止や鮮度を守るため、洗わずそのままで保存しましょう。冷蔵庫の野菜室だと1週間から10日ほどが保存の目安です。

冷凍保存も便利

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柿が熟しすぎてしまった場合や、冷蔵保存より長く日持ちさせたい時には冷凍保存がおすすめです。ここでは色々な食べ方が楽しめる柿の冷凍保存を詳しく解説します。

1.熟しきってたら丸ごと冷凍

熟しすぎた柿などをシャーベット状にしていただきたい時に便利な方法です。柿は皮もヘタもついた状態でフリーザーバッグに入れて冷凍庫へ。食べる時は半解凍して、ヘタの部分を丸く切り取り、蓋のように外し、そのままスプーンですくって食べます。

1~2か月ほどは風味を保って保存できますよ。柿を大量にもらった時は、何個か追熟させて、この方法で食べれば2度楽しめますね!

2.カットして便利に

皮をむいて、使いやすいサイズに切ってから冷凍すれば、そのまま食べることも、簡単に加工することも出来て便利です。

ちょっとひと手間かけるとさらに便利!保存前に種を取り除き、ラップを敷いた平らな容器に重ならないように並べて冷凍庫へ入れ、しっかり凍ってからフリーザーバッグなどに入れます。こうすると、使うときにくっついておらず、食べる分だけ出しやすいですね。種も無いので、スムージーなどの加工にも便利です。

柿を柔らかくしたい時は?

ここまで柿の保存を見てきましたが、追熟を早める方法もありますよ。その手順はとっても簡単!まだ硬すぎる柿やすぐに柔らかく食べたい時は、リンゴと一緒に置いておきましょう。さらに早く熟れさせたい時は、リンゴと同じビニール袋に入れておくと2~3日で柔らかく食べられます。見た目はあまり変化がなくても果実はしっかり熟れていくので、食べごろを逃さないよう、数日たったらリンゴから離しておくのを忘れずに

ただし、まだ青くて若すぎる柿の場合は上手く追熟できない場合があります。お庭の柿をもぐ際には、ある程度オレンジ色になってから収穫しましょう。

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家庭でできる渋抜き

お庭の柿が渋柿でも、あきらめないで!家庭で渋を抜いて食べられますよ。スーパーなどで一般に流通している柿も、渋柿の品種は同じように渋抜きの工程を経て、出荷されています。「渋抜きした渋柿は甘さが濃い」とも言われていますから、もし渋くて食べられない柿に出会ったら、ぜひ渋抜きに挑戦してみましょう。

1.アルコールを使う方法

準備する材料も少なく、簡単な方法です。焼酎やウイスキーなど度数の高い(30~40度)アルコールに柿のヘタを浸し、ビニール袋に入れて密封しておきます。ヘタをアルコールに浸す時間はほんのちょっとだけで大丈夫。日の当たらない涼しい室温(20℃前後)に置いておくと、約1週間ほどで渋が抜けますよ!

室温が低かったり、大きい果実だともう少し時間がかかります。また、ヘタを浸すお酒の種類によって、渋抜き後の柿の風味が変わるそうです。特に焼酎で渋抜きすると甘みが増して美味しいとか。渋い柿に出会った際にはぜひ試してみてください!

2.ドライアイスを使う方法

アルコールを使う方法より、早く渋抜きが出来るのがドライアイスを使う方法です。市販の渋柿に施されている脱渋に近く、失敗も少なく出来上がりますよ!

まずは、柿10㎏に対し1㎏のドライアイスを準備し、新聞紙などに包みます。厚手のビニール袋に、柿と先ほどのドライアイスを一緒に入れ、しっかり空気を抜いて密封しましょう。渋抜き期間中にドライアイスが蒸発して袋がパンパンに膨らんだ場合は、破裂する前に溜まった空気を抜いてください。4~5日くらいで完成です。

干し柿を作ろう

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柿を乾かして作る干し柿。生柿とは違った和菓子のような凝縮した濃厚な甘みとコクが楽しめます。日本での干し柿の歴史は、甘柿の登場よりもっと古い平安時代から始まっていました。我々の祖先は甘柿の発見より先に、渋柿を甘く食べられる方法を見つけたのですね!

そんな先人の知恵が詰まった干し柿は、意外と簡単に作れます。ぜひ家庭でも作ってみましょう。

干し柿って?

干し柿とは、皮をむいた柿を日光などで乾燥させたものです。渋柿を干すことによって渋み成分のタンニンを変化させ、甘く食べられるようにします。和菓子の世界では「和菓子の甘さは干し柿をもって最上とする」という言葉があるそうで、干し柿は和菓子の甘みの基準にもなっているんだとか。

栄養成分を見てみると、生柿に比べ、ビタミンCは減ってしまいますが、βカロテンやカリウム・食物繊維は増加します。もともと栄養価の高い果物なので、手軽に栄養補給できる食品といえるでしょう。ただし、糖質やカロリーも高めですので、食べ過ぎないよう注意を。ちなみに、干し柿の周りよく見られる白い粉は、柿の結晶化した糖分です。水分が抜けて、甘く出来上がっている証拠ですね!

また、古い歴史が示す通り、干し柿は様々な地域で特産品として作られています。中でも長野県で作られる市田柿や、福島県のあんぽ柿は有名です。

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基本の作り方

干し柿作りのポイントは「気温と乾燥」。まだ暖かい時期に作ると、干している途中で傷み始め、上手に出来上がりません。気温が10℃以下になり、晴れの日が1週間ほど続く頃合いを見計らって作りましょう。

準備するもの:渋柿・ひも・鍋・洗濯用ハンガー・つるす場所
1.柿のヘタはひもを結ぶため残し、皮だけむきます。
2.ひもを60~70㎝ほどの長さに切り、ひもの両端に1個ずつ、柿のヘタ部分を結びます。
3.鍋に湯を沸かし、殺菌のため柿を5秒ほどくぐらせます。
4.洗濯用ハンガーに柿同士がくっつかないようにずらしてつるします
5.日中は日当たりと風通しの良い場所に干し、雨の日や夜は室温の低い室内に取り込みます。
6.5を繰り返し、1週間ほどで硬くなってきたら、渋を抜きやすくするために指で軽くもみます。数日おきにもむのを繰り返します。
7.2~3週間で完成です。

風通しが良く、湿度が低ければ、外に出さず室内だけでも作ることができます環境の条件が悪いと腐ってしまったり、カビが生えてしまいますから注意してくださいね。もし心配であれば、除湿器や扇風機を使うと効果的です。小さめの柿で作れば、乾燥時間も短くて済みますよ。

干す期間や柿の大きさによって、仕上がりの食感や味わいも変わってきます。自分好みの干し柿が作れるようになったら楽しいですね!

長持ちする保存方法

最後に干し柿の保存について解説します。常温で作る干し柿ですが、おいしい期間を長く保ちたい時は冷蔵庫に保存するのが良いでしょう。乾燥や臭い移り防止に1個ずつラップでくるみ、ビニール袋に入れ密封します。冷凍保存も出来ますよ。おいしい目安は、冷蔵で1か月、冷凍で2~3か月です。

ポイントは保存のひと工夫!柿は様々な味わいを楽しめるフルーツ

柿は品種によって歯ごたえや風味は様々ですが、同じ品種同士でもその熟し具合によって味わいが変化します。熟し具合にあった保存方法で鮮度を保ち、自分好みの食べごろを見極めながら、生食だけでなく、冷凍や干し柿などの色んな味わいも楽しんでください。

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家庭科

簡単な柿のむき方は?保存方法や渋抜き・干し柿の作り方も果物大好きパティシエが詳しくわかりやすく解説

柿をむいたことはあるか?ヘタは硬く、果肉は滑って、案外むきづらいよな。また、置いておくと、気が付いた時にはかなり成熟が進んでる、なんてこともある。そこが魅力でもあるんですが、取り扱いによって食べ頃をある程度コントロールすることもできるんです。この記事では柿の保存や加工、成熟した柿の食べ方・長く楽しむためのコツなどを果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。生まれ育った実家には大きな柿の木があり、柿は小さい頃から慣れ親しんできた果物。

柿のむき方・切り方

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柿はもちろん生食で歯触りやジューシーさを味わうのも美味しいですが、干し柿にしたり、料理に使ったり、様々な加工での食べ方も柿の魅力の一つ。柿を食べる前に、まずむき方と切り方を知っておきましょう。

準備するもの:柿・包丁・まな板
1.柿のヘタを下にしてまな板に置き、柿の4本のへこみ線に沿って、ヘタ部分まで包丁で切り込みを入れます。
2.ヘタは固いので切り分けないで大丈夫。手で4つに割ります。
3.柿のヘタを包丁で落とします。
4.ヘタ側から、果肉と皮の間に包丁を入れ、果肉の丸みに沿って皮をむきます。
5.好きな大きさに切り分けましょう。

ヘタは固いので、柿のお尻側から包丁を入れます。そうすることで、安定して、実もつぶれにくく、カットしやすくなりますよ。また、先に皮をむいてしまうと柿は滑りやすくなるため、ある程度カットが終わってから皮をむきましょう。

柿の保存方法

柿は追熟する果物なので、常温で置いておくとどんどん柔らかくなっていきます。果肉が硬めの品種がカリッとした食感を味わえるのは、常温だと買ってから4~5日程度。逆に、まだ少し成熟に時間がかかる実は常温で追熟させましょう。柿を保存する場合は、柿の熟し加減を見て保存場所を選ぶと良いですね。

追熟するなら常温で

柿が「まだ硬い」と感じたら、常温で追熟させましょう。柔らかく食べたい場合もおすすめです。保存方法が悪いと成熟前に傷んでしまう場合もあるので、新鮮さを長持ちさせておきたいですね。洗ったり、皮をむかずに保存しましょう。

1.柿のヘタを下にしてビニール袋に入れ、袋の口を閉じる。
2.室温20℃前後の直射日光を避けた、風通しの良い場所で保存する。

柿はヘタで水分量を調整しているので、ヘタを下にすることで水分の蒸発を減らし、乾燥を防げますよ。ビニール袋に入れるのも、乾燥を防ぐためです。暑すぎる室温には注意しましょう。

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