今回はにんにくの食べ方や保存方法についてみていこう。古くからある香味野菜だけあって、日本だけではなく世界にもにんにくを使った伝統的な料理がたくさんあることにも注目です。10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。身体にいいことしているなと嬉しくなるので、食材の栄養成分や効果を調べながら食事するのが好き。長らく食育に携わった経験を踏まえて食に関する知識をわかりやすく発信していく。

にんにくの下処理方法

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にんにくは外側に皮があるので、外して中身を出す作業が必須です。ただ皮をむくだけではなくちょっとしたポイントがありますよ。さっそく確認していきましょう。

にんにくの基本の下ごしらえ

にんにくの乾燥した白い皮をむくと、中には鱗片(りんぺん)と呼ばれる実の部分が茎を中心にぐるりと円状についています。まずこれを1片ずつバラバラに分けましょう。それぞれの薄皮をむいたら縦半分に切り、真ん中にある芽を取ります。芽の部分はくさみやえぐみが出やすく炒めるときに焦げやすいため、少々面倒ですが取っておくことをおすすめします

薄皮のむき方その1

身についた薄皮をむく作業は実は少々厄介。皮が残ってしまいなかなかきれいにはがれず、爪でひっかいてとろうとすると実を傷つけたり手ににおいが残ったりしてしまいます。1片ずつに分けたにんにくをたっぷりの水に30分ほど浸すことで薄皮がむきやすくなりますよ。浸したあとににんにくのおしりの固い部分を切り取れば、水分を吸ってふやけた皮を引っ張るだけできれいにむけます

薄皮のむき方その2

電子レンジで加熱する手軽な方法もあります。1片の根元の固い部分を切り落としたうえで皿に広げて10秒程度加熱。分ける前に丸ごとの状態で根元を切り落としてから30秒ほど加熱でもよいですよ。実の水分が蒸発して薄皮が浮きあがることで実と皮の間に隙間ができるので皮がツルッとむきやすくなります。加熱しすぎには注意しましょう。

また、にんにく1片の形を保つことにこだわらなければ、手やボウルの底など硬いものでにんにくをつぶすと簡単に皮がむけます。つぶすことによって香りも立ちやすくなるので、みじん切りにして使う前などに向いた方法です。手間や用途によって使い分けてみてください。

用途に合わせて加工する

にんにくは傷つけられることでにおい成分であるアリシンを作るため、切り方で香りの強さが変わります。丸ごとではほんのり香る程度のにおいですが、つぶす、薄切りにする、せん切り、みじん切り…と細かく切るほどにおいが強くなりますよ。最もにおいが強くなるのは実の細胞を全体的に破壊するすりおろしの状態です。使う料理によって加工の仕方を工夫するとよいでしょう

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にんにくの意外な食べ方と世界のにんにく料理

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食材の下ごしらえの風味付けや炒め物・煮物の具材にするなど脇役として使われがちなにんにくですが、ここではにんにくそのものを味わう食べ方に注目してみます。おいしさ優先でにおいは二の次かもしれません!

1.丸ごと蒸し焼き

にんにくを丸ごと食べるのは意外性と共に、においが気になって若干の抵抗もあるかもしれませんね。にんにくの頭の部分を実が見える程度に切って、ラップをかけて1個当たり1分程度加熱します。においが和らいでホクホクとした食感になりますよ。オリーブオイルや塩でシンプルに頂きましょう。

2.黒にんにくって何?

黒にんにくはにんにくを高温・高湿の中で中身が真っ黒になるまで1ヵ月ほど熟成させた食べ物です。ポリフェノールやアミノ酸などの栄養素が増して健康効果が高く、においや刺激が少なく食べやすくなっているため健康食品として食べられます。食感は通常のにんにくとは全く違って干したいちじくのようなくちゃくちゃとした食感で、ドライフルーツによく例えられますよ。

3.イタリアのアーリオ・オーリオ

オリーブオイルでにんにくをじっくり炒めて香りを移したイタリアのシンプルなソースです。炒め物やパスタ・アヒージョなどに幅広く、まるで出汁のように使われています。アーリオ=にんにく、オリオ=オリーブオイルを指していますよ。

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4.ジョージアのシュクメルリ

鶏肉をガーリックソースで煮込んだジョージアという国の伝統的な料理です。日本ではホワイトソースやチーズを入れたアレンジで話題にもなりました。鶏もも肉1枚に対してにんにくを丸ごと1個使うほどにんにくが主張する料理です。

にんにくを長持ちさせる保存のしかた

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にんにくは放っておくと芽がでてきます。芽が出るとそちらに養分をとられてしまうため、早めに処理するのがよいでしょう。おすすめはすぐに調理に使える形で保存することですが、冷凍・冷蔵・常温保存それぞれの方法を紹介していきます。

その1.冷凍保存は用途に合わせた形で

冷凍保存の方法は2つ。最も簡単なのは1片ずつバラバラにして皮付きのまま冷凍することです。2~3片ずつラップに包んでジッパー付きの袋に入れ、空気を抜いてから冷凍室で保存しましょう。半年程は問題なく使えるうえ、完全には凍らないので冷凍庫から出して少し置けば簡単に切ることができますよ。

また、用途が決まっていれば加工して保存するのもおすすめ。少々手間ですが一回に使う分をラップなどで小分けにしておくと、凍ったまま調理に使えて便利です。炒め物用には薄くスライス・せん切り・みじん切りに、肉料理の下ごしらえなど料理の風味付けにはすりおろしにすると便利ですね。もちろん一粒丸ごとの形で保存してもOKですよ。風味は落ちていってしまうので加工した場合は2週間程度が保存の目安になります。

その2.冷蔵保存は1~2ヵ月可能

市場に出回るにんにくが冷蔵で長期保存されているだけあり、冷蔵庫もにんにくの保存場所におすすめです。皮をむくと傷みが早くなりやすく乾燥もしやすいので、皮つきのまま保存するのが長持ちさせるポイント。新聞紙やキッチンペーパーに包んで、ポリ袋に入れて冷蔵室へ入れましょう。

にんにくは低温保存がよいので、一見よさそうな野菜室は少し温度が高く設定されているためむいていません。むしろ、ハムなどを保存するチルド室があればそちらに入れるのがよいですよ。冷蔵庫では1か月程度十分保存できます

その3.常温保存は保管場所を選んで

気温が高くない時期に1,2週間で使い切りそうであれば、常温保存することもできます。風通しがよく日光を避けられる涼しい場所を選んでください。湿気がこもるとカビが生えてしまうので、必ず取り出してネットやかごに入れて保存しましょう。できれば吊るしておくと通気性がよくなります。

\次のページで「その4.にんにく漬けにして保存」を解説!/

その4.にんにく漬けにして保存

にんにくがたくさん手に入ったら、調味料などに漬け込んで保存するのもおすすめです。しょうゆ漬けにするとにんにく自体が食べられるだけではなく、漬けたしょうゆもにんにくの香りが付いたにんにく醤油として炒め物などに使えます。お好きなオイルにハーブと一緒に漬けてもよいですね。にんにく・オイル共にパスタやサラダに使えます。どちらも1~2週間程で使いきるとよいでしょう。また、酢漬けにすると最も保存期間が長くなり、1ヵ月以上の日持ちがかないます

調味料に漬けるときにはにんにくの水分をよくふき取って保存容器に入れ、にんにく全体が浸るくらいまで調味料を注げばOKです。

にんにくのにおいを抑える方法はある?

にんにくたっぷりの料理はとてもおいしいものですが、気になるのは食後のにおいですね。食後の対策としては牛乳やりんごジュース・緑茶・ウーロン茶・コーヒーを飲む、りんごやチーズ・チョコレートを食べるといった方法がありますよ。それぞれの食材が持つ消臭成分や、にんにくのにおい成分を減らしたり変化させたりする働きによる効果が期待できます

また、にんにくの調理後に手についたにおいは、ステンレス製の調理器具などに手をこすりつけながら水で流すと鉄イオンとにんにくのにおい成分が化学反応を起こすことで落とせるので試してみてください。信じがたいかもしれませんがステンレス石鹸という市販品もあるくらい効果のある方法ですよ。

にんにくは世界中で愛されているスタミナ食材

にんにくには優れた健康効果があり比較的長期保存もできるため、紹介した保存方法も参考にして食生活に取り入れてみてください。インターネットで様々なにんにく料理が検索できるので色々と挑戦してみるのもよいでしょう。この広い世界中で料理に使われているということは、にんにくの香りやおいしさは世界共通の話題になるということなのかもしれませんね。

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家庭科

にんにくの意外な食べ方とは?においを抑える方法や長持ちする保存方法も元保育士がわかりやすく解説

今回はにんにくの食べ方や保存方法についてみていこう。古くからある香味野菜だけあって、日本だけではなく世界にもにんにくを使った伝統的な料理がたくさんあることにも注目です。10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。身体にいいことしているなと嬉しくなるので、食材の栄養成分や効果を調べながら食事するのが好き。長らく食育に携わった経験を踏まえて食に関する知識をわかりやすく発信していく。

にんにくの下処理方法

image by iStockphoto

にんにくは外側に皮があるので、外して中身を出す作業が必須です。ただ皮をむくだけではなくちょっとしたポイントがありますよ。さっそく確認していきましょう。

にんにくの基本の下ごしらえ

にんにくの乾燥した白い皮をむくと、中には鱗片(りんぺん)と呼ばれる実の部分が茎を中心にぐるりと円状についています。まずこれを1片ずつバラバラに分けましょう。それぞれの薄皮をむいたら縦半分に切り、真ん中にある芽を取ります。芽の部分はくさみやえぐみが出やすく炒めるときに焦げやすいため、少々面倒ですが取っておくことをおすすめします

薄皮のむき方その1

身についた薄皮をむく作業は実は少々厄介。皮が残ってしまいなかなかきれいにはがれず、爪でひっかいてとろうとすると実を傷つけたり手ににおいが残ったりしてしまいます。1片ずつに分けたにんにくをたっぷりの水に30分ほど浸すことで薄皮がむきやすくなりますよ。浸したあとににんにくのおしりの固い部分を切り取れば、水分を吸ってふやけた皮を引っ張るだけできれいにむけます

薄皮のむき方その2

電子レンジで加熱する手軽な方法もあります。1片の根元の固い部分を切り落としたうえで皿に広げて10秒程度加熱。分ける前に丸ごとの状態で根元を切り落としてから30秒ほど加熱でもよいですよ。実の水分が蒸発して薄皮が浮きあがることで実と皮の間に隙間ができるので皮がツルッとむきやすくなります。加熱しすぎには注意しましょう。

また、にんにく1片の形を保つことにこだわらなければ、手やボウルの底など硬いものでにんにくをつぶすと簡単に皮がむけます。つぶすことによって香りも立ちやすくなるので、みじん切りにして使う前などに向いた方法です。手間や用途によって使い分けてみてください。

用途に合わせて加工する

にんにくは傷つけられることでにおい成分であるアリシンを作るため、切り方で香りの強さが変わります。丸ごとではほんのり香る程度のにおいですが、つぶす、薄切りにする、せん切り、みじん切り…と細かく切るほどにおいが強くなりますよ。最もにおいが強くなるのは実の細胞を全体的に破壊するすりおろしの状態です。使う料理によって加工の仕方を工夫するとよいでしょう

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