にんにくは一年中手に入る食材ですが、その秘密はずばり乾燥後に保存することにある。しかし年間通して販売するほどの大量収穫がされるのは、やはり旬の時期があるからこそです。旬の時期と、長期保存されたものの中からよりよいにんにくを選ぶコツを伝授しよう。にんにくの種類も合わせて10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。長らく食育に携わった経験を踏まえて食に関する知識をわかりやすく発信していく。身体にいいことしているなと嬉しくなるので、食材の栄養成分や効果を調べながら食事するのが好き。

にんにくの旬はいつ?有名な産地は?

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球根の部分を見ることが多いにんにくは旬の時期の予想がつきにくいかもしれませんね。旬の時期や生産量・産地についてみていきましょう。

にんにくの旬は主に夏

にんにくは9月中旬~10月中旬に植えつけられ、約8カ月の育成期間ののちに翌年の6月下旬~7月上旬に旬を迎え収穫されます。夏に大量に収穫したにんにくを1ヵ月ほどかけて乾燥し、冷蔵庫で長期保存するので年間を通じて安定した出荷が可能です。生のにんにくは日持ちがしないので出回らず、生産地であれば味わうチャンスがあるくらいのものだそうですよ。

青森県の特産品として有名

次に、国内でのにんにくの作付面積・出荷量が上位4都道府県を確認してみましょう。

令和2年作付面積・出荷量
都道府県名/作付面積(ha=ヘクタール)/出荷量(t=トン)

全国/2,530ha/21,200t
青森県/1,460ha/15,000t
香川県/103ha/681t
北海道/147ha/668t
岩手県/56ha/220t

参照:農林水産省「令和2年産野菜生産出荷統計」

青森県がケタ違いのトップ、全国の生産量のうち7割も出荷していますね。にんにくは植え付け後に冬を迎えて春を待ち極寒の雪の下でじっくり育つことで甘みが出るので、青森県の気候が栽培に合っているという理由があるようです。4位以下は鹿児島県・福島県・秋田県・熊本県・大分県・宮崎県と続きます。

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世界のにんにく生産量

世界のにんにく生産量を見てみると、2020年では世界の総生産量が約2850万トンであるのに対して中国が2075万トンを占めていてぶっちぎりの1位です。2位はインドで約290万トン、以降はバングラデシュ・韓国・エジプト・スペインと続きます。

しかし消費量となると少し話が異なり、1位に韓国の名前が上がってきます。日常的にキムチを食べるなど食事ににんにくが欠かせないため、一人当たり年間で約7kgものにんにくを食べているとも言われていますよ。

にんにくの種類にはどんなものがある?

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国内で栽培されるにんにくには寒い所で育つ寒地系と暖かいところで育つ暖地系の2種類があります。寒地系は球も中身の粒も大きく、暖地系は寒地系の品種よりも小さく粒が10片と多いのが特徴です。中でも代表的な品種をみてみましょう。

その1.福地ホワイト六片

日本で最も代表的な品種で、寒地系にんにくのひとつです。にんにくの国内生産量第一位の青森県でもこの品種が栽培されています。にんにくは低温期間が長いほど寒さや凍結に耐えられるように糖分を実に貯め込むため、厳しい寒さの青森県で育てられたにんにくは香りが強く粒の1つが大きく甘みがあるのが特徴です。

その2.上海早生(しゃんはいわせ)

暖地系のにんにくで、九州や中国・四国地方で栽培されています。見た目は福地ホワイト六片によく似ていますが、味わい・香り・辛みともマイルドな品種です。

においのないにんにくがある!?

無臭にんにくというものがあるのを知っていますか?別名ジャンボにんにく・エレファントガーリックとも呼ばれていますが、にんにくがユリ科ネギ属であるのに対してヒガンバナ科ネギ属リーキ種に分類され、正確にはにんにくという名前がつきながら別の種類で、どちらかといえば玉ねぎに近い作物です。

暖かい地域で栽培されるのでサイズが大きく、にんにくのにおいのもと「アリシン」があまり含まれていないためにおいがほとんどしません。それゆえにアリシン由来の健康効果は期待できませんが、肥満予防や免疫力・肝機能の向上・動脈硬化予防に効果があると言われるサポニンという成分が含まれていますよ。

\次のページで「にんにくの若芽・葉にんにく」を解説!/

にんにくの若芽・葉にんにく

にんにくは肥大した地下茎を食用としますが、葉にんにくはにんにくの植え付け後に発芽して葉が大きくなった状態で収穫したものを指します。地下茎が育つ前に葉は枯れてしまうため、収穫できるのはにんにくの栽培中のたった2か月程度。ちょうど12~2月あたりで収穫されるため冬野菜になりますよ。

しかし、葉にんにくは国内でも知名度は低く、売られているのを見たことがない・初めて名前を聞いたという方も多いのではないでしょうか?葉にんにくは鮮度が落ちるのが早いため広く流通させることができず、収穫期も短いので生産地でも手に入るのは一時期。知る人ぞ知る野菜なのです。

芽ではない?芽にんにく

にんにくは葉が枯れたあとに花をつけるために茎を伸ばしますが、その茎がにんにくの芽という名前で流通していますよ。しかし日本では茎がのびる前ににんにくとして収穫してしまいます。わざわざ茎が出るまで育てないので、日本で売られているにんにくの芽はほとんどが中国産です。

おいしいにんにくの選び方は?

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一度乾燥させて保存されているとはいえ、よい状態のにんにくは中身によく水分を蓄えています。見た目からはみずみずしさがわかりにくいですが、少しでもよいにんにくを選ぶためのポイントを確認していきましょう。

見た目からよいにんにくを見極める

まずは全体の見た目を観察します。外側のうす皮が白く乾燥しているか・ツヤがあるか・茎の部分がキュッとしまっているかに注目してください。次に皮の下に透けて見えるにんにくの一片を見て、粒が大きいもの・ひとつひとつ硬いものを選びましょう。最後に手に取ってみて、ずっしりと重みがあり全体が硬いものこそ水分をよく含んでいるおいしいにんにくですよ。

逆に、触ったときに軽いものや皮と実の間に隙間があって皮がプカプカとへこむものは水分が抜けている場合が多いです。芽が出ていたり皮が茶色くなっているものも古いにんにくの可能性が高いので避けるとよいでしょう。

国産と外国産にんにくの違い

スーパーでにんにく売り場を見ると国産・中国産・スペイン産…など、2,3種類から選べることが多いかと思います。まず一番に気が付く違いは値段と大きさでしょう。国産にんにくは1つ300円くらいで大ぶりであるのに対し、中国産は1つが小さいうえに3つで100円程度と非常に安価です。

中身や味も値段相応に異なっており、基本的に国産にんにくは外国産に比べて一粒が大きく実もよくしまっている・香りが強い・辛みのバランスがよいとされています。

パスタや肉・魚料理の風味付けであれば外国産のにんにくでも充分ですが、にんにくそのものを味わう丸焼きやすりおろしなどでは国産のおいしさを味わってみてほしいところです。

品質のよいにんにくを味わってみて

にんにくは厳しい寒さに耐えて土や葉の養分をたっぷりと蓄えたカプセルのようなものだと思うと、パワーがみなぎる食材と言われるのも納得できますね。選び方のポイントも参考にして、いつも買っているにんにくと別の種類に冒険してみると新しい発見があるかもしれませんよ。

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家庭科

にんにくの旬はいつ?どんな種類がある?選び方のポイントも元保育士がわかりやすく解説

にんにくの若芽・葉にんにく

にんにくは肥大した地下茎を食用としますが、葉にんにくはにんにくの植え付け後に発芽して葉が大きくなった状態で収穫したものを指します。地下茎が育つ前に葉は枯れてしまうため、収穫できるのはにんにくの栽培中のたった2か月程度。ちょうど12~2月あたりで収穫されるため冬野菜になりますよ。

しかし、葉にんにくは国内でも知名度は低く、売られているのを見たことがない・初めて名前を聞いたという方も多いのではないでしょうか?葉にんにくは鮮度が落ちるのが早いため広く流通させることができず、収穫期も短いので生産地でも手に入るのは一時期。知る人ぞ知る野菜なのです。

芽ではない?芽にんにく

にんにくは葉が枯れたあとに花をつけるために茎を伸ばしますが、その茎がにんにくの芽という名前で流通していますよ。しかし日本では茎がのびる前ににんにくとして収穫してしまいます。わざわざ茎が出るまで育てないので、日本で売られているにんにくの芽はほとんどが中国産です。

おいしいにんにくの選び方は?

image by iStockphoto

一度乾燥させて保存されているとはいえ、よい状態のにんにくは中身によく水分を蓄えています。見た目からはみずみずしさがわかりにくいですが、少しでもよいにんにくを選ぶためのポイントを確認していきましょう。

見た目からよいにんにくを見極める

まずは全体の見た目を観察します。外側のうす皮が白く乾燥しているか・ツヤがあるか・茎の部分がキュッとしまっているかに注目してください。次に皮の下に透けて見えるにんにくの一片を見て、粒が大きいもの・ひとつひとつ硬いものを選びましょう。最後に手に取ってみて、ずっしりと重みがあり全体が硬いものこそ水分をよく含んでいるおいしいにんにくですよ。

逆に、触ったときに軽いものや皮と実の間に隙間があって皮がプカプカとへこむものは水分が抜けている場合が多いです。芽が出ていたり皮が茶色くなっているものも古いにんにくの可能性が高いので避けるとよいでしょう。

国産と外国産にんにくの違い

スーパーでにんにく売り場を見ると国産・中国産・スペイン産…など、2,3種類から選べることが多いかと思います。まず一番に気が付く違いは値段と大きさでしょう。国産にんにくは1つ300円くらいで大ぶりであるのに対し、中国産は1つが小さいうえに3つで100円程度と非常に安価です。

中身や味も値段相応に異なっており、基本的に国産にんにくは外国産に比べて一粒が大きく実もよくしまっている・香りが強い・辛みのバランスがよいとされています。

パスタや肉・魚料理の風味付けであれば外国産のにんにくでも充分ですが、にんにくそのものを味わう丸焼きやすりおろしなどでは国産のおいしさを味わってみてほしいところです。

品質のよいにんにくを味わってみて

にんにくは厳しい寒さに耐えて土や葉の養分をたっぷりと蓄えたカプセルのようなものだと思うと、パワーがみなぎる食材と言われるのも納得できますね。選び方のポイントも参考にして、いつも買っているにんにくと別の種類に冒険してみると新しい発見があるかもしれませんよ。

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