
普段の生活の中で温度は摂氏(℃)で表記されている。摂氏はセルシウス温度と呼ばれているぞ。また、温度には別の温度があるのを知っているか?それが華氏(℉)です。
日常生活でも摂氏と華氏の2種類の温度表記がありますが、化学や物理の世界では他の温度がある。それが絶対温度です。
今回は化学や物理の世界で当たり前に使われる「絶対温度とはどのように定義されるのか」そして、「セルシウス温度と絶対温度の関係」を物理に詳しいライターリックと一緒に解説していきます。
ライター/リック
大学院を修了するまで、研究に明け暮れた理系ライター。目の前で起きた現象を深掘りすることが大好きで、化学や物理など幅広く勉強している。現在は化学メーカーで技術職として働きながら、化学や物理の楽しさを発信していく。
絶対温度とは
まずは、絶対温度とはどういう意味でしょうか。絶対温度とは、「熱力学に基づいて定義される温度」のことです。絶対温度を詳しく紹介する前に、絶対零度について解説していきます。
原子や分子の熱運動が完全に止まる絶対零度とは

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「絶対零度」という言葉は聞いたことがある方も多いと思います。目には見えませんが、原子や分子は常に振動しながら運動しているんです。これを熱運動と呼びます。
熱運動が完全に停止していまう温度のことを絶対零度と呼び、絶対零度をゼロの基準にして決めた温度が絶対温度です。絶対温度の単位はKを使って表し、ケルビンと読みます。つまり、絶対零度は0Kというわけです。
また、古典力学では、絶対零度で分子の持つエネルギーは最低になり、原子や分子の熱運動が完全に停止すると考えられます。しかし、量子力学の世界では、原子や分子の揺らぎが残るため、絶対零度でもゼロ点振動していると考えられているんです。
教科書では古典力学の考え方に基づいて絶対温度は説明されているので、ここからも古典力学の考え方に基いて解説していきます。
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温度は原子や分子の熱運動で決まる

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そもそも、温度とはどうやって決まるのでしょうか。絶対零度よりも温度が高ければ、原子や分子は常に振動し、運動している状態ですよね。温度や熱の正体は熱運動のエネルギーなんです。
もちろん、カチコチに凍った氷も分子レベルで見ると分子は動き回っています。なので、氷の温度は絶対零度よりも高温というわけですね。そして、熱運動が小さくなり、分子の動きが完全に止まったときの温度が絶対零度です。
ちなみに、絶対零度は分子の熱運動が完全になくなる温度なので、すべての原子・分子で同じ温度を示します。水の融点と二酸化炭素の融点は違う温度ですが、水も二酸化炭素も分子の熱運動が完全に停止する絶対零度は同じ温度(0K)です。
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セルシウス温度と絶対温度はお互いに変換できる

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私たちの生活では、温度は基本セルシウス温度を使います。セルシウス温度は、もともと水の凝固点を0度、沸点を100度として定義されていました。私たちにとって、水は最も親しみのある物質といっても過言ではありません。水の沸点と融点から定義したセルシウス温度はとてもなじみやすいですよね。
しかし、物理や化学の世界では絶対温度を使います。セルシウス温度と絶対温度はお互いに変換できることを覚えておいてください。
絶対温度をT[K]、セルシウス温度をt[℃]とすると、T(K)=t(℃)+273.15という式で表すことができます。ちなみに、現在の日本の計量法でセルシウス温度は、「ケルビンで表した熱力学温度の値から273.15を減じたもの」と定義されているんです。
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