この記事では「胸を叩く」について解説する。

端的に言えば「胸を叩く」の意味は「引き受ける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「胸を叩く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「胸を叩く」の意味をわかりやすく伝える。

「胸を叩く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「胸を叩く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「胸を叩く」の意味は?

「胸を叩く」には、次のような意味があります。

相手の依頼をしっかりと引き受ける気持ちを表す動作。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「胸を叩く

「胸を叩く」は「むねをたたく」と読み、何かの物事において誰か他者からの依頼を引き受ける際に使用する慣用句です。動作を示す言葉ですが、実際に胸を叩かなくとも「快く引き受ける」という意味で比喩的に使用することもできますよ。

「胸を叩く」の語源は?

次に「胸を叩く」の語源を確認しておきましょう。「胸を叩く」は実際に「まかせとけ!」と何かの物事を引き受ける際の身体動作が由来となっていると考えられます。人間以外の動物でも胸を叩く動作はしばしば見られますから、生物の根源的な動きなのかもしれませんね。

なお「胸叩き」(むねたたき)という言葉が別途あり、「江戸時代、歳末に手で裸の胸をたたきながら、祝言を述べて銭を乞(こ)い歩いた門付け。」という意味で、こちらは直接由来には関係ないと考えられますが、余裕のある方はこういう言葉があるということを合わせて覚えておきましょう。

「胸を叩く」の使い方・例文

「胸を叩く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. こんなに厳しい仕事だとわかっていたら、あの時胸を叩いて引き受けなかったのにな。なんにせよ頑張らないと。
2. あの派遣さんはどんなことでも胸を叩いてやってくれるよ。こんなに力強いと思ったことはないな。
3. 引っ越しが大変過ぎて、いろいろな友人に助けを求めたら、数人が胸を叩いて手伝ってくれたんだ。ありがたくて涙が出そうになったよ。

このようにどの例文においても「胸を叩く」は「何かの物事をしっかりと・快く引き受ける」という意味で使用されていることがわかりますね。またどの例文でも、実際に胸を叩いているかはあまり関係なく意味が通じていることが確認できます。

「胸を叩く」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「胸を叩く」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

\次のページで「「請け負う」:責任を持って引き受ける」を解説!/

「請け負う」:責任を持って引き受ける

今回まず最初にご紹介する類義語が「請け負う」(うけおう)です。口語でもよく使用される慣用句ですが、念のため意味を確認しておきましょう。

1. 日限・報酬を取り決めた上で仕事を引き受ける。
2. 責任を持って引き受ける。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「請け負う

「胸を叩く」の類義語としては2が近いですね。同じような意味を「請け負う」は有していることがわかりますが、やや仕事上の関係というニュアンスが強く、またそのようなシチュエーションで使用されることが多いのが違いと言えるでしょう。

「諾する」:承知する

次にご紹介する類義語が「諾する」(だくする)です。「だくする」とちゃんと読めたでしょうか、意味も確認しておきましょう。

他人からの頼みなどを承知する。引き受ける。承諾する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「諾する

「諾する」は引き受けるという意味で「胸を叩く」と類似していますが、比較すると「胸を叩く」が「しっかりと」や「快く」引き受けていたのに対し、「諾する」はそのようなニュアンスはないことが違いと言えるでしょう。

「首を縦に振る」:賛成する

今回最後にご紹介する類義語が「首を縦に振る」(くびをたてにふる)です。こちらも意味を確認しておきます。

承知する。賛成する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「首を縦に振る

「首を縦に振る」は承知するという意味では「胸を叩く」と類似していますが、比較すると「賛成」というニュアンスが強いことが違いと言えます。なお「首を縦にする」としばしば口語では用いられますが、正確には「首を縦に振る」ですから間違えないようにしましょう。

「胸を叩く」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

「首を横に振る」:承知しない

「胸を叩く」の対義語としては「首を横に振る」(くびをよこにふる)が挙げられますね。「承知しない。賛成しない」という意味ですから、対義関係にあることがわかります。なおこれも「首を横にする」と誤用されることがありますので注意しておきましょう。

「胸を叩く」の英訳は?

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最後に、「胸を叩く」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「undertake」:引き受ける

「胸を叩く」を英語で言いまわす場合には「undertake」が挙げられるでしょう。「引き受ける」という意味で使用でき、「willingly」などと併用すると「快く引き受ける」とすることができますよ。以下に例文を見てみます。

・That sales person who willingly undertook to develop this service has now moved up in the world and is running the company.
このサービスを展開することを胸を叩いて引き受けてくれたあの営業さんは、今では出世して会社を経営しているよ。

・I asked him to join our company, knowing that it would be impossible, and he willingly undertook the offer. Thanks to him, our business continues to grow.
無理を承知で「うちの会社に入ってくれないか」といったら、胸を叩いて入ってくれたのがあのデザイナーなんだ。おかげで業績は成長し続けている。

・Maybe you shouldn't willingly undertake so much and take on so cheaply. It looks like you already have a lot of work, but you really don't want to bother, do you?
あまり胸を叩いて安請け合いしない方が良いんじゃないかい?既に仕事がいっぱいなように見えるけれど、本当に迷惑をかけないよね。

「胸を叩く」を使いこなそう

この記事では「胸を叩く」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「胸を叩く」は何かの物事において誰か他者からの依頼を引き受ける際に使用する慣用句でした。ビジネスシーンでも日常生活でも、「胸を叩いて」いろいろなことを引き受けると人脈や信頼が得られると思いますが、あまり引き受け過ぎてパンクしてしまわないよう注意しましょうね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「胸を叩く」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「胸を叩く」について解説する。

端的に言えば「胸を叩く」の意味は「引き受ける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「胸を叩く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「胸を叩く」の意味をわかりやすく伝える。

「胸を叩く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「胸を叩く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「胸を叩く」の意味は?

「胸を叩く」には、次のような意味があります。

相手の依頼をしっかりと引き受ける気持ちを表す動作。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「胸を叩く

「胸を叩く」は「むねをたたく」と読み、何かの物事において誰か他者からの依頼を引き受ける際に使用する慣用句です。動作を示す言葉ですが、実際に胸を叩かなくとも「快く引き受ける」という意味で比喩的に使用することもできますよ。

「胸を叩く」の語源は?

次に「胸を叩く」の語源を確認しておきましょう。「胸を叩く」は実際に「まかせとけ!」と何かの物事を引き受ける際の身体動作が由来となっていると考えられます。人間以外の動物でも胸を叩く動作はしばしば見られますから、生物の根源的な動きなのかもしれませんね。

なお「胸叩き」(むねたたき)という言葉が別途あり、「江戸時代、歳末に手で裸の胸をたたきながら、祝言を述べて銭を乞(こ)い歩いた門付け。」という意味で、こちらは直接由来には関係ないと考えられますが、余裕のある方はこういう言葉があるということを合わせて覚えておきましょう。

「胸を叩く」の使い方・例文

「胸を叩く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. こんなに厳しい仕事だとわかっていたら、あの時胸を叩いて引き受けなかったのにな。なんにせよ頑張らないと。
2. あの派遣さんはどんなことでも胸を叩いてやってくれるよ。こんなに力強いと思ったことはないな。
3. 引っ越しが大変過ぎて、いろいろな友人に助けを求めたら、数人が胸を叩いて手伝ってくれたんだ。ありがたくて涙が出そうになったよ。

このようにどの例文においても「胸を叩く」は「何かの物事をしっかりと・快く引き受ける」という意味で使用されていることがわかりますね。またどの例文でも、実際に胸を叩いているかはあまり関係なく意味が通じていることが確認できます。

「胸を叩く」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「胸を叩く」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

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