この記事では「向こうに回す」について解説する。

端的に言えば「向こうに回す」の意味は「敵にする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「向こうに回す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「向こうに回す」の意味をわかりやすく伝える。

「向こうに回す」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 81970232

それでは早速「向こうに回す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「向こうに回す」の意味は?

「向こうに回す」には、次のような意味があります。

相手として張り合う。敵とする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「向こうに回す

「向こうに回す」は「むこうにまわす」と読み、何かの物事において相手と張り合う場合や、誰か他者を敵とする際に使用する言葉です。「張り合う」と「敵にする」という微妙に異なる2つの意味がありますから、注意しておきましょう。

「向こうに回す」の語源は?

次に「向こうに回す」の語源を確認しておきましょう。「向こうに回す」の語源は明確ではありませんが、2つの言葉がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認しておきます。

まず「向こう」とはここでは「正面。前方。また、前方の比較的離れた場所。」という意味でしょう。次に「回す」は「その立場に置く」です。

そのため「向こうに回す」を丁寧に言いまわすと「比較的離れた場所や立場に(誰かを)置く」、転じてこの「離れた」というニュアンスから「敵にする」という意味になることがわかりますね。

「向こうに回す」の使い方・例文

「向こうに回す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. ことわざの検索の仕方について健太くんを向こうに回してしまったよ。くだらないことで喧嘩してしまったもんだ。
2. いくらあの姉妹がいる人気協会だとはいえ、向こうに回すべき時はそうするべきだ。無謀でも戦わないといけないよ。
3. あちらには厄介な先生がいることを忘れていた。先生を向こうに回したら、穏便に校則改定することは困難かもしれない。

例文の1と2では「相手と張り合う」という意味で使用されているのに対し、例文の3では「敵にする」という文脈で使われていますね。このように意味が微妙に異なりますので、注意しておきましょう。

「向こうに回す」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 72813033

それでは次に、「向こうに回す」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

「向こうを張る」:対抗する

今回まず最初にご紹介する類義語が「向こうを張る」(むこうをはる)です。念のため国語辞書にて意味を確認しておきましょう。

張り合う。対抗する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「向こうを張る

「向こうを張る」は「向こうに回す」と同じような意味を有していることがわかりますね。比較すると「向こうに回す」が持っていた「敵にする」という意味は「向こうを張る」にはないことが違いと言えるでしょう。

\次のページで「「先を争う」:争って進む」を解説!/

「先を争う」:争って進む

次にご紹介する類義語が「先を争う」(さきをあらそう)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

われ先にと争って進む。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「先を争う

「先を争う」は誰かと張り合うという意味で「向こうに回す」と類似していますね。ただし「先を争う」は誰か他者と「進む」という状況に限定しているところが「向こうに回す」との違いと言えます。

「鎬を削る」:激しく争う

今回最後にご紹介する類義語が「鎬を削る」(しのぎをけずる)です。口語でもよく使用する言葉ですが、「しのぎ」とちゃんと読めたでしょうか。念のため意味を確認しておきましょう。

激しく刀で切り合う。転じて、激しく争う。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鎬を削る

「争う」という点で「鎬を削る」と「向こうに回す」は類似していますね。違いとしては「向こうを張る」と同じように、「敵に回す」という意味が含まれていないことと言えるでしょう。

「向こうに回す」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

「力を貸す」:手助けする

「向こうに回す」の対義語としては「力を貸す」(ちからをかす)が挙げられるでしょう。「手助けをする。援助する。助力する。」という意味ですから対義関係にあることがわかりますね。

\次のページで「「向こうに回す」の英訳は?」を解説!/

「向こうに回す」の英訳は?

image by PIXTA / 2939624

最後に、「向こうに回す」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「compete」:張り合う

「向こうに回す」を英語で言いまわす場合には「compete」が挙げられるでしょう。「張り合う」という意味で使用することができます。以下に例文を見てみましょう。

・I've been competing with everyone on my team, but it's getting hard now. Is there anyone who can be on my side?
チームの全員を向こうに回していたのだけれど、もうつらくなってきたな。誰か味方になってくれる人はいないだろうか。

・I argued with him, competing against his teacher, that there was no point in practicing outdated practices in order to win, but the program never seemed to change.
優勝するために時代遅れの練習をしたって意味がないと先生を向こうに回して言い合ったが、プログラムは変わらないみたいだ。

・It sounds like you had a competition with the head of the school. I suggest you lay low for a bit, in case they get revenge on you.
学校の番長を向こうに回したみたいだね。復讐されるかもしれないから、少し身を隠すことをおすすめするよ。

「向こうに回す」を使いこなそう

この記事では「向こうに回す」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「向こうに回す」は何かの物事において相手と張り合う場合や、誰か他者を敵とする際に使用する言葉でした。ビジネスシーンでも日常生活でも敵はいないことに越したことはないですが、なかなかそうもいきませんから、争いが想定される時はいざという時に万全の態勢で戦えるようにしておくと良いでしょう。

" /> 【慣用句】「向こうに回す」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説! – ページ 2 – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「向こうに回す」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

「先を争う」:争って進む

次にご紹介する類義語が「先を争う」(さきをあらそう)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

われ先にと争って進む。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「先を争う

「先を争う」は誰かと張り合うという意味で「向こうに回す」と類似していますね。ただし「先を争う」は誰か他者と「進む」という状況に限定しているところが「向こうに回す」との違いと言えます。

「鎬を削る」:激しく争う

今回最後にご紹介する類義語が「鎬を削る」(しのぎをけずる)です。口語でもよく使用する言葉ですが、「しのぎ」とちゃんと読めたでしょうか。念のため意味を確認しておきましょう。

激しく刀で切り合う。転じて、激しく争う。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鎬を削る

「争う」という点で「鎬を削る」と「向こうに回す」は類似していますね。違いとしては「向こうを張る」と同じように、「敵に回す」という意味が含まれていないことと言えるでしょう。

「向こうに回す」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

「力を貸す」:手助けする

「向こうに回す」の対義語としては「力を貸す」(ちからをかす)が挙げられるでしょう。「手助けをする。援助する。助力する。」という意味ですから対義関係にあることがわかりますね。

\次のページで「「向こうに回す」の英訳は?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: