ApacheとTomcatって聞いたことあるか。どちらもWebに関係していることはわかるが、何が違うのでしょう。ApacheはWebサーバーでTomcatはアプリ(App)サーバーらしいが、そもそもサーバーってなんだか理解しているか。ApacheとTomactの違いについて、Webでの役割の違いや仕組みからプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

ApacheとTomcatの違いは?

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ApacheとTomcatはどちらもWebサービスに関係するサーバーと呼ばれるものです。WebサービスやWebアプリというものが動くにはサーバーが必要ですよね。そこに使われるもので代表的なのがApacheやTomcat。WebサービスやWebアプリを利用できるのはこれらがあるおかげです。そのApacheやTomactについて特徴や違いを説明していきます。

Apache:Webサイトに必須のWebサーバー

Apacheと呼んでいますが、正式な名称は「Apache HTTP Server(アパッチ・エッチティティピィ・サーバー)」です。直訳すると「ApacheのHTTPをサービスするもの」となります。Apacheはこのプロジェクトの名前です。HTTPはWebに欠かせないプロトコル(通信時の約束事)のことで、Serverはサービスをするもののこと。つまり、Apache製のHTTPのサービスをするもの、となります。

ざっくりまとめるとWebサイトをブラウザに送ってくれるものです。これとブラウザがないとWebを見ることができません

Tomcat:アプリケーションを動かすAppサーバー

Tomcatの正式名称は「Apache Tomcat(アパッチ・トムキャット)」です。Apache HTTP Serverと同じApache製で、Tomcatという名前がついています。Tomcatとは欧米で雄猫の名前に「トム」が使われることが多く、人名のトムと区別するための通称が「トムキャット」。

ざっくり説明すると、Java言語を使ったWebサービスを提供するためのものです。これだけでは分かりにくいですが、おいおい説明します。まずはWebアプリに必要なものと覚えてください。ApacheもTomcatも「Apacheソフトウェア財団」という団体が作っています

Webアプリの仕組みとサーバー

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ApacheとTomcatについてざっくりと見てきましたが、Webアプリはどのように動いているのでしょう?そのために必要なWebサーバーやAppサーバーとはなんでしょう。そこから説明していきます。

\次のページで「サーバーってなに?」を解説!/

サーバーってなに?

まずはWebサーバーやAppサーバーの「サーバー」とは何でしょう。サーバーとはコンピュータの役割を示す名前の1つです。普段からWebアプリやオンラインサービスなど、様々なインターネットのサービスを利用しているかと思います。そのサービスを提供するためのコンピューターが「サーバ」です。家庭やお店などでウォーターサーバーを置いてある所もありますが、このウォーターサーバーは水を提供してくれるものですよね。

同じように会社や個人向けに様々なサービスを提供するコンピューターが「サーバー・コンピューター」、略して「サーバー」です。

Webサイトに必ず必要なWebサーバー

サーバーの中でも色々な役割を分担しています。その役割ごとに「〇〇サーバー」というものがいくつかあるのです。その1つが「Webサーバー」。名前の通りWebには欠かせないサーバーになっています。

Webサーバーの仕事は、Webのコンテンツをブラウザに送ることです。このコンテンツとは例えばHTMLで書かれたWeb文書やそこで使っているイメージやビデオなど。あらかじめ作成されていて、内容が変わらないものです。このようなコンテンツを変わらないという意味で「静的コンテンツ」と呼びます。Webサーバーは主に静的コンテンツをユーザーに送信するためのサーバーです。

Webの進化で登場したAppサーバー

Webは元々静的コンテンツが主流でした。その後、SNSや掲示板、ブログ、検索サイトなどの内容が変わるものが増えます。これが動的コンテンツ。Webサーバーの中に動的コンテンツを扱う仕組みを追加して対応しましたが、効率が悪くなってきます。そこで動的コンテンツ専用のサーバーとして登場したのが「アプリケーションサーバー」です。アプリサーバー、Appサーバ、APサーバーなど様々な略語がありますが、ここではAppサーバーと呼ぶことにします。

Appサーバーの仕事はユーザーの操作に応じて内容が変わるものをブラウザに送信することです。そのためにAppサーバーではプログラムが動いており、ユーザーの操作を受け取り結果を返します。元々はWebサーバーの中でしていた仕事ですが、役割分担するために専用のサーバーが登場しました。プログラムが大きく複雑になったことで専用のサーバーが必要になったのです。

WebサーバーとAppサーバーが連携?Webアプリの仕組みとは

Appサーバーの仕事は元々Webサーバーがこなしていたものです。そのため、役割分担するようになってもブラウザと直接やり取りするのはWebサーバーの仕事Appサーバーはその裏にいてWebサーバーを助けています。他にも大量のデータを処理するデーターベースを動かすDBサーバーというサーバーなども。これらのサーバーが連携して1つのWebサービスになっています。

レストランでも厨房で料理をするシェフ、デザートを作るパティシエ、ワインを選んでくれるソムリエ、料理を運ぶウェイターなど様々な役割分担がありますよね。Webの世界でもサーバーがWebサーバーやAppサーバー、DBサーバーなど、それぞれの専門職が連携して動いているのです。

どう使う?共存するの?WebサーバーとAppサーバーの特徴

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WebサーバーとAppサーバーの違いを説明してきましたが、特徴や連携についても確認します。なぜ分かれていて、どう連携するのかも見ていきましょう。

\次のページで「なぜ分かれているの?WebサーバーとAppサーバー」を解説!/

なぜ分かれているの?WebサーバーとAppサーバー

WebサーバーとAppサーバーは役割分担のために分かれています。ただ他にも理由があるのです。Web上のサービスではユーザーの操作に対して結果を送信します。静的コンテンツをブラウザに送信するだけのWebサーバーよりもAppサーバーの仕事は多く、忙しくなりがち。そのため、Appサーバーは1台だけではなくて複数用意されることもあります。ユーザーがWebサーバーにアクセスすると、Webサーバーが空いているAppサーバーを見つけて仕事を依頼する仕組みになっているのです。

例えば、駅が混雑すると駅員が誘導して整理したり、入場制限をしますよね。Webサーバーが窓口や誘導員としてユーザーからのアクセスを整理して控えるAppサーバに仕事を割り振ることで、全体の混雑を慣らしているのです。

インストールや共存はどうするの?

このようにWebに欠かせないWebサーバーやAppサーバー。手元のパソコンにインストールして試すこともできます。ApacheもTomcatもオープンソースのフリーソフトなので、誰でも無料でダウンロードしてきてインストールできます。

ただ、それぞれをインストールしただけでは動きはバラバラ。連携させるには設定が必要です。インストールや連携の仕方を紹介しているWeb記事も多いので簡単にできますよ。ただし、起動する順番は要注意。起動時はTomcaが先、Apacheが後で、停止時はその逆です。Apacheがユーザとの窓口になるので後に起動し、先に停止する必要があります。

ApacheとTomcatだけじゃない!ライバルたち

Apacheの他にもWebサーバーがあります。かつてはApacheがシェア7割近くありましたが、現在シェア1位はNginx。「エンジンエックス」と読みます。Apacheと人気を二分しており、こちらもオープンソースのフリーソフトです。Apacheがどんな用途にも使えるのに対して、Nginxは同時に多数のアクセスをさばくことに特化しています。その分機能面は控えめです。

AppサーバーもTomcatのライバルとなる製品があります。ほとんどはTomcatと異なり有償製品です。Appサーバーのシェアは今でもTomcatが高いまま。昔は会社で使う仕事用のアプリケーションの多くにJava言語が使われていましたが、現在は他の言語も多くなっています。そのため、TomcatをはじめとしたJavaを使うためのAppサーバーを使うことも少なくなってきています

WebサイトのためのWebサーバー、WebアプリのためのAppサーバー

ApacheもTomcatもApacheソフトウェア財団が開発しています。静的コンテンツを扱うWebサーバーの代表がApache、動的コンテンツを扱うAppサーバーの代表がTomcatです。どちらも広く使われていますが、ライバル製品も色々出てきています。

AppサーバーやWebサーバーはそれぞれ単独で動かすというよりも、連携して使うものです。誰もが知る有名Webサービスは規模も大きく、多くのWebサーバーやAppサーバー、DBサーバーなどを組み合わせてサービスを提供しています。それぞれの役割があり、連携して動くことでユーザが便利なサービスをいつでも使えるのです。

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IT・プログラミング雑学

ApacheとTomcatの違いとは?サーバーやWebの仕組みや特徴もプログラマーがわかりやすく解説

ApacheとTomcatって聞いたことあるか。どちらもWebに関係していることはわかるが、何が違うのでしょう。ApacheはWebサーバーでTomcatはアプリ(App)サーバーらしいが、そもそもサーバーってなんだか理解しているか。ApacheとTomactの違いについて、Webでの役割の違いや仕組みからプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

ApacheとTomcatの違いは?

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ApacheとTomcatはどちらもWebサービスに関係するサーバーと呼ばれるものです。WebサービスやWebアプリというものが動くにはサーバーが必要ですよね。そこに使われるもので代表的なのがApacheやTomcat。WebサービスやWebアプリを利用できるのはこれらがあるおかげです。そのApacheやTomactについて特徴や違いを説明していきます。

Apache:Webサイトに必須のWebサーバー

Apacheと呼んでいますが、正式な名称は「Apache HTTP Server(アパッチ・エッチティティピィ・サーバー)」です。直訳すると「ApacheのHTTPをサービスするもの」となります。Apacheはこのプロジェクトの名前です。HTTPはWebに欠かせないプロトコル(通信時の約束事)のことで、Serverはサービスをするもののこと。つまり、Apache製のHTTPのサービスをするもの、となります。

ざっくりまとめるとWebサイトをブラウザに送ってくれるものです。これとブラウザがないとWebを見ることができません

Tomcat:アプリケーションを動かすAppサーバー

Tomcatの正式名称は「Apache Tomcat(アパッチ・トムキャット)」です。Apache HTTP Serverと同じApache製で、Tomcatという名前がついています。Tomcatとは欧米で雄猫の名前に「トム」が使われることが多く、人名のトムと区別するための通称が「トムキャット」。

ざっくり説明すると、Java言語を使ったWebサービスを提供するためのものです。これだけでは分かりにくいですが、おいおい説明します。まずはWebアプリに必要なものと覚えてください。ApacheもTomcatも「Apacheソフトウェア財団」という団体が作っています

Webアプリの仕組みとサーバー

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ApacheとTomcatについてざっくりと見てきましたが、Webアプリはどのように動いているのでしょう?そのために必要なWebサーバーやAppサーバーとはなんでしょう。そこから説明していきます。

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