この記事では「鞘を取る」について解説する。

端的に言えば「鞘を取る」の意味は「仲介して利益を得る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「鞘を取る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「鞘を取る」の意味をわかりやすく伝える。

「鞘を取る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「鞘を取る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鞘を取る」の意味は?

「鞘を取る」には、次のような意味があります。

売買の仲介をして、価格の差の一部を利益として取る。鞘を稼ぐ。鞘を抜く。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鞘を取る

「鞘を取る」は「さやをとる」と読み、何らかの売買関連の物事において仲介をした上で、売買価格の差の一部を利益として得る際に使用する言葉です。「仲介する」という状況と、「利益を得る」という結果がセットになった慣用句であると言えますね。

「鞘を取る」の語源は?

次に「鞘を取る」の語源を確認しておきましょう。「鞘を取る」の語源は明確ではありませんが、2つの言葉がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認しておきます。

まず「鞘」はここでは「値段や利率の差・開き。売り値と買い値との差や、ある銘柄の相場間の値段の開きなどをいう。」のことですね。刀の鞘という意味ももちろんあるのですが、このような値段の開きのことは元々「差也」(さや)と江戸時代に呼称しており、「鞘」の漢字は当て字ではないかと言われています。

一方「取る」は「自分のものにする」という意味ですから、「鞘を取る」を丁寧に言いまわすと「売り値と買い値との差などを自分のものにする」となることがわかりますね。

「鞘を取る」の使い方・例文

「鞘を取る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. この商品は価格の変動が激しいから、入手時のタイミングが良ければうまく鞘を取ることができるわよ。
2. 不動産屋はあれこれ親切にしてくれるけれど、結局鞘を取っているだけではないのかい?お世話になっている人を悪く言いたくはないのだけれど。
3. 君はそうやって宿題の答えを販売して鞘を取っているのかもしれないが、答えを提供している人は誰だい?探し出して先生に言ってやる。

どの例文においても「鞘を取る」は何らかの売買の物事で利益を得ている際に使用されていることがわかりますね。なおどの例文も「鞘を抜く」に置き換えることが可能です。

「鞘を取る」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「鞘を取る」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

\次のページで「「利鞘」:売値と買値の差額で生じる利益金」を解説!/

「利鞘」:売値と買値の差額で生じる利益金

今回まず最初にご紹介する類義語が「利鞘」(りざや)です。口語でもビジネスシーンなどでよく用いられる言葉ですが、念のため国語辞書で意味を確認しておきましょう。

取引で、売値と買値の差額によって生じる利益金。マージン。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「利鞘

「利鞘」はほとんど「鞘を取る」と同じような意味を有していることがわかりますね。厳密には「鞘を取る」には「仲介」という意味が含まれていた一方、「利鞘」はそのような制約がないことが違いと言えるでしょう。

「仲買」:売買の媒介をして営利をはかること

次にご紹介する類義語が「仲買」(なかがい)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

物品や権利の売買の媒介をして営利をはかること。また、それを業とする人。ブローカー。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「仲買

「仲買」は「鞘を取る」とほとんど同じ意味を有していることがわかります。「仲買」は上述したようにブローカーの意味を持っていることも覚えておきましょう。

「斡旋」:間に入って取り持つこと

今回最後にご紹介する類義語が「斡旋」(あっせん)です。こちらも意味を確認しておきます。

1. 間に入って双方をうまく取り持つこと。周旋。
2. 労働関係調整法による労働争議の解決方法の一。労働委員会が指名した斡旋員が労使間を取りなして、争議の解決を図ること。
3. 行政法上、公益事業用地の取得をめぐる当事者間の紛争を解決するために行われる手続き

出典:デジタル大辞泉(小学館)「斡旋

「鞘を取る」の類義語としては1の意味ですね。「仲介する」という点では類似していますが、「斡旋」には利益を得るという意味が含まれていないことが違いと言えるでしょう。「あっせん」とちゃんと読めるようにしておきましょうね。

「鞘を取る」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

「板挟み」:対立する二者の間にいて苦しむこと

「鞘を取る」の対義語としては「板挟み」(いたばさみ)が挙げられるでしょう。「対立する二者の間に立ってどちらに付くこともできず、苦しむこと。」という意味ですから、対義関係にあることがわかりますね。なお「板と板との間に挟まれて身動きできない意」が語源となっています。

「鞘を取る」の英訳は?

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最後に、「鞘を取る」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「profit margins」:利鞘

「鞘を取る」を英語で言いまわす場合は「profit margins」が良いでしょう。「利鞘」という意味で使用することが可能です。以下に例文を見てみます。

・He has a background in a trading company, and he is very good at profit margins by calling on the trends of the times. You can talk to him about commercialization.
あの上司は商社出身だけあって、時代の流れを呼んで鞘を取るのが非常にうまいんだ。事業化についても相談してごらん。

・I very much disliked feeling like I was profiteering margins, but not if they were willing to provide so much after-sales support.
鞘を取られた気がして非常に嫌だったのだが、これほどアフターサポートをしてくれるなら話は別だ。

・In a capitalist society, relationships can be replaced by money. As proof of this, you know who is profiting margins from it by making a business out of it?
資本主義社会では、人間関係も金に置き換えられることがある。その証拠に、それを商売にして鞘を取っている人がいるだろう?

「鞘を取る」を使いこなそう

この記事では「鞘を取る」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「鞘を取る」は何らかの売買関連の物事において仲介をした上で、売買価格の差の一部を利益として得る際に使用する言葉でした。ビジネスシーンでも日常生活でも、「鞘を取る」商売をする場合は、利益を得た後の人間関係が重要ですから、損をした関係者がいたらフォローは忘れないようにしましょうね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「鞘を取る」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「鞘を取る」について解説する。

端的に言えば「鞘を取る」の意味は「仲介して利益を得る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「鞘を取る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「鞘を取る」の意味をわかりやすく伝える。

「鞘を取る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「鞘を取る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鞘を取る」の意味は?

「鞘を取る」には、次のような意味があります。

売買の仲介をして、価格の差の一部を利益として取る。鞘を稼ぐ。鞘を抜く。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鞘を取る

「鞘を取る」は「さやをとる」と読み、何らかの売買関連の物事において仲介をした上で、売買価格の差の一部を利益として得る際に使用する言葉です。「仲介する」という状況と、「利益を得る」という結果がセットになった慣用句であると言えますね。

「鞘を取る」の語源は?

次に「鞘を取る」の語源を確認しておきましょう。「鞘を取る」の語源は明確ではありませんが、2つの言葉がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認しておきます。

まず「鞘」はここでは「値段や利率の差・開き。売り値と買い値との差や、ある銘柄の相場間の値段の開きなどをいう。」のことですね。刀の鞘という意味ももちろんあるのですが、このような値段の開きのことは元々「差也」(さや)と江戸時代に呼称しており、「鞘」の漢字は当て字ではないかと言われています。

一方「取る」は「自分のものにする」という意味ですから、「鞘を取る」を丁寧に言いまわすと「売り値と買い値との差などを自分のものにする」となることがわかりますね。

「鞘を取る」の使い方・例文

「鞘を取る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. この商品は価格の変動が激しいから、入手時のタイミングが良ければうまく鞘を取ることができるわよ。
2. 不動産屋はあれこれ親切にしてくれるけれど、結局鞘を取っているだけではないのかい?お世話になっている人を悪く言いたくはないのだけれど。
3. 君はそうやって宿題の答えを販売して鞘を取っているのかもしれないが、答えを提供している人は誰だい?探し出して先生に言ってやる。

どの例文においても「鞘を取る」は何らかの売買の物事で利益を得ている際に使用されていることがわかりますね。なおどの例文も「鞘を抜く」に置き換えることが可能です。

「鞘を取る」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「鞘を取る」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

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