今回はナスを食べるための処理について確認していこう。下処理することによって渋みや苦味と言った嫌われる要素が減ったり、よりヘルシーに食べることができるので注目してほしい。料理の時間短縮にもなる加熱方法や保存方法も合わせて、10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。最近のナスのお気に入りレシピは片栗粉をつけて揚げたナスの唐揚げ。長らく食育に携わった経験を踏まえながら食に関する知識をわかりやすく発信していく。

ナスの下処理の仕方は?水にさらすのは正解?

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ナスはアクが強く渋みが出たり変色してしまうので下処理が必須。しかし、大事な栄養が流れてしまわないかが気になるところです。下処理をする理由も合わせて解説するので確認してみて下さい。

アク抜きのしかた1.水にさらす

ナスは切ったまま放置しておくとアクによって茶色く変色していきます。また渋みやえぐみの原因となってしまうので、切ったらすぐに水にさらしてアク抜きをしましょう。ボウルなどに水をはって、切ったナスをつければOKです。

しかし、ナスに含まれている抗酸化作用を持つナスニンやビタミン、カリウムというミネラルは水に溶けやすい性質を持っているため、さらしすぎると栄養まで水に溶けだしてしまいます。2~3分程度でさっと済ませましょう。

アク抜きのしかた2.塩をふって水分を出す

切ったナスを並べて塩をふりしばらく待つと、ナスから水分が出てきて一緒にアクも抜けていきます。キッチンペーパーで出てきた水分を拭き取ってあげましょう。調理のときに水気が残っていると油はねの原因になるため、この方法はナスを炒めたり揚げたりするときの下ごしらえにおすすめです。

水にさらすとシュウ酸が減らせる

ナスに含まれる成分でシュウ酸というものがあります。これはホウレンソウやブロッコリー・キャベツなどにも多く含まれていて、カルシウムと結びつくことで尿路結石や骨粗しょう症の原因となる物質です。体内のシュウ酸の70%は食事由来ですが、水に溶けやすい性質を持っているので食材を水にさらす・ゆでる・煮るなどの方法で摂取量を減らすことができます

ナスを水にさらすアク抜きは調理法によってはしなくても良い、栄養が流れてしまうという考え方もありますが、油では減らすことのできないシュウ酸を抜く目的もあるということを覚えておくとよいでしょう。

\次のページで「時間短縮!ナスの簡単な食べ方」を解説!/

時間短縮!ナスの簡単な食べ方

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ナスは焼く・炒める・煮る・揚げる…とどのような調理・調味料とも相性がよいため、この料理には使えないというものが少なく献立に取り入れやすいでしょう。ここではナスを短時間で加熱できる簡単な方法に注目して2つご紹介していきます。

1.最速手軽なレンジ蒸し

ナスをレンジで加熱したら危ないのでは?少し不安がよぎるかもしれませんが、ちゃんと対策すれば大丈夫。まずつまようじやフォークなどでナスに数か所穴をあけておきましょう。その後、ラップで1本丸ごと包んで600wで2分加熱すればあっという間に蒸しナスのできあがり。ヘタごと加熱することで紫色がきれいに残ります。レンジによって多少変わるので、固ければ裏返してさらに30秒ずつ様子を見ながら加熱してくださいね。

熱いので気を付けて取り出してラップごと冷水につけ、粗熱がとれたらお好みの味付けをしてください。めんつゆや焼き肉のタレと和えればごはんに合うおかずが簡単にもう1品できます。

本来ならだし汁やしょうゆ・みりんなどと一緒に煮るナスの煮びたしも、ナスをレンジで蒸して調味料をめんつゆで代用することで手軽に作ることができますよ。

2.ホットサンドメーカーで焼きナス

焼きナスといえばフライパンやグリルを使うのが一般的ですが、キャンプ用品としても話題の直火用ホットサンドメーカーがもし家にあればラッキー。ナスを縦半分に切って皮に網状の切れ目を入れ、あらかじめ油を絡めてからホットサンドメーカーで挟んで、中火で両面2~3分を目安に焼きましょう。蒸し焼き効果も加わってとろとろでジューシーな仕上がりになりますよ。

かつお節としょうゆをかけたシンプルな焼きナスはおつまみとしても人気の簡単レシピ。しょうがを添えるとさっぱりと食べられます。

ナスは冷凍できる?保存方法と処分の目安は?

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ナスは水分が飛びやすい食材なので買って来たらすぐに食べるのがおすすめですが、安いときに多めに買ったり使いきれなかったりするときもあるでしょう。以下の方法を参考にして早めに処理をすることでおいしく食べられる期間を延ばすことができます。傷んでしまったナスの見分け方やしなびたナスを復活させる裏技も合わせてみていきましょう。

\次のページで「その1.正しい冷蔵保存で1週間ほど日持ちする」を解説!/

その1.正しい冷蔵保存で1週間ほど日持ちする

最も簡単に保存できるのは冷蔵保存です。ポイントは乾燥を防ぐことと温度管理。はじめに傷みの原因となるナスの水気をよくふき取ってからラップで1本ずつ包んで、表面から水分が蒸発するのを防ぎましょう。ジッパー付きの袋に入れて空気を抜いてから野菜室に入れれば1週間ほど鮮度を保つことができます

ナスはもともと暖かい地域でうまれた作物なので、寒さや乾燥が苦手です。冷蔵室の温度が2~6℃なのに対して野菜室の温度は3~8℃と高めで、水分の多い野菜をみずみずしく保つのに向いていますよ。

その2.手作り冷凍野菜で料理の時間を短縮

ナスを輪切りや乱切りなど使いたい形に切って、水にさらす・塩をふるなどの方法でアクを抜きます。霜がつかないようによく水気をふき取ったら重ならないようにジッパー付きの袋に入れて、空気を抜いて冷凍しましょう。余裕があれば素揚げしたり焼いたりと加熱してから冷凍すると、さらに使うときの時間短縮になるのでおすすめです。

冷凍ナスはみそ汁の具やマーボー豆腐などゆでたり煮たりする料理に向いていますよ。解凍する必要がなく冷凍庫から出してそのまま調理できるので便利です。1ヵ月を目安に使いきってくださいね。

その3.常温保存は水分を逃さないひと工夫を

ナスの保存適温は8~12℃と言われているので、室温が15℃以下くらいであれば常温保存も可能です。新聞紙で1本ずつ包んで乾燥を防ぎ、風通しのよい涼しい場所で保管しましょう。しかしナスは基本的に鮮度が落ちるのが早いので日持ちは2~3日程度。使うのが早ければ早いほどおいしく食べられることを覚えておいてくださいね。

食べるのはNG!処分の目安

ナスは水分が多いのでカビが生えたり腐ったりしやすい食材です。身がぶよぶよとしている、ぬめりがある、酸っぱいにおいがするものは腐っているので処分しましょう

白くふわふわとしたカビがヘタの部分だけに生えているときにそこだけ切り落として食べられるのでは?と思うかもしれませんが、要注意です。カビの胞子が目に見えない部分にまで入り込んでいる可能性がありますし、カビが発生させる毒は加熱しても消えません。安全のためにカビが生えてしまったナスは丸ごと処分しましょう

種が黒い・断面が黒ずんだナスは捨てるべき?

ナスを切ったときに種がブツブツと黒く目立つものは時間の経過によって鮮度が落ちている証拠。食べられないことはありませんが、味や食感は落ちてしまっています。また、切ったときに黒ずんでいて水分が出ていないのであれば、腐っているのではなく低温障害を受けている可能性が。こちらも食べることはできますが本来のおいしさは落ちている状態です。

まだ捨てないで!しなびたナスを復活させる方法

傷んではいないようだけど皮がしなびてしまった…そんな水分が抜けたナスはヘタとおしりの部分をカットして、鍋などのナスが丸ごと入る容器に水をはってつけておきましょう。数時間経つとナスが水分を吸ってみずみずしさが戻り、皮もふっくらとしてきます。

容器よりひと回り小さい皿やフタを重しにすればナスが浮かんできませんよ。うっかり日の経ってしまったナスをおいしく食べる裏技をぜひ一度試してみて下さい。

\次のページで「定番野菜の扱い方を再確認しておいしく食べよう!」を解説!/

定番野菜の扱い方を再確認しておいしく食べよう!

ナスは食卓によく出てくる身近な野菜ですが、健康効果や雑学までいっぱい詰まっているのは意外だったのではないでしょうか?定番な分その扱いを詳しく知る機会が少なかったかもしれませんが、下処理や時間短縮の調理法・正しい保存方法を覚えておいておいしく食べてくださいね。

" /> 水にさらすと栄養が逃げる?ナスの下処理や簡単な加熱方法・保存のしかたも元保育士がわかりやすく解説 – Study-Z
家庭科

水にさらすと栄養が逃げる?ナスの下処理や簡単な加熱方法・保存のしかたも元保育士がわかりやすく解説

今回はナスを食べるための処理について確認していこう。下処理することによって渋みや苦味と言った嫌われる要素が減ったり、よりヘルシーに食べることができるので注目してほしい。料理の時間短縮にもなる加熱方法や保存方法も合わせて、10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。最近のナスのお気に入りレシピは片栗粉をつけて揚げたナスの唐揚げ。長らく食育に携わった経験を踏まえながら食に関する知識をわかりやすく発信していく。

ナスの下処理の仕方は?水にさらすのは正解?

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ナスはアクが強く渋みが出たり変色してしまうので下処理が必須。しかし、大事な栄養が流れてしまわないかが気になるところです。下処理をする理由も合わせて解説するので確認してみて下さい。

アク抜きのしかた1.水にさらす

ナスは切ったまま放置しておくとアクによって茶色く変色していきます。また渋みやえぐみの原因となってしまうので、切ったらすぐに水にさらしてアク抜きをしましょう。ボウルなどに水をはって、切ったナスをつければOKです。

しかし、ナスに含まれている抗酸化作用を持つナスニンやビタミン、カリウムというミネラルは水に溶けやすい性質を持っているため、さらしすぎると栄養まで水に溶けだしてしまいます。2~3分程度でさっと済ませましょう。

アク抜きのしかた2.塩をふって水分を出す

切ったナスを並べて塩をふりしばらく待つと、ナスから水分が出てきて一緒にアクも抜けていきます。キッチンペーパーで出てきた水分を拭き取ってあげましょう。調理のときに水気が残っていると油はねの原因になるため、この方法はナスを炒めたり揚げたりするときの下ごしらえにおすすめです。

水にさらすとシュウ酸が減らせる

ナスに含まれる成分でシュウ酸というものがあります。これはホウレンソウやブロッコリー・キャベツなどにも多く含まれていて、カルシウムと結びつくことで尿路結石や骨粗しょう症の原因となる物質です。体内のシュウ酸の70%は食事由来ですが、水に溶けやすい性質を持っているので食材を水にさらす・ゆでる・煮るなどの方法で摂取量を減らすことができます

ナスを水にさらすアク抜きは調理法によってはしなくても良い、栄養が流れてしまうという考え方もありますが、油では減らすことのできないシュウ酸を抜く目的もあるということを覚えておくとよいでしょう。

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