習い事の定番となっている「書道」と「習字」。
子供から大人まで幅広い世代に普及しているが、この2つの違いを知っている人は少ないんじゃないか?
今回は書道と習字の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

書道と習字の違い

image by iStockphoto

毛筆で文字を書く「書道」と「習字」。この2つの違いを知っている人は多くはないのではないでしょうか。習い事を表す「書道教室」と「習字教室」という使い方もするので、どちらも同じ意味に感じてしまいますよね。ここでは「書道」と「習字」の違いについて解説していきます。

書道:文字で表現する芸術

「書道」とは文字を通して自己表現を行う芸術の1ジャンルです。文字が生み出す美しさを追及する「道」になります。「華道」が生けられた花の美しさを、「茶道」が所作や茶道具などによる美しさを追及するのと同様に似ていますね。

ちなみに「道」とは人々が反復して行きかう場所、そこから転じて反復した鍛錬により人間として成長することを表す日本語独特の表現でもあります。「書道」を習い事としている人は、絵画教室などと同様に芸術の表現方法を学んでいるんですね。

習字:文字の書き方を学ぶこと

一方の「習字」は綺麗な字を書けるように学ぶこと全般を意味します。文字を学習することそのものを表現した言葉です。

学校の授業では、主に小中学生を対象として国語科の授業内で取り扱います。毛筆に限らず、鉛筆やボールペンなどで文字を書くことも「習字」。「習字」を習い事としている人は、日常で必要な文字を書くスキルを学んでいると言えるのです。

書写との関係は?

image by iStockphoto

「書道」と「習字」の違いはおわかりいただけだと思います。ここで気になるのは、似たような響きのある「書写」という言葉ですよね。ここでは「書写」の意味についても解説していきます。

\次のページで「書写:文字を書き写すこと」を解説!/

書写:文字を書き写すこと

「書写」とは文字を書き写すことを表す言葉です。小学校の授業で「習字」を行う際に、お手本となる作品を書き写すよう指示された方も多いのではないでしょうか。誰が見ても綺麗だと思うような文字を書くことができるよう、まずはお手本を書き写すのです。絵画が模写、音楽が楽譜通りに引くところからスタートすることと同じですね。

書道の歴史

image by iStockphoto

芸術である「書道」は、今や日本を代表する文化の一つでもあります。しかしその歴史はどれくらいあるのでしょうか。ここでは日本人として知っておきたい「書道」の歴史についても紐解いていきます。

元々日本に文字はなかった

日本の「書道」のおこりは、中国から伝わった漢字にあります。元々日本には文字はありませんでした。弥生時代に移住してきた大陸系の人達や、貿易により徐々に漢字が入ってきたことで、意思疎通の手段として漢字が普及していきます。

仏教の伝来とともに本格化

飛鳥時代に入り仏教が伝来すると、僧侶の修業や貴族のたしなみとして「写経」が流行しました。これは仏教の経典を「書写」することです。

奈良時代になると聖武天皇をはじめ、仏教の力で国を安定させようという運動が起こります。その中で国家事業として「写経」を行う「写経所」なる機関や、律令制度下にて「書道」が教育科目に追加されたりしました。

\次のページで「皇族や貴族への普及により確立」を解説!/

皇族や貴族への普及により確立

奈良時代から平安時代にかけて、漢字を音によって表現する日本独自の使い方が普及します。いわゆる「万葉仮名」という表記で、この「万葉仮名」を書き崩したものが現在の「ひらがな」のルーツ。のちに「カタカナ」も生まれます。

平安時代になると華やかな宮廷文化が花開き、今まで「写経」や実務上の一手段としてか用いられなかった文字そのものに美を見出す考え方が普及。特に空海、嵯峨天皇、橘逸勢ら3人は「三筆」と呼ばれ、最も美しい文字を書く3人と評価されました。ここに「書道」が確立したのです。

書道は芸術、習字は書き方を学ぶこと

ここまで「書道」と「習字」の違い、「書写」との違い、そして「書道」の歴史について見てきました。解説を読んで、漠然としていた言葉の意味がはっきりとしたのではないでしょうか。

どの国家、民族にとっても文字というものは重要です。文化そのものを表しているとも言えるでしょう。日本語は漢字、ひらがな、カタカナと3つの文字が混在する特殊な言語です。美しい文字による表現を学ぶ、綺麗な文字を学ぶことは、それすなわち日本人の複雑な歴史や感性そのものを学ぶことと言えそうですね。

" /> 3分でわかる書道と習字の違い!どれくらい歴史があるの?書写との関係性も雑学好きライターがわかりやすく解説 – Study-Z
文化・歴史雑学

3分でわかる書道と習字の違い!どれくらい歴史があるの?書写との関係性も雑学好きライターがわかりやすく解説

習い事の定番となっている「書道」と「習字」。
子供から大人まで幅広い世代に普及しているが、この2つの違いを知っている人は少ないんじゃないか?
今回は書道と習字の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

書道と習字の違い

image by iStockphoto

毛筆で文字を書く「書道」と「習字」。この2つの違いを知っている人は多くはないのではないでしょうか。習い事を表す「書道教室」と「習字教室」という使い方もするので、どちらも同じ意味に感じてしまいますよね。ここでは「書道」と「習字」の違いについて解説していきます。

書道:文字で表現する芸術

「書道」とは文字を通して自己表現を行う芸術の1ジャンルです。文字が生み出す美しさを追及する「道」になります。「華道」が生けられた花の美しさを、「茶道」が所作や茶道具などによる美しさを追及するのと同様に似ていますね。

ちなみに「道」とは人々が反復して行きかう場所、そこから転じて反復した鍛錬により人間として成長することを表す日本語独特の表現でもあります。「書道」を習い事としている人は、絵画教室などと同様に芸術の表現方法を学んでいるんですね。

習字:文字の書き方を学ぶこと

一方の「習字」は綺麗な字を書けるように学ぶこと全般を意味します。文字を学習することそのものを表現した言葉です。

学校の授業では、主に小中学生を対象として国語科の授業内で取り扱います。毛筆に限らず、鉛筆やボールペンなどで文字を書くことも「習字」。「習字」を習い事としている人は、日常で必要な文字を書くスキルを学んでいると言えるのです。

書写との関係は?

image by iStockphoto

「書道」と「習字」の違いはおわかりいただけだと思います。ここで気になるのは、似たような響きのある「書写」という言葉ですよね。ここでは「書写」の意味についても解説していきます。

\次のページで「書写:文字を書き写すこと」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: