この記事では「其れとなく」について解説する。

端的に言えば其れとなくの意味は「遠回しに」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「其れとなく」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「其れとなく(それとなく)」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「其れとなく」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「其れとなく」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「其れとなく」の意味は?

「其れとなく」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.遠回しに。それとなしに。「—断る」「妙なうわさが—耳に入る」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「其れとなく」

「其れとなく」は遠回しに、それとなしにという意味をもった慣用句です。具体的にそれと指すことをせず、遠回しに言う。特になんということもなく。「其れとなく」はこうした二種類の意味をもった表現です。多くは遠回しに言う意味でよく用いられています。直接的な表現を避け、婉曲的に言うニュアンスに注意しましょう。

また古い書籍等では、何となくという意味で使われていることもありますね。はっきりとした理由・目的がないことを表現するために用いられています。「其れとなく」は書籍・新聞等の文章中のほか、口語においても時折使用されている身近な言葉です。この機会に「其れとなく」の意味・用法を確認し、自身の語彙力を高めていきましょう。

「其れとなく」の語源は?

次に「其れとなく」の語源を確認しておきましょう。残念ながら「其れとなく」の語源は現在はっきりとはしていません。「其れとなく」の語源ははっきりとはしていないと覚えておきましょう。また「其れとなく」がいつ頃から使われだした言葉なのかという点についても、あわせて確認しておきましょう。

其れとなくと同様の意味をもった「其れと無しに」は、1205年頃の新古今和歌集に「詠(ながめ)侘びそれとはなしに物ぞ思ふ雲のはたての夕暮の空〈源通光〉」としてこの言葉が登場しています。このことから「其れとなく」も非常に古くから使われている表現であることが分かりますね。こちらも確認しておきましょう。

\次のページで「「其れとなく」の使い方・例文」を解説!/

「其れとなく」の使い方・例文

「其れとなく」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼に其れとなく誘いをかける。
2.被害者に事件のことについて、其れとなく尋ねる。
3.其れとなく、職を探そうと思い立つ。

「其れとなく」は例文のように、遠回しに言うこと、また何となくという意味を表して使われている言葉です。露骨に誘うことをせず、何となくにおわせる形で誘う。露骨な表現を避けながら、相手に物を尋ねる。「其れとなく」はこうした直接的な表現を避ける様子のほか、何となく、明確な理由がなく漠然とという意味で使われている言葉です。

「其れとなく」は古くから使われている言葉ですが、現在でも一般的に使われています。漢字を使って表記されることは少なく、「それとなく」と表記されることが多いため、こちらも覚えておきましょう。例文から「其れとなく」の実際の使用場面をイメージし、自身でも使用することができるようにしていきましょう。

「其れとなく」の類義語は?違いは?

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続いて「其れとなく」の類義語・違いについて確認していきましょう。「其れとなく」の類義語をいくつかピックアップしました。関連するよく似た表現との違いを確認することで、「其れとなく」という言葉の機能をより深く理解することができます。

その1「遠回し」:直接的な表現を避ける

「遠回し」は直接的な表現を避けて、それとなく言うことを意味する言葉です。こちらも直接的に言うことを避ける意味となっており、「其れとなく」と似た意味をもった類義語となっています。用法・使用頻度に違いがあるため、それぞれの違いに注意して使い分けていきましょう。

\次のページで「その2「婉曲(えんきょく)」:それとなく穏やかに言う」を解説!/

その2「婉曲(えんきょく)」:それとなく穏やかに言う

「婉曲」はそれとなく、穏やかに言うことを意味する言葉です。こちらも直接的に言うことを避ける意味となっており、「其れとなく」と似た意味をもった類義語となっています。こちらは角を立てないように穏やかに言うことを意味しているため、ニュアンスの違いに注意して使い分けていきましょう。

その3「仄めかす(ほのめかす)」:それとなく言葉や態度に表して示す

「仄めかす」はそれとなく言葉や態度に表して示すことを意味する言葉です。こちらも遠回しに言うことを意味する言葉となっており、「其れとなく」と似た意味をもった類義語となっています。こちらは本心や真実を相手に言葉や態度にそれとなく示す意味のため、細かい意味の違いに注意しましょう。

その4「持って回る(もってまわる)」:必要以上に遠回しな表現をする

「持って回る」は必要以上に遠回しな言い方や仕方をすることを意味する言葉です。こちらも遠回しな表現を表す言葉となっており、「其れとなく」と似た意味をもった類義語となっています。こちらは必要以上の遠回しな表現を表す言葉となっているため、違いに注意して使い分けていきましょう。

その5「臭わす(におわす)」:それとなく遠回しに言う

「臭わす」はそれとなく遠回しに言うことを意味する言葉です。こちらも遠回しに言うことを意味している言葉となっており、「其れとなく」と似た意味をもった類義語となっています。こちらは他に臭うようにするという意味ももった言葉となっているため、こちらの点に注意しましょう。

「其れとなく」の対義語は?

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つづいて「其れとなく」の対義語についても確認していきましょう。「其れとなく」には明確に対義語とされている語はありません。しかしその意味から連想してみると次の単語が思い浮かびます。

「率直(そっちょく)」:ありのままで隠すところがない

「率直」はありのままで隠すところがないことを意味する言葉です。「其れとなく」が直接的な表現を避けて遠回しに言うことを意味していたのに対し、こちらは何も隠さずありのまま伝えることを意味しています。対義語として、こちらもあわせて覚えておきましょう。

\次のページで「「其れとなく」を使いこなそう」を解説!/

「其れとなく」を使いこなそう

この記事では「其れとなく」の意味・使い方・類語などを説明しました。「其れとなく」は遠回しに、それとなしにという意味をもった慣用句です。遠回しに言う、または何となくという2種類の意味をもった慣用句となっているため、見聞きした際はどちらの意味で使われているのか文脈に注意して読み取っていきましょう。

また類義語には「遠回し」、「婉曲」、「仄めかす」、「持って回る」、「臭わす」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認しつつ、使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

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国語言葉の意味

【慣用句】「其れとなく」の意味や使い方は?例文や類語も読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「其れとなく」について解説する。

端的に言えば其れとなくの意味は「遠回しに」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「其れとなく」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「其れとなく(それとなく)」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「其れとなく」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「其れとなく」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「其れとなく」の意味は?

「其れとなく」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.遠回しに。それとなしに。「—断る」「妙なうわさが—耳に入る」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「其れとなく」

「其れとなく」は遠回しに、それとなしにという意味をもった慣用句です。具体的にそれと指すことをせず、遠回しに言う。特になんということもなく。「其れとなく」はこうした二種類の意味をもった表現です。多くは遠回しに言う意味でよく用いられています。直接的な表現を避け、婉曲的に言うニュアンスに注意しましょう。

また古い書籍等では、何となくという意味で使われていることもありますね。はっきりとした理由・目的がないことを表現するために用いられています。「其れとなく」は書籍・新聞等の文章中のほか、口語においても時折使用されている身近な言葉です。この機会に「其れとなく」の意味・用法を確認し、自身の語彙力を高めていきましょう。

「其れとなく」の語源は?

次に「其れとなく」の語源を確認しておきましょう。残念ながら「其れとなく」の語源は現在はっきりとはしていません。「其れとなく」の語源ははっきりとはしていないと覚えておきましょう。また「其れとなく」がいつ頃から使われだした言葉なのかという点についても、あわせて確認しておきましょう。

其れとなくと同様の意味をもった「其れと無しに」は、1205年頃の新古今和歌集に「詠(ながめ)侘びそれとはなしに物ぞ思ふ雲のはたての夕暮の空〈源通光〉」としてこの言葉が登場しています。このことから「其れとなく」も非常に古くから使われている表現であることが分かりますね。こちらも確認しておきましょう。

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