みんな、さくらんぼは知っていますね。小さくて丸っこく、赤い色が目を引く可愛らしい果物です。旬の時期は短く傷みやすいため、市場に出回る時期はごくわずかだから、りんごやバナナに比べ、食べる機会は少ないかもしれませんね。

ですが、さくらんぼには色んな栄養素が含まれているんです。反対に、食べ過ぎやアレルギー、種の毒にも注意が必要なんです。今回はそんな知ってるようで知らないさくらんぼを、果物大好きなパティシエのmei.mと一緒に解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。特にさくらんぼは、好きなものランキング1~2位を争うほどに大好物。

さくらんぼってどんな果物?

旬は初夏(5~7月)。桜の木になる直径2~3センチほどの丸い果実で、中には種が1粒入っており、周りの果肉を食べます。ハリのある皮を噛むと、ジューシーな果汁があふれ、ほどよい甘みと酸味が特徴です。赤い果実が多いですが、中には黄色や黒っぽい品種もあります。

日本では甘い果実を生食することが多いですが、ケーキやジャムなどには酸味の強い品種が好まれるようです。その見た目と高級感から「赤い宝石」と呼ばれることもあります。素敵ですね!

さくらんぼはどこから来たの?

さくらんぼの歴史は古く、紀元前より食べられていました。

さくらんぼが初めて発見されたのは現在のトルコのギレスン市です。私たちの馴染みのあるさくらんぼは、そんな遠い場所から来たのですね。紀元前65年、古代ローマの将軍がトルコのギレスン付近で自生するさくらんぼの木を見つけ、ローマに持ち帰り、その後ヨーロッパ諸国に広まったといわれています。

日本にやってきたのは、それから1900年以上も後、明治時代。はじめは全国で栽培が試みられましたが、徐々に東北地方を中心に栽培されるようになりました。また、国内でのさくらんぼの研究が進む中、大正元年から、現在最も生産量の多い「佐藤錦」が佐藤栄助さんにより始められます。「佐藤錦」は作った人の名前なのです。こうして、日本のおいしいさくらんぼが多く作られるようになりました。

さくらんぼの主な産地は?

現在の生産量は山形県がトップで、そのシェアは全体の約70%を占めています。その次が北海道、山梨県、青森県と続きますが、その生産量は1位の山形県は年間13000トン、2位の北海道が1310トンです。1位と2位、その差は約10倍!いかに山形県の生産量が多いか分かりますね。

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さくらんぼの木って「桜」なの?

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お花見をした公園に、さくらんぼは落ちていませんよね。同じ「さくら」と名前に付くのに、別の植物なのでしょうか。いえいえ、桜もさくらんぼの木も生物分類上は「バラ科桃亜科スモモ属(サクラ属)」という同じ仲間です。お花見をする桜は観賞用の木、さくらんぼの木は実の食用の木、という区別をしています。

実は、観賞用の木にも実がつくことがあるのです。観賞用の桜の木の果実は、食用のさくらんぼよりも小さく1㎝くらいで、黒っぽい色をしています。食べることはできますが、渋みのある酸っぱい果実で、美味しくはありません。小鳥などが好んで食べるので、譲ってあげましょう。

名前の由来は「可愛らしさと丸い形」

「さくらんぼ」の名前の由来には諸説あります。

1.昔、桜の木になる実を「さくらんぼう」と呼んでおり、「さくらんぼう」の「う」が時代とともに呼ばれなくなってきた。
2.桜の果実のかわいらしさから、桜の子ども、つまり「桜の坊(子どもの意味)」と呼ぶようになった。
3.さくらんぼの丸い形が「坊主」の丸い頭に似ていたから

また、一般的には「さくらんぼ」といわれる果物ですが、農家の方などは「桜桃」と呼ぶことが多いようです。

さくらんぼに含まれる栄養素は?どんな効果がある?

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さくらんぼは小さな果物ですが、その中には、ビタミン・カリウム・鉄分・糖類・クエン酸など、種類豊富に栄養が詰まっています。特に鉄分の含有量は果物の中でもトップクラス!では、さくらんぼを食べるとどのような効果が期待できるのか、栄養素と共に見ていきましょう。

ビタミンC・クエン酸・ブドウ糖:疲労回復と美肌効果

「美容ビタミン」として知られるビタミンCは、お肌に潤いやハリを与えるコラーゲンというたんぱく質を作る栄養素です。美肌のもとコラーゲンを作るにはビタミンCが欠かせません!さらには、鉄の吸収をサポートしたり、ストレスや病気から体も守る働きもあります。

また、ブドウ糖は体内でエネルギーに代わるスピードが早く、さくらんぼの酸味であるクエン酸は疲れのもとである乳酸を壊すので、疲労時の回復をサポートしてくれますよ。

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カリウム:高血圧予防・むくみ改善

カリウムはさくらんぼに特に多く含まれている栄養素で、細胞の浸透圧を維持したり、塩分の排出を促す働きがあります。余分な塩分が排出されると血圧も下がりやすくなり、結果として高血圧の予防につながるそうです。また、利尿作用により塩分と一緒に水分が排出されるため、むくみの改善にも効果があります。

葉酸:妊婦さんにもおすすめ!

さくらんぼの中にはビタミンB群の一つである葉酸がたっぷり含まれています。葉酸といえば妊婦さんのサプリメント、胎児の細胞分裂に欠かせない栄養素です。つまり、さくらんぼは妊婦さんにとってもおすすめのフルーツなのです!

ただし、さくらんぼに含まれる天然の甘味成分であるソルビトールは、便の量を増やす働きがあり、食物繊維と共に便秘改善に役立つ一方、摂りすぎると下痢の原因になるといわれるため、食べすぎには注意しましょう。

ポリフェノール:目の疲れ改善

さくらんぼの赤い色には、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれています。アントシアニンといえば、目に良いといわれるブルーベリーが有名で、疲れ目の原因を改善する働きがありますね。また、アントシアニンは目を紫外線から守り、白内障や緑内障といった病気を予防してくれます。

さくらんぼは意外と高カロリー!?

主要なフルーツとさくらんぼのカロリーをまとめました。

1つ当たりの重さ(約)/可食部100gあたりのカロリー
・さくらんぼ:7g/60kcal
・バナナ:120g/86kcal
・リンゴ:255g/57kcal
・キウイ:87g/53kcal

つまり、りんご0.4個=バナナ0.8本=キウイ1個強、とさくらんぼ14粒は同じカロリーなのです。スーパーでよく見かけるさくらんぼのパックは1パック200g前後ですから、大体半分ほどの量ですね。さくらんぼ14粒食べて、バナナ1本に満たないと思うと、カロリーはそんなに高くありません。

ただ、一粒が小さく、また腹持ちも悪いのでついつい食べてしまいますが、糖質もたくさん含まれるので食べ過ぎには注意しましょう!

\次のページで「さくらんぼの危険性」を解説!/

さくらんぼの危険性

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ここまで、さくらんぼを食べるメリットを見てきましたが、さくらんぼにはあまり知られていない危険性も存在するのです。一体どのように注意すればよいのか、問題要因のメカニズムと共に解説します。

1.さくらんぼとアレルギー

さくらんぼに反応するアレルギーには「バラ科アレルギー」というものがあります。バラ科の食べ物と言われてもいまいちピンと来ないかもしれませんが、さくらんぼの他に桃やイチゴ、リンゴなども含まれます

バラ科アレルギーなどの「口腔アレルギー症候群」は、アレルギーの食物を食べてから、およそ15分で口の中や唇にかゆみが出て、ひどい場合には喘息発作やアナフィラキシーショックを引き起こすこともあるそうです。アナフィラキシーショックといえば、命にも関わること。しっかり注意しておきたいです。

また、食物アレルギーはもともと花粉症の方が発症しやすいといわれます。バラ科アレルギーの場合、カバノキ科の花粉症の方は注意が必要です。アレルギーは体が不調な時に発症しやすくなるので、ハンノキやシラカンバの花粉症の方は、疲れているときや寝不足・風邪をひいている時はさくらんぼを食べるのは避けたほうが良いでしょう。

2.さくらんぼの種には毒が!?

実はさくらんぼの種には、わずかながら「アミグダリン」という毒性が含まれています。「青梅は食べてはいけない」という話を聞いたことはあるでしょうか?その青梅に含まれている毒の正体がアミグダリンです。

アミグダリンの発生させるシアン化水素を大量に体に入れてしまうと、頭痛や嘔吐、めまいなどの中毒症状や意識を失ったり、場合によっては生死に関わることもあります。

ただし、毒性があるのは種と未熟な果実であり、果実の部分は成熟と共に毒性は減少するので、熟した果実を食べる分には心配いりません。また、種を1粒飲み込んでしまったくらいなら大きな問題ありません。しかし、何粒も...となると中毒症状が起きる可能性があるので注意してください。

栄養たっぷりのさくらんぼ!初夏の味をみんなで楽しもう!

疲労回復や美肌効果など、たくさんの嬉しい効能があるさくらんぼ。危険性をしっかり押さえれば、赤ちゃんや妊婦さん、子どもから大人までみんなで楽しめるフルーツです。暑い夏本番を迎える前にさくらんぼで栄養をチャージ出来るといいですね!

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家庭科

さくらんぼは意外と高カロリー!?栄養や効果効能・注意点も果物大好きパティシエがわかりやすく解説

カリウム:高血圧予防・むくみ改善

カリウムはさくらんぼに特に多く含まれている栄養素で、細胞の浸透圧を維持したり、塩分の排出を促す働きがあります。余分な塩分が排出されると血圧も下がりやすくなり、結果として高血圧の予防につながるそうです。また、利尿作用により塩分と一緒に水分が排出されるため、むくみの改善にも効果があります。

葉酸:妊婦さんにもおすすめ!

さくらんぼの中にはビタミンB群の一つである葉酸がたっぷり含まれています。葉酸といえば妊婦さんのサプリメント、胎児の細胞分裂に欠かせない栄養素です。つまり、さくらんぼは妊婦さんにとってもおすすめのフルーツなのです!

ただし、さくらんぼに含まれる天然の甘味成分であるソルビトールは、便の量を増やす働きがあり、食物繊維と共に便秘改善に役立つ一方、摂りすぎると下痢の原因になるといわれるため、食べすぎには注意しましょう。

ポリフェノール:目の疲れ改善

さくらんぼの赤い色には、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれています。アントシアニンといえば、目に良いといわれるブルーベリーが有名で、疲れ目の原因を改善する働きがありますね。また、アントシアニンは目を紫外線から守り、白内障や緑内障といった病気を予防してくれます。

さくらんぼは意外と高カロリー!?

主要なフルーツとさくらんぼのカロリーをまとめました。

1つ当たりの重さ(約)/可食部100gあたりのカロリー
・さくらんぼ:7g/60kcal
・バナナ:120g/86kcal
・リンゴ:255g/57kcal
・キウイ:87g/53kcal

つまり、りんご0.4個=バナナ0.8本=キウイ1個強、とさくらんぼ14粒は同じカロリーなのです。スーパーでよく見かけるさくらんぼのパックは1パック200g前後ですから、大体半分ほどの量ですね。さくらんぼ14粒食べて、バナナ1本に満たないと思うと、カロリーはそんなに高くありません。

ただ、一粒が小さく、また腹持ちも悪いのでついつい食べてしまいますが、糖質もたくさん含まれるので食べ過ぎには注意しましょう!

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