今回はとうもろこしの旬や産地について掘り下げていくが、季節やおみやげのイメージなどである程度想像がつくかもしれないな!仮説を立てながら答え合わせのつもりでみていってくれ。また、種類や鮮度の高いとうもろこしの選び方の他にも、消費者として知っておきたい遺伝子組み換え作物の知識にも触れていきます。10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していく。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。子どものころにピーターコーンがはやった世代でおやつと言えばとうもろこしだった。長らく食育に携わった経験を踏まえながら食に関する知識をわかりやすく発信していく。

とうもろこしの旬はいつ?主な産地は?

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まずは日本国内で栽培されるとうもろこしの旬の季節と産地についてみていきましょう。世界全体での収穫量についても確認していきますよ。

とうもろこしの旬は夏!

夏野菜と呼ばれるイメージどおり、とうもろこしの旬はずばり夏です。6月~9月頃に収穫期を迎えて市場に出回ります。夏・とうもろこしと言えば夏祭りでしょうか。屋台から立ちのぼる香ばしい焼きもろこしの香りを想像するとわくわくしてしまいますね。

とうもろこしの種は土の中の温度が10℃以下では発芽しません。品種によっても違いがありますが、私たちが普段食べるとうもろこしの種まきは3月下旬以降の暖かくなってくる時期に行われ、90日ほどで大人の背丈を超えるくらいまでに成長して実をつけます。種を植える時期をずらせばひと夏に2度収穫することもできますよ。

主な産地は北海道

日本国内における食用種のとうもろこしの作付面積、収穫量のトップ3をみてみましょう。

県名:作付面積(単位:ha=ヘクタール)/収穫量(単位:t=トン)
北海道:9,100ha/62,600t
千葉県:1,770ha/18,200t
長野県:1,270ha/8,890t

参考:農林水産省「平成28年産野菜生産出荷統計」

おみやげ品でも有名な北海道が2位を大きく離してのトップですね。とうもろこしは昼と夜の気温の差がある環境で栽培すると甘みが増す食べ物。そのため北海道の気候が栽培に適していて、よりおいしいとうもろこしが育つのです。

また、世界中のとうもろこし全体(食用・飼料用等を含む)の生産量は約11億トンにも及び、そのうちおよそ3.5億トンがアメリカ、次いで2億トン以上が中国で生産されています。日本は家畜の飼料用や加工用のとうもろこしの大半を輸入に頼っていて、年間約1500万トン以上を海外から輸入していますよ。

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とうもろこしの種類はどんなものがある?

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とうもろこしは野菜や穀物としての食用の他にも、飼料用や加工用に向けた品種があります。また、食用の中でもより甘みを増したり実を柔らかくする品種改良も行われていますよ。たくさんある品種の一部を見ていきましょう。

1.食用にされるスイートコーン

主に野菜として流通し、ゆでて食べたり缶詰に利用されたりする甘みが強く食用として栽培されるとうもろこしをスイートコーン(甘味種)と呼びます。甘みが強く柔らかいゴールドラッシュ、粒の色が真っ白なピュアホワイト、黄色と白の粒が混ざっているピーターコーンなどの品種は比較的有名なので、名前を聞いたことがあるかもしれませんね。

スイートコーン自体は品種の名前ではなく、このような食用の品種全般を指しています

2.お菓子でおなじみポップコーン

ポップコーンは、実はお菓子の名前というだけではなくポップコーン(爆裂種)という品種のひとつです。爆裂とはインパクトのある名前ですが、ポップコーンが弾ける様子がよく表現された名前ですね。元々固い皮をもつ爆裂種をさらに乾燥させてから加熱することで、わずかに残った内側の水分が水蒸気に変わる力を利用してみなさんの知るお菓子のポップコーンを作ります。

ポップコーンになるのはこの爆裂種のみ。スイートコーンを乾燥させてもポップコーンは作れませんよ。

3.飼料や加工用のデントコーン

デントコーンは馬歯種(ばししゅ)と呼ばれ、主に家畜のエサや加工品をつくるために栽培される品種。実はこのデントコーンが世界で最も多く栽培・消費されています

食用としては糖度が低いので調理して食べるのは難しいのですが、たっぷり含まれたでんぷん質を取り出してコーンスターチやコーンフラワーなどの粉状に加工され、お菓子の製造・段ボールやプラスチック製品の生産・また、バイオエタノールという燃料の原料としても使われています

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新鮮なとうもろこしの選び方は?

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とうもろこしを食べるのならできるだけ甘くてみずみずしいものを食べたいですよね。ここでは、おいしいとうもろこしの選び方についてみていきましょう。スーパーなどで皮つきのものを買うときの参考にしてください。

その1.粒のふくらみや並び方で見分ける

まずは中身の粒の部分に注目。実が先までぎっしりとつまっていて、1粒1粒がふっくらと大きいものが新鮮なよいとうもろこしです。粒の大きさの他にも、持ったときに重みを感じるものは水分をたっぷりとたくわえている証拠ですよ。粒の間にすきまがあったり、粒がへこんでしまっているものは鮮度が落ちているため避けましょう。

その2.皮とひげの色に注目

とうもろこしは収穫すると間もなく鮮度と甘みが落ちていく食材。ヒゲや皮にも状態がよく現れるのでしっかり確認していきましょう。まず、ヒゲの先が茶色く色づいているものがよく熟して食べ頃のサインです。枯れている状態とは違ってふさふさしていますよ。ヒゲの根元が茶色く枯れているのは熟しすぎ、白っぽい緑色をしているのはまだ若く実が固めということになります。

皮は濃い緑色をしているものがより新鮮なとうもろこしです。

その3.軸の切り口の色をチェック

とうもろこしは茎を離れると一気に鮮度が落ちてしまうので、あえて茎の部分を残して収穫してあります。茎の断面をチェックして、みずみずしく乳白色をしているものを選ぶとよいでしょう

知っておきたい遺伝子組み換え作物のはなし

遺伝子組み換えとは、ある作物に持たせたい性質を他の生物から取り出して組み込む技術のことです。日本では食品衛生法や食品安全基本法にもとづいて安全性を確認できた遺伝子組み換え作物だけが流通を許可されていますが、とうもろこしはその食材のひとつ

この技術によって害虫の被害を防いだり特定の除草剤に強くなる性質を持たせたりして効率よく収穫を得ることができているのですが、この技術はまだ新しく、健康への影響などの情報が少ないため現在も研究が進められています。

未知の部分もあると思うと少し怖い気がしてしまいますね。そこで消費者が自分で食品の選択をできるよう、食品表示に遺伝子組み換え作物の使用を明記するルールができました。また、現状では遺伝子組み換えとうもろこしは日本での栽培は許可されておらず、海外から輸入されるもの(加工・飼料用)に限られています。

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とうもろこしの種類や選び方・食品表示を知って賢く選ぼう

とうもろこしは収穫したそばから鮮度が落ちてしまうので、皮つきの丸ごととうもろこしは夏ならではのごちそうです。よりおいしく食べられる食材の選び方だけではなく、私たちの食生活に関わる環境や技術にも目を向けて、食べるものを自分で選ぶ力を身につけられるとよいですね。

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家庭科

とうもろこしの旬は夏!種類や選び方のポイントも元保育士がわかりやすく解説

今回はとうもろこしの旬や産地について掘り下げていくが、季節やおみやげのイメージなどである程度想像がつくかもしれないな!仮説を立てながら答え合わせのつもりでみていってくれ。また、種類や鮮度の高いとうもろこしの選び方の他にも、消費者として知っておきたい遺伝子組み換え作物の知識にも触れていきます。10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していく。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。子どものころにピーターコーンがはやった世代でおやつと言えばとうもろこしだった。長らく食育に携わった経験を踏まえながら食に関する知識をわかりやすく発信していく。

とうもろこしの旬はいつ?主な産地は?

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まずは日本国内で栽培されるとうもろこしの旬の季節と産地についてみていきましょう。世界全体での収穫量についても確認していきますよ。

とうもろこしの旬は夏!

夏野菜と呼ばれるイメージどおり、とうもろこしの旬はずばり夏です。6月~9月頃に収穫期を迎えて市場に出回ります。夏・とうもろこしと言えば夏祭りでしょうか。屋台から立ちのぼる香ばしい焼きもろこしの香りを想像するとわくわくしてしまいますね。

とうもろこしの種は土の中の温度が10℃以下では発芽しません。品種によっても違いがありますが、私たちが普段食べるとうもろこしの種まきは3月下旬以降の暖かくなってくる時期に行われ、90日ほどで大人の背丈を超えるくらいまでに成長して実をつけます。種を植える時期をずらせばひと夏に2度収穫することもできますよ。

主な産地は北海道

日本国内における食用種のとうもろこしの作付面積、収穫量のトップ3をみてみましょう。

県名:作付面積(単位:ha=ヘクタール)/収穫量(単位:t=トン)
北海道:9,100ha/62,600t
千葉県:1,770ha/18,200t
長野県:1,270ha/8,890t

参考:農林水産省「平成28年産野菜生産出荷統計」

おみやげ品でも有名な北海道が2位を大きく離してのトップですね。とうもろこしは昼と夜の気温の差がある環境で栽培すると甘みが増す食べ物。そのため北海道の気候が栽培に適していて、よりおいしいとうもろこしが育つのです。

また、世界中のとうもろこし全体(食用・飼料用等を含む)の生産量は約11億トンにも及び、そのうちおよそ3.5億トンがアメリカ、次いで2億トン以上が中国で生産されています。日本は家畜の飼料用や加工用のとうもろこしの大半を輸入に頼っていて、年間約1500万トン以上を海外から輸入していますよ。

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