この記事では豆腐の栄養や健康効果について学んでいきます。豆腐は健康食品によく使われていますね。それも相まって何となく健康的なイメージがあるんじゃないか?どんな栄養があるのか正しく知っておくことで、豆腐が身体に良いと言われる理由が分かるぞ。今回は豆腐の栄養面から見た魅力について管理栄養士のツキアオイと一緒に解説していきます。

ライター/ツキアオイ

1児の母として育児に奮闘中の管理栄養士ライター。以前は絹ごし豆腐派だったが結婚後は夫の影響で木綿豆腐の魅力に取りつかれている。病院や介護施設での経験を活かし、食に関して分かりやすく解説する。

世界中で愛されている豆腐について知ろう!

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豆腐は和食の定番食材として日本ではすっかり馴染みのある食材ですよね。ここ数年でアメリカやヨーロッパといった海外でも、レストランやスーパーに並ぶことが増えてきているようです。ここからはそんな豆腐の歴史や国ごとの特徴について見ていきましょう。

豆腐の歴史

豆腐は今から約2200年前の紀元前2世紀頃に中国で発祥したと言われています。日本に来たのは奈良時代頃ですが、当時は武家や僧侶といった人たちしか食べることができなかったようです。そこから庶民に広まったのは江戸時代。しばらくは特別な日に食べられる贅沢品として扱われていました。

庶民に広まってからはとても人気の食材となり、江戸時代が終わる頃には「豆腐百珍」という豆腐料理のレシピが100種類も載った本が出版されるほど。当時は田楽豆腐が庶民の一般的な食べ方だったそうですよ。

国によって豆腐の製法は異なる?

日本では大豆を煮てから絞って豆乳を作り、凝固剤で固めるのが一般的な製法です。韓国でも日本と似た製法で作られますが、日本に比べて水分が少なく固めの豆腐が主流。また、豆腐発祥の国である中国では大豆は煮ずに生のまま豆乳を作って固めます

一方で、アメリカやヨーロッパで広く食べられているのは日本式の豆腐。そのまま「TOFU(トーフ)」と呼ばれているほどです。菜食主義者(ベジタリアン)を中心に、栄養価が高い食材として人気を得ているようですよ。

豆腐にはどんな栄養がある?

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豆腐の栄養素はたんぱく質だけではありません。カロリーが低いイメージがあるかもしれませんが、脂質も多く含まれているのですよ。ここからはそんな豆腐に多く含まれる栄養素について見ていきましょう。

その1.身体をつくるたんぱく質

豆腐の原料は「畑の肉」とも呼ばれている大豆。これは肉と同様にたんぱく質を豊富に含んでいることからこう呼ばれています。豆腐のたんぱく質は体内で合成できない「必須アミノ酸」をバランスよく含んだ良質なたんぱく質なのですよ。

たんぱく質は筋肉や髪、皮膚といった身体をつくる栄養素です。たんぱく質が不足することで体力だけでなく免疫力も落ちてしまうので積極的に毎日摂りたい栄養素ですね。

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その2.良質な脂質で血液の流れを良くする

肉類に比べると脂質は低めですが、全く含まれないわけではありません。木綿豆腐100gには4.9gの脂質が含まれていますが、これは皮無しの鶏もも肉(100g当たり脂質4.8g)と同じくらいの脂質量です

ただし、脂質が身体に悪いという訳ではありません。豆腐に多く含まれる脂質はリノール酸という不飽和脂肪酸。このリノール酸には血中のコレステロールを下げるという嬉しい効果があるのですよ。コレステロールを下げることは心臓病や脳卒中の予防に繋がります。

その3.骨や歯を丈夫にするカルシウム

豆腐にはカルシウムも多く含まれています。実は木綿豆腐1丁には牛乳1杯と同じ位のカルシウムが含まれているのですよ

カルシウムは骨や歯をつくるだけではなく、神経の働きにも必要な栄養素です。ただし吸収率が低いので日本人が不足しがちな栄養素となっています。特に閉経後の女性は女性ホルモンが減ることで骨からカルシウムが溶けだしやすくなっている状態。日常的に食べられる豆腐からカルシウムが摂れるのは嬉しいですよね。

その4.貧血を改善する鉄

不足することで貧血の原因となる鉄。豆腐自体にも多く含まれていますが、豆腐加工品である厚揚げや高野豆腐には更に多く含まれています。例えば厚揚げ1枚(約140g)には3.6ⅿgの鉄が含まれていますが、これは1日に必要な推奨量の1/2量にもなるのです。

ただし、豆腐の鉄は「非ヘム鉄」と呼ばれる単体では吸収されにくい鉄なので注意が必要。非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂ることで吸収率を上げることができますよ。ビタミンCは果物や生野菜に多く含まれています。ぜひ一緒に食卓に並べてくださいね。

豆腐の種類によって栄養成分は異なる?

豆腐は製法によって種類が分けられています。製法が異なる事で水分量や油分の量に違いが出てくるため栄養成分にも違いがあるのですよ。

木綿豆腐は水分量が少なく凝縮されているので全体的に栄養素が高めです。また、豆腐加工品である厚揚げは木綿豆腐を水切りしてから油で揚げて作られています。それによってエネルギー量だけでなく各栄養素も高くなっているのですよ。下記に表でまとめて比較してみました。

      エネルギー たんぱく質  脂質  カルシウム 鉄
木綿豆腐 :  72     6.6    4.2    86   0.9
絹ごし豆腐:  56     4.9    3.0    57   0.8
充填豆腐 :  59     5.0    3.1    31   0.8
厚揚げ  :  150    10.7    11.3   240   2.6

\次のページで「調理方法によって栄養成分は変わる?」を解説!/

調理方法によって栄養成分は変わる?

豆腐の調理方法を大きく分けると生のままか加熱調理かの2種類ですよね。ただし、豆腐は製造する際にすでに加熱されています。そのため調理方法によって栄養成分はあまり変わりません。是非いろいろな調理方法で食べてみてくださいね。

豆腐の嬉しい健康効果

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豆腐の原料である大豆にはイソフラボンという成分が多く含まれています。どんな効能があるか気になりますよね。ここでは豆腐ならではの成分や特徴によってもたらされる健康効果について詳しく見ていきましょう。

豆腐と女性ホルモンの関係

大豆の「えぐみ」成分の一つにイソフラボンという成分があります。これは体内で女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをするという世界的にも注目されている成分なのですよ。女性にとって女性ホルモンの影響はとても大きいもの。イソフラボンには妊娠しやすい身体づくりや閉経後の更年期障害へ一定の効果があると言われています

また、女性ホルモンが過剰に分泌された時には分泌量を減らす働きがある事も分かっているのですよ。

消化しやすく身体に優しい

大豆は食物繊維が多く消化しにくい食材です。ですが豆腐は製造の過程で大豆の食物繊維が除かれるのでとても消化しやすい食材となっています。胃腸に負担がかからないので離乳食や介護食にはよく使用されるのですよ。体調が優れない時には身体に負担が少ない豆腐料理を食べて栄養を補ってくださいね。

血糖値の上昇が緩やかな低GI食品

食品ごとの血糖値の上昇率を数値化したものを「GI値(グリセミック指数)」といいます。このGI値が低い食品ほど血糖値を上げにくくするのです。豆腐を含む大豆や大豆製品はGI値が低い「低GI食品」と呼ばれています。健康食品のパッケージにも書かれていたりしますよね。

低GI食品は腹持ちが良く、食べ過ぎの防止につながるためダイエットにも効果がありますよ

\次のページで「手軽に栄養が摂れる豆腐を常備して身体を健康に保ちましょう!」を解説!/

手軽に栄養が摂れる豆腐を常備して身体を健康に保ちましょう!

豆腐には多くの栄養素が含まれていて消化の面から見ても身体に優しい食材です。世界で注目を浴びている理由がよく分かりますね。また調理せずそのまま食べても美味しいので忙しい方の味方でもあります。是非冷蔵庫に常備して手軽に栄養を補ってください。

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家庭科

豆腐の栄養はたんぱく質だけじゃない!製法や健康効果も管理栄養士がわかりやすく解説

この記事では豆腐の栄養や健康効果について学んでいきます。豆腐は健康食品によく使われていますね。それも相まって何となく健康的なイメージがあるんじゃないか?どんな栄養があるのか正しく知っておくことで、豆腐が身体に良いと言われる理由が分かるぞ。今回は豆腐の栄養面から見た魅力について管理栄養士のツキアオイと一緒に解説していきます。

ライター/ツキアオイ

1児の母として育児に奮闘中の管理栄養士ライター。以前は絹ごし豆腐派だったが結婚後は夫の影響で木綿豆腐の魅力に取りつかれている。病院や介護施設での経験を活かし、食に関して分かりやすく解説する。

世界中で愛されている豆腐について知ろう!

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豆腐は和食の定番食材として日本ではすっかり馴染みのある食材ですよね。ここ数年でアメリカやヨーロッパといった海外でも、レストランやスーパーに並ぶことが増えてきているようです。ここからはそんな豆腐の歴史や国ごとの特徴について見ていきましょう。

豆腐の歴史

豆腐は今から約2200年前の紀元前2世紀頃に中国で発祥したと言われています。日本に来たのは奈良時代頃ですが、当時は武家や僧侶といった人たちしか食べることができなかったようです。そこから庶民に広まったのは江戸時代。しばらくは特別な日に食べられる贅沢品として扱われていました。

庶民に広まってからはとても人気の食材となり、江戸時代が終わる頃には「豆腐百珍」という豆腐料理のレシピが100種類も載った本が出版されるほど。当時は田楽豆腐が庶民の一般的な食べ方だったそうですよ。

国によって豆腐の製法は異なる?

日本では大豆を煮てから絞って豆乳を作り、凝固剤で固めるのが一般的な製法です。韓国でも日本と似た製法で作られますが、日本に比べて水分が少なく固めの豆腐が主流。また、豆腐発祥の国である中国では大豆は煮ずに生のまま豆乳を作って固めます

一方で、アメリカやヨーロッパで広く食べられているのは日本式の豆腐。そのまま「TOFU(トーフ)」と呼ばれているほどです。菜食主義者(ベジタリアン)を中心に、栄養価が高い食材として人気を得ているようですよ。

豆腐にはどんな栄養がある?

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豆腐の栄養素はたんぱく質だけではありません。カロリーが低いイメージがあるかもしれませんが、脂質も多く含まれているのですよ。ここからはそんな豆腐に多く含まれる栄養素について見ていきましょう。

その1.身体をつくるたんぱく質

豆腐の原料は「畑の肉」とも呼ばれている大豆。これは肉と同様にたんぱく質を豊富に含んでいることからこう呼ばれています。豆腐のたんぱく質は体内で合成できない「必須アミノ酸」をバランスよく含んだ良質なたんぱく質なのですよ。

たんぱく質は筋肉や髪、皮膚といった身体をつくる栄養素です。たんぱく質が不足することで体力だけでなく免疫力も落ちてしまうので積極的に毎日摂りたい栄養素ですね。

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