今回は鮮やかな黄色が目を引く夏野菜、とうもろこしの栄養と効能についてみていこう。とうもろこしは丸ごと加熱して食べる他にもサラダやピザ、パンのトッピングなど様々な料理に使われる人気の食材です。特徴や健康効果も含めて、10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。子どもがよろこぶ離乳食のためにとうもろこしを繰り返し調理し調べるうちに詳しくなった。長らく食育に携わった経験を踏まえながら食に関する知識をわかりやすく発信していく。

とうもろこしってどんな食べ物?

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とうもろこしと聞くと、黄色いつぶつぶの見た目がぱっと思い浮かぶのではないでしょうか?色合い鮮やかな夏野菜のイメージが強いかもしれませんが、実は単なる野菜の仲間ではありません。また、姿を変えて私たちの生活に深く関わっています。さっそくとうもろこしの特徴を見ていきましょう!

とうもろこしは甘みの強い穀物

丸ごとゆでて食べたり、一粒ずつバラバラにして料理に使われるとうもろこしを野菜だと思っている方は多いのではないでしょうか?実は、それは半分合っていて半分違います。とうもろこしの主な成分は炭水化物で、世界的にみると主食として食べられている食材。世界三大穀物として米や小麦と並ぶ穀物に分類されるのです。

しかし、野菜というのも決して間違いではありませんよ。私たちが普段食べている、甘みが強いスイートコーンと呼ばれる種類は野菜に分類されます。同じ食材でも作物としての種類や用途によって分類が変わるのですね。

地域によって呼び方は様々

とうもろこしという呼び名が一般的ですが、英語で「コーン」と呼ばれるのもよく耳にしますね。これ以外にも、日本国内だけで様々な名前で呼ばれていますよ。

中でも「とうきび」という名前は比較的知られているかもしれません。唐(昔の中国のこと)から渡ってきた、キビ(穀物の一種)に似ている黄色い植物というのが名前の由来で、昭和初期の時代にはこのとうきびという呼ばれ方が一般的でした。今では北海道や九州などに方言として残っています。

他には「とうきみ」「なんばんきび」「いぼきび」、沖縄では「やまととーんちん」と呼ばれる地域もあります。みなさんのお住まいの地域ではどんな名前で呼ばれているでしょうか?

加工品の原材料に広く使われる

とうもろこしは様々に加工されて私たちの生活に活かされています。例えば、とうもろこしから作られたデンプンであるコーンスターチはとろみ付けやお菓子の材料になる他、ファンデーションなどの化粧品や段ボールの製造にも使われる加工品。新しい消しゴムについているベタつき防止のサラサラした粉もコーンスターチが利用されていますよ。

他にも、皮や胚を残した加工かどうかや挽き方の粗さによってコーンミール・コーンフラワー・コーングリッツと呼ばれる粉状の加工品となり、シリアルやスナック菓子などの食品の材料として使われています。とうもろこしの胚芽に含まれる油分を取り出したコーン油も身近ですね。

また、穀物として輸入されるとうもろこしの大半は牛や豚・鶏などのエサに使われるので、間接的にも私たちの食生活に関わっていると言えるでしょう。

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とうもろこしにはどんな栄養がある?

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とうもろこしは炭水化物に分類されるため主にエネルギーとなる食べ物ですが、ビタミンやミネラルもたっぷり。不足する栄養を補うためのおやつとして食べるのにもおすすめですよ。

その1.ビタミン類

とうもろこしに含まれるビタミンの主なものはB1・B2・C・Eです。この中で糖質や脂質の代謝に関わるビタミンB群と、皮膚や粘膜の健康維持を助けるビタミンCは水に溶けやすい性質を持っています。加熱調理するときには大事な栄養が逃げないよう工夫が必要です。

その2.ミネラル類

歯や骨を丈夫にするカルシウムや、便を柔らかくするマグネシウム、体の水分を外に出す働きをもつカリウムなどが含まれています。中でもリン(カルシウムやマグネシウムと結びついて骨や歯を作る栄養素)が多く含まれているのですが、リンは肉や魚や卵・大豆の他にもそれらの加工品やインスタント食品にも含まれているため普段の食事をする中で不足することはないと言われていますよ。

その3.食物繊維

とうもろこしの粒の皮には不溶性食物繊維がたっぷり含まれています。体の中で水分を吸収してふくらみ、腸を刺激して便通を改善する働きがあります。

コーン缶詰にも栄養たっぷり!

粒がほぐされていてふたを開ければすぐに食べられるコーンの缶詰は、とても便利な食材ですね。生のとうもろこしに比べると缶詰はよくないのではないか、加工の段階で栄養がなくなっているのではないかというイメージを持つ方もいるかもしれませんが、加熱時間を短くしたり真空下で調理されたりと栄養を逃さない工夫がされています。衛生管理の行き届いた工場で加熱殺菌されているため安全性も高いと言えますよ。

また、とうもろこしは収穫後まもなく鮮度が落ちていく食材で栄養価も一緒に落ちてしまいますが、原材料のとうもろこしを栄養状態がよい新鮮なうちに加工するので栄養に安定性があります

生のとうもろこしと比べると加工の過程で水に溶けやすい栄養素が少し減りますが、気にするほどの差ではありません。

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とうもろこしの健康効果は?ダイエット中に食べてもいい?

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ここでは、これまで見てきた栄養素が私たちの体にどのようなよい効果をもたらすかみていきましょう。

1.夏バテを防いでくれる

とうもろこしは糖質が多く、ビタミン・ミネラルも豊富です。甘みがあってみずみずしい実は食欲が落ちていても食べやすいのでよいエネルギー源になるだけではなく、汗で体の外に流れてしまったミネラルを補給することもできる夏バテ防止に適した食材ですよ。

2.腸内環境を整える

粒の皮に多く含まれている食物繊維は便通を改善する効果が期待でき、腸内をきれいに整えてくれます。便秘が解消されると肌を美しく保てる他に、大腸がんの予防にもなりますよ。

3.冷え性の改善効果

冷え症の原因のひとつは体内に余計な水分をため込んでしまった状態である体のむくみ。体がむくむと全身の血流を悪くするので、さらに指先や足先を冷えやすくしてしまいます。とうもろこしに含まれるカリウムは水分を体の外に出しやすくしてくれるはたらきがあるためむくみを解消し、冷えを改善する効果が期待できますよ。

4.ダイエットにも上手に取り入れて

ゆでとうもろこし100gあたりのエネルギーは95kcal。ごはん100gでは156kcalなので比べるととうもろこしのカロリーは低く抑えられています。さらに食事制限で不足しがちなビタミン・ミネラルをバランスよく含んでいて、食物繊維が多いため満腹感も得やすいのでダイエット向きの食材と言えますね。しかし糖質が多いため食べすぎには注意。1日1本までにしておきましょう。

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甘くて食べやすいとうもろこしで健康パワーを手に入れよう!

とうもろこしは体によい栄養が一粒一粒にぎゅっと含まれている食材です。さらに、やさしい甘みは野菜が苦手な方にも受け入れられやすいので、大人だけではなくお子さんの食事やおやつにも活躍してくれるでしょう。季節を問わず手に入る手軽さがうれしい缶詰や、ひと粒ずつほぐして凍結された冷凍コーンも簡単に使えてとても便利なので食生活に合わせて取り入れてみてください。

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家庭科

とうもろこしにはどんな栄養や効能がある?缶詰には栄養が少ない?健康やダイエット効果も元保育士がわかりやすく解説

とうもろこしにはどんな栄養がある?

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とうもろこしは炭水化物に分類されるため主にエネルギーとなる食べ物ですが、ビタミンやミネラルもたっぷり。不足する栄養を補うためのおやつとして食べるのにもおすすめですよ。

その1.ビタミン類

とうもろこしに含まれるビタミンの主なものはB1・B2・C・Eです。この中で糖質や脂質の代謝に関わるビタミンB群と、皮膚や粘膜の健康維持を助けるビタミンCは水に溶けやすい性質を持っています。加熱調理するときには大事な栄養が逃げないよう工夫が必要です。

その2.ミネラル類

歯や骨を丈夫にするカルシウムや、便を柔らかくするマグネシウム、体の水分を外に出す働きをもつカリウムなどが含まれています。中でもリン(カルシウムやマグネシウムと結びついて骨や歯を作る栄養素)が多く含まれているのですが、リンは肉や魚や卵・大豆の他にもそれらの加工品やインスタント食品にも含まれているため普段の食事をする中で不足することはないと言われていますよ。

その3.食物繊維

とうもろこしの粒の皮には不溶性食物繊維がたっぷり含まれています。体の中で水分を吸収してふくらみ、腸を刺激して便通を改善する働きがあります。

コーン缶詰にも栄養たっぷり!

粒がほぐされていてふたを開ければすぐに食べられるコーンの缶詰は、とても便利な食材ですね。生のとうもろこしに比べると缶詰はよくないのではないか、加工の段階で栄養がなくなっているのではないかというイメージを持つ方もいるかもしれませんが、加熱時間を短くしたり真空下で調理されたりと栄養を逃さない工夫がされています。衛生管理の行き届いた工場で加熱殺菌されているため安全性も高いと言えますよ。

また、とうもろこしは収穫後まもなく鮮度が落ちていく食材で栄養価も一緒に落ちてしまいますが、原材料のとうもろこしを栄養状態がよい新鮮なうちに加工するので栄養に安定性があります

生のとうもろこしと比べると加工の過程で水に溶けやすい栄養素が少し減りますが、気にするほどの差ではありません。

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