JRの電車に101系と103系という形式がある。どちらも昔の通勤電車で数字も近い。そして実際の見た目もよく似ている。ですが、この2つが分かれているのには理由があるぞ。今回はそんな101系と103系の歴史や違いを、乗り鉄でプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

101系と103系の違いは?

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101系や103系とは、どちらもJRが使っていた電車の形式です。鉄道車両の多くは形式というものがあり、〇〇線を走っているのは〇〇系のように使います。多くの電車の形式がありますが、その中でも画期的な通勤電車と呼ばれたのが101系と103系。その歴史や違いを見ていきましょう。

昭和30年から通勤ラッシュを支えた101系と103系

令和の時代も通勤ラッシュはひどいですが、昭和30年代からの通勤ラッシュは今以上で、電車に乗り切れない人を後ろから押し込む駅員が居たくらいの大混雑でした。電車が遅れた時などに乗り切れないくらい混雑がひどくなりますが、あれが毎日だと思ってください。

101系、103系が登場した頃はJRではなく日本国有鉄道(国鉄)の時代です。その酷さから「通勤地獄」という言葉が生まれます。早急になんとかしなければならないという状況の中、国鉄が新しい通勤電車を作ったのが101系です。

101系をバージョンアップしたのが103系

101系は十分以上の性能を発揮します。ただ1つ問題がありました。具体的内容は後で解説しますが、それを解決するために101系をバージョンアップしたのが103系。国鉄の電車の形式は奇数を使うので101の次は103です。

手直しされた103系を加えて両形式は国鉄の通勤電車の主流となります。さまざまな路線を走り、合わせて5,000両近くが生産された、日本を代表的する通勤電車です。

101系と103系の歴史

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国鉄が最初に101系を製造し、そのバージョンアップしたのが103系です。それぞれ、どのような経緯で登場したのでしょう。まずは登場の経緯と特徴を見ていきます。

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日本の通勤電車を変えた101系

101系が登場したのは昭和32(1957)年です。高度経済成長時代と呼ばれ、大都会の通勤電車は大混雑でした。電車の混雑を減らすには本数を増やす必要があり、そのためには性能を上げる必要があります。しかし、当時の国鉄の電車は第二次世界大戦前に設計されたものを手直ししたものでした。それを解決するのが101系です。

101系は当時の国鉄の通勤電車が茶色一色の時代にオレンジ色の車体で登場し、中央線快速で走りはじめます。その後も、さまざまな色に塗られて多くの路線を走り、1,500両以上製造されたのです。101系以前の国鉄電車を旧性能車、101系以後を新性能車と区別します。101系はその後の国鉄電車すべての手本になったのです。

日本で一番多く作られた電車103系

101系登場の6年後、昭和38(1963)年に103系が登場します。ウグイス色の車体で山手線を走り始めたのち、大都会の通勤路線の多くを走ります。その結果、101系を大きく超える3,400両が製造され日本で一番多く製造された電車となりました

その記録は令和まで破られませんでしたが、その後首都圏で主流となったJR東日本のE233系の製造数が迫ってきています。まだ製造が続いているので、103系の記録を更新するかもしれないですね。

なぜ103系が登場したのか?

さて103系を作らなければならなかったのはなぜでしょう。電車は電気でモーターを回して走ります。モーターは必ずしも全部の車両についているわけではありません。実は車体の横に「モハ」とか「サハ」と書いてあります。このモハがモーター付き、サハがなしの意味です。モーター付きは車両が重く、電気も多く必要になります。

101系は性能が良くなったのですが10両編成のうち8両がモーター付き。モーター付きが多いので価格も高くなり、必要な電力も多くなります。そのため、101系をパワーアップした電車が必要になったのです。それが103系で、同じ性能でモーター付き車両を6両にすることができました。2両しか変わらないと思うかもしれませんが、例えば1,500両の内モーター付きが1,200両から900両になる計算です。全体の1/5がモーターなしにできるのですから差は大きいですね。

101系と103系の豆知識をご紹介!

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101系と103系の登場した背景や歴史を見てきました。続いて、細かい違いやまだ見ることができるのかという豆知識を紹介します。

見た目はそっくり、どうやって見分ける?

101系を元にパワーアップしたのが103系なのでよく似ています。一番簡単なのは正面の窓の高さ。低いもの(低運転台型)と、高くてその下に銀のラインがあるもの(高運転台型)があります。101系は低運転台型しかありませんが、両方あるのが103系です

低運転型同士は窓の大きさが違うなど細かい違いはあるので並べて比べると違いが分かります。ただ、片方しかない場合に見分けるのは難しいです。その場合、車体側面に行き先表示があるのが103系、ないのが101系になります。さらに103系の多くは正面のライトは大きな丸の中に小さなライトが横に2つ並んだ豚の鼻のような形ですが、101系は大きなライト1つのものが多いです。

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バリエーションも改造も多い

多くの車両が製造されて多くの路線を走ったため、どちらもバリエーションが多くなっています。そのように同じ形式の中でも異なるグループを「番台」と呼び、1000から始まるものが1000番台、2000からなら2000番台です。例えば、103系の中には地下鉄に乗り入れるための派生型があり、1000番台と呼ばれています。走る路線に合わせてカスタマイズされた〇〇番台が登場したのです。

首都圏で使われていた101系や103系が老朽化して、新形式に置き換えられると改造して別の路線で使うことがあります。101系や103系は大量に製造されたので、首都圏路線の引退後も改造されてさらに多くの路線で走りました。その際に両者を連結して走ることができるように改造したものもあり、それを混結と呼びます。

今はどうなった?まだ現役?

両形式合わせて1957年から1984年まで足かけ28年、合計5,000両近く製造されましたが、残念ながら残る車両はわずかです。101系はすでに全て廃車されています。残っているのは鉄道博物館で展示されている1両です。

103系は10両足らずですが現役で残っています。JR西日本の播但線(姫路~寺前間)と加古川線、和田岬線と、JR九州の筑肥線(筑前前原~唐津間)だけ。保存車両は鉄道博物館や京都鉄道博物館の他、何箇所かの施設にあります。

時代を変えた101系と、さらに改良を加えた103系

101系以前を旧性能車、以後を新性能車と分ける程、101系は当時としては画期的な電車です。その後の国鉄電車の手本となりました。その101系をさらに多くの路線で使うために改良したのが103系合わせて5,000両近く製造されました。

その多くはすでに廃車され、残る車両は10両足らず。廃車された車両のいくつかは鉄道博物館などの施設で見ることができます

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101系と103系の違いとは?今も現役で走っている?見分け方や歴史も乗り鉄プログラマーがわかりやすく解説

JRの電車に101系と103系という形式がある。どちらも昔の通勤電車で数字も近い。そして実際の見た目もよく似ている。ですが、この2つが分かれているのには理由があるぞ。今回はそんな101系と103系の歴史や違いを、乗り鉄でプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

101系と103系の違いは?

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101系や103系とは、どちらもJRが使っていた電車の形式です。鉄道車両の多くは形式というものがあり、〇〇線を走っているのは〇〇系のように使います。多くの電車の形式がありますが、その中でも画期的な通勤電車と呼ばれたのが101系と103系。その歴史や違いを見ていきましょう。

昭和30年から通勤ラッシュを支えた101系と103系

令和の時代も通勤ラッシュはひどいですが、昭和30年代からの通勤ラッシュは今以上で、電車に乗り切れない人を後ろから押し込む駅員が居たくらいの大混雑でした。電車が遅れた時などに乗り切れないくらい混雑がひどくなりますが、あれが毎日だと思ってください。

101系、103系が登場した頃はJRではなく日本国有鉄道(国鉄)の時代です。その酷さから「通勤地獄」という言葉が生まれます。早急になんとかしなければならないという状況の中、国鉄が新しい通勤電車を作ったのが101系です。

101系をバージョンアップしたのが103系

101系は十分以上の性能を発揮します。ただ1つ問題がありました。具体的内容は後で解説しますが、それを解決するために101系をバージョンアップしたのが103系。国鉄の電車の形式は奇数を使うので101の次は103です。

手直しされた103系を加えて両形式は国鉄の通勤電車の主流となります。さまざまな路線を走り、合わせて5,000両近くが生産された、日本を代表的する通勤電車です。

101系と103系の歴史

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国鉄が最初に101系を製造し、そのバージョンアップしたのが103系です。それぞれ、どのような経緯で登場したのでしょう。まずは登場の経緯と特徴を見ていきます。

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