この記事では「叛服常無し」について解説する。

端的に言えば叛服常無しの意味は「抵抗するのか従うのか態度が決まらない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「叛服常無し」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「叛服常無し」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「叛服常無し」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「叛服常無し」(はんぷくつねなし)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「叛服常無し」の意味は?

まず、「叛服常無し」の国語辞典の意味を見ていきましょう。

1. 時にはそむいたり、時には服従したりして、その態度が決まらない。

出典: 日本国語大辞典(精選版)「叛服常無し」

「叛服常無し(はんぷくつねなし)」の叛」従わないこと。日本の戦国時代、「謀叛」(むほん)という言葉がよく使われましたが、「謀叛」とは、家臣が時の領主や君主に反乱を起こすことで「謀叛」の「叛」とは反抗するという意味でも使われる言葉ですね

一方、「叛服」の「服」は、従うこと。よく使われる言葉に「服従」(ふくじゅう)があり、人が他者からの命令や指示に従うことですが、「叛服」の「服」も同じ意味ですね。「叛服常無し」は全体で、反抗して従わないこともあれば、命令や指示に従うこともあり、取る態度がいつも同じではないという意味なのです。

「叛服常無し」の語源は?

次に「叛服常無し」の語源。「叛服常無し」のように態度が決められない状況は過去のどの時代のどの国にもあったのだろうと思いますが、「叛服常無し」の慣用句は中国から伝わってきたものです。

中国語には、「叛服不常」という言葉があり「叛服常無し」とほぼ同じ意味。「叛服不常」の文字は中国、北宋の歴史学者で政治家であった司馬光(しばこう)(1019ー86)の墓前の石碑にも書かれている言葉なのです。

\次のページで「「叛服常無し」の使い方・例文」を解説!/

「叛服常無し」の使い方・例文

「叛服常無し」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. お金は生きる上で確かに大切だ。だが、四六時中、損か得かで物事を判断していては叛服常無しの言葉どおり方向性がふらつくことも多い。職業を選ぶにあたっては、やはり自分の好きなことを選ぶというのが基本じゃないかな?

2. 叛服常無しという言葉があるが人は皆、自分の利益にならないことには賛成しずらいものだ。だからといってこのまま昔の制度を維持していても中長期的な発展にはつながっていかないのも事実。ここは視点を変えて裏切者と言われても改革する必要性も考えてみてはどうだろうか?

「叛服常無し」は、態度が定まらないことを表す否定的な意味で使われる場合が多い言葉ですね。しかし、視点を変えて見てみると方向性が定まることもあります。そんな状況を例文にしてみました。

「叛服常無し」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

それでは、「叛服常無し」の類義語を見ていきましょう。

「風見鶏(かざみどり)」:情勢や権力者の意向によって立場を変える人

「叛服常無し」は背くときもあれば、服従することもあって態度がしっかりと定まらないことでしたが、そんな態度をとる人のことを、しばしば「風見鶏」(かざみどり)といいます。

「風見鶏」とは、もともとヨーロッパの寺院などで取り付けられている鶏にかたどった風の方向を見る風向計のことですが、その動きから周囲の状況や権力を持った人の意向によって方向性や立場を変える人の例えとしても使われるようになっていきました。特に昭和の時代に総理大臣になった優秀なある総理は、新聞やマスコミで風見鶏に例えられ、「風見鶏」は流行語になったこともありました。

\次のページで「「叛服常無し」の対義語は?」を解説!/

「叛服常無し」の対義語は?

次に「叛服常無し」の対義語を見ていきましょう。

「剛毅果断(ごうきかだん)」:意思が強く、くじけず決断力のあること

背いたり、従ったり、なかなか態度が決まらないことを「叛服常無し」と言いましたが、反対の言葉は、態度や考え方に一貫性があり、決断力のある態度の意味を含む言葉になりますね。そんな意味を持つ熟語に剛毅果断」(ごうきかだん)があります。

 「剛毅果断」の剛毅」(ごうき)とは、意思が堅く強いことからくじけないさまを意味し、「果断」(かだん)とは、物事を思い切って行うような決断力のあることです。「剛毅果断」全体で、意思が強く決断力のあることになります。「叛服常無し」が否定的な意味を持つ言葉であるのに対して、「剛毅果断」は肯定的な言葉になりますね。

「叛服常無し」の英訳は?

image by iStockphoto

次に「叛服常無し」の英訳を見ていきましょう。

「indecisive(ìndɪsάɪsɪv)」:煮え切らない

「叛服常無し」を英訳しようとするとき、相手に伝えなければならない大切な部分は、「なかなか態度が決まらない」という部分になるでしょう。この部分を言い換えてみると、「煮え切らない」や「優柔不断な」や「決断力がない」などが類似語の候補として考えられるのではないでしょうか?「煮え切らない」や「優柔不断な」という意味を持つ英語にピッタリとくる言葉のひとつにindecisive」(ìndɪsάɪsɪv)があります。

「indecisive」には、「決着がついていない」という意味もありますが、「煮え切らない」や「優柔不断な」という意味でも広く使われる形容詞です。名詞は、「indecisiveness」(ɪˈndɛsɪsɪvnʌs)になります。覚えていると使える単語のひとつです。

「叛服常無し」を使いこなそう

この記事では、「叛服常無し」の意味や使い方について見てきました。時にはそむいたり、時には服従したりして、その態度が決まらないという意味でした。

統治や管理する方としたら、「味方なのか敵か」、「賛成者なのか反対者なのか」の態度がはっきりしていると動きやすいのでしょうが、管理される方の立場からすれば、いろいろなしがらみもあり立場を明確にできない場合も多いでしょう。難しいですが、よく話し合うことが大切かもしれませんね。

" /> 【慣用句】「叛服常無し」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説! – ページ 3 – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「叛服常無し」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

「叛服常無し」の対義語は?

次に「叛服常無し」の対義語を見ていきましょう。

「剛毅果断(ごうきかだん)」:意思が強く、くじけず決断力のあること

背いたり、従ったり、なかなか態度が決まらないことを「叛服常無し」と言いましたが、反対の言葉は、態度や考え方に一貫性があり、決断力のある態度の意味を含む言葉になりますね。そんな意味を持つ熟語に剛毅果断」(ごうきかだん)があります。

 「剛毅果断」の剛毅」(ごうき)とは、意思が堅く強いことからくじけないさまを意味し、「果断」(かだん)とは、物事を思い切って行うような決断力のあることです。「剛毅果断」全体で、意思が強く決断力のあることになります。「叛服常無し」が否定的な意味を持つ言葉であるのに対して、「剛毅果断」は肯定的な言葉になりますね。

「叛服常無し」の英訳は?

image by iStockphoto

次に「叛服常無し」の英訳を見ていきましょう。

「indecisive(ìndɪsάɪsɪv)」:煮え切らない

「叛服常無し」を英訳しようとするとき、相手に伝えなければならない大切な部分は、「なかなか態度が決まらない」という部分になるでしょう。この部分を言い換えてみると、「煮え切らない」や「優柔不断な」や「決断力がない」などが類似語の候補として考えられるのではないでしょうか?「煮え切らない」や「優柔不断な」という意味を持つ英語にピッタリとくる言葉のひとつにindecisive」(ìndɪsάɪsɪv)があります。

「indecisive」には、「決着がついていない」という意味もありますが、「煮え切らない」や「優柔不断な」という意味でも広く使われる形容詞です。名詞は、「indecisiveness」(ɪˈndɛsɪsɪvnʌs)になります。覚えていると使える単語のひとつです。

「叛服常無し」を使いこなそう

この記事では、「叛服常無し」の意味や使い方について見てきました。時にはそむいたり、時には服従したりして、その態度が決まらないという意味でした。

統治や管理する方としたら、「味方なのか敵か」、「賛成者なのか反対者なのか」の態度がはっきりしていると動きやすいのでしょうが、管理される方の立場からすれば、いろいろなしがらみもあり立場を明確にできない場合も多いでしょう。難しいですが、よく話し合うことが大切かもしれませんね。

1 2 3
Share: