
端的に言えば「袖を連ねる」の意味は「行動を共にする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「袖を連ねる」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/Maicodori
建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「袖を連ねる」の意味をわかりやすく伝える。
「袖を連ねる」の意味は?
「袖を連ねる」には、次のような意味があります。
大ぜいの人が連れ立って行く。また、行動を共にする。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「袖を連ねる」
「袖を連ねる」は「そでをつらねる」と読み、多くの人が一緒にどこかへ行くこと、または何人かで行動を共にすることを指す慣用句です。このように微妙に異なる2つの意味がありますから、正確に覚えておきましょう。「袖」という漢字はあまり見ないかもしれませんから、しっかり読み書きできるようにしておきましょうね。
「袖を連ねる」の語源は?
次に「袖を連ねる」の語源を確認しておきましょう。「袖を連ねる」の語源は着物に由来しており、着物でたくさんのひとが並んだ時に袖が連続して見えたことから、このような「行動を共にする」という意味が生まれたと言われています。
着物を語源とした慣用句は「足が出る」や「はしょる」などいろいろありますから、余裕がある方は確認しておくと良いでしょう。
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「袖を連ねる」の使い方・例文
「袖を連ねる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1. そんなに袖を連ねて大勢で謝りに行かなくても、役職がある人だけで良いのではないですか。時間の無駄ですよ。
2. あの大物芸能人がタクシーに乗り込んで移動したら、マスコミが袖を連ねて一緒に移動していったよ。ヘリコプターまでついていったんだから、すごいよな。
3. お腹が空いたから、友だちと袖を連ねて仲良く牛丼を食べに行っていただけです。アリバイについて問われても、ちょっとそれ以上は答えかねます。
例文の1と2は「大勢でどこかへ行く」という意味で、例文の3は「行動を共にする」という意味で「袖を連ねる」が使用されていることがわかりますね。微妙に異なる意味ですから、文脈から正確に判断するようにしましょう。
「袂を連ねる」:人と行動を共にすること
今回最初にご紹介する類義語が「袂を連ねる」(たもとをつらねる)です。「たもと」としっかり読めたでしょうか、国語辞書で意味を確認しておきましょう。
人と行動を共にする。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「袂を連ねる」
このように「袂を連ねる」は、「行動を共にする」という意味において「袖を連ねる」と全く同じ意味を有しています。「袂」は「和服の袖付けから下の、袋のように垂れた部分。」のことで、そのため「袂を連ねる」も着物に由来した慣用句であると言われていますよ。
「連行」:連れて行くこと
次にご紹介する類義語が「連行」(れんこう)です。口語でもよく用いられる言葉ですが、念のため意味を確認しておきましょう。
本人の意思にかかわらず、連れて行くこと。特に、警察官が犯人・容疑者などを警察署へ連れて行くこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「連行」
「連行」は誰かと一緒にどこかへ行くという意味では「袖を連ねる」と類似していますが、比較すると「連行」は強制力があり、本人の意思に関わらず移動させられるという点が「袖を連ねる」との違いと言えるでしょう。
「協働」:協力して働くこと
今回最後にご紹介する類義語が「協働」(きょうどう)です。こちらも意味を確認しておきましょう。
同じ目的のために、対等の立場で協力して共に働くこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「協働」
「協働」も一緒に動くということは「袖を連ねる」と類似していますが、労働という観点での慣用句であるということが違いであると言えるでしょう。
「袖を連ねる」の対義語は?
さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。
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