この記事では「面を被る」について解説する。

端的に言えば「面を被る」の意味は「別のものに見せる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「面を被る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「面を被る」の意味をわかりやすく伝える。

「面を被る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「面を被る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「面を被る」の意味は?

「面を被る」には、次のような意味があります。

1. 仮面で顔を覆う。
2. 本当の姿を隠して、別のものに見せる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「面を被る

「面を被る」は「めんをかぶる」と読み、人物や何かのもの、物事において本当・本来の姿を隠して別物に見せる際に使用する言葉です。上述したように2つの意味を有していますが、今回は慣用句としての2の意味について解説します。「つら」と読みそうになりますが、正確には「めん」ですからしっかり覚えておきましょう。

「面を被る」の語源は?

次に「面を被る」の語源を確認しておきましょう。「面を被る」の語源は明確ではありませんが、2つの言葉がくっついた慣用句ですから念のためそれぞれの意味を確認しておきます。

まず「面」は物理的な「顔につけるかぶりもの。」の意味でしょう。一方で「被る」は「頭や顔などにそれを覆うものを載せる。また、全体をすっぽり覆う。」です。

そのため「面を被る」を丁寧に言いまわすと「かぶりものを覆う」となりますから、「面を被る」は実際の動作や状況を示す言葉であり、それが転じて「別物に見せる」という意味が付与されたと考えられます。

「面を被る」の使い方・例文

「面を被る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. テーマパークが新しく開園したらしいのだけれど、あまり楽しくなかったよ。あれはテーマパークらしき面を被った何かだな。
2. 日本の風土というか文化として、何かの物事において面を被ってごまかす癖があるのだよ。それで今日の外国は非常に苦労している。
3. オランダのマリーナにあるライバル会社のホテルに、面を被って視察してみたんだ。競争相手なのだけれど、非常に良かったよ。

どの例文においても「面を被る」は本当の姿を隠している、または本来のあり方を表現できていない際に使用されていることがわかりますね。例文2のように、日本という抽象的で大きな存在でも使用可能な慣用句です。

「面を被る」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「面を被る」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

「擬態」:他のものに似せること

今回まず最初にご紹介する類義語が「擬態」(ぎたい)です。口語でもよく用いられる慣用句ですが、念のため国語辞書で意味を確認しておきましょう。

\次のページで「「変装」:別人に見せかけること」を解説!/

1. 他のもののようすや姿に似せること。
2. 動物が、攻撃や自衛などのため、体の色・形などを周囲の物や動植物に似せること。コノハチョウが枯れ葉に似せて目立たなくしたり、アブが有害なハチに似せて目立つ色をもったりすることなど。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「擬態

「面を被る」の類義語としては1の意味ですね。近い意味を有していますが、比較すると「擬態」は何か他のものがある前提でそれに寄せていくことに対し、「面を被る」は他のものの有無に関わらず使用できると言えます。

「変装」:別人に見せかけること

次にご紹介する類義語が「変装」(へんそう)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

別人にみせかけるために、風貌や服装などを変えること。また、その変えた姿。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「変装

このように「変装」は「面を被る」と同じような意味を有していますが、比較すると「変装」は人に限定して使用できる慣用句であるのに対し、「面を被る」は人だけでなくものや物事に対しても使用できることが違いと言えるでしょう。

「扮装」:身なりなどをつくり装うこと

今回最後にご紹介する類義語が「扮装」(ふんそう)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

俳優が、その役柄らしく、身なりや顔かたちなどをつくり装うこと。また、その装い。一般に、ある人物などに似たかっこうをすることにもいう。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「扮装

「扮装」も別人になりきるという意味では「面を被る」と類似していますが、人に限定した慣用句であること、さらに俳優に対して使用するニュアンスが強いことが違いと言えるでしょう。

\次のページで「「面を被る」の対義語は?」を解説!/

「面を被る」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

「ありのまま」:偽りのない姿

「面を被る」の対義語としては「ありのまま」が挙げられるでしょう。「実際にあるとおり。偽りのない姿。ありてい。」という意味ですから、対義関係にあることがわかりますね。ちなみに漢字で書くと「有りの儘」ですから、併せて覚えておきましょう。

「面を被る」の英訳は?

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最後に、「面を被る」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「disguise」:変装

「面を被る」を英語で言いまわす場合には「disguise」が挙げられるでしょう。「変装」という意味で使用することができます。以下に例文を見てみましょう。

・Do you really think you can disguise yourself looking like that? The teacher and other students will soon find out. You need to walk more like a girl.
そんな姿で面を被ったつもりかい?すぐに先生や他の生徒にばれてしまうよ。もっと女の子っぽい歩き方をしないと。

・If you want to break into that company you will need a disguise. Can you give us a couple of days so we can get you a custom-made suit?
あなたがもしあの会社に侵入したいのであれば、面を被る必要があります。特注のスーツを用意しますから、2日ほどお待ちいただけますか?

・The guy who stole the money from that bank was disguised as a clerk. He seemed to know the inner workings of the bank.
あの銀行から金を盗み出したのは、事務員に面を被ったやつだったんだ。内部事情にも精通していたらしい。

「面を被る」を使いこなそう

この記事では「面を被る」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「面を被る」は人物や何かのもの、物事において本当・本来の姿を隠して別物に見せる際に使用する言葉でした。ビジネスシーンでも日常生活でも、緊急事態時には「面を被る」必要が生じる可能性がありますから、余裕がある方は普段から準備しておくと良いかもしれませんね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「面を被る」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「面を被る」について解説する。

端的に言えば「面を被る」の意味は「別のものに見せる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「面を被る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「面を被る」の意味をわかりやすく伝える。

「面を被る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「面を被る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「面を被る」の意味は?

「面を被る」には、次のような意味があります。

1. 仮面で顔を覆う。
2. 本当の姿を隠して、別のものに見せる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「面を被る

「面を被る」は「めんをかぶる」と読み、人物や何かのもの、物事において本当・本来の姿を隠して別物に見せる際に使用する言葉です。上述したように2つの意味を有していますが、今回は慣用句としての2の意味について解説します。「つら」と読みそうになりますが、正確には「めん」ですからしっかり覚えておきましょう。

「面を被る」の語源は?

次に「面を被る」の語源を確認しておきましょう。「面を被る」の語源は明確ではありませんが、2つの言葉がくっついた慣用句ですから念のためそれぞれの意味を確認しておきます。

まず「面」は物理的な「顔につけるかぶりもの。」の意味でしょう。一方で「被る」は「頭や顔などにそれを覆うものを載せる。また、全体をすっぽり覆う。」です。

そのため「面を被る」を丁寧に言いまわすと「かぶりものを覆う」となりますから、「面を被る」は実際の動作や状況を示す言葉であり、それが転じて「別物に見せる」という意味が付与されたと考えられます。

「面を被る」の使い方・例文

「面を被る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. テーマパークが新しく開園したらしいのだけれど、あまり楽しくなかったよ。あれはテーマパークらしき面を被った何かだな。
2. 日本の風土というか文化として、何かの物事において面を被ってごまかす癖があるのだよ。それで今日の外国は非常に苦労している。
3. オランダのマリーナにあるライバル会社のホテルに、面を被って視察してみたんだ。競争相手なのだけれど、非常に良かったよ。

どの例文においても「面を被る」は本当の姿を隠している、または本来のあり方を表現できていない際に使用されていることがわかりますね。例文2のように、日本という抽象的で大きな存在でも使用可能な慣用句です。

「面を被る」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「面を被る」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

「擬態」:他のものに似せること

今回まず最初にご紹介する類義語が「擬態」(ぎたい)です。口語でもよく用いられる慣用句ですが、念のため国語辞書で意味を確認しておきましょう。

\次のページで「「変装」:別人に見せかけること」を解説!/

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