今回は薬味でおなじみの大葉についてみていこう。大葉は冷たい麺料理の薬味や揚げ物のアクセントなどに使われる、爽やかな香りと深い風味がたまらない料理の名脇役。ですが、調べてみると主役級の効能や栄養があるようです。10年以上食育指導に関わってきた元保育士ライター、榎木えふと一緒に解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。夏になると畑で大葉を育ててたくさん食べたいと思う大葉好き。しかし家に庭がないので叶わない。10年以上食育に携わった経験を踏まえながら食に関する知識をわかりやすく発信していく。

大葉とシソは別物?どんな食べ物?

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大葉はシソ科シソ属の植物。ずばり、大葉とシソは同じ植物です。ではなぜわざわざ別の名前で呼ばれるのでしょうか?名前の由来や、どのような特徴のある食べ物なのかをみていきましょう。

大葉は日本のハーブ

香りや効能が人の役に立ち体によい効果をもたらすとされる植物は、昔から薬草として重宝されてきました。そのような植物を東洋では薬味や生薬(しょうやく)、漢方薬といった名前で人々の健康を支えてきた歴史があります。

主に西洋で栽培され利用されてきたものの呼び名がハーブです。例えば、ハーブティーには気持ちを落ち着かせたり安眠を促す効果があるハーブが茶葉として使われていますね。料理に爽やかな香りと風味を加えて食欲をそそる効果のある大葉は、まさしく日本のハーブと呼ばれるにふさわしいのです。

料理を引き立たせる薬味のひとつ

大葉はショウガやネギ、ミョウガなどと同じ薬味と呼ばれる食材のひとつです。ここで薬味の意味を確認してみましょう。

やくみ【薬味】
① 薬の種類。薬剤の種類。
② 食物に少量添えて用いる香辛料、香味野菜などの類。唐辛子、ショウガ、葱など。
③ 感覚を刺激したり味わいをひきしめたりするものごと。

出典 精選版 日本国語大辞典

大葉をはじめとした薬味には香りや辛みなどで料理の味を引き立てる他に、字の通り薬のような効果を持つものがあります。大葉には特に食欲を湧かせたり胃のはたらきをよくする効果、殺菌効果などが期待できる成分が含まれていて、その効果を利用した使われ方をしていますよ。

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シソの葉を大葉と呼ぶ理由

シソは葉の部分だけでなく、実・芽・穂などと葉以外の部分も食用として使われます。鮮やかな緑色で料理にいろどりを添えている小さな芽や穂先のような植物が、お刺身のつまに添えられているのを見たことがないでしょうか?それこそが芽シソや穂シソと呼ばれる、シソの葉以外で食べられる部分です。販売するときにそれぞれの区別を付けるため、葉の部分を大葉と呼ぶようになったと言われています。

店で売っている大葉をシソと呼ぶことはありますが、植えられている植物としてのシソのことを大葉とは呼びません。

大葉にはどんな栄養がある?

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大葉は香味野菜と呼ばれますが、見るからに葉っぱの見た目をしていて野菜という印象はあまりありませんね。しかし野菜に劣らない豊富な栄養素が含まれています。他の食材と比較しながら代表的な栄養素をみていきましょう。

その1.ビタミン類

ビタミンの中ではビタミンB2・C・Kが多く含まれています。それぞれの栄養が豊富に含まれているイメージをもつ食材100g当たりとの栄養量を比較してみましょう。

ビタミンB2 大葉:0.34㎎ 鶏卵:0.37㎎
ビタミン C 大葉:26㎎ レモン:50㎎
ビタミンK 大葉:690μg 納豆(糸引き):600μg

出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

\次のページで「その2.ミネラル類」を解説!/

比べてみると、同等以上に優れている栄養素もありますね。青じその葉だけにこれだけの栄養量があるのは驚きです。

その2.ミネラル類

ミネラルもビタミンと同じように、私たちの身体をつくる大切な栄養素。体の神経や筋肉の機能の維持や臓器や細胞の活動を助ける働きがあります。

大葉に含まれているミネラルで豊富なものは、カリウム・亜鉛・カルシウム・鉄。カリウムは塩分を体の外に出す作用でむくみの解消に期待ができます。亜鉛は味覚を正常に保つ働きをサポート。カルシウムはじょうぶな歯や骨を作るのに役立ちますよ。

鉄は血液中で酸素を全身に運ぶのための重要な働きをしています。鉄分はビタミンCと一緒に摂ると吸収がよくなるので、大葉はどちらも一度に摂れる一石二鳥の食材です。

その3.食物繊維

大葉100gあたりの食物繊維は7.3g。食物繊維が多そうなサツマイモでは2.2㎎なので、それを大きく上回ることは驚きですね。食物繊維は腸の動きを促したり便のカサを増やしたりするはたらきがあります。便通を改善して腸内環境を整えてくれる効果が期待できますよ。

その4.β-カロチン

β(ベータ)カロチンは緑黄色野菜に多く含まれ体内で必要な分だけがビタミンAに変わるという性質を持っているため、皮膚や眼の健康を保つというビタミンAと同じ効果が期待できます。また、免疫力アップや老化防止にも効果があるとされている栄養素ですよ。

大葉100gあたりのβカロチン量は11000μg、ポピュラーな緑黄色野菜のニンジンでは8600μg。βカロチンもたくさん含まれていると言えます。

大葉の優れた効能とは?

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大葉に含まれている成分は他にも様々な効果をもたらすものがあります。詳しくみていきましょう。

\次のページで「1.殺菌・防腐作用」を解説!/

1.殺菌・防腐作用

シソの独特な香りはベリルアルデヒドという成分によるものです。これは別名シソアルデヒドと呼ばれ、殺菌効果や食べ物が腐るのを防ぐ効果があります。また、α(アルファ)リノレン酸、ポリフェノールも豊富に含まれており、これらも高い殺菌・防腐効果を発揮する成分です。

刺身の盛り合わせにつまとして大葉が添えられているのを見たことがありますか?これは大葉の成分によって生魚の腐敗を遅らせて食中毒を予防するための知恵。単に色どりをよくするためだけではなく、理にかなった工夫なのですね。

2.食欲増進・健胃作用

大葉の香り成分ベリルアルデヒドにはもうひとつ、消化酵素の分泌を促すという効果があります。それによって食欲を増進させたり胃もたれを解消したり、胃の調子を整える働きが期待できるでしょう。食欲の落ちる暑い夏にそうめんの薬味に添えられていたり、天ぷらやフライなどの揚げ物と一緒に料理されるのにはこのような理由があります。

大葉の栄養や効能を食生活に取り入れよう!

料理の添え物、脇役といった印象の大葉ですが意外にも栄養豊富。まるで薬のような効果も持っていると言えますね。しかし1食に食べる量としては少なく、大葉だけで健康効果が発揮できるというわけではありません。爽やかな風味を足すだけでも十分活躍する食材ですが、その効能に期待して季節や体調などに合わせて食生活に取り入れてみるのもよいでしょう。

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家庭科

大葉は何の葉?どんな栄養や効能がある?シソとは別物?元保育士がわかりやすく解説

比べてみると、同等以上に優れている栄養素もありますね。青じその葉だけにこれだけの栄養量があるのは驚きです。

その2.ミネラル類

ミネラルもビタミンと同じように、私たちの身体をつくる大切な栄養素。体の神経や筋肉の機能の維持や臓器や細胞の活動を助ける働きがあります。

大葉に含まれているミネラルで豊富なものは、カリウム・亜鉛・カルシウム・鉄。カリウムは塩分を体の外に出す作用でむくみの解消に期待ができます。亜鉛は味覚を正常に保つ働きをサポート。カルシウムはじょうぶな歯や骨を作るのに役立ちますよ。

鉄は血液中で酸素を全身に運ぶのための重要な働きをしています。鉄分はビタミンCと一緒に摂ると吸収がよくなるので、大葉はどちらも一度に摂れる一石二鳥の食材です。

その3.食物繊維

大葉100gあたりの食物繊維は7.3g。食物繊維が多そうなサツマイモでは2.2㎎なので、それを大きく上回ることは驚きですね。食物繊維は腸の動きを促したり便のカサを増やしたりするはたらきがあります。便通を改善して腸内環境を整えてくれる効果が期待できますよ。

その4.β-カロチン

β(ベータ)カロチンは緑黄色野菜に多く含まれ体内で必要な分だけがビタミンAに変わるという性質を持っているため、皮膚や眼の健康を保つというビタミンAと同じ効果が期待できます。また、免疫力アップや老化防止にも効果があるとされている栄養素ですよ。

大葉100gあたりのβカロチン量は11000μg、ポピュラーな緑黄色野菜のニンジンでは8600μg。βカロチンもたくさん含まれていると言えます。

大葉の優れた効能とは?

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大葉に含まれている成分は他にも様々な効果をもたらすものがあります。詳しくみていきましょう。

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