この記事では「算盤を弾く」について解説する。

端的に言えば「算盤を弾く」の意味は「損得を計算する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「算盤を弾く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「算盤を弾く」の意味をわかりやすく伝える。

「算盤を弾く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「算盤を弾く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「算盤を弾く」の意味は?

「算盤を弾く」には、次のような意味があります。

そろばんを使って計算する。転じて、損得を計算する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「算盤を弾く

「算盤を弾く」は「そろばんをはじく」と読み、何かの物事において損得勘定をする場合に使用する言葉です。実際に算盤を用いなくても使用できる慣用句となっています。「さんばん」とも読みますが、やや違う意味になりますので、「そろばん」としっかり読めるようにしておきましょうね。

「算盤を弾く」の語源は?

次に「算盤を弾く」の語源を確認しておきましょう。「算盤を弾く」は実際に計算するというところから由来していますから、語源はある程度明確ですが、2つの言葉がくっついた慣用句ですから念のためそれぞれの意味を確認してみます。

まず「算盤」はここでは「計算。勘定。また、特に、損得の計算。」の意味ですね。次に「弾く」は「そろばん玉を指で動かす。転じて、計算する。」のことです。そのため「算盤を弾く」は、やはり2つの単語からみても「損得の計算を行う」となることが確認できました。

「算盤を弾く」の使い方・例文

「算盤を弾く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「算盤を弾く」の類義語は?違いは?」を解説!/

1. 今月の収入があまり多くないから、そろそろ算盤を弾いておかないと。家計が大変なことになってしまうわ。
2. 中途で新しい社員がどんどん入ってくるから算盤を弾いたら、社内ポジションを保つためにもあの上司についていった方がよさそうなことがわかったんだ。
3. 研究室は助け合いの場なのだから、ここで手伝ったら何ポイントもらえるみたいな算盤を弾いても無駄よ。

このようにどの例文においても「算盤を弾く」は「損得勘定を計算する」という意味で使用されていることがわかりますね。例文の1は実際に算盤を使って計算しているかもしれませんが、例文の2と3のように算盤を用いていなくても違和感なく使用できる慣用句であることも確認できました。

「算盤を弾く」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「算盤を弾く」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

「算盤を置く」:損得の計算をすること

今回最初にご紹介する類義語が「算盤を置く」(そろばんをおく)です。念のため国語辞書で意味を確認しておきましょう。

そろばんに玉を置いて計算する。損得の計算をする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「算盤を置く

このように「算盤を置く」は「算盤を弾く」と全く同じ意味を有していることがわかります。口語では「弾く」という計算しているニュアンスが強い「算盤を弾く」がよく使用されますが、「算盤を置く」も合わせて覚えておくと良いでしょう。

「勘定」:数量や金銭を数えること

次にご紹介する類義語が「勘定」(かんじょう)です。口語でもよく用いられますが、意味を確認しておきましょう。

1. 物の数量、または金銭を数えること。「売上金の―が合わない」「人員を―する」
2. 代金を支払うこと。また、その代金。「―を済まして店を出る」
3. 他から受ける作用や、先々生じるかもしれない事態などを、あらかじめ見積もっておくこと。「列車の待ち時間を―に入れて行動する」
4. いろいろ考え合わせて出た結論。「うまくいけばみんなが得をする―だ」
5. 簿記で、資産・負債・資本の増減、収益・費用の発生を記録・計算するために設ける形式。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「勘定

「算盤を弾く」の類義語としては1の意味ですね。計算するという観点では同じ意味を有していますが、比較すると「算盤を弾く」は損得の確認というニュアンスが強いのに対し、「勘定」は計算そのものに重きが置かれているところが違いと言えるでしょう。

「打算」:利害や損得を見積もること

今回最後にご紹介する類義語が「打算」(ださん)です。こちらも意味を確認しておきます。

勘定すること。利害や損得を見積もること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「打算

「打算」は「算盤を弾く」と同様の意味を有していますが、比較すると「打算」は見積もる・推測するというニュアンスであり、「算盤を弾く」のように厳密に損得を計算するのとはやや違いがあると言えるでしょう。

\次のページで「「算盤を弾く」の対義語は?」を解説!/

「算盤を弾く」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

「丼勘定」:大まかにお金の出し入れをすること

「算盤を弾く」の対義語としては「丼勘定」(どんぶりかんじょう)が挙げられるでしょう。意味としては「細かく計算などをしないで、おおまかに金の出し入れをすること。」ですから、厳密に計算する「算盤を弾く」とは対義関係にあることがわかりますね。昔、職人などが腹掛けのどんぶりから無造作に金を出し入れして使ったことが由来だそうですよ。

「算盤を弾く」の英訳は?

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最後に、「算盤を弾く」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「figure on」:頭の中で計算すること

「算盤を弾く」を英語で言いまわす場合には「figure on」が挙げられるでしょう。「頭の中で損得を計算する」という意味で使用できます。ちなみに算盤は英語で「abacus」ですから、合わせて覚えておきましょう。以下に例文を見てみます。

・I had figured on how much money I had, but because of my brother's mistake, it was zero, jointly and severally.
どれくらいおこづかいがあるか、せっかく頭の中で算盤を弾いていたのに、弟がミスをしたせいで連帯責任でゼロになってしまったよ。

・I figured on that if I got along with that person and that person, I would get ahead, and I really did, so internal politics is important, isn't it?
あの人とあの人と仲良くなっておけば出世すると思って算盤を弾いていたら、本当に出世したから社内政治って大事だよな。

・You can figure on love, but love doesn't work on logic. Sometimes it's not about profit and loss, but how you appeal to the heart.
恋愛は算盤を弾くように理詰めではいかないのよ。損得ではなくて、いかにハートに訴えかけるかが大事な時もあるの。

「算盤を弾く」を使いこなそう

この記事では「算盤を弾く」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「算盤を弾く」は何かの物事において損得勘定をする場合に使用する言葉でした。ビジネスシーンでも日常生活でも、あまりに「算盤を弾く」ことに慣れてしまうと、損する可能性があることに思い切ってチャレンジできなくなってしまうこともありますから、損得勘定はほどほどにしましょうね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「算盤を弾く」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「算盤を弾く」について解説する。

端的に言えば「算盤を弾く」の意味は「損得を計算する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「算盤を弾く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「算盤を弾く」の意味をわかりやすく伝える。

「算盤を弾く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「算盤を弾く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「算盤を弾く」の意味は?

「算盤を弾く」には、次のような意味があります。

そろばんを使って計算する。転じて、損得を計算する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「算盤を弾く

「算盤を弾く」は「そろばんをはじく」と読み、何かの物事において損得勘定をする場合に使用する言葉です。実際に算盤を用いなくても使用できる慣用句となっています。「さんばん」とも読みますが、やや違う意味になりますので、「そろばん」としっかり読めるようにしておきましょうね。

「算盤を弾く」の語源は?

次に「算盤を弾く」の語源を確認しておきましょう。「算盤を弾く」は実際に計算するというところから由来していますから、語源はある程度明確ですが、2つの言葉がくっついた慣用句ですから念のためそれぞれの意味を確認してみます。

まず「算盤」はここでは「計算。勘定。また、特に、損得の計算。」の意味ですね。次に「弾く」は「そろばん玉を指で動かす。転じて、計算する。」のことです。そのため「算盤を弾く」は、やはり2つの単語からみても「損得の計算を行う」となることが確認できました。

「算盤を弾く」の使い方・例文

「算盤を弾く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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