この記事では「中流に船を失えば一壺も千金」について解説する。

端的に言えば中流に船を失えば一壺も千金の意味は「溺れかけている人はつかめるものにすがろうとする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「中流に船を失えば一壺も千金」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「中流に船を失えば一壺も千金」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「中流に船を失えば一壺も千金」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「中流に船を失えば一壺も千金」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「中流に船を失えば一壺も千金」の意味は?

まずは、「中流に船を失えば一壺も千金」の辞書の意味を見ていきましょう。

川のまんなかで舟を失った者にとっては、壺(つぼ)のようなものでも、浮き袋の代用として千金のねうちがある。つまらないものでも時と場合によっては、大きな価値をもつことがあるというたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「中流に船を失えば一壺も千金」

「中流に舟を失えば一壺も千金」の「中流」とは、川の上流と下流の中間の位置のことですね。流れも上流に比べれば緩やかではあるものの下流に比べたら流れが早い場所のことです。

中国語の文法では「場所」の表現を最初にもってくる規則性がありますから、最初に場所を示す「中流に」が置かれているわけですね。そんな場所で「船を失えば」と次にきていますから、人が溺れかけている情景が頭に浮かぶでしょう。溺れかけているときに上流から浮き輪の代わりとなりうる壺(つぼ)が流れてきたら、なにものにもまして必要なものとして人は壺につかまろうとする。そんな場面を表している言葉なのです。

「中流に舟を失えば一壺も千金」の語源は?

次に「中流に舟を失えば一壺も千金」の語源を確認しておきましょう。中国の古代史において紀元前221年に秦の始皇帝が国を統一します。その前の約500年間は、春秋・戦国時代と呼ばれ、争いの絶えない時代でした。そんな中で、諸種の思想家も誕生し、それぞれの思想を形成していったのです。

中国ではそんな思想・学問を「諸子百家」(しょしひゃっか)と呼んでいます。「中流に舟を失えば一壺も千金」は諸子百家のひとり、「鶡冠子」(かっかんし)の言葉だと言われていますね。大きな川の中流で船が沈むような場面では壺を浮き輪代わりにして使うなど、争いの絶えない時代の中では、生き残るための知恵が必要な時代だったのかもしれませんね。

\次のページで「「中流に舟を失えば一壺も千金」の使い方・例文」を解説!/

「中流に舟を失えば一壺も千金」の使い方・例文

「中流に舟を失えば一壺も千金」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 自宅で強盗に出くわすなんて、かなりリスキーなことだが、彼女はたまたま手元にあったハンガーを振り回して応戦したんだって。そしたら強盗もひるんで逃げ出したそうだ。中流に舟を失えば一壺も千金の言葉があるが、彼女が身の危険を感じた時とっさにとった判断はうまくいったケースだな。

2. 飲みすぎて帰るときに最寄駅を通過して終点駅まで来て、もどる終電がもう出てしまったあとってこと冬にはよくあるよな。東京近辺だと乗り越した客のために相乗りミニバスを運航している闇業者もいる。中流に舟を失えば一壺も千金の言葉があるが、個人でタクシーで帰ったり宿泊するよりは安いので、よく利用させてもらってるよ。

日常生活で、どんな場面で「中流に舟を失えば一壺も千金」が使えるのかを考えてみました。

「中流に舟を失えば一壺も千金」の類義語は?違いは?

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それでは、「中流に舟を失えば一壺も千金」の類義語を見ていきましょう。

「溺れる者は藁をも掴む」:溺れるなど緊急事態においては、人は藁にもすがろうとするものだ

「中流に舟を失えば一壺も千金」と類似のことわざが日本にもあります。「溺れる者は藁をも掴む」(おぼれるものはわらをもつかむ)です。文字通り、人は溺れるような緊急の事態においては藁のような頼りないものにまですがろうとするものだという意味になります。普段は気にもならないような些細なものでも緊急時には頼ろうとするのは誰しもが理解できる人間心理ではないでしょうか?

ただ、「中流に舟を失えば一壺も千金」は、浮き輪の代用品が流れてきたわけですから、ある意味では、ラッキーなケースなのでしょう。藁が流れてきても楽観的にはなれませんよね。

\次のページで「「中流に舟を失えば一壺も千金」の対義語は?」を解説!/

「中流に舟を失えば一壺も千金」の対義語は?

次に「中流に舟を失えば一壺も千金」の対義語を見ていきましょう。

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」:水の流れに身をまかせると浅瀬で浮かぶこともある

船がなく溺れそうなとき、浮き輪の代用品が流れてきたら、非常にありがたいし、人はそれにつかまろうとするというのが、「中流に舟を失えば一壺も千金」の意味でしたね。それとは、反対の意味を持つ教訓もあります。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」(みをすててこそうかぶせもあれ)です。

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」は、溺れかかったとき、あがけばあがくほど深みにはまってしまうもので、意識を変えて捨て身になり流れに身をまかせれば浅瀬に浮かぶこともあるだろう。そんな意味ですが、この言葉の意図するところは、窮地に陥った場合でも事態を冷静にとらえて推移を見極めることで、きっと活路を見いだすことができる。パニックにならず、冷静さを保つべきであるというアドバイスの言葉なのです。

「中流に舟を失えば一壺も千金」の英訳は?

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次に「中流に舟を失えば一壺も千金」の英訳を見ていきましょう。

「A drowning man will clutch at a straw」:溺れる者は藁をもつかむ

「中流に舟を失えば一壺も千金」を英訳する場合、伝えるべきことは下記のふたつです。

・溺れかけている人はなにかに捕まろうとする
・ささやかなものでも助けになることもある

「溺れかけている人はなにかに捕まろうとする」には、決まり文句があり、「A drowning man will clutch at a straw」になります。「A drowning man」は「溺れかけている人」、「clutch」(klˈʌtʃ)は、「つかむ」、「straw」(strˈɔ)は、藁(わら)のことです。

「A drowning man will clutch at a straw」全体で「溺れる者は藁をもつかむ」になりますね。それに「ささやかなものでも助けになることもある」を意味する「Ordinary goods might help you sometimes」を付け加えるとより言いたいことが伝えられるかもしれませんね。

\次のページで「「中流に舟を失えば一壺も千金」を使いこなそう」を解説!/

「中流に舟を失えば一壺も千金」を使いこなそう

この記事では、「中流に舟を失えば一壺も千金」の意味や使い方について見てきました。溺れている人は壺のようなものでも浮き輪の代用として握ろうとする。つまらないものでも時には大きな価値を持つものだ。という意味でしたね。中国では「壺」という浮力のあるものが例としてあげられていますが、日本のことわざでは「藁」という頼りにならないものが登場するのもおもしろいですね。定規のないときに線を引きたい場合はノートの端を使ったりするなど応用力は生活の中で大切なことですね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「中流に船を失えば一壺も千金」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「中流に船を失えば一壺も千金」について解説する。

端的に言えば中流に船を失えば一壺も千金の意味は「溺れかけている人はつかめるものにすがろうとする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「中流に船を失えば一壺も千金」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「中流に船を失えば一壺も千金」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「中流に船を失えば一壺も千金」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「中流に船を失えば一壺も千金」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「中流に船を失えば一壺も千金」の意味は?

まずは、「中流に船を失えば一壺も千金」の辞書の意味を見ていきましょう。

川のまんなかで舟を失った者にとっては、壺(つぼ)のようなものでも、浮き袋の代用として千金のねうちがある。つまらないものでも時と場合によっては、大きな価値をもつことがあるというたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「中流に船を失えば一壺も千金」

「中流に舟を失えば一壺も千金」の「中流」とは、川の上流と下流の中間の位置のことですね。流れも上流に比べれば緩やかではあるものの下流に比べたら流れが早い場所のことです。

中国語の文法では「場所」の表現を最初にもってくる規則性がありますから、最初に場所を示す「中流に」が置かれているわけですね。そんな場所で「船を失えば」と次にきていますから、人が溺れかけている情景が頭に浮かぶでしょう。溺れかけているときに上流から浮き輪の代わりとなりうる壺(つぼ)が流れてきたら、なにものにもまして必要なものとして人は壺につかまろうとする。そんな場面を表している言葉なのです。

「中流に舟を失えば一壺も千金」の語源は?

次に「中流に舟を失えば一壺も千金」の語源を確認しておきましょう。中国の古代史において紀元前221年に秦の始皇帝が国を統一します。その前の約500年間は、春秋・戦国時代と呼ばれ、争いの絶えない時代でした。そんな中で、諸種の思想家も誕生し、それぞれの思想を形成していったのです。

中国ではそんな思想・学問を「諸子百家」(しょしひゃっか)と呼んでいます。「中流に舟を失えば一壺も千金」は諸子百家のひとり、「鶡冠子」(かっかんし)の言葉だと言われていますね。大きな川の中流で船が沈むような場面では壺を浮き輪代わりにして使うなど、争いの絶えない時代の中では、生き残るための知恵が必要な時代だったのかもしれませんね。

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